esports元年を実感した2018年

谷田優也

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こんにちわ。ウェルプレイド代表取締役/CEOの谷田です。

ユーキャンが毎年行っている、新語・流行語大賞。トップテンの1つに「eスポーツ」がランクインした2018年。「(大迫)半端ないって」と肩を並べて日本で使われた言葉なのだと言われると、改めてボリュームの増加を感じた1年でした(笑)。

今まで毎年のように元年と言われていた「esports元年」という言葉を実感した1年でしたが、実際に2018年にどんなことがあったのかを振り返ってみます。いろんなことが起きた1年だったのですべてを紹介することはできませんが、印象深かったものをピックアップしていきます。

1月:EVO Japan 2018開催

世界で最も大きい格闘ゲームコミュニティーの1つである「EVO」が、日本の池袋と秋葉原にて”EVO Japan”として2018年に初めて開催されました。

初開催ということもあり、さまざまな課題や懸念はありつつも、日本で開催される大会に1,000万以上のPVを叩き出し、世界中から5,000人弱のプレイヤーが参加するなど、大きな盛り上がりを見せました。

格闘ゲームが好きでこの会社を立ち上げた僕たちですから、日本でEVOが開催されるという感覚はとってもうれしく、毎年の楽しみが増えるニュースとなりました。

2月:JeSU設立

JeSUは、国内の主要なゲーム会社と複数立ち上がっていたesportsの協会や連盟が1つとなり、オリンピックへの正式種目としてesportsの普及を目指し、プロライセンスの発行、賞金に関する見解も含めてさまざまな国内の状況を整備するために設立されました。

さまざまな意見が出ている状況ではありますが、個人的にはこの団体ができたことによってプロとしてライセンスをもらい、選手が賞金を獲得するスキームが実質回り始めたのも事実ですし、海外のesportsの諸団体と交流を行っていただき、いろんな情報が共有されたり交換される一面もあるので、引き続き応援したいと思っております。

いろんな意見が出て、議論がなされて、改善に向かっていくという方向をみんな求めているわけですから。

2月:ゲームと金

中野にあるレッドブルゲーミングスフィアにて、JeSU発足に近い時期に実施されたウメハラさん主催の討論会。ウェルプレイドの代表として、コミュニティ支援、プロチーム運営、イベント運営の立場として参加させていただきました。

当時、どのような活動を見せることになるかまだわからないことも多かったJeSUでしたが、浜村理事が参加し、さまざまな立場から意見をもらって討論の場が起きたのは、非常に良かったと思いました。

プロゲーマーとしての立場でも、前向きに話が進むことであれば協力するという、ウメハラさんの意見や考え方も非常に参考になりました。

3月:プロゲーマーが参加する国内プロリーグが複数発足

「クラッシュ・ロワイヤル」「シャドウバース」の2タイトルが、プロリーグが立ち上がることが発表されました。

チームに所属し、プロとして毎週試合に挑み、優勝と賞金を目指すという、プロとしてあるべき姿の理想形の1つが国内でもスタートした大きなきっかけとなったといえます。

5月:アジア競技大会でesportsタイトルがエキシビジョンとして6タイトル採用

アジア競技大会の中で、「クラッシュ・ロワイヤル」「ハースストーン」「ウイニングイレブン」をはじめとする6つのタイトルが、2022年の同大会正式種目採用に向けて、エキシビジョンとして実施されました。

アジアオリンピック評議会が主催するイベントにesportsタイトルが採択されることで、オリンピックにもesportsタイトルが採択される時代が来るのでは、という時代の流れを感じる瞬間でした。

オリンピックの中で正式採用されるかどうかは、まだ時期尚早ではないか? などさまざまな意見が出ていますが、こういう事例が積み上がることでより検討しやすい状況が増えてくると思いますので、まさに「いいぞ、どんどんやれ!」と思う素晴らしい事例の1つと言えます。

現在FAV Gamingに所属している、弊社でもマネジメント契約をさせていただいているけんつめし選手が、日本の予選を勝ち上がって日本代表に選ばれたりもしたので、弊社としても気持ちの入ったイベントの1つとなりました。

大好きなプレイヤーが日本代表の国旗を背負って世界のプレイヤーと対戦する姿は、なかなかに感動する瞬間でした。

7月:毎日新聞が高校生向けのeスポーツイベントを発表

春の選抜高校野球、高校駅伝など高校生を対象にしたスポーツ選手権を数多く主催している毎日新聞が、サードウェーブと共催という形で「リーグ・オブ・レジェンド」と「ロケットリーグ」の2タイトルで選手権を主催することが発表されました。

eスポーツ部発足支援プログラムとして、最大5台のPCを3年間無償レンタルを実施することも発表。最終的に78の高校がこのプログラムに参加、1つの文化形成の形としてスタートしました。ぜひ、継続していろんなタイトルや複数のタイトルが応援されるような形ができあがってくるとうれしいなと思います。

8月:「情熱大陸」でときど選手に密着

東大卒プロゲーマーときど。彼自身のプロとしての活動、プロゲーマーという職業の存在。その一部始終が1年以上の取材を経て、放送されました。

さまざまな文化人・アスリートが特集されている中で、僕自身も大好きなesportsのプロ選手が、テレビでちょっとした珍しさだけではないスタンスで放映される企画の内容は感動しました。

8月:JeSUがSUNTORY、LAWSON、auなどオフィシャルスポンサー6社を発表

JeSUのオフィシャルスポンサーとして、au、LAWSON、BEAMS、SUNTORY、GALLERIA GAMEMASTER、Indeed Japanの6社が公式スポンサーになりました。esports団体に対して、国内の有名企業がスポンサーになるという日が到来しました。

未来への投資、今後の成長を意識してということを含めてだとは思いますが、厳しい目線でさまざまなスポーツにスポンサードしている企業がeスポーツに投資してくれているという状況は、3年前ではありえない状況だと思います。ぜひとも良い事例、良い活動報告が続いて、良い座組みでスポンサーが増えてくれることを応援したいと思います。

9月:TGS2018のキーワードにe-Sports

「新たなステージ、開幕。」と称して、2018年はesportsにとても力が入った内容となった東京ゲームショウ。

基調講演や専門セッションでも、esportsに関する複数のトークセッションが行われたり、e-Sports Xステージでは1,000人以上が座ることができる巨大ステージが用意され、「ストリートファイター」「鉄拳」「ぷよぷよ」「コール オブ デューティー」「ドラゴンボール ファイターズ」「パズドラ」「ウイニングイレブン」などのステージが開催されました。

ウェルプレイドとしては、専門セッションに僕も登壇させていただいたり、e-Sports Xステージの全体プロデュース・運営・配信のすべてをお手伝いさせていただき、大きな経験を積ませていただいたイベントになりました。

特にe-Sports Xステージでは、どのタイトルもあっという間に満席になり、一部のタイトルでは立ち見が1,000人以上出るタイトルもあったりと、esportsの流れの大きさを実感する1日となりました。

9月:RIZIN.13で正式試合として鉄拳の日本対韓国開催

ミルコ・クロコップやボブサップなど、僕が子供の頃から見ていた格闘技の選手たちや、那須川天心、堀口恭司など現在最も勢いのある選手が登場するRIZIN。超満員のさいたまスーパーアリーナで行われた本イベントの第10試合として、鉄拳の日韓戦が3on3で行われました。

煽りPVも、レニー・ハートの選手コールも、入場の演出もすべてRIZINと同じ仕様に。ウェルプレイドとしても、大会運営・配信を担当させていただきましたが、格闘ゲームと格闘技が融合する瞬間は、正直どうなるかわかりませんでした。

台風の影響などはあったものの、試合を見てくださったお客様からの温かい声援も多く、初めて見る格闘ゲームや選手に対しても、ラウンドを取るたび拍手が生まれたり、選手のコールがあったりと素晴らしいシーンに立ち会うことができました。

賛否両論はもちろんありましたが、1つの大きなプロシーンが別のプロシーンを受け入れ応援してくれる姿は大きな一歩であり、今後もいろんな形で交流していける可能性を見出してもらえた1日となりました。

10月:LoL世界大会でデトネーションが快挙

ウェルプレイドジャーナルでも熱量ある記事が掲載されているので詳細は割愛しますが、esportsの盛り上がりの先頭を突っ走っているとしたら、やはりLoLは欠かせないタイトルの1つでしょう。世界中にプロチームがあり、日本でもプロチームがプロリーグとしてLJLに参加し、しのぎを削っている状況はもう丸5年が経過しました。

韓国のファイナルの舞台の規模、演出は素晴らしいものでしたので、オープニングだけでもぜひご覧になることをおすすめします。

本大会の特筆するべき点は、演出もさることながら、その圧倒的な視聴者数だったと言えます。

19言語30のプラットフォームで放送された決勝大会は、ユニーク視聴者数9,960万、最大同時視聴数4,400万人と、尋常ではない視聴者数が集まるコンテンツへと成長をしています。LoLの存在はesportsシーンにとって、大事なタイトルの1つであることは間違いないでしょう。

12月:クラロワの世界大会が日本で開催!

2018年4月に発足したクラロワリーグ。全世界からプロチームが各地域の代表をかけて、5チーム+日本での開催権として日本のチームが参戦。

日本の会場で世界大会が行われることは事例としても少ないため、非常に注目が集まったイベントになったと言えます。モバイルゲームの世界大会として日本語の放送は同時視聴が4万人以上、英語放送は15万人を超えるなど、大変盛り上がった大会となりました。

12月:シャドバで1億円の賞金を日本人プレイヤーが獲得

シャドウバースは、プロリーグと並行して日本でも年に4回全国大会があったり、ワールドグランプリというイベントも行われていました。2017年末の世界大会で発表された2018年の優勝賞金は、なんと100万ドル。賞金総額ではなく、優勝者が1億円を手にするタイトルが、国内のゲームで国内で実施される大会で生まれる年となりました。

これまで、「日本で大きい賞金付きの大会はできないの?」「国内でesportsの大きいイベントが行われる日はあるの?」といった話を何年も聞いてきました。これが2018年にあらゆる形で、いろんな企業がいろんなタイトルが、いろんな選手が、大きな一歩と実績を積み上げた1年になったと言えるのではないでしょうか。


思い出せる範囲で1年を振り返ってみましたが、やはり2018年はesports元年といっても過言ではない、大きい出来事、良いイベントやニュースも数多く生まれた年になったのではないでしょうか。

さて、我々も1年を通してさまざまなイベントでお手伝いをさせていただき、盛り上げに寄与できたと思っております。2019年も引き続き、さまざまなゲームメーカー様、さまざまなゲームプレイヤーの方々、さまざまな視聴者のみなさまとともに一緒に成長ができればと思っておりますので、ご贔屓のほどよろしくお願いします。

今年1年おせわになりました。また、来年もよろしくお願いいたします!

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東京ゲームショウが”esports”に注目する私なりの3つの理由

なぜ今TGSでもesportsに注力するべきだと考えているのか? 各種メーカーも大会イベントにリソースを投入しているのか? ということを、現場で運営をお手伝いする立場と、登壇する立場の両方から今年どういった需要があったのかを考えてみました。

記者プロフィール
谷田優也
2020年に、オリンピックの横ででかいゲームイベントを行いたい!
そんな夢にむけて日本のesports、プロゲーミングに全ツッパしています。

ストリートファイターシリーズが好きな格ゲー勢です。今年EVO参加しました。ザンギエフ使いで、アカホシって名前でやっています。
昔2chでAAができたり、アルカディアに特集組んでいただいたり、ニコニコ動画で「アカホシ動画」で検索すると出てきたりします。

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