ファイナルフェスを控えた対戦環境の“今”:望月もちのイカがだろうか【第5回】
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ファイナルフェス「SPLATOCALYPSE(スプラトカリプス)」を控え、少しずつボルテージを上げていく「スプラトゥーン2」。
「NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2」や、E3で開催された世界大会「Splatoon2 World Championship 2019」を終え、バランス調整アップデート「更新データVer4.9.0」が配信された。このアップデートで、スプラトゥーン2を取り巻く対戦環境はどのように変わったのか説明していこう。
また、ファイナルフェスで上位百ケツに入賞するために、今何をするべきかについても触れていきたいと思う。
【BACK NUMBER】
- 第1回:スプラトゥーン甲子園の舞台裏
- 第2回:NPBのスプラトゥーン大会順位を大胆予想!
- 第3回:NPB大会の勝敗はメンタルと塗り性能が分ける?!
- 第4回:NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2決勝戦を振り返る
ハイパープレッサー環境は終わり!? 今後の対戦環境のキーはアップデートに
いきなりだが、結論から言うと、対戦環境を大きく変えたのはNPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2でも、Splatoon2 World Championship 2019の結果でもなく、バランス調整アップデート更新データVer4.9.0による影響が大きかったと僕は感じている。
[おしらせ]
明日、6月26日(水)午前10時より、更新データVer.4.9.0を配信致します。
詳しい更新内容は下記のページをご覧ください。https://t.co/a6Lw2OXr48— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) June 25, 2019
これまでスプラトゥーン2プレイヤーの多くを悩ませていたのが、スペシャルウェポン「ハイパープレッサー」の存在だ。安全地帯から相手を狙い撃ちできるこのスペシャルウェポンは、上手いプレイヤーが扱うと相手は逃げ切ることが難しいため、リスポーンなどへの帰還を強制されてしまう。
特に、ガチヤグラやガチホコバトルなど、他ルールに比べて関与するオブジェクト(※)が小さければ小さいほど、遠くから狙い撃ちにする性質を活かしやすいため、必須級とも言われる性能を持っていた。
※ガチエリアでいうところのエリア部分、ガチアサリでいうところのアサリやゴール部分など、試合に関与する要素のこと
しかし、今回のアップデートによって、地形の後ろに隠れることで受けるダメージを減らすことができ、さらにスペシャルウェポン「インクアーマー」が使えるブキなら、受けるリスクを大幅に減らすことができるようになった。
これを受けて、どちらかというと個人戦のガチマッチよりも、チームvsチームの対抗戦において、これまで以上にハイパープレッサーに対応できる対戦環境が進んでいった。
今あらためて注目されるわかばシューター!
そこで流行し始めたのが、相手と撃ち合う能力は低いものの、全ブキでもトップクラスの塗り性能を持ち、相手のハイパープレッサーに対して確実にインクアーマーを合わせることのできる「わかばシューター」だ。
スプラトゥーン2をプレイしたことのあるユーザーなら手に取ったことがあるだろう。初心者向けのこのブキが対戦環境の上位に躍り出ることになったのだ。
これは「わかばシューター」。
明日、ハイカラスクエアに降り立つ若者たちが最初に持っているブキだ。
インクがとても長持ちするので、ナワバリバトルの入門にはピッタリだぞ。
サブウェポンは「スプラッシュボム」、スペシャルウェポンは「インクアーマー」だ。 pic.twitter.com/tP33HtLhTK— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) July 20, 2017
しかし、わかばシューターを実戦で扱うのは難しい。相手と対面する能力が低いにも関わらず戦わなくてはいけなかったり、味方のために塗りを広げ、味方のためにインクアーマーを発動させたりと、とにかく状況判断能力と自身のがんばりが求められるブキだからだ。
チームメンバーの理解も必要なため、ガチマッチで扱うのも難しい。それでもプレイヤーの手によって、初期ブキのわかばシューターが今実践で使われているというのは、オンライン対戦ゲームの変わりゆく対戦環境の魅力と言えるだろう。
トッププレイヤー愛用のL3リールガンも人気に
次に対戦環境で猛威を振るっているブキは「L3リールガン」だ。
NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2で敢闘賞に選ばれたNorishio選手が使用していたり、Splatoon2 World Championship 2019の優勝チーム「GG BoyZ」がチーム内で2人も使用していたり(※)と、少しずつポテンシャルが評価され、前回のフェス「酢豚にパイン入ってるのって… ナシ vs アリ」で使用するプレイヤーの数が爆発的に増加した。現状、ナワバリバトルにおける最強のブキとして、多くのプレイヤーに評価されている。
※正確には、1人は「L3リールガンD」なのだが、メインウェポンは同じ性能。
このブキの強みは、とにかくすべてが高水準であること。1トリガー3点バーストというクセの強いメインウェポンだが、高い塗り性能を持ち、ジャンプ撃ちでも精度が非常に高い。
また、ヒト状態での移動速度も速い上に、これまでにナワバリバトルの環境で猛威を振るってきた「シャープマーカーネオ」や「スプラスピナー」などに対して射程で勝ってもいる。そして、メインウェポンのインク効率も非常に良いなど、まさに理想のシューターと言える性能を持ったブキだ。
ただ、相手に与えるダメージが29.0/発とあまり高くなく、撃ち合いになるとどうしても厳しい場面を強いられるのが悩みどころだが、ギアパワー「メイン性能アップ」をたった1.3(メイン1つ、サブ3つ)積むことで、33.3/発ダメージにまで跳ね上がる。
これによって、インクを踏ませるなどして少しでもダメージが入った相手は、弾を3発当てて倒すことができる(擬似3確と呼ばれる)性能になる。トッププレイヤーの開拓によって、対面能力の飛躍的な向上が界隈全体に知れ渡ることになった。
サブ&スペシャルも優秀なL3リールガンの万能感
さらに、サブウェポンの「カーリングボム」は、相手陣地へ侵入するルートを簡単に生み出すことができ、スペシャルウェポンの「イカスフィア」は、倒されそうな場面で最低でも1回は保険をかけることができる。つまり、ナワバリバトルでたった1人で相手陣地に取り残されたとしても、ひたすら暴れまわることのできる性能を持っており、個人戦のフェスなどで特に真価を発揮するブキなのだ。
本連載の第3回のフェスの勝ち方解説において、「1人で何でもできるバランスの良いブキを選ぶ」と記述したが、L3リールガンはまさにその条件を満たすブキということだ。
アップデート更新データVer4.9.0で大幅な弱体化も予想されていたが、結果はスペシャル必要ポイントが20上がっただけと、ほとんど影響はない調整。ファイナルフェスでも間違いなく多くのプレイヤーが使用するだろうと予想している。
アップデート後の注目ブキは他にも
今回のアップデートで対面能力が向上した「.96ガロンデコ」や、ハイパープレッサーが弱体化して「スプラスコープコラボ」に持ち替えるプレイヤーも増えている。また、NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2で圧倒的なポテンシャルを見せつけた「パブロ・ヒュー」を扱えるプレイヤーも増え、少しずつ対戦環境は変化している。
残すバランス調整アップデートは1回とも噂されているため、アップデートによって起こるスプラトゥーン2の対戦環境の変動は、いよいよ大詰めとなりそうだ。最後に環境を支配しているのは一体どのブキになるのか、楽しみである。
スプラ2の歴史を振り返ることがファイナルフェス攻略のカギ!
発売から2周年を迎え、7月18日(木)21:00~7月21日(日)21:00の72時間で世界同時開催されるファイナルフェス「SPLATOCALYPSE(スプラトカリプス)」。
「スプラトゥーン2」発売から来月で2年、いよいよ最後にして最大のフェス「ファイナルフェス」が世界同時開催される。
期間は発売から2周年を迎える、7月18日(木)21:00~7月21日(日)21:00の72時間。
最終決戦「SPLATOCALYPSE(スプラトカリプス)」に、是非とも参戦いただきたい。#FinalFest pic.twitter.com/z93AYWeyRF— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) June 9, 2019
スプラトゥーン2最後のフェス開催ということで、フェスパワー上位100人がリストアップされる「フェス百ケツ」を目指すプレイヤーも多いことだろう。
最後のフェスを悔いのないように迎えるために、今からでもできることは多いはず。そんなプレイヤーに向けて、今何をすべきかを解説していきたい。
なお、フェス攻略に向けての解説は本連載の第3回にも書いているので、そちらも合わせてご覧いただきたい。
これまでのミステリーゾーンの立ち回りを思い出す
今回のフェスは、なんとこれまでに登場した23種類のミステリーゾーンがすべて登場すると、公式Twitterから発表されている。
ファイナルフェスでは、過去のフェスで登場したミステリーゾーンがすべて登場する。
今回は第1回から第4回までのフェスで登場したステージを紹介しよう。
これらを見て、当時の記憶を思いかえしてみてはいかがだろうか?#FinalFest pic.twitter.com/ht1rPWbBOL— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) June 18, 2019
そのすべてがクセの強いステージであり、普段プレイすることがないからこそ、勝ち方を知っているプレイヤーとそうでないプレイヤーでは勝率が大幅に変わる。「ミステリーゾーンを制する者が、フェスを制する」と言っても過言ではない。
ファイナルフェスに向けてプレイヤーができることは、「これまでのミステリーゾーンの立ち回りを思い出し、適応できるように準備しておくこと」だろう。
たとえば、第5回開催の「バーの一族」は、お互いの陣地が非常に広く、相手陣地に侵入することで得られるアドバンテージが大きかったため、L3リールガンやパブロ・ヒューなどで、相手陣地に抜けていく立ち回りが強力になるはずだ。
続いて、第5回から第8回までのフェスで登場したステージを紹介しよう。
ちなみに、ミステリーゾーンのステージ名はイイダが命名したものだとか。#FinalFest pic.twitter.com/Tvaj89RVon— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) June 18, 2019
ファイナルフェスでは、過去のフェスで登場したミステリーゾーンがすべて登場する。
今回は第9回から第12回までのフェスで登場したステージを紹介しよう。#FinalFest pic.twitter.com/kqxsJtgW5R— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) June 19, 2019
第15回開催の「キミのハートにライド・オン!」や、第16回開催の「カンケツセンのばら」は、ステージ中央の高台を取り返すことが難しすぎるため、一度固めてしまえば強力なメインウェポンを撃ち続けることのできる「クーゲルシュライバー・ヒュー」や「ダイナモローラーベッチュー」などが猛威を振るうのではないだろうか。
続いて、第13回から第16回までのフェスで登場したステージを紹介しよう。
改修されて再登場したことがあるミステリーゾーンは、改修後のものがファイナルフェスで登場するぞ。#FinalFest pic.twitter.com/2nFElIv1aH— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) June 19, 2019
ファイナルフェスでは、過去のフェスで登場したミステリーゾーンがすべて登場する。
今回は第17回から第20回までのフェスで登場したステージを紹介しよう。#FinalFest pic.twitter.com/qKx2FjuHHu— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) June 20, 2019
第8回開催の「トジトジ」は時間経過で侵入できなくなる隔離エリアが存在したり(予め「ジャンプビーコン」を設置しておくことで外から強引に侵入することができる小ネタもあるが…)、第21回開催の「ビッグ=パネルが止まらない」では、塗った陣地をガラスの向こう側に送り込むことのできるギミックがあったりと、一部ステージでは知っておかないと大きく不利を取る要素もある。
続いて、第21回から第23回までのフェスで登場したステージを紹介しよう。
これで、これまでのフェスで登場したミステリーゾーンはすべてとなる。#FinalFest pic.twitter.com/p3Lq1WbZl4— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) June 20, 2019
そのすべてを覚えているプレイヤーはそうそういないと思うので、今から思い出しておくことで、開始直後からスタートダッシュを切れるのではないだろうか。
扱えるブキや使用するギアを今の時点から準備しておく
1つ前の要素とも少し被るのだが、今回のフェスは72時間開催ということで、多くのステージが登場するはずだ。そもそもミステリーゾーンだけでも半端じゃない数である。
ファイナルフェスでミステリーゾーンが出現するスケジュールをお知らせする。
最初の48時間は、過去のフェスで使用されたミステリーゾーンが2時間ごとに2つずつ現れ、そして最後の24時間は新たなミステリーゾーンが登場するぞ。#FinalFest pic.twitter.com/MOT00Kvf6t— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) June 21, 2019
その中には、「自分の扱えるブキだと、このステージは厳しいかも……」という組み合わせも必ず存在するはず。不利なステージに無理に挑んで、結果惨敗でフェスパワーを大きく落としたり、フェスパワーを上げるために深夜に挑みたいけど、ブキとステージが上手く噛み合わないというのは、フェスの参加者なら経験したことがあるだろう。
72時間も開催されるのだから、自分の得意な時間帯だけ挑戦すればいいというのも間違いではないのだが、今の時点から少しでも引き出しを増やしておくことで、「今日は撃ち合いの調子がイマイチだから、相手陣地へ抜ける立ち回りのブキに変更しよう」など、当日のコンディションに合わせて柔軟に対応することもできる。
今回のフェスは準備期間が非常に長いので、やれることはやっておくといいだろう。僕もメインブキの「プライムシューターベッチュー」だけでなく、サブブキとしてL3リールガンやシャープマーカーネオも使えるように準備しておく予定だ。
イカがだろうか。今回はスプラトゥーン2を取り巻く対戦環境についての解説と、ファイナルフェスに向けての攻略をまとめてみた。プレイヤーとしてもライターとしても、これからのスプラトゥーン2の盛り上がりが非常に楽しみである。少しでもその発展に携われるのであれば光栄に思う。
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