理想は「楽しませて勝つ」高川健に聞く2019シーズンの展望【「eBASEBALL プロリーグ」読売ジャイアンツ集中インタビュー1】

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※本インタビューで言及されている選手データは、「実況パワフルプロ野球2018」ver.1.14時点の内容になります
読売ジャイアンツの課題は「球速とノビ」
――今シーズン、読売ジャイアンツで戦っていく上でキーになる選手を挙げていただけますか。
高川健(以下、高川):
昨シーズンと同様、坂本勇人選手ですね。
――高川選手が着用するユニフォームの背番号も、坂本勇人選手の6番。最も好きな選手として挙げられています。
高川:
右打者でホームラン40本を記録し文句なしの成績を残されていますし、打撃の軸となる選手です。ただ、今シーズンは守備の能力値が低く設定され、プレイしていても今まで取れていた打球が取れないと感じています。
――とはいえ、坂本勇人選手の代わりはいない。
高川:
そうですね。全試合フル出場が前提です。困るのは「調子」が絶不調だったときです。
※パワプロでは5段階の「調子」が設定されていて、ステータス値が増減したり特殊能力の発動に影響を与える。「絶不調」では能力の低下だけでなく、プラス効果の特殊能力が発動しないという大幅な弱体化が起こる
――高川選手の坂本勇人選手の起用には以前からこだわりがあり、必ず2番に置いていました。
高川:
今年はリアルの読売ジャイアンツでも坂本勇人選手が2番に起用され、時代が追いついてきた感がありますね(笑)。
――次に投手ですが、今シーズンは山口俊選手が各種タイトルを獲得し、エースとして活躍しました。一方で、菅野智之選手やマシソン選手といった投手陣の柱だった選手の故障があり、パワプロでも能力値が下げられています。
高川:
正直に言うと、現段階で読売ジャイアンツの投手陣の査定は12球団でもかなり厳しいです。
現在のパワプロは「球速が速い投手が強い環境」なのですが、ジャイアンツは球速に関係する特殊能力を持っている投手が少ないです。例えば、昨シーズンも話題になった特殊能力「球持ち」を持っている投手が少ないですし、球速の体感に影響する「ノビ」の能力が全体的に低いのも問題です。
――今シーズンからのルール変更で、カードごとのスタミナのリセットがなくなったのは重要なポイントです。これにより、実際のプロ野球と同様、先発投手を一定数は揃えないといけなくなりました。プロ野球のジャイアンツも終盤戦は先発運用に苦労していましたが、パワプロではいかがですか。
※投手は1球投げるごとにスタミナを消費する。1試合目でスタミナを全て消費すれば、基本的に2試合は投げられない。eペナントレースは3試合で1カードと区切られており、昨シーズンは投手のスタミナが「カード内でのみ」持ち越されるルールだった。つまり、カード毎にスタミナはリセット(全回復)されるので、例えばタイガース戦の3試合目に先発した投手が、次のベイスターズ戦の1試合目に先発するということが可能だった
高川:
まず桜井俊貴選手ですが、「球持ち」と「緩急」という強い特殊能力を持っていますが、変化球に不安があります。チェンジアップという変化球はパワプロでは弱く、スライダーもカットボールに変わってしまい、使い勝手が悪くなってしまいました。チェンジアップがフォークであれば、かなり違うのですが……。
――フォークといえば、今村信貴選手はいかがでしょうか。
高川:
今村選手は先ほどの「ノビ」の問題が大きく影響する選手です。フォークという変化球は、「ストレートに見えるから振ってしまう」球種なんですね。今村選手はノビFなのでストレートの威力が落ちてしまうので、フォークの使い方が難しくなります。
――そんな投手陣の中で、期待したい投手はいますか。
高川:
戸郷翔征選手に期待しています。すでに実績のある投手に「ノビ」がつくとは考えにくいですし、終盤の活躍からいい能力が設定されることを期待しています。
あとはクローザーとして活躍しているデラロサ選手ですが、先発適正があるので調子が「絶好調」なら先発起用もありえます。
――クローザーが先発というと、オープナー(※)を連想しますね。
高川:
デラロサ選手の場合は、パワプロでは通常の先発として起用できます。「好調」以上だと、スタミナへの補正があるんです。また、ジャイアンツのキャッチャーは「キャッチャーC」という投手のスタミナが減りにくくなる特殊能力を持っているので、じゅうぶんに先発投手として働けると思います。
※オープナー:2018年シーズンにタンパベイ・レイズが用いた戦術。中継ぎ投手や抑え投手などを先発として登板させ、2番手に本来の先発投手を登板させる起用法。点が入りやすいといわれる初回を無失点に抑える目的がある
――ジャイアンツの長年の課題であるセカンドや、3人体制で運用したキャッチャーなど、スタメンの流動的な部分はパワプロでどうなりますか。
高川:
まずセカンドは吉川尚輝選手ですね。パワプロでは怪我で欠場ということはなく、打撃面で少し下方修正されましたが、守備は非常に優秀なままなので不動のレギュラーです。
キャッチャーですが、個人的には炭谷銀仁朗選手を起用しようと考えています。理由としては、捕手陣のなかで唯一、弾道3なんです。また、チャンスに強い特殊能力も持っているのも大きいです。
※弾道:バッティング時、打球が上がっていく際の角度。1~4で設定されており、ホームランの出やすさなどに直結する
――昨シーズンは小林誠司選手が正捕手として起用されていましたが、炭谷選手ですか。
高川:
小林選手は併殺というマイナスの特殊能力があり、弾道2なのでバッティング面で劣るんですね。守備面では小林選手のほうが肩の強さで上回るので、調子次第では小林選手をスタメン起用する試合があると思います。
ただ、小林選手、炭谷選手いずれにしても、勝負所では代打を出す場面が多くなります。守備固めで両選手ともに起用する試合も多いでしょうね。
また、大城卓三選手は代打○という代打時に能力が上がる特殊能力を持っているので、スタメンでの起用よりはまず代打起用を優先しようと思っています。
根幹にあるのは「みんなで楽しくゲームをしよう」
――昨年は「最低限のピッチングで抑えつつ打ち勝つ」と話されていました。しかしシーズンの終盤では、チーム全体で改めて「ピッチングの重要性」に気づいたと話すのが印象的でした。
高川:
現状のパワプロのジャイアンツは、投手力に不安があります。そうなると、私たちプレイヤー自身のピッチング技術が重要になってきます。
昨シーズンよりは自分のピッチングも改善されたと思いますが、本番になってみないとわからないですね。あの試合会場の雰囲気のなかで実践できるかが問題なので。
――高川選手は昨シーズンの前半、いわゆる「ドツボにはまる」状態に陥っていましたね。
高川:
「地球の裏側まで行くのか」と感じるほどの穴にハマりました(笑)。
――この1年はその反省を活かす練習をされたのでしょうか。
高川:
そうですね。とくにオフラインでの練習に多く取り組んできたのは、相手バッターのミートカーソルが見える状態でのピッチングに慣れるというのも大きな理由でした。
ほとんどの選手がオフラインでの対戦時にナイスピッチ率を落としますので、いかに勝負所でビシッと決められるかが大切です。球種の選択で強気にいくなど、最後はメンタルの勝負になると思いますね。
――今シーズン、戦ってみたい選手はいますか。
高川:
やはり倉前俊英選手(プレイヤー名「カイ」:広島東洋カープ所属)ですね。年に1回のおなじみにできれば面白いのではないでしょうか。
――昨シーズンもこの質問で倉前選手を挙げ、シーズン中に直接対決が実現しました。倉前選手はライバルと言っていい?
高川:
日頃からも交流がありますし、現在のプロ選手のなかでも付き合いが長い選手なので、お互いに手の内はわかっているんですね。戦術もそうですし……お互いにピッチングが下手なこともわかっています(笑)。
――僕からは何も言えませんが(笑)、カイころ(※)は派手な空中戦となる好カードですよね。では、昨シーズンの直接対決を制された高川選手からは「リベンジを待っている」と。
高川:
ウェルカムですね。
※高川選手と倉前選手は、パワプロのプレイヤー間で「カイころコンビ」として有名。「実況パワフルプロ野球2016」のころからオンライン対戦で対戦を重ね、翌年のオフライン大会で初対面し意気投合。昨年のeドラフト会議前にも銀座デートをしている
――また、実弟である高川悠選手(プレイヤー名「スーム」)がオリックス・バファローズからの4巡目指名でプロデビューされ、eBASEBALL初の兄弟プレイヤーが誕生しました。高川選手とは昨シーズンからいろいろお話させていただきましたが、弟さんがいるのは初耳でした。
高川:
実は他のパワプロ選手も存在を知らなかったので、いきなり西日本のオフライン選考会に現れたという感じだったと思います。昨シーズンも試合会場には来ていないので。
――高川選手へ「プロになりたい」といった相談はあったのですか。
高川:
昨年の段階ではそういった話はなく、「今シーズンもプロテストが実施される」と発表されたタイミングで「挑戦してみようかな」という話を聞きました。
――お2人で練習などされるのでしょうか。
高川:
そうですね。まず「日頃どんな練習をすれば良いか」を聞かれて、そこから実際にやってみようと。
――オフライン練習の大切さを考えれば、最も身近なところに練習相手ができたわけですね。
高川:
でも、彼は指宿聖也選手(プレイヤー名「みっすん」:オリックス・バファローズ所属)の配信をよく観ていて、指宿選手の話をよくしていましたよ。
――セ・パe交流戦ではジャイアンツ対バファローズの試合が組まれており、兄弟対決を期待されると思います。
高川:
個人的には「遠慮します」という感じです(笑)。
――高川選手はこれまでも大会や試合へ臨むときのモチベーションとして「楽しむこと」を一番に挙げられていますが、改めて今シーズンの抱負としてお話しいただけますか。
高川:
自分はプロリーグが発足される前からパワプロの大会に参加していますが、そのときから「みんなで楽しくゲームをしよう」という気持ちを大切にしています。日本一を目標にするのも、そのほうが楽しいからです。負けると悔しいですからね。
eBASEBALLへの挑戦もその気持ちの延長線上ですが、注目度も昨年より上がる中で、観られる立場として「どう魅せていくか」という点によりウエイトを置いていきたいと思っています。
自分も観客の皆さんも楽しませて勝つ……贅沢な理想ですが(笑)。
高川選手からスタートしたeBASEBALL読売ジャイアンツ代表選手インタビューは明日以降も引き続き公開予定。
写真・Yumiko Mitsuhashi
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