ウイイレプロMayageka ライバルSOFIAの引退に本音を語る【後編】

WPJ編集部
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去る盟友SOFIAへの本音

――アジア競技大会で金メダルに輝いたSOFIA選手が、先日、引退を表明されました。周りのプレイヤーが現役を退くのを見てどんなお気持ちでしょうか。

Mayageka:
昨日、ちょうど飲んでいてその話をしました。

なぜ今なのか、このタイミングなのかなっていうのは正直思います。SOFIAさんは自分より若いプレイヤーですし、いまこうやってesportsが盛り上がって、ウイイレも力を入れてきている中で、結果を出していたプレイヤーなので、一緒に頑張っていけたらいいなと思ってたんで、個人的には寂しい思いが強いです。

――ご自身も引退を考えることはありますか。

Mayageka:
いまは世界一になりたくてしょうがないんで、考えられないです。世界一になったら考えるかもしれないですけど。

ただ、次世代のことを考えることはあります。

僕よりも下の世代の子たちが、世界大会に出れるようなレベルに持っていきたいという気持ちがあります。

――そのために何か構想があるのでしょうか?

Mayageka:
自分に余裕があったら、コーチとして教えることもやってみたい。

今はそれをやってる時間がないのでできないですけど、時間が確保できたら何かしらやっていきたいです。

――社会人と両立しているとなかなか難しいところではありそうですね……。会社でウイイレやesportsの話題が出ることはありますか?

Mayageka:
海外の大会に出るときなどは休みをもらうこともあるので、会社の人たちも知ってくれて応援してくれている感じはあります。まぁ、ゲームの大会で休むことに否定的なことを言う人もいるという噂も聞きますが。

地元の友だちとかも、たまたま会って話すと、自分がゲームで頑張っていることを知ってくれているようです。

昔、一緒に遊んでいた人たちからは、自分が大会で勝っているのを知って「俺もいい勝負できんじゃね?」みたいなことは言われますね。

昔は大会なんか存在しなかったので、自分の強さを分からせることができなかったですからね。

そういう意味では、今はツイてる感じがしますね。たまたま自分が強い時期にウイイレが盛り上がってきていて、その中心にいれたのは運がよかったと思います。

だからこそSOFIAさんには続けてほしかったです。

大会会場はまるでスタジアム?

――プレイする側としては、ウイイレの試合のどういうところに注目すると楽しめるでしょうか?

Mayageka:
やっぱりサッカーなので、ルールを理解しやすいのはウイイレの強みだと思います。

リアルサッカーと同じような感覚で、やはり得点シーンは盛り上がりますよ。なので、自分も失点しても、よりゴールが取れる試合がしたいですね。もっと大勢の観客を集める大会があれば、絶対に盛り上がるはずです。

――海外の大会はどんな雰囲気ですか?

Mayageka:
海外の大会はすごいですよ。

アルゼンチンで開催された大会では、南米の選手が戦っているときは応援するけど、他の国の選手にはヤジばっかり。運営の人につまみ出される人もいて、本当にサッカースタジアムのようでした。でも、得点シーン以外でも盛り上がってましたね。

ヨーロッパだとプレイヤーを集中させてあげようという雰囲気があるんですけど、得点シーンはやっぱり盛り上がる。日本もこれに近くて、プレイヤーとしてはやりやすい環境です。

南米がちょっと異常ですね(笑)。

――そんな大会で結果を出すためにウイイレの選手に必要なことは?

Mayageka:
集中力と技術の出し方。

これはおそらくなんですけど、自分のできる操作って他の人もみんなできると思うんですよ。

つまり、どの場面でどの技術を出すかという判断の部分がとても大事です。格闘ゲームみたいに反射神経は必要ないですね。

――PESリーグのルールについて、プレイヤー目線で感じることは何かありますか?

Mayageka:
たぶんプレイヤーの実力を同じ条件で競わせるためだと思うんですけど、大会用モードでは選手の能力が均一化されています。なので、本来はありふれた能力の選手でも、一流の選手と同じ動きができるんです。

均一化によって、たとえば日本人のプレイヤーには日本のチームといったように、自国のチームを使ってほしいということなのかもしれないですけど、だったら身長まで同じにしてほしいです。

背が高いほうが、高さで勝てるし、足が長いから当たり判定が広いので。

あと、総合的な能力は均一化されるんですけど、その選手の特徴は残るんですよ。なので、足が速い選手が多いチームが結局は強いんですよね。

そういうところでチームを選んでいきます。

均一化しなくても、使用できるチームが同じであればお互いの条件は同じだし、楽しいんじゃないかと思うんです、今のウイイレはそういう方針のようです。

ルールと直接関係ないですが、大会の情報が直前にならないとわからないことも多いです。例えば、木曜日とか金曜日になって週末のオンライン予選が発表されたり。

3日前に中国の大会のオファーがきたこともありました(笑)。なんとか優勝するなど結果は出せています。

――いきなり異国の地に出向いて優勝するのはすごいですね。環境が変わって体調を崩すとかよく聞きますが。

Mayageka:
ありがたいことに自分はそういうことに耐性があるようです。

ただ食事はどこに行っても合わないですけど、わりと図太いところはありますね。

国内で加熱するウイイレとFIFAの違い

――今年開催されたアジア競技大会や2019年のいきいき茨城ゆめ国体の文化プログラムの一環として、ウイイレが種目として採用されました。

Mayageka:
自分が好きでプレイしてきたタイトルなのでうれしいですね。

今までだと、東京でしか大会がなかったんですけど、地方でも増えてきて参加しようという人が増えるでしょうし。

そこで強いプレイヤーが生まれてくると思います。

――注目しているプレイヤーっていますか?

Mayageka:
やっぱアジア競技大会で金メダルをとった相原翼くん。

若いですし、世間の注目度的にも勝たなきゃいけないプレイヤー。それに見合う実力をつけていってほしいなと思います。

僕はアジア競技大会の予選に出なかったので代表にはなれなかったんですけど、相原くんが「Mayageka選手が出ていたらどうなっていなと思う?」みたいな嫌な質問をされていたようで、そんなこと聞く必要あるのかなって思ってました。

その間、僕はというと、UEFAチャンピオンズリーグの決勝戦を見に行ってました(笑)。ちょうど日程がかぶっていて、僕はリアルのサッカー観戦のほうを選んじゃいました。

――最後に、ウイイレの選手に聞くのはちょっと気が引けるんですけど、FIFAシリーズはプレイしないですか?

Mayageka:
毎作、買ってはいます。周りにFIFAのプレイヤーが多いので。

大会で勝てるまでやりこむことはないですけど、友人とちょっと遊ぶときにプレイしてます。

――一見、どちらもリアルなサッカーゲームですけど、違う部分ってあるものですか?

Mayageka:
これはもうまったく別のゲームですよ。

同じなのはサッカーゲームであるということだけです。

FIFAの方がゲームっぽいです。サッカーを題材にしたアクションゲームという感じですね。点差がひらくことも多いです。

ゴールの瞬間がいちばん盛り上がることが前提で作られている気がします。

対して、ウイイレはロースコアの試合をどちらが勝つかというところが楽しい。

スコアが2対1になるようなゲームバランスを目指して作っているという話を聞いたことがあります。競技っぽさはウイイレの方があるのかなって思いますね。


長年ウイイレをプレイし続けてきたからこそゲーム性を深く理解し、強くなるためにどうすればいいのかを独自に組み立て実践していることがわかった今回のインタビュー。引退を表明したSOFIA選手について語る表情はどこか悲しげであった。

それでもMayageka選手は世界一へ向けて、そしてプロゲーマー1本で生活していくために日々成長を止めることはないだろう。世界の頂点に立ったとき、彼は何を思うのだろうか――。

(C) 2018 Konami Digital Entertainment
写真・大塚まり

記者プロフィール
WPJ編集部
「ゲームプレイに対する肯定を」「ゲーム観戦に熱狂を」「ゲームに、もっと市民権を」
このゲームを続けてよかった!と本気で思う人が一人でも多く生まれるように。
ゲームが生み出す熱量を、サッカー、野球と同じようにメジャースポーツ同様に世の中へもっと広めたい。
本気で毎日そのことを考えている会社の編集部。

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