【独占取材】アジア競技大会に参加した日本代表クラロワプレイヤー“けんつめし”に密着、予選会場となる香港でその心境を訊いた【前編】

WPJ編集部
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2018年8月18日、インドネシアにおいて「アジア競技大会」が開催される。同大会は、アジア・オリンピック評議会(OCA)が主催するアジア地域を対象にした国際総合競技大会だ。第18回では公開競技(※)としてesportsが行われる。

去る2018年5月には、日本代表選考会が開催された。「クラッシュ・ロワイヤル」(以下、クラロワ)の予選大会では、かねてからWELLPLAYED JOURNALが追っている“けんつめし”が優勝。東アジア予選に日本代表選手として参戦する事となった。

今回WELLPLAYED JOURNALでは、2018年6月12日、香港で行われた東アジア予選に同行し、けんつめしの“独占密着”取材を行った。けんつめしが、一線を画す輝きを放っているのは「自分のゴールが見えていること」。そのゴールに向かって突き進む姿が人を惹きつけるのであろう。そんな彼が日本代表となり何を思うか。自分のゴールにどれほど近づけたのか。プロゲーマー“けんつめし”、19歳の青年“太田研人”に迫る。

※esports は2022年の杭州大会で公式種目になることが決定しており、今回はそれに向けたデモンストレーション競技としての位置づけだ。なお、競技に採用されたのは6タイトル。団体部門は「ウイニングイレブン 2018」「リーグ・オブ・レジェンド」「Arena of Valor」、個人部門で「スタークラフト2」「ハースストーン」「クラッシュ・ロワイヤル」が採用。

■けんつめし
ウェルプレイド所属のプロゲーマー。2017年5月の「クラロワ日本一決定戦」にて優勝し、一気に頭角を現す。同年7月に行われたアジア大会では、日本人として過去最高の3位タイを記録。ゴーレムを使った、重量級のデッキを得意とするプレイヤー。現在は、「FAV gaming」に所属し「クラリワリーグ in アジア」に参戦中。

直近の大会出場結果 :
・クラロワ日本一決定戦 優勝(2017年5月)
・Clash Asia Crown Cup 3位タイ(2017年7月)
・クラロワ日本一決定戦 The Final ベスト16(2017年10月)

YouTube:けんつめしTV
Twitter:@Kent_Golemeshi

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ゲームが上手い事が“素敵だね”と言われる世界を目指す

去年のクラロワアジア大会。この大会に参加できたからこそ、けんつめしは今の姿があるのだ。

2017年7月、上海で開催されたクラロワのアジア大会Clash Asia Crown Cup 2017(アジアカップ)の決勝戦にて、3位タイの成績を残しているけんつめし。今回、奇しくも海外で2度目の日の丸を背負う。「前回はプロになる前に出場、今回はプロとして出場する大会。自分がどう変わっているのか腕試しの場でもありますし、立ち振る舞いも変わっていると感じます」と、異国の地で決意新たに闘志を燃やす。

香港という異文化が絡み合う活気に満ちた土地の印象や過ごし方については、「暑いですね。海外遠征では、その土地の風景や食文化などひとつひとつを大切に過ごしています。まさに、この夜景とか。みて感動した瞬間や空気は、二度は味わえません。一期一会を大切にすることで、自身の経験にもなります」。

決意を胸に香港へとやってきたけんつめし。

現在開催中の「クラロワリーグ in アジア」では、チーム「FAV gaming」として参戦しているけんつめし。しかし、今回は単身で挑む。心境の変化はあるのだろうか。

「変化は感じています。チームはゲームに紐づいていますが、個人はどこまでもつづいていく。それこそ、今回成し遂げることは、自分の人生のなかで礎になります。こうした経験をさせていただける環境に本当に感謝しています」

彼が香港の地に足を着けることができたのも、日本代表選考会で優勝を果たしたからだ。改めて日本代表選考会、当時の想いを尋ねてみると、飾らない真っすぐな決意で挑んでいたことを吐露した。

「誰にも行かせたくなかった。“絶対に自分が行くんだ”……その気持ちが本当に強かったです。だからこそ、今回悔いのないようにプレイします。“この一瞬のプレイが人生の全てを変える”、そういう想いを胸に万全の状態で挑みます」

一方で対戦相手に関しては、「アジアのそうそうたるメンバーと戦えるだけでも “いい経験”だし、気持ち的にも熱い想いが込み上がってきます。日本予選も強豪ぞろいでしたが、そこで勝ち上がれたのは、今の自分の中では大きな自信につながっています」と語った。

けんつめしが現地・香港入りしたのは試合2日前。試合当日を迎えるまでは、自身のデッキ・戦術の復習なども当然怠らない。

「普段きちんと練習しているからこそ、今の状況を楽しむことができているし、自信もついています。毎日やっていることが力になっていると感じますね。今は結果を出すとき。2日後を楽しみにしています」

けんつめしの目は常に未来を見ている。ブレないからこそ、彼は輝いて見えるのだ。

さらにこう語ってくれた。「今一度“自分の人生をどうしたいか”、“自分がプロになった目的”などを見直していきたい。こうした想いに整理をつけてから、“よし行くぞ”と試合に臨むつもりです」と、目の前の試合に意識を集中しながら、自身の方向性がブレないように、より一層気を配っていた。

彼が目指しているゴールのひとつに、“クラロワを盛り上げて、もっと多くの人に遊んでもらう”――という目標がある。

「今まで本当に多くのサポートを受けてきたので、その恩返しがしたい。クラロワが上手いことで“素敵だね”といってもらえる世界を目指しています。また、そのためには“プロゲーマー”の存在が浸透し、当たり前になることが最終的なゴールだと思います。そして、プロゲーマーのなかでも “けんつめし”の名前が挙がり、“太田研人”という人となりが付随されるようになりたい。多くの人に憧れるような存在になるため、頑張っていきます」
 


 
怒涛の初日を過ごしたけんつめし。荒波のような1日の中でも自分の進みたい道を見失うことはない。それこそが、彼の強さであり、日本代表というチャンスを掴みとれたのだろう。
これから始まる過酷なトーナメントを前にしても、その状況をも楽しむことができること、プロゲーマーの矜持を感じさせてくれた。

Clash Asia Crown Cup 2017から1年が経ち、プロとなったけんつめしがどう成長したのか。同じ時期、同じ国で改めて感じることができるこのチャンス。中編では、試合までの残り1日をどう過ごしたのか、彼の夢についても改めて語ってもらった。

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本気で毎日そのことを考えている会社の編集部。

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