プロゲーマーと大学生活の両立も——「クラロワ」トッププレイヤー・RAD選手の目標【後編】

長戸勲
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そして「日本一決定戦」三連覇へ

――:「日本一決定戦」についてもお聞きできればと思います。最初の5月大会は負けてしまいましたが、モチベーションはいかがでしたか。

RAD:
来月(6月)もあったので、「次は絶対勝ちたい!」と思いましたね。とにかく暇さえあれば携帯を触っていました。当時は、地元から少し離れた高校に通っていたこともあって、毎日電車の中でも30~40分くらいプレイしましたよ。「クラロワ」を一緒に始めた後輩と、使用カードを縛ってフレバトしたり。お互い負けず嫌いだったので、毎日のように切磋琢磨していました。だからこそ成長が早かったと思います。あの時間があったからこそ、今に繋がっていますね
 
 
――:そして見事6月大会で優勝を勝ち取ったと。それから三連覇に繋がるわけですが、その3カ月間はどう過ごしましたか。

RAD:
とにかくずっと練習していました。スタジオで負けるのって、メチャクチャ恥ずかしいんですよ。僕はそれが本当に嫌で、そのプレッシャーがあったからこそ優勝した6月はとにかく嬉しかったですね。7月は絶対連覇してやるっていう強い気持ちをもって、対戦相手のデッキを研究したり、しっかりと準備しました。8月に関しては……じつはさすがに三連覇は無理だろうと思っていました(笑)。正直なところ、勝てたらラッキーって思っていたんですけど、結局そのころもガッツリと練習はしていたので、気付けば勝てていた感じです。

3連覇をした8月大会の決勝戦。偉業を果たした。

――:そして前人未到の四連覇に……。

RAD:
……とはいかずに、予選で負けてしまいました。勝てば予選突破という場面で、「あれ? あれ?」って思ったようにプレイできなくて。相手を止められるはずの場面も上手くいかなかったです。気の緩みですかね。負けてしまいました。認めたくなかったですね。嫌だって。でも、けんつがトーナメントに勝ち上がっていたので、仲間として彼に勝ち上がって貰えればいいという気持ちになりました。
 
 
――:結果に一喜一憂したその期間は、RAD選手にとって濃密な時間になりましたね。

RAD:
そうですね。ちなみに、トーナメントで東京に行けるのもモチベーションになっていました。高校の修学旅行でしか行ったことがなかったので、嬉しかったんですよ。「東京に行きたい。勝てば行ける!」って感じで。
 
 

プロゲーマーと大学生活の両立

――:今年の4月から晴れて大学生活がスタートしたと思いますが、1カ月ほど過ごしてみていかがですか。

RAD:
3月の終わりに岡山から引っ越して、今は人生初の一人暮らしをしています。いろいろと面倒くさいですね。でも、一般的に言われているほど大変ではなかったです。とにかく気楽なので僕は好きですよ。ちなみに、自宅から大学はかなり近いんですよ。自転車だと5分、歩いて10~15分くらいですね。僕は朝がとても弱く、本当に早起きができなくて……。なので大学の近くの家を選びました(笑)。
 
 
――:1日のスケジュールはどう過ごしていますか。

RAD:
最近だと、大学に行って、終わったあとにGzブレインでFAV gamingとして練習することが多いです。練習がなければ、大学から帰宅後に動画を撮影・アップという感じです。
 
 
――:FAV gamingとしての練習はどのように。

RAD:
すごく集中してますね。けんつとほかのチームメイト2人と、おこめちん監督も一緒に。今まで同じデッキでプレイしがちでしたが、パターンを広げて普段から自分の苦手なデッキを使うようにしています。僕が使うのはアレっていうイメージが何種類かあって、それを対策されないように、ですね。詳しい内容は言えませんが、いろいろと試しているところです。


 
――:プロ契約を結ぶことで、変わったことはありますか。

RAD:
心境の変化はありますね。じつはプロになる前、今年の1、2月は「荒野行動」をけっこうやり込んでいました。それこそ「クラロワ」をやらなくなるくらい。当時の熱量としては、圧倒的に「荒野行動」が上でした。でも、最近はまったくやらなくなりました。プロ契約を結んだこと、まあ……プレイしすぎて飽きたという面もありますが、結果的に「クラロワ」のモチベーションが上がりました。世界大会に行きたいですし!
 
 

仲間とともに目指すは世界一!

――:これまでを振り返ってみて、印象深い試合はありますか。

RAD:
闘会議2018で行われた日韓のチーム戦ですね。「クラロワ」って、正直なところ負けたら面白くないんですよ。でも、そのときは唯一負けても本当に面白くて! 第1セットは2-1で日本、第2セットは2-0で韓国、そしてチーム代表による決定戦で僕が戦って、1-1までいったんですけど、最後は負けてしまいました。日本一決定戦ももちろん楽しかったですが、人生で一番だったのは日韓戦です。でも、アジア大会、世界大会と比べると規模が小さいじゃないですか。それを考えると、あのときの感動と興奮以上のものがあると考えると堪らないですね。それを味わいたんですよ。

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日韓戦の模様は、当媒体の独自コンテンツ「感想戦」において、RAD選手とけんつめし選手による詳細な振り返り記事としてまとめている。ぜひ、こちらも併せてチェックしてほしい。

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【闘会議2018】クラロワ日韓戦 前半戦 先鋒3試合目 感想戦

【闘会議2018】クラロワ日韓戦 前半戦 先鋒2試合目 感想戦

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――:これから始まるアジア大会へのモチベーションも、かなり高まってそうですね。

RAD:
メチャクチャ楽しみなんです! マジで早くやりたいです!!
 
 
――:プロ選手になるために必要だった「クラロワリーグ20勝チャレンジ」の思い出はいかがですか。

RAD:
たった5日間で20勝というチャレンジでしたが、最初は19戦目で負けたんです。かなり萎えましたね。そのあとも本当にクリアできなくて。最後の1日は友だちとずっと会話しながらやり続けて、残り10時間でギリギリ突破しました。今から思うと、かなり危なかったですね。昔から僕は1000人大会(プレイヤー1,000人が参加する大会)や個人が開く大会などは上位に行けるんですよ。でも、連勝が必要なチャレンジになると全然勝てなくなるんですよね。
 
 
――:目標としている選手やライバルはいますか。

RAD:
ライバル……というか、意識しているのが唯一けんつですね。FAV gamingのチームメイトですが、負けたくないんですよ。もちろん、周りからの注目度はあちらが高いです。でも、僕はこれからの試合を無敗で勝ち上がって、チームのエース的な存在になりたい。キャプテンはけんつですが、エースは僕が貰うみたいな感じで! 仲がいいからこそ、「ここはこうだ!」とお互いに厳しく言い合って、しっかりと高め合っています。たまに凹みますが。
 
 
――:チームとして今の実力はどう思っていますか。

RAD:
まだまだですよ。チーム全体として、集まった当初よりはレベルが上がっていますが、それでもまだまだ。大学生が多く、時間はあるにはあるけど忙しい状態です。もっともっと練習しなければって話し合っているところです。なんせ「クラロワ」は極めようと思えば無限に極められますからね。限界がないんですよ。そう考えると、僕らはまだまだ大したことがありません。
 
 
――:海外と国内のプレイヤーの差は、どう考えていますか。

RAD:
デッキのレパートリーの差が開いていると思います。日本は各種デッキでけっこう上手い人はいるんですけど、そのほかのデッキは使えないんです。海外だと、初っ端からお金をつぎ込んでレベルをカンストさせたり、ウルトラレアを使ったデッキを使用したり、色んなデッキで練習できる環境があるんですよね。すごくレベルの高い環境で練習しているからこそ、使用できるデッキのレパートリーが多い。しかも、それぞれの熟練度も高くて、どれも使えるといった状態にあるんです。対して日本は、1つのデッキが使えてもほかは並程度。その差は如何ともし難いですね。
 
 
――:最後に今年の目標、今後こうして行きたいという思いを教えてください。

RAD:
世界一になりたいという気持ちが本当に強いです。世界一の称号を取ればニュースにも取り上げてくれるし、テレビにも出られる。そうすればもっと視野が広がりますから。あと、大学生活もしっかりとしたいです。平日にプロゲーマーとしての活動があると、どうしても授業に出られない瞬間があるんですよ。親が学費を払ってくれているので、絶対に学業も疎かにしたくない。上手く両立させて、大学生のプロプレイヤーで成功した例として、しっかりと結果を残していきたいです!


 


 
プロゲーマーと大学生活の両立を目指すRAD選手。「クラロワリーグ アジア」がスタートし、今後熾烈な戦いが予想されるが、勝利はもとより、それ以上に好奇心・楽しみが勝っている印象を受けた。純粋無垢で突き進むRAD選手に今後も注目していきたい。


そして、RAD選手が所属しているFAV gamingが戦っている「クラロワリーグ アジア」。これから海外のチームとも戦うことになる。ぜひ、応援しよう!

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記者プロフィール
長戸勲
ゲームやアニメ系の雑誌記事、ムック本の編集・執筆を始め、「ガジェット通信」「コロコロニュース」などで記者としても活動するフリーライター。写真撮影が好きで、構図にはこだわる。本人曰く「突出したものはないが、大体何でもできる」。

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