カードを愛して20年 あーあいが父から受け継いだガチ勢DNA【前編】

WPJ編集部

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「ドラゴンクエストライバルズ」(以下、DQR)で最も有名で、最もシーンを賑わす男、あーあい。

2018年12月に行われたランクマッチ「英雄杯」で1位に輝き、DQR最高峰の舞台「勇者杯 2018 冬」への切符をいち早く手にした。

今回のインタビューでは、その強さのルーツやカードゲームへ対する彼の姿勢に迫っていく。

焦りを克服し英雄杯を制した大晦日

――2018年12月のランクマッチ「英雄杯」では、悲願の1位を獲得されました。最後までどう転ぶかわからないデッドヒートを繰り広げましたが、当日の心境はどうでしたか?

あーあい:
正直、かなり焦っていましたね。

前日までは単独首位でポイントもそこそこ差を付けていたんですけど、最終日にライバルが5人くらい追いかけてきて、焦りが出てきた感じです。

12月は体調が万全ではなく、思うように長時間プレイすることができなかったんですが、なんとか1位になれました。

――英雄杯の期間が終了して1位が決まった瞬間はどうでしたか?

あーあい:
もうガチで泣き崩れましたよ。

1位になれたのは、DQRで最初に実施されたランクマッチ「竜王杯」以来のことで、その間は最高でも2位にしかなれなかった。

特に勇者杯2018夏の決勝大会につながるダークパレス杯では、残り4時間くらいの時点で、2位にある程度の差を付けていてこれはいけると思っていたところで逆転されてしまったので、悔しくて泣きました。

そういった経験もあって、今回は本当にうれしくて、良い年越しになりました。

――また最後の最後で逆転されずに済んだと。

あーあい:
何が起こるかわからないので、最後の1秒まで緊張感がありました。

終了間際にTwitterでお祝いのコメントを送ってくれる人が結構いたんですけど、僕としては全然安心していませんでしたね。

――まさに悲願の1位といった感じですね。感極まって涙が出るのもわかります。

あーあい:
意外に思われるかもしれないですが、結構涙もろいんですよ。

人前では泣くところはあまり見せないですが、もし勇者杯で優勝したら泣いてしまうかもしれないですね。

――焦りが出てきた中でプレミ(※)はしなかったですか?

あーあい:
自分が認識している限りでは、最終日は1回しかプレミはなかったです。そのくらい神がかっていましたね。

他の上位プレイヤーたちも高い勝率でポイントを上げていたので、これは負けられないと思って。

普段は速いプレイングを心がけているのですが、慎重さを重視したこともよかったのかなと思います。

※プレミ:プレイングミスの略。操作ミスや判断ミスなど。

大会で勝つためのあーあい流プレイスタイル

――速いプレイングを心がけているのはどういった意図で?

あーあい:
配信が行われる大会では、ゆっくりプレイすることもあるんですが、あえて速くして、見せるプレイを意識しています。

見ている側としては、カードゲームってプレイヤーが考えている時間も面白い部分だと思うんです。

ただ、逆にテンポ良くプレイするのを見たい人もいると思っていて、「こんなに速くプレイするんだ、すごくね?」と感じてもらえるパフォーマンス的な意味合いがあります。

また、大会に向けた練習も兼ねています。他のジャンルのゲーム大会やリアルのスポーツでも同じだと思うんですけど、大会だと緊張で100%のパフォーマンスは出せないはず。

なので、普段から速くプレイするという負荷をかけ、本番でもなるべく普段どおりにプレイできるように準備をしているんです。

つまり、大会で勝つため、自分自身のレベルアップのためにやっていることです。

今はDQRをやっていますけど、カードゲーム自体が好きで、すべてのカードゲームで強くなりたいんですよ。そのためにやっている。

――獲得ポイントは歴代最高を記録しましたが、その要因は何でしょうか?

あーあい:
歴代最高ポイントが、2018年11月のライバルズ杯で更新されていたんですけど、英雄杯は勇者杯への切符がかかったランクマッチで、そこは超えなければいけない壁だと考えていました。

ライバルのプレイヤーたちも順調にポイントを稼いでいく中で焦りはありつつも、粘り強く勝ちを重ねていって気付いたら超えていた感じですね。

このポイントはしばらくは抜かされないと思いますよ。抜かされるとしたら、次の勇者杯への切符がかかったランクマッチでしょうね。

まあ、そのときに抜くのも自分なんですけど(笑)。

あーあい父もガチカードゲーマー

――1位は久しぶりとはいえ、コンスタントに2位にランクインしていますよね?

あーあい:
一発勝負の大会よりもランクマッチの方が得意ですね。

というのも、大会ももちろん実力が反映される世界ですが、学校のテストみたいに水ものでもあります。引きが良い悪いの要素は0にはならないので。

それに対して、ランクマッチはポイントを多く獲得した人が勝つ仕組みなので、勝率が重要になります。

僕は良い勝率を残せる自信があるので、ランクマッチの方が得意。

緊張しやすくて大会で勝てないプレイヤーだという自覚はあります……。そこは鍛えていきたいところです。

――カードゲームとの出会いはいつ、何のタイトルでしたか?

あーあい:
4、5歳の頃の「ポケモンカードゲーム」ですね。

確か、同時期くらいに「遊☆戯☆王」(以下、遊戯王)もやりだした気がします。それからほとんどやめていないので、カードゲーム歴は20年以上になります。

大学のときに1年間くらいやってなかった時期はありましたが、ほとんどやめてないです。

――始めたきっかけって覚えてますか?

あーあい:
父がガチのカードゲームプレイヤーだったんです。遊戯王の全国大会とかに出ていたんですけど、小学生限定の大会に自分が出れないから僕に出場させていました。

とにかくガチゲーマーでした。その影響もあってか、勝つことに楽しさを見出すガチ勢になりました。

好きなカードを使って戦うとか、カードゲームはいろいろな楽しみ方がありますが、僕はとにかく勝つためにプレイするのが好きなんです。

周りの友だちがカッコいいドラゴンとかを使っていても、僕はゴリゴリの環境トップのデッキを使って勝つみたいな感じでした。

――他にプレイしたカードゲームは?

あーあい:
「デュエル・マスターズ」もやりましたし、何種類もやりましたよ。有名どころだと、「マジック・ザ・ギャザリング」と「ヴァイスシュヴァルツ」だけやってないんですよね。

――従来の紙のカードゲームとデジタルのカードゲームの違いは何か感じますか?

あーあい:
最初にプレイしたのが、大学時代に友だちに誘われて始めた「ハースストーン」です。スマホでできるカードゲームと聞いて、「そんなのあるんだ!」と思って始めました。

カードショップに行かなくてもできるし、その場に友だちがいなくてもできる、どこでもできる、こんな面白いゲームあるんだと感動して。

それまで、「魔法使いと黒猫のウィズ」や「チェインクロニクル」といったソーシャルゲームはランカーになるまでやり込んだことはあったんですけど、ランキングに載るのが好きでした。

その中で自分に1番合ってるカードゲームというジャンルのゲームに出会って、これはやるしかないとどっぷり浸かっちゃいました。

カードゲームがこの世からなくならない限りは、ずっとカードゲームしかやる気がおきないくらいの気持ちでいます。


父親の影響で、幼い頃からカードゲームに触れ成長したまさにサラブレッド。

人生の大半をカードゲームと共に過ごした彼は、ただプレイするのではなく、見ている人にどう映るかを意識するという。

後編では、カードゲームの世界で生きていく彼の哲学を聞く。

写真・大塚まり

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