LJLからつながるWorldsへの道:DFM日本代表を待ち構える世界の強豪たち

Kyon

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去る9月16日(月)に、アリーナ立川立飛で行われた「LJL 2019 Summer Split Final」。2年ぶりの大規模会場での開催となったこの大会では、Detonation Focus Me(以下、DFM)とV3 Esports(以下、V3)が大観衆の前で激闘を見せ、DFMが日本代表チームの座についた。

この記事ではLJL 2019 Summer Split Finalの見どころに加え、この先につながるWorldsについて説明する。11月10日(日)にパリで行われるWorldsの頂上決戦までの道のりを理解して、LoLをもっと楽しもう。

LoL世界頂上決戦Worldsとは?

最初にWorldsの説明をしておきたい。Worldsとは、「League of Legends」(以下、LoL)で行われる世界大会「World Championship」のことを指し、WCSとも言われる。簡単に言うと、LoL世界頂上決戦のことだ。

Worldsでは、世界各地域の代表チームが、

  1. プレイインステージ
  2. グループステージ
  3. ノックアウトステージ
  4. 決勝(ファイナル)

の4段階に分かれているステージで競い合う。

12チーム4グループで戦うプレインステージ

2019年のプレイインステージでは、DFMを含む12チームが戦うことになる。以下のプール1~3から各1チームずつが選ばれ、合計4グループに振り分けられる。

プール1

  • Clutch Gaming(北アメリカ):第3シード
  • DAMWON Gaming(韓国):第3シード
  • Hong Kong Attitude(チャイニーズタイペイ):第3シード
  • Splyce(ヨーロッパ):第3シード

プール2

  • Lowkey Esports(ベトナム):第2シード
  • MEGA(東南アジア)
  • Royal Youth(トルコ)
  • Unicorns Of Love(ロシアを含む独立国家共同体)

プール3

  • DetonatioN FocusMe(日本)
  • Flamengo eSports(ブラジル)
  • Isurus Gaming(ラテンアメリカ)
  • MAMMOTH(オセアニア)

ラウンド1に勝利し、勝利したチーム同士で戦うラウンド2でも勝利した上位4チームが次のグループステージに進むことができる仕組みになっている。

プレイインテージとグループステージは、ドイツのベルリンで行われる

世界の強豪がひしめくグループステージ

グループステージでは、プレイインステージを免除されている強豪チームが合流する。プール1から1チーム、プール2から2チーム、プール3から1チームで、合計4チームずつの4グループに振り分けられる。

プール1

  • FunPlus Phoenix(中国):第1シードチーム
  • G2 Esports(ヨーロッパ):第1シードチーム
  • SK Telecom T1(韓国):第1シードチーム
  • Team Liquid(北アメリカ):第1シードチーム

プール2

  • Royal Never Give Up(中国):第2シードチーム
  • Invictus Gaming(中国):第3シードチーム
  • Fnatic(ヨーロッパ):第2シードチーム
  • Griffin(韓国):第2シードチーム
  • Cloud9(北アメリカ):第2シードチーム
  • GAM Esports(ベトナム):第1シードチーム
  • J Team(チャイニーズタイペイ):第1シードチーム
  • ahq e-Sports Club(チャイニーズタイペイ):第2シードチーム

プール3

  • プレイインから勝ち上がった4チーム

強豪たちを退け、各グループ上位2チーム、合計で上位8チームに残ることができればノックアウトステージへ進出となって、トーナメント戦に挑むことになる。そして、最後に勝ち残った2チームが決勝に進む。

LJL Summer Split Final会場レポート

Worldsに日本代表として参加する1チームを決定する重要な試合が、9/16(月)に行われた「LJL 2019 Summer Split Final」だ。今回の試合場所は「アリーナ立川立飛」。2年ぶりに大規模会場での決勝となった。

開場前から入場待ちの列ができるほどの盛り上がり。最寄り駅の立飛駅も午前中から混雑していた

開場と同時にお客さんが向かうのはメイン会場……ではなく、物販・チームブースに! 物販では初めて公式Riotグッズが販売されるということもあってか、開場すぐから長蛇の列が。早々に売り切れる公式グッズもあり、人気の高さを実感した

公式グッズ以外にも各チームブースで物販が行われていたり、選手との交流ができるようになっていた。その中でも、DFMブースは一番人気!

V3ブースでは優勝した際の祝賀会の告知、Sengoku Gamingブースでは世界大会優勝経験があるBlank選手(元SK Telecom T1)と記念撮影しているファンも多った。

公式グッズ以外にも各チームブースで物販が行われていたり、選手との交流ができるようになっていた。その中でも、DFMブースは一番人気!

LJL Summer Split Finalの第2試合感想戦

ここからは、LJL Summer Split Finalで特に印象に残った第2試合を振り返ってみる。第1試合でV3が1勝を先取、DFMとしては思ってもいない負けがあった後の試合だ。


特徴的なピックとしては、DFMのEvi選手がレギュラーシーズンで8回も使用しる得意なナーを選択したことだ。Evi選手といえばタム・ケンチで(ファンからはエビケンチと言われている)、その使用回数は5回とかなり多いが、ナーはその回数ですら超えてる。

一方のV3の特筆点は、ミッドでレネクトンを使用したこと。DFMがミッドにシンドラを選んだ後に選択したということは、対面同士で戦っている間はファイター対メイジなので不利だし、スタンを当てにいけるという判断だとしても、シンドラの「闇の波導」でノックバックされてしまう。

ということは、味方が他のCCを与えてくれるのがほぼ必須なので、そこをどうカバーするのかが気になった。

ゲームが動いたのは、試合開始3分後。Gaeng選手が使用するスレッシュの「死の宣告」(よくフックとも呼ばれる)がミニオンの隙間を通り、viviD選手にヒット。すぐイグナイトを使いキルを狙いにいく。フラッシュを使って逃げようとするものの、相手もフラッシュを使ってファーストブラッドを獲得した。

この後がとても熱い展開で、viviD選手はデッドすることを把握していた上で1キルを返せると判断してイグナイトを相手のYutapon選手に使用。Yutorimoyasi選手がキルを取ろうとするが、それをGaeng選手が妨害。

V3側のミニオンの量がDFM側よりかなり多い上での判断で、その後もうまくプレッシャーをかけていこうとするYutorimoyasi選手だったが、Gaeng選手が攻撃をすることでミニオンの攻撃のターゲットを自分に集中させていたため、Yutapon選手がデッドしなかった。

そして、Gaeng選手がフラッシュしてフックを当て、すぐさま「絶望の鎖」(よくフレイとも呼ばれてる)を当てていくことまったく攻撃させずに、さらにキルを重ねていく。スレッシュを最初のピックで選ぶ理由がこのプレイにあった。

だが、そのわずか1分後にミッドのAce選手がレネクトンでうまく「メッタ斬り」を当ててスタンさせ、ガンクに来ていたBaby選手がCCを重ねて1キルを返す。あらゆるレーンでキルが発生しており、この試合もどうなるかまったくわからない状況に。

そんな中、Gaeng選手のスレッシュが絶好調で何回もフックを当ててキルを獲得。なんといっても、17分近くで行われたドラゴン戦でAce選手のライズがポータルワープでうまく回避したところをフラッシュフックで当てたシーンは観客大盛り上がりのナイスプレイ。これには解説のRevolも思わず唸るワンシーンも。

Evi選手のナーも、Paz選手が使用するライズのほうがレーンの有利は取りやすいにもかかわらず、10分前後には有利を返していた。一度はガンクが決まってしまったが、その後の14分50秒前後のテレポートガンクは見事にさばいた。

うまく集団戦で勝利を掴んでいくDFMに対して、V3も攻められてきたところをうまく返してた。フックを当ててきたところを逆に返していたり、Ace選手が無理やりにでもキルを取りにいって2キル同士の交換にできたシーンもあったものの、流れを止められずDFMの勝利となった。

この第2試合を見た感想としては、DFMとしては本来ほぼ考えられない初戦の敗北だったとは思うが、しっかり気持ちを切り替えて試合に臨めていたという印象。V3も自分たちが勝利できるパターンをしっかり作っていたので、なおさら「DFMは強い」と実感させられた。

抽選会から目が離せないWorldsとDFMを待ち受ける注目チーム

LJL 2019 Summer Splitの結果は3-1でDFMの優勝だったが、ここからWorldsへの道が始まる。最初に行われるのが、プレイインのグループ分けの抽選会。

9月23日(月)に行われる抽選会は、勝ちやすいグループに入り、グループステージに進出しやすくするためにとても大事なイベントといえる。

ちなみに、2018年のDFMはかなり順調に進み、あと一歩のところまで来たもののEDward Gamingに敗北。グループステージには進めなかった。

2018年は結果的に、強い地域の第3シード全4チームがそのままグループステージに進出したので、今年こそはDFMにグループステージに進出してもらいたい!

以下では、プレイインに出場するチームから個人的に注目しているチームを紹介する。

DAMWON Gaming

今年の春に一部リーグに上がってきたチームが、そのまま世界大会へと駒を進めた。スターターメンバーのほとんどは、このチームでずっと選手生活を送ってる。

プレイインから出場するのはあり得ないぐらい強さで、LCK春のレギュラーシーズンでは5位という成績。2部リーグ上がりたてでは十分すぎる順位だが、夏のレギュラーシーズンでは13勝5敗でなんと2位。第1シードで出場しているSKTには無敗という強さだ。

初の世界大会なので、緊張などで思わぬプレイに繋がる可能性は否定できないが、間違いなくグループステージ出場筆頭候補だと思う。

Unicorns Of Love

UoL復活。以前はヨーロッパの地域で戦っていたが、フランチャイズ化の影響で戦場をCISに移した。レギュラーシーズンでは2位だったが、プレイオフで強豪チームである「Vega Squadron」(以下、VEG)を倒して出場を決めた。

面白いことに2019年に行われたMSI(春のレギュラーシーズンの後に行われる世界大会)で、VEGにいた3名の選手が移籍してきている。つまりその3名にとっては、チームを変えただけで2大会連続出場となっているわけだ。

特に、サポートのEdward選手は、2011年から選手活動を始めているベテラン選手で直近ではヨーロッパの「Rogue」というチームで戦っていた。フックチャンプを好んでおり、スレッシュが得意なことから「The Thresh Prince」と呼ばれている。

Flamengo eSports

プール3のチームとはほとんどの場合戦うことはないが、このチームを紹介する理由は、Shrimp選手がいるからだ。

Shrimp選手は2017年春のシーズンにDFMに所属していた選手。他にも北アメリカでかなり戦っているベテラン選手で、久しぶりに北アメリカを出て選んだ場所がブラジルだった。

他にも世界大会経験者でベテランのRobo選手やbrTT選手などかなり整ったチームで、抽選内容によってはグループステージにいってもおかしくないチームだと言える。


DFMは2013年に結成され、さまざなメンバーが加入し、そして去っていった。実はコーチのKazuも、もともとはDFMでサポートとして出場していた過去がある。

日本ではライバルチームに負けるときもあったが、ほとんど1位という成績で最強チームという名に恥じない戦歴を残してきた。ここ数年は世界でも少しずつ戦えるようになっており、2018年のWorldsでは、今年第2シードでプレイインが免除されている「Cloud 9」に対してかなりいい試合をした。

毎年DFMには「今年こそ!」という応援がされているが、2019年はどこまで勝ち上がることができるのか? 注目していきたいと思う。

Worlds決勝は、11月10日(日)にフランスのパリで開催!

記者プロフィール
Kyon
高校の教師になるために大学に通うも、eスポーツの魅力に惹かれ教職を辞退。eスポーツキャスターやプロチームのマネージャー、大会運営、デザイナーなどさまざまな経験をする。好きなゲームは「League of Legends」と「ブロスタ」。

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