1回の投稿に2時間!趣味のレベルを超えるHINAのけん玉スタイル
【この記事は約6分で読めます】
「けん玉×eスポーツの世界」後編では、IoTけん玉「DENDAMA」を手掛ける大谷宜央氏に加え、3人組ガールズユニット「MELLOW MELLOW」のメンバーでけん玉愛好家のHINAさん、プロけん玉パフォーマーのイージーさんを交え、子どもの遊びから趣味や競技としても親しまれるようになったけん玉業界について教えてもらった。
地味で昔の遊びのイメージは変わってきている
――けん玉パフォーマーとして活動されているイージーさんですが、けん玉は子どもの頃から触れていたのですか?
イージー:
僕は小学校3年生くらいからやっています。でも本気でしっかり練習を始めたのは10年前くらいです。
――そのタイミングでけん玉を練習し始めたきっかけは?
イージー:
コンビとして人前でパフォーマンスしながらけん玉やってみようという話が10年前にあって、そのときから真剣に練習を始めました。
「おもちゃコンサルタント」という総合的なおもちゃの認定資格があるんですが、それを受けにいったときに相方(ず~まだんけのもう1人のメンバー「コダマン」)と出会いました。けん玉は魅力的なおもちゃだけど、「地味で昔の遊び」のイメージが強くて、もっと魅力的に伝えられることはないかなって話をしたんですよ。
相方はそのときはまだけん玉をやったことがなかったんですけど、やってみたら面白いと魅力に気付いて、それを今の子どもたちにうまく伝えられるように、というのがきっかけでけん玉パフォーマンスをやってみようということになりました。
当時、僕らはまだ20歳とかだったので、けん玉が上手な若いお兄ちゃんたちが教えに来てくれたらみんなけん玉やるんじゃないかと考えてました。これがきっかけで、僕は今けん玉で生活をしてます。
――実際に活動を始めてからの反響は?
イージー:
最初の1、2年間は児童館や小学校などの教育機関でけん玉を教えてました。その後、商業施設のステージとか企業のパーティーにお声がけいただくようになって、最近ではJapan Expoのような日本文化を伝える機会もいただくようになりました。
その間に海外でけん玉が爆発的に流行ってプレイヤーもすごい増えてきたこともあって、「昔の遊び」というイメージがちょっとずつ変わってきたと思います。かっこいいプレイヤーも多くなってきました。
――HINAさんのような女性プレイヤーも増えてるのでは?
イージー:
そうですね。ちょっと前までのメインターゲットは小学生以下か昔から慣れ親しんでいるご高齢者の方が多かったですね。大会も公民館などの小規模なものでしたが、最近では女性プレイヤーも増えてきて、20~30代くらいの人も徐々に増えてきた印象です。
以前は小学生でけん玉を始めても中高生になったらやめてしまう人が多かったんですけど、やめないで続ける子たちも増えてきたって感じですね。
――HINAさんのけん玉との出会いは?
HINA:
けん玉は4年前くらいから持ってたんですが、やってなくて……。2019年11月頃にイージーさんと出会って教えていただいて、改めて楽しいなと実感してそこから始めました!
実際に教えていただくのは、全然違いますね。1人だと悪戦苦闘するシーンでも、コーチしていただくとわかりやすいというか。
教えていただく前から、MELLOW MELLOWのライブで技をやってみたりしたんですけど、成功したことは1回もなかったです(笑)。大皿も乗らないくらいのレベル。
イージー:
2020年1月のライブでけん玉技を披露したいという話が出たみたいで、どうしても成功しないから教えてくれと言われて。それで当時の実力を見せてもらったら大皿すらできない……。でも、パフォーマンスはやりたい! と言われてどうしようかと思いました(笑)。
度胸をつけるために渋谷の交差点でも練習
――イージーさんに教わってみて、上達しやすさは感じましたか。
HINA:
はい! 全然違いました。
1人で黙々とわからないまま練習しているのと違って、的確なアドバイスがあると上達してるなっていう実感を持てました。
――教える側としていかがでしたか?
イージー:
けん玉はセンスよりも練習量が大事だと考えています。ですので、体の使い方が上手い人は、やったらやっただけ上手くなるんです。
その分、予習復習をちゃんとやってるか? 毎日練習してるか? が教える側としてすぐにわかっちゃうんですよ。
――ということは、サボらず毎日やってたんですね。
HINA:
そうですね、どこへ行くにも毎日持ち歩いてました。
私は本番に弱いことで知られてて、度胸を付けるために渋谷のスクランブル交差点で練習したこともあります(笑)。
――本番に弱いということは、昨年の紅白歌合戦でやったけん玉パフォーマンスはかなり緊張したんじゃないですか?
HINA:
ある意味、リハーサルが緊張して、本番は「やってやろう!」という感じで楽しかったです。ですが、プレッシャーはすごかったです。でも乗り越えられたら、また違った未来が見えるんじゃないかと思ってがんばりました。
――生誕祭でのパフォーマンスはいかがでしたか?
HINA:
当日のリハーサルでは緊張からか全然できなかったんですが、本番では成功したこともあって楽しかったです!
ファンの方の声援にも応えたい気持ちがありましたし、今までやってきたことを全部出し切ろうという気持ちで挑みました。
――eスポーツの世界では、ゲーミングハウスで共同生活をして活動しているチームもありますが、けん玉はどうですか?
イージー:
けん玉はチームで戦うスタイルの大会はあまりないので、そういう文化はないですね。けん玉道場みたいな場所で、一緒にやったりはします。
あとは、RE/Dのようなたまり場が国内に3、4箇所あるので、そこで集まって練習している人はチームみたいに仲良しですね。
2月の毎日投稿は苦労の連続で撮影に2時間!?
――HINAさんはけん玉の大会とかに興味はないんですか?
HINA:
現状、大会に挑めるレベルではないですが、大会には出てみたいです。前に大会を見に行ったときも、「来年は出ようかな」って勝手に1人で思ってたくらいやりたいって思ってますね。
――大会があるいうことは、コーチングの需要ってあるんですか?
イージー:
マンツーマンで教えることはあまりないですが、定期的に教えに行った場所はありますね。
今はSNS上でつながってて、対面で教えたのをできましたってSNSで送ってくれたりします。「次これやってみよう」とか、SNS上のスクールじゃないですけど、教える機会は増えました。
YouTubeやInstagramでも、けん玉ハウツー動画を検索したらたくさんでてきます。
――Instagramの話題が出ましたが、HINAさんは2月は毎日けん玉技を投稿してましたね。
HINA:
あれは大変でした(笑)。あれはけん玉界の恒例行事ともいえるもので、毎年2月に毎日けん玉技を投稿する習慣があるんです。今年は初めて挑戦しました。
――なんで2月なんですか?
イージー:
たぶん日にちがちょっと少ないからだと思います(笑)。大規模大会の谷間だという理由もあるんじゃないでしょうか。
――毎日投稿は一発撮りですか?
HINA:
だといいんですが、全然できない! 一発では全然撮れないですね。
うまくいかないときは、1投稿のために2時間ぐらい挑戦してました。成功しても画角が良くなかったりして、撮り直したこともありましたし。
――最後にファンの方にアピールをお願いします。
イージー:
DENDAMAは実際に触ってみないとイメージできない部分があると思うので、一度体験してほしいです。需要があれば、僕らは教えたりするんで息抜きにやろうよという感じで。
「けん玉×○○○」はこれまでになかったので、DENDAMAをきっかけにけん玉文化が広がってくれるとうれしいですね。
HINA:
同世代の女性にもけん玉が広まってほしいという思いがあるので、私も積極的に情報発信をしていきます。Instagramの動画を中心にこれからもSNS上で活動をしていくので、応援をお願いいたします!
大谷:
RE/Dに来てDENDAMAを楽しんでいただいて、練習をしてまた来て。ここにくれば誰かしらいて、一緒に遊んだ人とか、コミュニティーが生まれて仲良くなってという循環を作っていきたいです。
まずは遊びに来て飲みながら楽しんでほしいですね。バーなのでお酒もたくさんありますし、飲むだけでもとてもウェルカムです!
けん玉のイメージを変えるべく、試行錯誤しながらも各人が活動している。eスポーツの世界と共通する話題もいくつかあり、今後のeスポーツ×DENDAMAのコラボがでてくるかもしれない。
写真・大塚まり