【鉄拳編】ゲンヤセレクト!EVO2019注目選手

ゲンヤ

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数々の鉄拳大会シーンで実況解説を務めてきた私(ゲンヤ)が、EVO2019で注目するべき選手を5名紹介! これまでのEVOでは、日本と韓国の選手がトップ8の半数以上を占めていることから、今回は打倒韓国選手をテーマに日本人選手をリストアップ。

実際に私が1人のプレイヤーと対戦して感じたことや、実況解説者だからこそ知っていることを合わせて紹介します。

最初にひと言だけ伝えておくと、今年のEVO2019は荒れる可能性大です。

これまでのEVOと2019年の鉄拳シーン

昨年までのEVOの鉄拳シーンは、乱暴に言うと韓国と日本だけで上位を争うようなものでした。ただ、日本選手よりも韓国選手が一枚上手で、日本選手がEVO2017とEVO2018で、トップ8に2名ずつ勝ち進んでいる中、韓国の選手は4名ずつランクインしています。

ある意味一強とも言える韓国にはEVO2018覇者のLowHigh選手、2位のqudans選手と強い選手がたくさんいるので、日本選手からすれば打倒韓国が目標になるのではないでしょうか。

チクリン

チクリン選手は、世界で最もレベルが高いと言われる韓国での大会ROXnROLLで優勝した実績を持っています。彼はギース・ハワード(以下、ギース)をメインに使用していて、日本と韓国の選手の中では一番強いギース使いだと言っても過言ではないでしょう。

ここで、チクリン選手のファンの中では有名な話を1つ紹介します。

チクリン選手が鉄拳の配信中に、Knee選手とオンラインでマッチングしたときのこと。なかなか決着がつかず、その日のランクマッチ総プレイ時間が10時間を越えていました。チクリン選手が体調を崩しやすいことを知っていたファンからは「もうそろそろやめた方がいいんじゃ……」というコメントが送られていたようです。

それに対してチクリン選手は「自分は死んでもいいからKneeに勝ちたい」というセリフを残しています。これ、めちゃくちゃかっこいいですよね! でも、続けて「家の近くに国立病院があるから倒れても大丈夫!」と言っていて面白かったです(笑)。

チクリン選手を語る上で外せないのが、彼が大ファンであるイチロー選手の存在です。鉄拳に対する向き合い方は彼に影響されているらしく、試合前のルーティーンとしてユンケルも飲んでいるようですね(笑)。

彼の今の強さは、イチロー選手がいたからこそ身についたのだと私は考えてます。

ノロマ

ノロマ選手はEVO2018で7位タイと、この後紹介するちりちり選手と並んで日本選手の中では一番良い成績を残しています。他にも、韓国大会で優勝するなど、かなり期待できる選手です。

対戦中の反応速度が日本でもトップクラスなことに加えて、メンタルが強いのでどんな状況でも安定して戦うことができます。自分はやりたいことがいつもどおりできて、相手の技は反応速度を活かして避けられるという、本当にずるい選手です(笑)。

しかも、いきなり大技をぶっぱなしてくるというプレッシャーも与えてきます。その大技のタイミングが読みにくいこともあって、ヒット率はかなり高め。

使用しているジャック7というキャラは、現在の環境だと相性が不利なキャラが多いので、最近はスティーブ・フォックスというキャラも使い始めているようです。先日に行われたTEKKEN World Tour 2019 Wellplayed Challangerでは、スティーブ・フォックス(以下、スティーブ)を駆使して2位という結果を残しています!

ノロマ選手は配信ではあまり喋らないので物静かな選手だと思われがちですが、慣れるとすごくフレンドリーで、かわいい一面を持ってます。

ダブル

ダブル選手は今年から強くなったなと感じる選手なのですが、努力だけでなく負けたときの悔しさをバネにしている印象です。鉄拳外ではひょうきん者ですが、鉄拳に対する思いは本物で、負けたくないから本気で取り組むという二面性を持っているんですよね。

彼は表情が豊かで、配信やSNSでも自分の気持ちをしっかりと出すんですよ。なので、ダブル選手を見ていると感情移入してしまって、ついつい応援しちゃいます(笑)。

私がダブル選手の名前を知ったのは、彼がまだ小学生で石川県に住んでいたころです。小学生にも関わらず鉄拳が異常に強く、スーパー小学生として鉄拳界隈では有名だったみたいですね。関東に来てからはさらに強くなって、「北陸地方のダブル」ではなく、「日本のダブル」と言えるほどの実力になってます。

彼はマーシャル・ロウ使いで、相手の思考の早さを上回るスピードでガンガンに攻め込む戦闘スタイルです。注目してほしいのは、相手が攻撃を空振りしたときのスカシ確定までの速さですね。見ごたえのあるバトルを展開してくれるので、観戦するのが楽しい選手です。

ノビ

ノビ選手はEVO2015で優勝している日本で唯一のEVO鉄拳覇者です。最近は優勝まで届かないことが多いですが、波に乗ると誰も止められないほどの強さを発揮します。

彼の戦闘スタイルはひと目見たら誰でもわかるほどの攻撃型で、常に前に出てます。これは対戦したことがある人にしかわからないと思うのですが、攻撃がすごいだけではなく、実は日本で類を見ないぐらい防御が上手いんです。ノビ選手が守りに徹したら、もう何も攻撃が当たらない……。

でも、これには秘密があるんですよ。こちらの攻撃チャンスでも、ノビ選手の上手すぎる攻めにうろたえてしまって、こちらの攻撃がヘタクソになってしまうんですよね(笑)。

ただ、彼のプレイスタイル的に攻撃を仕掛けている間に被弾しているので、やや成績にはブレがあります。ただし、上振れるとEVOで優勝するぐらい強いですよ。

メインキャラはセルゲイ・ドラグノフだと思いますが、相性によってはスティーブを使用するかもしれないですね。スティーブはもともとの防御性能が高いので、ノビ選手の戦闘スタイルにぴったりのキャラとなってます。

ちりちり

ちりちり選手は、天然パーマでアフロのような髪型をしているので「ボンバーヘッド」という愛称で呼ばれています。

彼は昨年のEVOが初の世界大会だったのですが、7位タイという素晴らしい成績を残しました。でも、「優勝以外は初戦敗退と変わらない」と本気で思っているらしく、ストイックさを感じますね。

そんな彼がEVO2019に行けたのはEVOへ行くサポートを受けられるチャンスがある、長崎県で開催されたチクリンカップで、EVOに行くための支援を企業から受けていない選手の中で最上位になったからです。昨年もMASTERCUP 森部杯絆という大会でMVPを獲得し、EVO行きのサポートを受けている、実力のあるすごい選手です。

ちりちり選手はシャヒーンというキャラしか使わないのですが、このキャラはしゃがんだ状態から下段と中段の2つの技を出すことができます。この2択ですが、本来は50%の確率でしか当てられないはずなのに、これまでの経験と予測から50%以上の確率で攻撃を通してきます。

この中段攻撃にはリスクがあるというのに、どんなピンチな局面でも臆せずに繰り出してくるんですよね。これについて「中段攻撃を出すのが怖くないの?」と聞いたところ、「打つときは負ける覚悟を決めている」と答えてくれました。

でも、負ける覚悟を決めているという割にまったく迷いがなくて、選択がかなり早いです。相手からしたらプレッシャーでしかなくて、心理戦でちりちり選手が圧倒的に有利なんですよね。

このことから、恐らくどんな選手でもちりちり選手に対して自信を持って勝てるという人はいないと思います(笑)。

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記者プロフィール
ゲンヤ
ウェルプレイド所属の実況解説者。 「鉄拳」の各イベント・大会で実況解説をしています。 鉄拳7ではアリサ使いです。邦楽バンドとバス釣りが好き。

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