昼夜逆転で成長するLoL日本トップランナーEviとCeros勝利のロジック【前編】

WPJ編集部

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世界中のファンが注目し、熱狂した「League of Legends(以下、LoL)」の世界大会「2018 World Championship(以下、WCS)」。

今年のWCSを語る上で、日本のLoLファンの記憶に強く残ったのは、日本のチームとしては初となるプレイインノックアウト進出を成し遂げた「DetonatioN FocusMe(以下、DFM)」の姿ではないだろうか。

そこで今回は、DFMのメンバーから、Evi選手、Ceros選手にインタビューを実施した。

我々が、取材現場であるゲーミングハウスに到着した時点では、Evi選手がまだ寝ていたという予想もしてなかった幕開けとなったが、いざ話を聞き始めると、2人の見据える未来や過去の苦悩を、凛とした受け答えで明かしてくれた。

日本初WCSプレイインノックアウト進出を振り返る

――まずはやっぱりWCSのプレイイン(※)を戦い抜き、プレイインノックアウトまで進んだ快挙についてお聞きしたいです。これまでを振り返ると感慨深いものがあるのではないですか?

Evi:
僕は辛いことが多かったです。

日々、練習を重ねる中で、周りと自分の考えているビジョンが合わないと感じることがあって、ストレスがたまる気がして。

その分、プレイインで勝てたのはうれしかったです。

Ceros:
周りの期待と自分たちが残してきた結果の差はずっと感じていて、応援してくれるファンの人たちのことを考えると不甲斐ないと思っていました。

※プレイイン:WCSは、プレイインステージ→グループステージ→ノックアウトステージと進行していく。今回、DFMはプレイインの決勝ラウンド(プレイインノックアウト)まで進んだ。

――今回のWCSを終えて、ファンの方からのメッセージはどうでしたか?

Ceros:
基本的にポジティブな声をいただけるというのはあるんですけど、何よりも見てくれている人が多かった印象が強いです。

LJLと比べると、WCSは倍近い数の人が配信を視聴していました。esportsの大会として話題にもなっていたので、LoLのことを知らない人も観てくれたでしょうし、裾野が広がっているのを感じます。

ファン層が広がっていくのはすごくいいことなのは間違いないですので。

――それだけ注目を集める舞台で戦ったわけですけど、普段と同じように戦えました?

Ceros:
どうだった?

Evi:
戦っている最中は集中しているので、何か変わったと思うところはなかったです。

ただ、大会が終わった後に「感動して泣いた」というメッセージをたくさんいただいて、それがどれも本気でそうなんだろうなって思わせるものばかりで。そういった声を見たり聞いたりすると、「あ、俺たちすごいことやったんだな。」って実感しました。

――WCSで特に感じたんですけど、LoLのプレイヤーだったり視聴者って増えている感覚ないですか?

Ceros:
めちゃくちゃありますよ。日本サーバーの人口があきらかに増えています。

Evi:
ランク戦をやっていると、強い人が増えているのは思います。

年々、ちょっとずつ全体的に強くなっている感じはありますし、「こいつうまいな。」って思う人も多くなった気がします。今年はこれまでで1番多かったです。

Ceros:
そんなにいた?

Evi:
いたいた! 「こいつわかってんな。」っていう動きする人が多かった。

――esportsシーンを抜きにしても、LoLというゲームそのものの人気が高まっている感じがしますね。

Evi:
注目が集まっているという意味では、僕のTwitterのフォロワーが増える一方なのも証拠としてありますね。1年前の11月は15,000人くらいだったのが、今は25,000人。10,000人も増えています。

Ceros:
Evi君は去年の12月にDFMに入ったから、DFMのファンの人がフォローしたのもあるんじゃない?

国際戦に出場すると、フォロワー数が1,000~2,000人くらい一気に伸びるのはあるあるですね。

Evi:
そう! WCSで勝った日なんか、1日でたしか3,000人近く増えましたね。

Ceros:
ゲームではなくてスポーツでも、普段は興味がないけどオリンピックだったり、サッカーワールドカップだったりで日本代表が国際大会で戦うとなると応援するじゃないですか? こういった機会で注目していただけるのは良いことだと思いますよ。

海外チームの背中は見えた

――海外のチームとの差を感じた部分はありますか?

Ceros:
説明が難しいんですけど、やっぱり今年のLoLのパッチが、かなり個性が出やすいものだったんですね。

ピックされたチャンピオンの種類も、いちばん幅広くて、チームごとの特性がかなり現れていたシーズンだった印象です。その中で、僕たちも自分たちの個性を意識していました。

――Finalの会場では、かなり大掛かりな演出で試合を盛り上げていましたね。

Ceros:
年に一度のお祭りみたいなものですもんね。

Evi:
オープニングセレモニーすごいっすよね! あれ大好きなんですよ。

――いつかはあの舞台に立つんじゃ?

Ceros:
そうですね、いずれは(笑)。

Final進出はかなり難しいことだとは思いますけど、まずは決勝トーナメントを目標にやっていきたいですね。

正直なところ、今回プレイインノックアウトで敗れていますけど、遥か遠いところにある目標だとは思ってなくて、自信はあると言えばあります。

やっぱり1回でも勝つことを経験しちゃうと、また勝ちたいと思いますし、来年は今年以上の結果をださなきゃいけない。

Evi:
結局は勝つことが目的だし、勝つために何が必要なのかを考えてやっていく中で、その限界がきたところが結果になると思っています。

今回のWCSと同じように、勝つことだけを考えてやっていきたいです。

――勝つために必要なこととは例えばなに?

Evi:
うーん、例えば対戦相手が決まったとすれば、そこに勝つためにはどういう戦い方がいいのかを考えます。

そして、その戦い方をするためには、自分には何が足りないかを見つける。状況によって何が必要になるかは変わってきます。

Ceros:
一言で表現するのは難しいですね。

Evi:
勝つという目的に向けて、段階的に積み重ねていくので、特にこれっていうものはないですね。


つい昨日のことのように、WCSの思い出を話し、すぐ近くに迫ったことのように来シーズンへの姿勢を語るEvi選手、Ceros選手。

後編では、彼らが日本屈指の強さを誇る秘密に迫る。起きてからしばらく経ったEvi選手の頭も冴えてきたようで、プロゲーマーとして活躍するための彼なりの行動原理を聞かせてくれた。

写真・大塚まり

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「ゲームプレイに対する肯定を」「ゲーム観戦に熱狂を」「ゲームに、もっと市民権を」
このゲームを続けてよかった!と本気で思う人が一人でも多く生まれるように。
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本気で毎日そのことを考えている会社の編集部。

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