現役高校生のぷよぷよプロ選手 マッキーの視点【前編】

WPJ編集部
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落ち物パズルゲームの金字塔「ぷよぷよ」シリーズ。同じ色のぷよを4つ以上つなげて消すというシンプルなルールながらも、次々と積み上げて連鎖を発動させる戦略性など、老若男女だれもが楽しめるゲームとして、長きにわたり愛されているタイトルだ。誕生から27年続く同シリーズだが、昨今では多くのesportsイベントの競技種目として採用され、新たな盛り上がりが生まれている。

2018年4月には、ジャパン・e スポーツ・プロライセンス認定タイトルとして、初のプロライセンス選手らが登場。さらに、2018年10月25日には、競技性に特化したシリーズ最新作「ぷよぷよeスポーツ」が発売されるなど、まさにパズルゲームを通じたesports体験として熱を帯びている。

本稿では、プロライセンスが発行された1人、現役高校生のマッキー選手に話を聞いた。長くつづく本シリーズには、“レジェンド”級の著名なトッププレイヤーはもちろん、10代の活躍が目覚ましい“新世代”と、幅広い年齢層がしのぎを削っているのが特徴だ。今回は、老舗パズルゲームのesportsシーンを、若手トッププレイヤーの視点から話を聞いた。

■マッキー

大阪府出身。高校生。両親のゲーム好きが影響で、3歳のころからRPGやアクションゲームに触れる。小学生のときに遊んだ「ぷよぷよ」にハマり、以降繰り返し遊んでは腕を磨く。一般プレイヤーのみが参加した2018年4月開催の「ぷよぷよカップ in セガフェス2018」優勝を機に、プロライセンスを取得。

Twitter:@genkyu68

【大会実績】

  • 第1回おいうリーグぷよぷよクロニクルS級リーグ4位
  • 第2回おいうリーグぷよぷよクロニクルS級リーグ2位
  • ぷよぷよカップ in セガフェス2018 優勝
  • ぷよぷよチャンピオンシップ 2018年度6月大会 優勝
  • ぷよぷよチャンピオンシップ 2018年度8月大会 3位
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連鎖の種を次々こなして腕を上げる

――:幼少期のころからゲームを遊んでいたマッキーさんですが、そもそも「ぷよぷよ」との出会いから教えてください。

マッキー:
最初に遊んだのは小学3年生のころです。タイトルは「ぷよぷよ!!- Puyopuyo 20th anniversary-」(以下、ぷよぷよ20th)(※)のニンテンドー3DS版です。ある日、僕より下の子たちがもっていて、8人対戦で遊んだことをきっかけにハマってしまいました。これは面白い、と。

中でも心奪われたのは、連鎖アニメーションの派手さですね。“ぷよぷよならでは”の魅力だと思いますが、各キャラクターで固有の掛け声や演出があるのですが、当時はそれ見たさに連鎖をがんばっていました(笑)。

ぷよぷよクロニクル 連鎖アニメーション(出所:チャンネル「S2LSOFTENER」より)

――:それまではパズルゲームで遊んだことはあったのですか。

マッキー:
いえ、まったくないですね。当時は「ポケットモンスター」「星のカービィ」など、RPGやアクションゲームが中心でしたので、そういう意味では初めてのパズルゲームでした。
 
 
――:初めてのパズルゲームがぷよぷよ、印象はいかがでしたか。

マッキー:
最初は連鎖方法すらわからなかったので、難しかったですね(笑)。ただ、ぷよぷよ20thには本当に数多くのモードが存在し、その中で連鎖を学べるモードがあるのですが、それを繰り返し遊んでいたことで徐々にコツを掴めるようになってきました。
 
 
――:間接的に連鎖を学べるモードでは、「ちびぷよフィーバー」(※)や「ちびぷよはっくつ」(※)でしょうか。

※ちびぷよフィーバー:普通のぷよぷよよりも小さいちびぷよで、無限に降ってくる連鎖の種をひたすら消して、大連鎖を目指すルール。

※ちびぷよはっくつ:普通のぷよぷよよりも小さいちびぷよで、おじゃまぷよに囲まれた星を、いち早く消すルールモード。星に辿り着くためには、大量のぷよを素早く巻き込んで連鎖しながら消していく必要がある。

マッキー:
はい、そうです。どちらのモードもあらかじめ連鎖の種が存在し、いかに早く理解して、連鎖部分を見つけて、行動に移すかが養われます。一見、大量にぷよが埋まっている状態ですが、連鎖がつながるように綺麗に積み上がっているため、ここから積み方の参考にもなります。
 
 

著名トッププレイヤーに試合を申し込む、小6の深夜

――:とはいえ、上達までの道のりは長かったのではないでしょうか。

マッキー:
えぇ、壁にぶつかることもありました。最初のほうは、今話したように各種ルールを何度も繰り返したり、上手い人の動画を見て参考にしたりと、練習していました。ただ、初めて挑戦した“階段積み(※)からの折り返し”が1ヵ月以上組めず、ここは本当に手間取りました。

階段積みや折り返しなどを解説した動画(出所:チャンネル「mickey」より)

※階段積み:同じ色を縦に並べて、いちばん上を1つ横にずらした基礎的な連鎖方法。“折り返し”とは、連鎖の種が端まで行ったときに、今度は上につなげて連鎖を作るテクニック。なお、下画像が一般的な階段積みの例となる。

階段積みの例:STEP1では、左2列目の赤ぷよを連鎖の起点とし、赤ぷよが消えたときに隣の緑ぷよ、青ぷよが消えるように配置。5列分を作ることができれば、STEP2として左端の赤ぷよを消すことで、縦4段目のぷよが左から順番に落ちて5連鎖が作れる。

階段積みの折り返し例:前述した階段積みを作成後、さらに連鎖がつながるよう白線で囲んだ部分のように、上へとぷよを積み上げていく。白線で囲まれた部分は5連鎖、階段積みの赤ぷよにつなげることで最大10連鎖に。

――:最初に階段積みを練習したのは。

マッキー:
初心者の登竜門として、よく用いられる積み方ですね。それに比較的簡単にできることが理由です。ただ、階段積みは簡単なのですが、そこから上へとつなげる折り返しが難関でした。10連鎖はもちろん、7連鎖以上の大きな連鎖を狙うためには、折り返しの技術は必須となります。
 
 
――:具体的にどのように実現できたのですか。

マッキー:
やはり動画を参考にしたり、繰り返し練習したりして、なんとかできるようになりました。なかでも上手い人のプレイを真似ることは重要です。そこからですね、あっという間に10連鎖くらい組めるようになったのは。折り返しの習得は、ステップアップのためには大きいです。
 
 
――:積み方の種類の理解、その応用方法。上級者との分かれ目は、そこが大きなターニングポイントになるのですね。

マッキー:
そうだと思います。その後は、ぷよぷよ20thをやり込みながらも、過去作のぷよぷよシリーズにも手を出して、まさに“ぷよぷよ漬け”の毎日を行っていました。


 
――:ただでさえ、ぷよぷよ漬けの毎日を送っていたとのことですが、本格的に「もっと極めたい」と思ったタイミングはありますか。

マッキー:
あります。小学6年生のときに、ぷよぷよ20thのネット対戦をやり始めたときでした。そこでくまちょむさん(※)のサイトに訪れて、深夜に無理を言って対戦を申し込み、ボロ負けしたのをきっかけに「この人たちと対等に渡り合いたい」と思い、本格的にやり込み始めましたね。

※くまちょむ:ぷよぷよプロプレイヤー。テレビ番組をはじめ、数々のメディアにも出演し、過去に開催された複数の大会で優勝を果たす実力者。公式ホームページでは、ぷよぷよ上達方法が掲載されている。
 
 
――:アクティブですね(笑)。そこまでに至ったのは。

マッキー:
やはりトッププレイヤーの方たちに対して、自分の腕前を試したいという、興味関心からでした。それに、すでにみなさんの動画をたくさん参考にさせてもらっていたので、憧れというのも強かったのかもしれません。
 
 
――:当時からそれ相応の腕前になっていたマッキーさんですが、大会参戦についてはいかがでしょうか。

マッキー:
中学1年生のころに、TSさんという方が主催したネット大会「U-18ぷよ最強決定戦決勝」に参加したのが最初です。結果は3位でしたが、準々決勝で同世代の中学生にボロ負けしたのが、本当に悔しかったのを今でも覚えていますね。

その後は、知っている強い人たちがたくさん参加している「おいうリーグ」(プレイヤー主催のネット大会)に参加し、あとはセガさん主催の「ぷよぷよカップ」に参加し、現在に至る感じです。
 
 
――:2018年4月開催の「ぷよぷよカップ in セガフェス2018」に優勝されたことで、見事、プロライセンスの称号を獲得しました。なにか心境の変化はありましたか。

マッキー:
まだあまり実感はないですが、つねに大会や試合のことは意識するようになりました。


 
――:普段の練習についてはいかがですか。

マッキー:
それこそ昔は、ぷよぷよの練習といえば “生活の一部”でしたね。学校から帰ってきては、すぐにネットのランダム対戦に挑戦し、何度も勝ったり、負けたりの繰り返しで腕を磨いていきました。中学校に入ってからは、もうほとんどぷよぷよ以外はやらなくなりましたね。

高校生になった現在はPS4版「ぷよぷよテトリス」とニンテンドー3DS版「ぷよぷよクロニクル」を同時進行でやりながら、相も変わらずネット対戦を繰り返して練習しています。
 


 
小学校、中学校、そして高校……青春時代をぷよぷよに費やしてきたマッキー選手は、今やプロライセンスを取得するまでの全国随一の若手トッププレイヤーとなった。後編では、具体的なぷよぷよのテクニック方法、そして彼がこのゲームをつづける理由、東京ゲームショウの大会に関して語ってもらった。

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写真・大塚まり

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