選手大半がオールラウンダー!PONOS SportsとNova Esportsの類似点

とつ(WPJ編集部)

2018年4月から始まったクラロワリーグ アジア。クラロワリーグでプロになった選手の多くは、まだ20歳未満の若いプレイヤーたちであった。この若いプレイヤーたちは、1年でどのような成長を遂げたのだろうか。クラロワリーグ アジアの1年を通して見てきたからこそわかった選手と強いチームの共通点。この記事では、激動のクラロワリーグの1年を振り返っていく。

シーズン1の主役はPONOS SportsとGameWith(2018年4月~7月)

2018年4月1日、プロ選手選考会が開催された。20代の参加者が8割を超えていたこの選考会で、FAV gaming、PONOS Sports、GameWith、DetonatioN Gamingの4チームは、選手獲得に目を光らせた。

この選考会で各チームのロスターが決定し、クラロワリーグ アジアが開幕。だが、プロ選手としても、1人のプレイヤーとしてもカメラの前での試合が初めてという選手が多数で、緊張から足が震えている選手がほとんどだった。

シーズン1は、PONOS SportsとGameWithの一戦で幕が開けた。クラロワ日本一にも輝いた経験のあるフチ選手と、実力派との呼び声が高いみかん坊や選手を擁するPONOS Sportsと、新進気鋭の若手チームGameWithという初戦から目が離せない展開となった。

セット1から波乱が起きた。試合展開は、フチ選手がディガーやスケルトンバレルで細かくダメージを奪い終始リード。しかし、shun選手の最後の攻めに慌てたフチ選手がインフェルノドラゴンを放置してしまい、そのままタワーを折られてしまう。最後まで勝ちを諦めなかったshun選手が大金星を獲得した。

その流れのまま、2v2の試合もGameWithが勝利。下馬評で決まるほどクラロワリーグは甘くはなく、各チームがどれだけクラロワというゲームに打ち込めたか、ひたむきに練習を続けていくかで勝敗が決まることが証明される結果となった。

決して、PONOS Sportsのクラロワリーグに懸ける想いが弱かったわけではない。ただ、チームとして見た場合、GameWithのほうが一枚上手だったのだ。

Week1、2を見ていて感じたのは、選手たちは純粋にクラロワというゲームに夢中になっており、そして勝敗にこだわっているということであった。Week3から海外戦が始まると、各選手のプレイングにより磨きがかかってきた。

各Weekが終了すると、選手たちは得意デッキと呼ばれていたデッキ以外を使いこなしていく。KK選手であれば枯渇デッキ、天GOD選手であればジャイアントデッキのように、自分の得意デッキと呼ばれるもの以外のデッキも使用し、武器を増やしていった。

武器が増えていくごとに、各チームのBANカードにも変化が現れた。そのときのメタに沿ったBANカードへ変わっていき、各選手の得意なカードを出せる環境が増えてきたのだった。

2v2ではFAV gamingの焼き鳥・RADペアがダブル枯渇デッキのような新たなデッキを作り始め、今までにないデッキも多く出てくるようになった。韓国では巨大スケルトンを用いた戦術が流行り始め、日本ではゴーレムやラヴァハウンドといった大型ユニットを重ねて押し込む戦術が流行っていた。

新たなデッキ開発や各人のデッキプールが広くなっていったことで、より各チームの色が出てくるようになった。GameWithは、各選手が1v1、2v2に出場できるチームになっており、セット3ではshun選手という新たなスターを据えることで、勝率を安定させた。

また、PONOS Sportsも1v1で一度しか負けていないみかん坊や選手をセット3で確実に当てるよう、セット1とセット2どちらかを確実に取りにいく戦法が特徴的であった。実際この戦法が決まっており、どの地域のチームもPONOS Sportsの勢いを止められずにいた。

だが、勢いに乗るPONOS Sportsに、1人だけ悩みを抱える選手がいた。フチ選手である。シーズン開始当初は、多くの勝ち星をあげると思われていたフチ選手だが、蓋を開けてみるとプレイオフまで全敗。そして、個人戦績全敗のまま迎えた決勝戦、奇しくも組み合わせは初戦と同じくGameWithとなった。試合は、勢いに乗っているPONOS Sportsが2セット連取した。あと1勝で優勝が決まる場面で登場したのがフチ選手。かなりのプレッシャーがあったと予想されるが、このセット3を勝利し、初勝利とともにPONOS Sportsに優勝をもたらした

分析としては、セット3でみかん坊や選手が出てくるという安心感がチームの中であったように見える。だからこそ、ライキジョーンズ選手や天GOD選手がのびのびプレイをできたのだろう。選手兼監督であったみかん坊や選手は、まさしくチームの大黒柱といえよう

シーズン2はKK19212選手やBenZer Ridel選手が活躍(2018年8月~11月)

日本チーム編:GameWithに新たなるエースが誕生

日本チームに新しいエースが誕生した。GameWithのKK19212選手だ。シーズン1での1v1は同チーム所属のshun選手に隠れていた存在だったが、シーズン2ではシーズン1で圧倒的勝率を誇るみかん坊や選手に迫る選手となった。現に、この試合でみかん坊や選手を下し、勝利を掴んだ。1ヵ月足らずという短い準備期間で、クラロワリーグ アジアトップレベルと比肩するほど成長を果たしたKK選手の努力は、並大抵のことではなかったはずだ。

シーズン2で大きな変化があったのは、FAV gaming所属のDANI選手とGameWith所属のZEROS選手だろう。彼らはシーズン1から一度も勝利をしていなかったが、シーズン2のKOHで3タテをしたことで、一気に勝率が上がった。

流れを大きく引き寄せることのできたFAV gamingとGameWithであったが、プレイオフに進むことはできずに敗退した。

海外チーム編:金メダリストがリーグに参戦

シーズン1ではアジア地域のみの戦いであったが、シーズン2からは世界大会がアナウンスされていた。これを受けて、タイのChaos Theoryは、BenZer Ridel選手をチームに迎え大きな戦力アップを図った。

韓国のOGN ENTUSに加入したTNT選手も、1v1において好成績を残した1人だ。各チームの補強から見えるのは、1v1に比重をおいた補強だということだ。レギュラーシーズンでもKOHというシーズン2から導入されたルールも相まって、シーズン1以上に1v1の強さが重要視されることになったからだろう。

※シーズン1もプレイオフではKOHを採用

戦力アップで望んだシーズン2だが、Chaos TheoryもOGN ENTUSもプレイオフへ進むことはできなかった。彼らとPONOS Sportsなどの強豪チームとの違いは、どのポジションもこなせる人物を作り出すことができなかった点にあるだろう。

PONOS SportsやKING-ZONE DragonXのエースは、1v1も2v2も両方の試合に出つつ、結果を残していた。一方、BenZer Ridel選手やTNT選手は1v1での成績は良くても、2v2の成績は決して良いとはいえるものではなかった。

実際にプレイオフで優勝したKING-ZONE DragonXは、シーズン中の勝率は高かったとは言えない。しかし、2v2と1v1のロスターを毎試合変えることで、選手の各ポジションの練度を高めることができたのだろう。

そのチーム戦略があったからこそ、世界一決定戦へのチケットを手に入れることができたのだと考えられる。普段、飄々としているX-bow master選手がよろこびのあまり、涙した姿は忘れることができないだろう。

オールラウンダーの活躍で世界一に輝いたNova Esports

2018年12月1日に幕張メッセで開催されたクラロワリーグ 世界一決定戦2018。北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカ、中国、そして開催国である日本の6チームで世界最強を決めるために激闘を繰り広げた。

このクラロワリーグ 世界一決定戦 2018で優勝をしたのは、中国のNova Esports。クラロワリーグ アジアから上がってきたKING-ZONE DragonX、ラテンアメリカ代表のVivo Keydの強豪を破っての優勝だ。

Nova Esportsの特筆すべき点は、そのプロ意識だろう。何があろうと対応しきるそのプロ意識と、味方であろうと叱咤激励をいとわない姿勢こそが、勝利に繋がっていたのだと考えられる。

また、所属選手の層の厚さも優勝した要因の1つと考えられる。Auk選手やLciop選手、Littlechen選手などは、1v1と2v2ともに戦うことができ、Legend選手やKarnage選手はKOHや1v1のようなワンポイントで採用することができる。チームとしてオールマイティに立ち回ることができたのが、大きな勝因であったと考えられる。

1年を通してクラロワリーグを見てきたことで、選手たちのクラロワへかける想いを感じることができた。リーグ開幕時には緊張で足の震えていた選手たちだが、シーズン2が終わるころには自分の集中方法を確立していた。

2019年も開催が見込まれているクラロワリーグ、今いる選手たちが継続してプロ活動を続けていくのか。そして新しいスタープレイヤーが生まれるのか。今後もクラロワシーンから目を離すことはできないだろう。

記者プロフィール
とつ(WPJ編集部)
高校生の頃、FPSに魅了され、esportsシーンに興味を示し、現在はゲームを最大限に楽しむ集団「ゴジライン」でesports応援団長という雑な役職についている雑食ゲーマー。重度の動画勢で「より観戦を楽しむためにゲームを触る」を軸に、多くの読者にesportsの魅力をお届けするため日々奮闘中。得意ジャンルはFPSとMOBA。現在の悩みは社会人になってから16kg増えた体重と肌荒れ。

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