liveが上野BPTを開く理由――ぷよぷよは世代交代の過渡期にある

Mako(WPJ編集部)

【この記事は約7分で読めます】

■前編記事

ぷよぷよ界隈の中心的存在liveに聞くぷよらーの歴史

大会ルールとプレイヤーのニーズはマッチしてる?

――2019年4月から、上野のBuzz e-Sportsスタジオで対戦会「上野BPT」を始められました。半年以上続けてみた所感はいかがですか?

live:
もともとはプロのプレイヤーたちの間でオフラインの対戦の場を設けたいという声があったので、ガチ勢同士が練習する場としてやろうと思ったんですけど、蓋を開けてみるといろいろな人が来るんじゃないかと。

なので、せっかくやるならいろんな人が来てくださいという風にしてみたら、ガッツリやりたい人よりも、初心者の人とかeスポーツ関係者とか、いろんなジャンルの人が来るようになって、これはコンセプト変えたほうがいいなという風に思ったんです。

せっかく集まってくれる場が提供できているならば、交流がメインの場にした方がいいかなっていうことで、教え合ったりとか、談笑しながらぷよぷよ以外のこともやったりだとか、柔軟性を持たせた場にしてあるという感じですね。

なので、ガチ勢がオフラインでずっと練習できる場というのはまだ提供できてないんですよ。格ゲーだとオフラインで何時間も練習するじゃないですか? そういうところまでは、まだたどり着けていないですね。

今後、ぷよぷよが浸透して成長していくことを考えた上では、なにかしら提供できるようになった方がいいんじゃないかと思いつつ、プレイヤーの意識も育っていかないとおそらく実現できないので。

――ぷよぷよは、いきいき茨城ゆめ国体などの大会で採用されることが多い印象です。こういった大会では少ないWIN数で勝敗を争うことになるのが大半ですが、一方でぷよぷよは50本先取などで競い合ってきた歴史があります。

live:
結局、1日でトーナメントをやるという前提では短くせざるを得ないというのが現状で、プレイヤー側もそこはもちろん理解してますし、それはそれで少ない本数での強さが試される新しいジャンルだと受け入れているところも大きいですよ。

特に大きな不満があるかというとそうでもないのですが、それとは別にコミュニティーが育ってきた土台が50先や30先でリーグ戦をやって強いやつが誰なんだと白黒はっきりつけたいというところが原動力だったと思うんです。

なので、できることなら公式でリーグ戦だとか、30本先取でも10本先取でも、ある程度長めの本数でやるというのは個人的には盛り上がるんじゃないかなと。コミュニティーがそれで育ってきたからこそ、そういう目線を向けてもいいような気がします。

有志でオンラインプロリーグみたいなものをやってはいるので、そういうのを踏襲しながら、公式のイベントにつなげていければより盛り上がっていくんじゃないかと思いますね。

問題は、現実的にどのくらい実現できるかというところですね。オフラインでやるなら場所が必要だし、オンラインでやるにしても「ぷよぷよeスポーツ」には観戦機能がないから厳しいといった課題があります。

ネックになっているところがいろいろあって、そこが解決しないと進まないという段階ですが、逆に言うと課題がわかっている状況でもあります。それがクリアになっていけばことが進んでいくという状況で、いろんな人が解決に向けて取り組んでいかなければいけないなと思いますね。

ぷよぷよというタイトルは、企業さんとかが使いやすいんですよね。知名度とイメージが良くて、それでいて許諾も結構出してくれるので、サードパーティーが選択しやすいタイトルの1つだというのは日本でポジショニングされていて、そこが強み。

せっかくだから上手く活かして、プロ選手が呼ばれる場をたくさん作ってお仕事につながっていけばエコシステムができるんじゃないですかね。

界隈が盛り上がるのは世代交代が起こる今

――解説で呼ばれる機会も多く、他の選手を見る機会が多いと思うのですが、今注目の選手はずばり誰でしょうか?

live:
界隈がどういうときが一番盛り上がるかというと、世代交代が起こるときなんですよね。こいつなら全一狙えるんじゃね? みたいな若手が出てきたときが、やっぱり盛り上がると思ってて、それが訪れる周期がだいたい7年に1回くらいなんです。

で、その周期がちょうど今のプロ化の波に合ってるんですよね。

momokenがずっと全1だったところに対して、こいつなら覆してくれるんじゃないかという希望を持たせてくれたマッキー君が現れたんです。そして、マッキー君が高みを目指してがんばるというところに惹かれているプレイヤーがたくさんいますし、ライバルが集まってくるんです。

そういう意味でいうと、マッキー君に追随している、metaくんやともくん、レインくんといった若手が、次の世代を担うレベルの実力を持ちながら、どういうキャラクターに成長していくのかはすごく期待してますね。

プレイヤーって実力だけではないじゃないですか。キャラクター性だとか、すごいエピソードがあるだとか、そういうところをひっくるめてファンが付くわけで、トータルで魅力的なプレイヤーになってくれればいいなって思いますね。

そういう意味合いだと、国体のマッキー対ぴぽにあがめちゃくちゃよかったんですよ。

マッキー君はぴぽにあを倒したくてすごく強い状態になれたみたいなことを言ってましたし、ぴぽにあは優勝するためにがんばってきたからこそ、負けて泣いてしまう。それほど努力をしてきたというところが、見ててグッとくるじゃないですか。

そういう背景を知っていればより面白いし、知らなくてもそれくらいの努力をしてきたんだなって想像ができるので、そういった人として部分が露出していくとファンも付きやすいんじゃないかなと思いますよね。

――海外のプレイヤーではいかがですか? そもそも、ぷよぷよって海外のシーンはどうなんですか?

live:
一応、韓国や台湾などのアジア圏にプレイヤーはいますし、アメリカにPuyo Nexus、ヨーロッパにPuyoGBというコミュニティーもあるんですけど、どこも日本人に全然追いついていない状態です。韓国が多少戦えるかなというレベルです。

海外に波及させるためにはまだまだ課題がありそうかなという感じですね。

実力的にめちゃくちゃ強いプレイヤーが海外から現れてくれるだけでだいぶ楽なんですが……。

ちょうどフランスのコミュニティーの方が世界ランキングを作ってくれたんですけど、200位くらいまでほとんど日本人ですよ。僕が海外の大会に行くこともありますが、周りからはどうせ優勝するでしょみたいな目で見られます。

国対抗戦ができるくらいに成長してくれればいいなと思います。

――ジャンルは違いますが、「鉄拳」は今年のEVO JapanでArslan Ash選手が優勝したことで、それまで界隈では知られていなかったパキスタンにスポットが当たりました。

live:
実際に日本からプレイヤーがパキスタンに行って対戦もしていてすごいですよね。

ぷよぷよと鉄拳では、日本の立ち位置が逆なんですよね。僕らがパキスタン勢なんですよ。

海外で熱意のあるプレイヤーが日本に来てちょっとやったりするくらいにはなってるので、それを上手く熱意に変えられれば盛り上がってくれる可能性もあるかなと思いつつ、ぷよぷよ自体の認知度も広まっていかないと……という思いはありますね。

ぷよぷよ観戦のカギは将棋にあり!

――最後に聞きたかったのが、観戦についてです。ぷよぷよの観戦を楽しめるようにするためには何が必要でしょうか?

live:
「プレイヤーの目線にどうやったら近づけるか」ですよね。

基本的に相手の動向を理解することって、自分ができることじゃないとわからない。ぷよぷよで言うと、自分が大連鎖の組み方を知ってると、どういう連鎖を組んでいるのかがなんとなくわかるになるみたいな感じです。

そこで僕が考えたのは、将棋とかに近づけていけばいいんじゃないかなということです。

将棋ってルールはわかるけど、プロ同士がどういう駆け引きをしているかって将棋をやっている人じゃないとわからないじゃないですか。

ですけど、解説が言ってることを聞けば、「そういう狙いがあるんだな」ってわかったような気にはなれるので、そういうところを目指すべきなのかなと。

本当に全部を理解してもらうというよりは、そのときどきで噛み砕いて教えるくらいで全然いいのかなという感じです。もっと言うと、リアルタイムだけじゃなくて、リプレイをしっかり解説しないと厳しいかなって思います。試合の時間よりリプレイの時間が長いくらいでもいいのかなと思うんですよね。解説体制が整った上での話になりますけど。

――確かに、将棋は昔から変わらないルールがありますけど、やってないと対局を見て楽しむことは難しいですね。

live:
あと、やっぱり将棋って対局の内容だけじゃなくて、棋士のエピソードとかを含めてファンが多いじゃないですか。藤井猛棋士はポケモンカードが強いというのがいい例です。

eスポーツも将棋も行き着くところは結局は人間性なのかなと思います。


ベテランもいれば若手も数多く出てきているぷよぷよ。世代交代はどんな競技でも必ず起こるもので、注目を集める出来事である。

そんなプレイヤーの勢力図にlive選手もいる。

ぷよぷよが、今、観戦して楽しいタイトルなのは間違いない。

写真・大塚まり

【あわせて読みたい関連記事】

ぷよぷよ界隈の中心的存在liveに聞くぷよらーの歴史

RED ONE所属、ぷよぷよプロゲーマーlive選手。対戦会の主催からブログや書籍の執筆、多岐にわたる活動をするlive選手に改めてぷよぷよの歴史を聞く。

記者プロフィール
Mako(WPJ編集部)
スマホゲームの攻略サイト、情報メディアを渡り歩いてウェルプレイドジャーナルに流れ着いた超絶新進気鋭の若手編集者。イベント取材では物販やコスプレイヤーに釘付けになりがち。

関連記事

注目記事

新着記事