【水谷隼×けんつめし対談】チームが優勝するだけじゃだめなんですか?(後編)

Mako(WPJ編集部)

【この記事は約7分で読めます】

■前編
【水谷隼×けんつめし対談】卓球もクラロワみたいですよね?(前編)

■中編
【水谷隼×けんつめし対談】クラロワがなくなったらどうする?(中編)

もしも水谷隼がYouTubeを始めたら

けんつめし:
クラロワのプロ選手たちはほとんどがYouTuberとしても活動しているんですけど、これは卓球の選手と大きく違うところですよね。

ゲームというものが動画とすごく相性が良くて、スポーツとeスポーツの違う点なのかなと。

水谷:
YouTubeはすごくいいですよね。

いろいろなクラロワの選手がYouTubeをやっていて、存在を身近に感じることができる。だからクラロワリーグを見ていると感情が入りますし、海外のチームと試合していたら、やっぱり日本のチームを応援したいという気持ちになります。

けんつめし:
もし、水谷選手がYouTubeで卓球の動画を出すとしたら、どういう動画を出しますか?

水谷:
やっぱり自分にしかできないことをやりますね。周りとの差をつけるためにも、まずはそこから着手するのがいいでしょう。

例えば、練習内容など今まで非公開にしてたことをオープンにする。これまでにもテレビの取材で練習風景が映ることはありましたけど、具体的に1つずつ説明したことはいっさいないので、どういう練習を何時間して強くなってきたというのを、1つ1つ詳しく説明するのはみんなが興味示すんじゃないかな。

こうやっているから強くなれるんだっていうところから興味を持たせたいなと思います。

あと、視聴回数を第一に考えるのであれば、真面目な内容ではなく面白系の動画ですよね。

卓球の動画を見ていて受けが良いのが、トリックショットみたいな魅せるプレイで、卓球をやっている人だけでなくて、一般の人からの受けがものすごくいいみたいなんですよ。

卓球選手からしたら普通のことだけど、一般の人からしたらすごいと思えることをガンガン出していって、視聴者をどんどん引っ張ってきたいですね。

けんつめし:
水谷選手の練習内容は、卓球をやってる人からすると絶対に見たいものだと思います!

僕たちの動画でも指導系が人気なんですよね。

水谷:
僕が見たいと思うのは、グランドチャレンジを0から12勝までやる動画。

9勝したところくらいから始めている動画が多いんですけど、僕がグラチャレをやると大体6勝くらいで終わってしまうんですよ。その辺を突破するところを見てみたいですね。

どれだけ再生されるかはわからないですけど。

けんつめし:
親近感というか、自分と比べることができるの動画がいいんですかね。

水谷:
プロの選手はもう上のレベルにいきすぎちゃってるじゃないですか。

視聴者の中には初級者から中級者も多いと思うので、グラチャレの0から6勝くらいを圧勝してるところを動画に残すのも、プロの凄さがわかって見てみたくなるかもしれないです。

けんつめし:
世界の頂点まで上り詰めれば、試合を流すだけで需要があるんですよね。

自分はそういったところまでいきたいなって思ってます。誰もが憧れる存在になりたい。

水谷:
JACKさんなんかそうでしたよね。無言で動画を流してました。

けんつめし:
彼は解説するのがめんどくさいっていう性格なのもあると思うんですけど、それでも全世界の人が見ています。

上手すぎて芸術鑑賞みたいになるんですよね。僕もそうなれるように頑張っていこうと思います。

水谷:
見てるだけでも、ちょっとクラロワをやってる人なら上手すぎるって感動しますからね。

けんつめし:
あとは、キャラクターを確立していくということも大事かなと。クラロワのYouTuberたちはそれぞれ独自の挨拶があったりして、覚えてもらいやすいと思います。

水谷選手はメディアの前に出る機会が多いと思うのですが、視聴者や読者からの見え方、立ち振舞で意識していることはありますか?

水谷:
思っていることと違うことを言うのは多々ありますね。それこそ、視聴者受けを考えたり。

ディレクターさんや視聴者さんが期待してるだろうなっていうことを考えて、それに寄せちゃいますね。

けんつめし:
そうなんですか!?

水谷:
テレビではそういう風にして、卓球雑誌の取材だったらもっと本当の自分の出していくとか。

適当に発言するとまではいかないですけど、その場で求められているだろうことをやるというのはありますね。

けんつめし:
これは勉強になります……。

これからeスポーツがニュースとかで取り上げられて、ゲームを知らない人が見る機会も増えると思うんですよ。そういうときにどういう言葉を伝えていけば次に進めるかってことは考えないといけないですね。

水谷:
ギャップというか二面性を持っててもいいと思うんですよね。

例えばクラロワリーグのときはこういう自分、YouTubeのときはこういう自分、というように。そういうギャップがあると見てる方は面白い。

けんつめし:
なるほど。YouTubeの方は楽しくやってるので、自分は割とやれている方かなと思います。

プロの競技性を期待している層と単純にゲームを楽しみたい層がいるので、それぞれに合わせた活動は意識しているところです。

クラロワリーグとTリーグ お互いに優勝を誓う

水谷:
やっぱり、けんつにはなによりもクラロワリーグで優勝してほしい。そして、世界大会で頂点に立ってほしい。そのための努力ももちろんしてほしいし。

シーズン2はどうなりそう?

けんつめし:
シーズン1が終わってから2ヵ月ほどオフシーズンがあるんですけど、そこが一番練習する時期なんですね。シーズン1で他のチームの力量はわかってきたので、自分たちは何が足りないのかをすごく考えて練習しています。

特に自分が所属してるFAV gamingは4人構成なんですけど、そのうち2名は今年から新規加入した選手なんです。チームの半分以上が新戦力となると難しいところがあって、シーズン1では学びがあったので、この2ヵ月で全チームを追い抜くくらいの練習はしているつもりです。

そういうところを厳しく言ってチームを引っ張っていくのは自分だなと。その意識はしっかり持っていて、練習量もかなり増えています。

なので、シーズン2は本当に楽しみですね。

水谷:
あ、あとチームとして優勝するのもそうだし、個人の成績もトップになるべき。それこそが一番のチームメイトにとっての刺激になると思うから。

強くないとやっぱり発言に信憑性がないから、個人でも活躍してほしい。

けんつめし:
そう言っていただけると、本当に燃えてきます。

練習次第でどこのチームよりも弱くなるし強くもなれるっていう状態だと思うので、本当にがむしゃらにやってやろう。

ちなみに、自分が結果を出さないといけないというのは、これまでの実体験からたどり着いた考えですか?

水谷:
そうですね、自分自身そう思っているから、他の選手もみんな同じことを思ってるんじゃないかと。

成績が良ければその人を認めざるを得なくなるので、発言に影響力が出てくる。強くなるに越したことはないですよ。

けんつめし:
水谷選手もTリーグで優勝してほしいです。

水谷:
前回のTリーグも優勝できたから、2連覇できるように頑張りたいですね。

今のチームは本当に強いと言われているんですよ。2020年の東京オリンピックに出られるであろう3人が同じチームで、圧倒的な優勝候補と言われているので、その期待に応えなきゃいけない。

でも他のチームには海外の強い選手が所属していて、そんなに簡単なことではないんです。それでも、スマートに当たり前のように優勝するのが使命かなとは思ってます。

けんつめし:
全日本選手権で10回優勝されてると思うのですが、やっぱりトップであり続けるのって大変ですか?

水谷:
全日本選手権は、5連覇と4連覇を経験しているけど、連覇の辛さはありましたね。

連覇って重ねれば重ねるほど、重みが増してきて、その重圧から逃れたくなってしまうんです。2連覇と5連覇では重みが違うんですよ。5連覇で終わってしまったら、次にその記録を超えるチャンスは5年後になってしまう。

それこそオリンピックなんて4年に1回しかないないので、負けてしまったら次に挑戦できるのはどうあがいても4年後。

いかに勝てるチャンスをものにするかはすごく大事なこと。このことは常に考えて練習や試合に臨んでほしいな。

けんつめし:
ありがとうございます。僕らもプロリーグが来年もあるなんて確証はないので、目の前にあるものを掴むだけです。

写真・大塚まり

【あわせて読みたい関連記事】

【水谷隼×けんつめし対談】クラロワがなくなったらどうする?(中編)

14歳でプロの世界に足を踏み入れた水谷隼選手。対するけんつめし選手はプロ2年目。「プロ」になることが意味するのは、もう後戻りできないということだという。

記者プロフィール
Mako(WPJ編集部)
スマホゲームの攻略サイト、情報メディアを渡り歩いてウェルプレイドジャーナルに流れ着いた超絶新進気鋭の若手編集者。イベント取材では物販やコスプレイヤーに釘付けになりがち。

関連記事

注目記事

新着記事