カードを愛して20年 あーあいが父から受け継いだガチ勢DNA【後編】

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class="p-emBox">視聴者目線のパフォーマー気質
――勇者杯 2018 冬の決勝大会が近づいていますが、自信のほどは?
あーあい:
このままいけば僕が優勝する自信があります。
なによりも緊張が1番の敵だと思っていて、自分自身に勝てれば優勝できると思っています。「ドラゴンクエストライバルズ」(以下、DQR)は僕が1番上手いという自信もあるので。
――その自信は、やはり今までカードゲームをやり込んできた経験が由来?
あーあい:
そうですね。
いろいろなプレイヤーがいて、それぞれが背負っているものがあると思いますが、僕は20年以上もカードゲームをやっているので。
人生を全振りしていると言っても過言ではないくらいです。
――カードゲームありきの人生だったと?
あーあい:
見切りをつけるのも大事だとは思いますが、人生は一度きりしかないもの。絶対に後悔したくないんですよ。
勉強に打ち込んだり、スポーツに励んだり、人それぞれの人生があると思うんですけど、僕が20年間積み重ねてきたものはカードゲームだったんです。
そのカードゲームで食っていけるなら、その道でやっていきたいなと思い今がある感じです。
もちろん、いろいろな人の支えがあってやってこれたのは間違いないです。
――まさに好きなことで生きていくですね。
あーあい:
ゲーム関連の会社で何回か転職を繰り返してプレイヤーとしても活動していましたが、自分の言動とか性格が災いして病んでしまって……。ゲーム業界からは離れようと考えていた時期もありました。
でも、もう一度自分に問いかけてみたら、やっぱりゲームで生きていきたいと思うようになって、ちょうどその頃にDQRがリリースされたんです。
そして、最初のランクマッチで1位になり、GAME BOXの社長さんにお声がけいただいて、そこで働くことになりました。
――そう聞くと狙ったかのように1位を取りに行ったように聞こえますね。
あーあい:
完全に狙ってましたね。他のカードゲームで有名なプレイヤーたちもいる中での1位だったので、自信にもなりましたね。
――大会の配信などを見ているとカメラ慣れしているイメージですけど、緊張する方ですか?
あーあい:
緊張は本当に自分の弱点だと思ってます。昔から本番に弱いんですよ。
2位にはなれても優勝できないことばかりで、父からは「お前は俺と同じでシルバーコレクターだな」と言われます。
――お父さんもシルバーコレクターだったのですね(笑)。
あーあい:
強い人って、秀才と天才にわけられるじゃないですか? 僕の父は秀才型で、僕もその遺伝子を受け継いでいると思っています。
でも、努力する天才に勝つのは並大抵のことではないですよね。
――視聴者を盛り上げる喋りやパフォーマンスは、他のDQRのプレイヤーとは一線を画しているように思います。
あーあい:
最初は今のように振る舞うことはできていなかったですよ。配信者とかでなければ、喋り慣れていないのは当たり前です。僕もそういった人の1人でした。
こればっかりは経験が必要なのかと思います。海外の人の配信を見ると、結構激しい発言とかをしているんですよね。日本だったら炎上しかねないような。
そういうのを僕は限度を超えない範囲で、冗談交じりで言っていけたらいいなと思っています。勝負に集中して勝つことが前提の中で、見ている人も楽しませるのが理想ですね。
カードゲームって、ルールを知らない人が見ても、何が起こっているか理解できないじゃないですか?
だけど、僕が身振り手振りリアクションを取ったり、表情をさらけ出したりすれば、どっちが優勢だとかがわかると思うんです。
――確かに、ルールやデッキの特徴とか展開を理解するには一定のハードルはあるように思います。
あーあい:
見ている人を楽しませることが、カードゲームのプレイヤーはあまりできていないように感じます。
もちろん、勝つことが最優先なのは絶対ですが、僕はそういった見せる意識も大事にしていきたい。野球とかサッカーの選手だって、いろいろなパフォーマンスをしている。
カードゲームを知っている人しか見ないという先入観を取り除くためには必要なことだと思っています。
――どのジャンルにも言えることだと思いますが、カードゲームを見せることの難しさがありそうですね。
あーあい:
格闘ゲームやFPSのように、一瞬も手が離せないようなゲームではないので、パフォーマンスはしやすいジャンルだとは思います。
頭の中では思考を巡らせるんですけど、何かをしながらでもプレイしやすいのがカードゲームですから、見る人へのアピールはやらなければいけないくらいですよね。
もちろん、ミスをしないことは前提。その上で、プレイだけなくパフォーマンスにおいてもオンリーワンを目指したいです。
あーあいはみんなの師匠?
――ご出演されている、あらくれCHの「勇者と魔王2人の乙女」(※)の話を聞いたときはどう思いましたか? うまくやっていけそうでしたか。
あーあい:
過去にコーチングの経験もあり、教えることは得意なことの1つだと思っていたので、不安とかはなかったですね。
※勇者と魔王2人の乙女:DQR公認コミュニティ配信チャンネル「あらくれCH」にて配信されている企画。勇者TAKEcakeと魔王あーあいが、それぞれ弟子を育成。最終回で弟子同士が対決する。
――企画開始時から1月半くらい(取材時)が経ちますが、弟子の成長は感じますか?
あーあい:
そうですね、初回の対戦を見た感じでは初級者の域を出ないかなと思いましたが、勇者杯の1次予選を突破するくらいに成長しましたからね(※)。
レベルアップしている手応えは感じます。最後、弟子同士で対戦するのですが、まず勝てますね。僕の弟子なんで勝ってもらわないと困ります。
※あーあいの弟子である日向ゆきさん(プレイヤー名:ゆっきー)は、めきめきと上達し勇者杯1次予選を突破。2次予選は残念ながらインフルエンザにかかってしまい参加できなかった。
――育成する上でのプランは何かありましたか?
あーあい:
カードゲームで1番大切なのことは、自分のやりたい動きをやるということ。まずは、何ターン目に何をしたら強いのかというのを教えようと思いました。
どんなカードゲームでも、自分のやりたい動きができるデッキが1番強くて、それをブレずにやりきるのがとにかく大事です。
ただ、未経験者や初心者であれば、今回のような指導方針が合っていると思いますが、中級者くらいの人は僕の配信を見るのが1番勉強になると思いますよ。
僕が配信を続けているのは、対戦相手のレベルが上がってほしいからなんです。
強い人に勝ったほうがうれしいじゃないですか? だからこそ、より多くの人が強くなってほしいと思っています。
――その方がやりがいもあるし、なにより楽しいですね。
あーあい:
例えばなんですけど、ドラゴンクエストとかのRPGで、魔王って序盤は弱い敵しか配置しないじゃないですか。
それって多分、魔王が強い勇者と戦いたいからだと思うんです。
僕はDQR界の魔王ポジションなんで、みんなに強くなってもらってから戦いたいです。
生涯カードゲーマー宣言
――今はDQRをメインにプレイしていると思うのですが、今後プレイヤーとしてどうなっていきたいか考えていますか?
あーあい:
今は確かにDQR一本でやっています。複数のゲームを並行してしっかりプレイできないんですよ。
いずれは、マジック・ザ・ギャザリングのようなグローバルで展開していて伝統のあるカードゲームで戦えたらいいなと思っています。
DQRは日本のプレイヤーだけが相手ですが、そこで勝てなかったら世界で勝つことなんてできやしないと考えていて、いまは鍛えているところですね。
――世界との壁を感じたことがあるのでしょうか?
あーあい:
ハースストーンをやっているときにすごく感じましたね。僕より上手いプレイヤーがいっぱいて、正直これは敵わないなと思い知ったんです。
日本で1番になれないと、この人たちには勝てないだろうと。世界で通用するプレイヤーになるために、まずは日本を制したいです。
――プレイヤーとしては退いて、キャスターなどを担当するなどの次の挑戦はまだ考えていない感じですかね?
あーあい:
今はプレイヤーとして大会で勝ちたいし、活躍していきたいと思っています。
ただ、それだけで食っていけるとも思っていないのが正直なところです。いつかプレイヤーをやめた時のために、喋りの練習もしたいと考えているところではあります。
今はコアユーザー向けな発信が得意ですが、誰にでもわかりやすい実況ができれば最高ですね。
カードゲームの面白いところは、成長し続けようと思ったら限界がないこと。将棋や囲碁のように、若さではなく経験がものを言う世界で、いつまでも続けられる。
一生カードゲームが好きでいると思うので、何かしら関わっていたいです。
強気な発言の裏ではかなり緊張していたり、周りの人を強くするために配信していたり、あーあいの考えることは一風変わっているようで、彼なりの哲学に基づいていることが感じられた今回のインタビュー。
来る2月10日に行われる「勇者杯 2018 冬 決勝大会」。
果たして、自称魔王あーあいが勇者杯を制すのか……。こうご期待。
写真・大塚まり
TAKEcakeはいかにしてDQライバルズの公式大会「勇者杯2018春」で勝利したのか。勇者が歩んできた“これまで”と“これから”【前編】
期待が集まった大会でTAKEcakeさんがどのような心境で試合に臨んだのか、それまでにどんな準備をしてきたのかについて深く切り込んで質問を行った。彼はインタビューのなかで、優勝して尊敬する堀井さんと対面し、おもわず涙してしまったあの瞬間についても赤裸々に語ってくれている。