「自然と涙が出た」AXIZのRumoiはシャドバで勝利しても悔し涙を流す

キズグチアロエ

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Shadowverse(以下、シャドバ)では、4名の選手が登録されたプロチームによるリーグ戦「RAGE Shadowverse Pro League」(以下、プロリーグ)が2018年5月から現在まで開催されており、2019年10月からは新チーム「福岡ソフトバンクホークス ゲーミング」を加えた8チームが激突する。

このプロリーグの前シーズンである「RAGE Shadowverse Pro League 19-20 ファーストシーズン」では、初参入にも関わらずプレイオフまで勝率100%という結果を残した、チームAXIZのRumoiという選手が存在する。

本稿では、Rumoi選手に聞いた知られざるプロまでの道のりや、シャドバの真の面白さについて紹介する。

勝利するも不甲斐なさで涙を流す

――プロリーグの前シーズンでは、AXIZは惜しくも2位という結果に終わりました。Rumoi選手にとっては初のプロリーグでしたが、かなりの好成績だったのではないでしょうか?

Rumoi:
正直、調子が良すぎましたね(笑)。

僕がプロリーグに参入したときは知名度が低くて、AXIZのファンには不安な思いをさせていたかもしれないので、結果を残せて安心しています。ただ、プロ入りする前もプロリーグは見ていて、勝てる自信はありました。

同タイミングでAXIZに加入したCHINO選手もかなり勝率が良くて、僕らの勝利で拾えた勝ち星もあったので、本当によかったです。

――AXIZの新星であるRumoi選手とCHINO選手にはかなり注目が集まっていました。そんな中で戦ってきたわけですが、緊張はしませんでしたか?

Rumoi:
ほとんど緊張はしなかったですね。シャドバ以外にプレイしているFPSタイトルやMOBAタイトルだと、瞬時の判断が必要なので緊張してしまいますが、シャドバはじっくりと考える時間があるのであまり緊張しませんね。シャドバの腕には自信があるというのも、緊張しない1つの要因だと思います。

――Rumoi選手の実績を確認したところ、2Pickの大会しか記載されていませんでした。なぜ、プロリーグでは2Pickではなく構築を担当しているんでしょうか?

Rumoi:
実は、唯一の実績である2Pickの大会「JCG Shadowverse Open 8th Season Vol.27 2Pick」で優勝できたのは本当にたまたまなんです。なんとなく出場してみたら、どのカードが強いのかもよくわからないまま優勝してしまいました(笑)。

ただ、構築ではレベルの高い非公式大会で何度も上位にランクインしていたり、年に4度実施されるRAGE Shadowverseで何度もDay2に進出したりと、優勝などの実績はないですが平均して結果を残せています。ですので、プロリーグでも構築を担当しています。

――Rumoi選手と言えば、プロリーグで勝ったにも関わらず涙を流したシーンが印象的です。あの涙には、どんな理由があったのでしょうか?

Rumoi:
あれは悔し涙でもあるのですが、僕自身に対する不甲斐なさへの涙でした。

少しでも減らすべきではありますが、ケアレスミスによるプレイングミスは仕方ないと思います。でも、その後にライフを1回復する「リペアモード」を使用すべきシーンで、使う判断ができなくて勝率をガクッと下げてしまいました。ケアレスミスがきっかけで、このようなミスをしてしまうのかと心にきて、自然と涙がこみ上げてきてしまいました。

結果的には勝てたのですが、勝てたからと言ってミスを許してしまうと次の試合に影響が出るので、今後は明らかなミスを絶対しないように心がけます。

――そんな理由があったんですね。ケアレスミスをなくす以外に、前回のシーズンを終えて何か課題は見つかりましたか?

Rumoi:
チームの課題だと、構築組の3人は突飛な作戦を考えなくてもできることをしていれば勝てるという考え方で戦っていたので、優勝が決まる決勝戦ではよしもとLibalentに使用デッキを読まれて負けてしまいました。

次のシーズンからは登録選手が全員出場するルールに変更されていますし、デッキ選択をどうするかが次の課題ですね。ただ、構築組のCHINO選手とGEMO選手のことをすごく信頼しているので、全員出場のルールはAXIZに有利になると考えています。

個人としては、プロリーグはこの調子で勝ち続けて、RAGEなどの大会で実績を残したいです!

――プロリーグの対戦ルールがBO3からBO1になるという点も、大きな変更点だと考えています。これについてどう考えていますか?

Rumoi:
僕らとしては別に問題ないのですが、プロの登竜門のような存在であるRAGE ShadowverseではBO3で競うのにそこで活躍をしてプロ入りをしたらBO1で戦うことになるので少し違和感を覚えていますね。

BO3で勝てる選手がプロ入りしてもBO1だと全然違う戦い方になるので、ちぐはぐしてると思います。

――戦い方にはどんな変化がありますか?

Rumoi:
5つのデッキを登録して戦うんですけど、使用するデッキを読まれるのが何よりも怖いんですよね。作為的にデッキを選択すると読まれてしまうと思うので、無作為にデッキを選ぶ必要があるのかなと考えています。

おそらく、次のシーズンの1週目はどこのチームも手探り状態だと思うので、2週目からはデッキ選択の分析をして勝ちにつなげたいと思います。

――次のシーズンの個人目標と、チーム目標を教えてください。

Rumoi:
前シーズンの勝率100%は、試合数が少なかったから出た数字でもあると考えてます。次シーズンからは試合数が多くなるので、そこでも勝率上位を目指したいと思います。

あと、これまでは手札に恵まれている試合が多かったので、できれば避けたいことではありますが、手札に恵まれていなくても勝てるということを証明していきたいです。

そして、次こそはチーム優勝を成し遂げたいです。全勝を目指して戦い、しっかりアドバンテージを確保した状態で決勝戦を迎えたいですね。

「Rumoi」の名前は愛犬から

――プロリーグの公式サイトで掲載されているRumoi選手の「趣味・特技」欄には、シャドバとだけ書かれていました。これ以外の趣味は本当にないんでしょうか?

Rumoi:
実は公式サイトに掲載されると思っていなくて、適当に書いてしまったんです(笑)。

もちろんシャドバが大好きであることに変わりはないんですが、僕はゲーム全般が好きですね。FPS、MOBA、そしてポケモンなどいろんなタイトルをプレイしています。ちなみに好きなポケモンは、アローラ地方のロコンです!

――MOBAだと、AXIZにはLeague of Legends(以下、LoL)部門もありますよね。

Rumoi:
そうですね! LoLプロリーグの会場にも足を運んで観戦するぐらいMOBAも好きなんですよ。FPSタイトルだとPUBGも好きで、たまに遊んでます。

ただ、あまり上手くはないのでシャドバ以外は観戦がメインです(笑)。

――根っからのゲーマーなんですね。あと、レモンが大好物とお聞きしました。

Rumoi:
あーもう大好きですね。RAGE関連のインタビュー動画ではレモンの丸かじりをしていたんですが、実は丸かじりはそこまで好きではなくて、一番好きなのはレモンを絞って炭酸水と混ぜて飲むことなんですよ。

動画で無理やり丸かじりしたわけではないんですが、レモン好きな人で丸かじりが一番好きだと聞いたことはないですね。丸かじり派がいるのかどうかが気になります……。

レモン以外にも刺激物が好きなので、辛いものもよく食べますね。

――シャドバでも運要素が絡むような、刺激のあるカードが好きなんでしょうか?

Rumoi:
いえ、シャドバでは真逆ですね。もし運要素が強いカードでも強ければ使うかもしれませんが、基本的に運が絡むカードは再現性がないんですよね。

ですので、何度使っても本当にそのカードが強いのかどうか判断しにくいです。そういうカードは、僕の中で調整がめんどくさいカード群に分類されます(笑)。

――Rumoi選手が飼っている犬の名前は「るもい」ちゃんだとお聞きしました。

Rumoi:
なんでRumoiと同じ名前なのか、不思議に思いますよね(笑)。

なぜかと言うと、僕が大会などでプレイヤーネームを記入するときに名前を考えるのが面倒だったので、愛犬のるもいちゃんの名前をそのまま使用しました。その名前で実績を残してしまったので、もう変えられなくなりました。

――まさか、選手名を愛犬の名前からとっているとは思いませんでした。るもいちゃんの名前は、Rumoi選手が名づけたんですか?

Rumoi:
いえ、母親です(笑)。

母親がるもいちゃんに、北海道の留萌市からとった「るもい」という名前をつけて、そのるもいちゃんから僕が「Rumoi」という名前をもらいました。

――家ではるもいちゃんに癒されているそうですが、プロリーグの会場にるもいちゃんを連れていけたとしたら、勝率は上がるんじゃないでしょうか?

Rumoi:
暴れて大変なことになるので、たぶん負けてしまうかな(笑)。

AXIZは1つのプレイに対して喧嘩が勃発!?

――Rumoi選手にとって、AXIZとはどんなチームなんでしょうか?

Rumoi:
ひと言で表すなら、割と不仲なチームでしょうか(笑)。

AXIZの構築組は、1つのプレイについて議論が白熱してすぐ喧嘩のようになってしまうんですよ。このやり取りをAXIZのチーム配信で視聴者の前でしてしまうので、「こいつら仲悪すぎ」というコメントをよくもらいます。

でも、中途半端に妥協して決めてしまうよりはいいと思うので、お互いを高め合えるいい環境に身を置けていると思います。

――最終的には、誰の意見を尊重することが多いですか?

Rumoi:
話すだけではまとまらないことがほとんどなので、実際に対戦して結果で分からせたりとか、そのデッキでどれだけの勝率があるかなどを証明して、やっと収束します。

これまでは、プロリーグで実際に戦う人の意見を基本的に尊重してきました。

――なるほど。次のシーズンからはルールが変わり登録メンバー全員が出場することになるので、今後は意見をまとめるのがさらに大変になるのではないでしょうか?

Rumoi:
新たな課題が見つかりましたね。なんとか話し合って決めたいと思います(笑)。

――Rumoi選手は、チームメンバーからどんな存在だと思われていると考えていますか?

Rumoi:
他のメンバーも大して変わらないのですが、僕は話がまとまらないとすぐに対戦しようとするので狂犬かな(笑)。

メンバー全員がこれまで積み上げてきた理論を簡単に引っ込めなくて、それぞれが信念を持って意見を出しているんですよね。だからこそ、なかなかまとまらないですし、お互いに意見を出し合う価値があるのかなとも考えています。

でも、勝利するために同じ方向を見られているのは確信しているので、AXIZはどんどん強いチームになっていきますよ!


プロ入りをしてすぐにも関わらず、他のチームにまったく引けを取らないRumoi選手。

彼のその強さは、勝利したにも関わらず涙を流すほどシャドバに力を入れている真剣さによって生まれているのではないだろうか。

後編では、Rumoi選手にシャドバの本当の面白さについて語ってもらった。

写真・BUN

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記者プロフィール
キズグチアロエ
「#コンパス」にどっぷりハマり、「#コンパス」に人生を捧げると決めた、傷口だらけのアロエ。
「#コンパス」に携わるクリエイターたちと、仲良くなりたいフリーライター。
どんなヒーローでもそこそこ扱え、特定のヒーローというよりもヒーロー全員が好き。

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