鉄拳事件簿2018【上半期編】:プロライセンス選手とレッドブル・アスリート誕生!

まさかり仁

鉄拳シリーズは、通算で24年目に突入。販売数は「鉄拳7」は360万本、シリーズ累計で4,700万本。世界で一番売れている格闘ゲームだ。

鉄拳の歴史の中でかつてないほど多くの大規模大会や、イベントが開催された激動の2018年。この記事では、目まぐるしく様変わりしていくシーンや、さまざまな事件や出来事を振り返る。

2018年上半期は、ブレイクした鉄拳格ゲー女子たぬかな選手、ゆうゆう選手や、新制度のプロライセンス選手を中心にピックアップ。

EVO Japan 2018(1月27日、28日)

待望の日本初開催EVOということもあって、多くの強豪プレイヤーが世界中から集結。エントリーは個人戦で世界最多クラスの1,202人を記録。実際の当日参加者数は約7割程度となった。

[家庭用PS4「鉄拳7」大会結果]

  • 優勝:KNEE(韓国)
  • 準優勝:CHANEL(韓国)
  • 3位:GURA(韓国)
  • 4位:SAINT(韓国)

1月事件簿:レッドブル・アスリートたぬかな選手誕生!

本日よりレッドブルアスリートとなりました!今後ともよろしくお願いいたします!@redbulljapan pic.twitter.com/I542KjnEws

— CAG / RB / たぬかな (@kana_xiao) January 27, 2018

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1月27日の予選日にCYCLOPS OSAKA athlete gaming所属のたぬかな選手が、女性初のレッドブル・アスリートになったことが発表された(esportsとしては日本で3人目)。

(c)Jason Halayko / Red Bull Content Pool

デビュー戦となったこの日、1次POOLの突破が有力視されていたが、残念ながら大会序盤で体調不良から途中欠場。その後、会場から病院へ直行することになった。検査の結果、インフルエンザと判明。大事なデビュー戦だったが、欠場を判断した関係者に拍手を送りたい。

海外遠征時の人気がすさまじく、強くてかわいい女子プロゲーマーということもあり、写真撮影や握手の行列が発生。2時間待ちもザラだ。

闘会議2018(2月11日、12日)

2月11日、12日に幕張メッセで開催されたプロライセンス発行大会と賞金大会。「闘会議2018 鉄拳7~Break the world~」でタケ選手。、ノビ選手、破壊王選手、ペコス選手が勝利し、4名が日本初の鉄拳プロライセンス選手となった。

[家庭用 PS4「鉄拳7」大会結果]

  • 優勝:ノビ(日本)
  • 準優勝:タケ。(日本)
  • 3位:ペコス(日本)
  • 4位:破壊王(日本)

その後、プロライセンス選手4名による「闘会議2018 鉄拳7 Final ~Royal Championship~」が、賞金総額400万円を賭けて開催され、YAMASA所属のノビ選手が優勝した。

2月事件簿:YAMASAノビ選手が優勝インタビューでプロポーズ!

YAMASA所属のノビ選手は、2011年 WCG、2015年 EVO、公式世界大会を優勝と、シングル戦で三度も世界王者になった日本鉄拳シーンのカリスマ。また、鉄拳では数少ない専業のプロゲーマーである。

しかし、2015年以降、大規模なシングル大会の優勝からは遠ざかっていた。今大会で見事プロライセンス選手となり、念願の大規模シングル大会優勝を果たした。賞金200万円を獲得し、壇上の勝利者インタビューでは「彼女の親に挨拶しにいこうかと思います」と話し、会場で観戦していた彼女へのプロポーズとも受け取れるメッセージを送った。

鉄拳のesportsアスリートのトップランナーとして、これからも活躍が期待されている。

KELOTCUP5(3月17日)

3月17日にアミパラ岡山で開催された「KELOTCUP5」は、中四国に聖地を作るために始まった大会である。現在は鉄拳の3on3団体戦大会で日本一参加者が集まる程に成長し、過去最大の96チーム 288人が参加した。

[アーケード「鉄拳7FR」大会結果]

  • 優勝『ちぃむ 次は泣きません』 タケ。(一美)、バッツ(ファラン)、ノロマ(ジャック7)
  • 準優勝『MHW』 ピコハん(李)、くぅたん(リリ)、シャープ(ドラグノフ)

主催のTeam YMASA(ユウ選手、ノビ選手、タケ。選手)や、鉄拳開発チームのナカツプロデューサーや公式鉄拳女子部(ユウミィさん、キキワンさん、おくむらさん)が東京から参戦。また、回数を重ねるごとにYAMASAスタッフの気配りやサービス、大会運営の良さが口コミで広がり、地元の中四国のプレイヤーの他にも、九州、関西、東海、関東から参加者が集まっている。

3月事件簿:なんと6歳!鉄拳界期待の超新星あらわる

鉄拳のトーナメントプレイヤーとして、日本全国では最年少と思われる、地元中四国の6歳の「リュウガ選手」が登場。会場中のプレイヤーが応援した。メインキャラにキングを使い、空中コンボも決めることができるほどの実力を兼ね備えており、この大会で1勝した。

『鉄拳7FR』ケロット杯盛り上がってます!6歳の超新星「リュウガ」くん現る!負けはしたけど会場大盛り上がり。空中コンボもしっかりしてるし、今後に期待せざるをえない。#鉄拳7FR #KELOTCUP5 pic.twitter.com/Dh3n1O8aoD

— 池田幸平(ナカツ)@鉄拳 (@nkt_dreamer) March 17, 2018

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残念ながら1次予選で敗退し、その場で父親の元にかけ寄り号泣。ただ、それこそがゲームを強くなるために必要な、負けず嫌いな部分を持ち得ている証拠である。負けた相手からの握手を断って泣いた後に、彼が尊敬するノビ選手から、スポーツマンシップの礼節を教わっていたのは微笑ましかった。

昨日のケロットの雰囲気が体に染み付いてるー。息子は勝つ喜びと負けた悔しさをバネにまた強くなりたいって言ってたから、時間がある時に練習するか。あとノビさん応援した時に相手の選手を罵っててノビさんに怒られてたんで、そういう所も直させます。全部良い経験でした!次はシスターズも… pic.twitter.com/SbdrorCR3u

— タツヨシ (@holiday_in8897) March 18, 2018

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写真は、29歳差の対決に勝利したEVOJapan2018の委員長を務めたハメコ。選手(写真右)。彼も子供の頃からゲームの天才と呼ばれており、将来振り返ってみたら鉄拳新旧神童対決になるのかもしれない。

あと息子につきっきりでブドウ党のみんなと絡めなさすぎたなー。ブドウ党の皆さんもお疲れ様でした!こーちゃほど発狂はしないけど、また大会参加できれば応援がんばるし絡みます(^q^) pic.twitter.com/QYWAU0miHf

— タツヨシ (@holiday_in8897) March 18, 2018

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また、父親も同じトーナメントに別チームで参加しており、老若男女の誰でも参加できるesportsだから実現するシーンと言える。

「TEKKEN PRO CHAMPIONSHIPS」(3月24日)

3月24日にバンダイナムコエンターテインメント公式の賞金制トーナメント大会「TEKKEN PRO CHAMPIONSHIPS」が、プロライセンス選手8名で開催された。

[家庭用Steam「鉄拳7」 大会結果]

  • 優勝:ノロマ(長崎)賞金60万円
  • 準優勝;破壊王(大阪)賞金35万円
  • 3位:ノビ(東京)賞金15万円
  • 4位:AO(東京)賞金10万円

3月事件簿:ダブル選手の名言「いかちい」が選手PVで全国デビュー

ダブル選手の名言「いかちい」――このパワーワードが、「TEKKEN PRO CHAMPIONSHIPS」の選手PVで全国デビューした。2018年鉄拳流行語大賞があれば上位入選するワードで間違いないだろう。

おそらく、「いかつい」の言い回しと考えられる。出身の石川弁のイントネーションを交えつつ発せられる彼独特の言い回しがコミュニティ内にて好評で、「いかちくね?」「いかちいやろ」「いかちいっしょ」などが存在する。意味としては「ごつい」「すごい」になると考えられる。

ダブル選手は、石川県から鉄拳のプロを目指し上京。プロライセンス取得後は、「鉄プロTV」(出演者が鉄拳のプロライセンス選手を中心に配信されている生放送)に出演し、鉄拳に真面目で、面白く爽やかでありながら、おバカなキャラクターがファンを増やしている。

鉄拳プレイ歴は17年以上。小学生からランクマッチの最高段位付近まで上り詰めたことから、「天才小学生」や「北陸の神童」と呼ばれていた。

現在、かつてないほど鉄拳に打ち込んでいる。「家庭用Steam鉄拳7」のオンラインランクマッチで、「鉄拳修羅の国」と呼ばれる韓国の強豪プレイヤーを数多く倒し実力を高めている。多いときは、1日12時間以上プレイすることも。その照準はどこまでも高く「世界制覇」。だが、大規模大会で上位入賞は多いものの、優勝経験がないことから、プロライセンス選手の誰よりも貪欲に強さにひたむきである。

MASTERCUP TRY FUKUOKA(5月4日)

5月4日に福岡ファッションビル FFB HALLで開催された「MASTERCUP TRY FUKUOKA」は、プロライセンス発行大会。参加人数は100名を超え、シングル大会のダブルイリミネーション方式で行われた。コミュニティ大会から公式のプロライセンスが発行される初の試みとなる大会となり、九州で選手以外のesportsに興味のある観戦者も多く会場に足を運んだ。

[家庭用Steam「鉄拳7」大会結果]

  • 優勝:加齢(大阪)
  • 準優勝:刈(熊本)
  • 3位:ちりちり(福岡)
  • 4位:レジェンダー(大阪)

今回は日本の鉄拳シーン初の大規模大会でSteam版を使用。グランドファイナルは、地元九州出身でルーザーズで勝ち上がった刈選手と、数少ない関西勢で参加した加齢選手の対決となった。
刈選手がリセットをかけるも、加齢選手が意地を見せ勝利。9人目のプロライセンス選手となった。

5月事件簿:大阪のトッププレイヤー2人の友情秘話

高校生から親友だった、加齢選手と破壊王選手。2人は、水面下で第一線から退き、鉄拳を辞めるかもしれないとお互いに話していた。

加齢選手は社会人になり、破壊王選手も結婚し、子供が出来るタイミングだったのだ。そんなとき、破壊王選手は最後に自身を占う機会とばかりに挑んだ闘会議2018で見事プロライセンスを獲得し、鉄拳を続けることを決心。

鉄拳はじめて約10年。始めた時期もほぼ同じで地元まで同じという破壊王が転勤で広島へ。
最高の友人やし最強のライバル。そんなやつが応援してくれたしちゃんと鉄拳再開しよう。相応しい舞台であいつを倒すんや!
会えなくなるわけじゃないけど今までありがとう。 pic.twitter.com/MvgiRXNsAB

— 力口歯令(かれい) (@Karei_kazumi) March 29, 2018

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そして、破壊王選手は広島へ転勤。大阪に残された加齢選手は一念発起。プロライセンス発行大会である「MASTERCUP TRY FUKUOKA」へ挑んだ。その結果、今一番強いとされる九州勢を数々倒して優勝。送別会で破壊王選手と約束したプロライセンス選手になった。しかも、大会MVPをも獲得し、よしもとゲーミングからスポンサーを獲得。

盟友、破壊王と同じ舞台に立つ一念を強く抱き、強豪ひしめく九州勢を倒し、MASTERCUP TRY FUKUOKAでプロライセンスを獲得し、漢泣きを見せた大阪を引っ張る加齢はマジで格好良かった。俺もそんな熱さが大好きでもらい泣きしました。開催まで様々な苦労や時間がかかりましたが、報われました。良き。 pic.twitter.com/mxehTAWkXi

— まさかり仁 (@masakarijin) May 4, 2018

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勝利者インタビューでは、何度も破壊王選手の名前を連呼する加齢選手へ、実況のゲンヤからコメントを求められて、涙腺が崩壊し生放送中に号泣。破壊王選手へ思いの丈をあらわにした。

破壊王選手がLINEで応援のメッセージを多く届けていたこともあり、2人3脚の勝利ともいえる。これによって「鉄拳」は、泣けるほど打ち込め、友との友情を確かめ合えるゲームであることが証明された。

「TEKKEN PRO CHAMPIONSHIPS 3on3」(7月29日)

7月29日にバンダイナムコエンターテインメント公式の賞金制大会「TEKKEN PRO CHAMPIONSHIPS 3on3」が、プロライセンス選手9名による3チームで開催された。

[家庭用Steam「鉄拳7」大会結果]

  • 「チーム・ノロマ」 2勝0敗、チーム賞金90万円
    • ノロマ(ジャック7)
    • タケ。(一美)
    • ユウ(フェン)

7月事件簿:Ultimate TEKKEN BOWLでチームドラフト

「Ultimate TEKKEN BOWL」とは、「鉄拳7」のキャラクターたちを操作してボウリングをする人気ミニゲームモードだ。

チームのドラフトを行う際に選ばれる方法として、くじ引きで行われることが一般的。しかし、今回は公式大会にもかかわらず、チームリーダーによる「Ultimate TEKKEN BOWL」の1投でドラフトの優先権が決められるという前代未聞の企画。それを許してしまう「鉄拳7」の懐の深さがうかがえる。

「Ultimate TEKKEN BOWL」をノビ選手が初体験であったため、その下手さとリアクションで会場や視聴者を盛り上げた。このモードはキャラクターの個性によって性能差が色濃く出る。ノロマ選手のメインキャラであるジャックは、ピカイチのパワーとターゲット機能を兼ね備えており、その性能を充分に引き出すことで、2投連続でストライクを達成。自身が欲しい第一候補のTeam YAMASAの「ユウ選手」「タケ。選手」を獲得して優勝した。

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記者プロフィール
まさかり仁
バンダイナムコエンターテインメント「鉄拳」シリーズの世界最高峰5on5大会「MASTERCUP」主催者。無類の大会好きで、鉄拳&ソウルシリーズをこよなく愛する。自身も鉄拳歴24年のプレイヤーであり、メインキャラは風間仁。

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