だいこく噺 第二回「フランス遠征」

「ストリートファイターV」トッププレイヤー兼プロゲーマーのだいこくが綴るコラム「だいこく噺」。第二回は、フランス大会に遠征したときの様子を語ってくれた。各対戦相手に臨んだ当時の心境、そして海外の地で得たものなどにフォーカス。
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・第一回「働くという事」
第二回「フランス遠征」
こんにちは、だいこくです。
先日、フランスの「Stunfest 2018(スタンフェスト)」(※)に参加して来ました。
「ストリートファイター5アーケードエディション(SF5AE)」をはじめ、格闘ゲーム大会も多種目開催。
SF5AEの大会では、263人にも及ぶプレイヤーがエントリー。CAPCOM Pro Tour(※)プレミアム大会の対象
フランスまで遠征した大会ですが、じつはこれまでと少し違う挑み方となりました。
というのも、昨年から練習場はオフライン対戦がメインでしたが、今年に入ってから体調不良がつづき、ついには手術するまでに……といった様々な原因が影響して、「Stunfest 2018」直前でまさかのオフライン対戦で一度も練習せず、大会に挑むことになったのです。
つまり、今回の主な練習方法は、家庭用版の「トレーニングモード」「ネット対戦」「人のプレイを見る」……この3つのみしか行っていません。正直、大会前から不安で一杯でしたが、どこか新鮮で期待感にも満ちていました。
国内外問わず、恐らく多くのトッププレイヤーは練習方法が確立していると思います。そもそも強い。だからこそ、俺のやってきた練習方法で、どこまで差を付けられているのだろうか、どこまで喰いつけるのだろうか……という不安と期待で楽しみでした。
「Stunfest 2018」は、開催2日前に現地入り。そのおかげか、海外遠征の初日に必ず来る“時差ボケ”に悩まされることもなくなりました。なによりフランスの食事が美味しく、体調的には最高のコンディションで大会に挑めました。
今日はシェフおすすめのケーキを食べまして近辺散策しそっから持ってきたモニターとps4起動させて対戦や!
ここにきてキャミィ戦わかってきた! pic.twitter.com/dKwcDZU4y0
— WP│DaikokuGO(だいこく) (@daikokuGO) 2018年5月17日
強豪ぞろいのPOOLで健闘
そして肝心の大会内容について。
POOL(プール)16にも及ぶなかで、俺はPOOL6に入りました。このPOOLには、昨年からメキメキと頭角を現している「Takamura」、恐らく知らない人はいないであろう「ふ〜ど」さんと、「Shakz」という強豪ぞろいとなりました。とはいえ、正直ほかのPOOLと比べたら、一番いいところに入ったなと思います。
【1回戦目(Winners Round) vs Sanka:2-0 だいこく勝利】
初戦はチーム所属のバイソン使い。問題なく勝利。
【2回戦目(Winners Round) vs Kuja:2-1 だいこく勝利】
2回戦目は現地のアビゲイル使い。この戦いは本当に危なかったです。俺のミスもありますが、やることなすことすべてが噛み合ってしまい、思い通りに展開できませんでした。1ROUND取られて、体力ゲージもドット差まで追い込まれて、もう頭もおかしくなりそうでした。ただ、集中力を保ちながら辛くも勝利。
【3回戦目(Winners Round) vs Takamura:2-0 だいこく勝利】
3回戦目は豪鬼使いのTakamura。彼はケンと豪鬼の二枚看板ですが、俺の使っているバーディーは両方に有利。どちらがきても大丈夫ですし、自信もあったのですが、内心「ケンがきたら嫌だな……」と思っていました。
結果的に豪鬼だったので心の中でガッツポーズ。試合内容は、完璧に近い内容でした。「お? 俺強くなっている!?」と調子に乗りながら勝利。
【4回戦目(Winners Round) vs Shakz:2-1 だいこく勝利】
4回戦目は、POOL6のWinners Semi-Finalでふ~どさんを倒したShakzが上がってきました。当然、トーナメント的には相当嬉しいのですが、心境的にはふ~どさん個人への対策も考えていて、それこそ倒す気満々だったので少し残念。
Shakzはララ使い。バーディーとララの組み合わせは、お互いが攻め入り滅茶苦茶に戦うことが頻繁に起こります。だからこそ落ち着くことが大事。今回勝利することができたのも、さきに落ち着いて戦えていたことだと思います。久しぶりのWinners抜けで個人的に相当嬉しかったです。
だいこく選手が開幕PERFECT勝利したものの接戦に

POOL6トーナメント表(Winners Round)。制したのはだいこく選手。
詳細はsmash.gg「Stunfest 2018」STUNFEST – SF5 – POOL6で閲覧可能
フランス大会で得たもの
POOL突破後は、TOP32トーナメントに進出。
【1回戦目(Winners Round) vs ガチくん:0-2 ガチくん勝利】
POOL突破後の最初の相手としては正直嫌でしたが、大会では対戦したい相手でしたので、とても楽しみな試合に。結果、0-2で負け。ガチくん、さすがでした。
ラシードの猛攻に迎え撃つものの、0-2でガチくん選手の勝利
【2回戦目(Losers Round) vs Luffy:0-2 Luffy勝利】
Losers Roundに移ってからは、ヨーロッパの最強ローズ使いLuffyとの対戦へ。以前、彼が来日したときに何度か負けていて、厳しい戦いになるだろうと思っていたら、恐らく今回の大会最速で負けることに。“なにをやっても通されるモード”(コマンド投げ→飛んだらリディーミカ→ガードならコマンド投げという流れ)になっていました。
こうして、フランス大会は終わりを迎えました。
順位は17位タイ。

だいこく選手の大会結果。画像はsmash.gg「Stunfest 2018」Standingsより

TOP32トーナメント表(Winners Round)。優勝は日本の藤村選手。
詳細はsmash.gg「Stunfest 2018」STUNFEST – SF5 – TOP32で閲覧可能
貰えたCAPCOM Pro Tourのランキングポイントは20でした。
毎度のことながら大会の組み合わせが厳しい。でも勝たなきゃ優勝できません。歯を食いしばって頑張らないとですね。
じつはこのときの心境は、帰国後、すぐにアメリカの「COMBO BREAKER 2018」に出場する予定だったので、「反省してオフ対戦頑張らなくちゃ」とスムーズに気持ちを切り替えられたのをよく覚えています。
今回のフランス大会では、思っていた以上に自分の攻略が追い付いていたことを知れました。さらに、そこからできないことも教えてもらい、たくさんの気付きもあったので、今後の展開が楽しみです。コンディションも万全で「早くオフ対戦をたくさんやりたい」と、思いを馳せながら飛行機に搭乗し帰国しました。
現地では、夜にいろいろぶらついていたので、そこでみた話なども今後配信できればと思います。なかなかブラックな話題も含まれますが。フランスはとてもいい国でした。
アメリカの「COMBO BREAKER 2018」につづく……。
【BACK NUMBER】
・第一回「働くという事」
だいこく:ウェルプレイド所属のプロゲーマー。強気な攻めと大舞台でも萎縮しない強靭なメンタルで戦うプレイヤー。豊富な実戦経験から繰り出される一撃で数々の強豪プレイヤーを沈めている。
名前:だいこく
Twitter:daikoku_GO
Openrec:WP|だいこく
Blog:配信者だいこくのブログ
大会実績(一部抜粋)
2017年 ThaigerUppercut Championship 2017 7位
2017年 Manila Cup 2017 9位
2017年 TWFighter Major 2017 5位
2018年 ストリートファイターV ARCADE EDITION 闘会議GP大会 9位
■成長を続ける男、「ストV」トッププレイヤー“だいこく”に迫る

Capcom Cupに出場するため、そして優勝するために海外大会を遠征している猛者がいる。その名も「だいこく」。ストリートファイターVにおいてトッププレイヤーであり、強気な攻めと大舞台でも萎縮しない強いメンタルで強豪プレイヤーたちと日々戦っている。