レッドブル・アスリートけんつめし「先駆者であることが価値」

Mako(WPJ編集部)

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■前編記事

レッドブル・アスリートけんつめしの素性を振り返る

クラロワリーグだけじゃない世界規模の大会

――2019年1月には、クラッシュ・ロワイヤル(以下、クラロワ)の大会「Red Bull M.E.O. by ESL」のためドイツに訪れたそうですが、これは選手として参加したわけではないんですよね?

けんつめし:
そうですね。現地の情報だったり、会場の雰囲気だったりとか、世界大会を見に行って学んだのと、日本代表の選手にアドバイスするという立場で参加しました。クラロワリーグに出場していたプロ選手は出れない大会だったんですけど、ゲーミングチームに所属している人とか世界的に有名なクラロワプレイヤーもいて、かなりレベルは高かったです。

リーグを経験していないだけで強さはプロに近い。世界大会という大きな舞台だったので緊張してそうな雰囲気はけっこうありましたけど、各国の代表として出てきてるので実力はかなりのもので、緊張せずにプレイできた人が勝っていた印象です。

特に優勝した人は勝ち抜いた経験ができたので、プロとも戦えるほど場慣れしたでしょう。僕は去年からプロとして試合に出ていますけど、そこに差はないかなと思いましたね。

いずれクラロワリーグなどで戦うことになるかもしれないと考えると、その場から帰国して早く練習したい気持ちになっていましたね、大会で使われていたデッキを自分なりに試してもみようとも思ったし、学ぶことがすごく多かったです。

――会場の雰囲気はどうでした? 日本のゲーム大会やイベントとの違いを感じる部分はありましたか?

けんつめし:
試合を見ていて思ったのが、ちょっとの差で決着がついたときなんかは、その瞬間に会場中がぶわーって盛り上がっていて、日本よりも盛り上がり上手というか慣れているというか、それが当たり前なんだなって。

特に、選手への応援の仕方がかなり違いましたね。日本でも「がんばれー。」とか歓声が聞こえてくることはありますけど、海外はもっとすごくて、人目を気にせずに全力で応援している感じです。

海外のほうが会場に見に行くという文化が根付いているのかもしれないですね。特にクラロワだと、日本はオフラインの大会ってあまり多くないですし。そういった雰囲気はめちゃくちゃ楽しめました。

――ステージのセットも凝っていたし、配信で見ていても盛り上がってるのがわかりましたよ。

けんつめし:
レッドブルとクラロワが融合した空間みたいな、世界観がとにかくすごかったですね。エリクサーポンプの中にレッドブルが入ったオブジェが作られてたり。ステージとかも作りこまれたりしてて、世界一決定戦とはまた違っていて会場に入った瞬間に楽しくなるような感覚でした。

あとは、レッドブルのウェアを身に着けて公の場で出たのが初めてに近いくらいだったんですけど、海外の人からも一緒に写真を撮ってくれ言われたりして、クラロワとレッドブルが好きな人が集まっていたのかな。

それくらいこのレッドブルのロゴは世間に浸透しているものだと思うので、常にキリっとしていないといけないなと(笑)。気にしすぎかもしれないですが、普段から視線を感じるようになりました。

ドイツで池ポチャな2019年の幕開け

――これまでも海外遠征は経験していると思うんですけど、海外のプレイヤーたちと積極的にコミュニケーションを取れるのはすごいなと思います。

けんつめし:
1人でボーっとしているのが嫌なんです。

それと、Twitterとかで先につながっている人やクラロワでマッチングした人も多くて、そういう人と実際に会ったときは喋らないともったいないって思っちゃうんですよね。

――英語で話せるようになりました?

けんつめし:

いや、全然ですね……(笑)。でも、ボディランゲージとかノリでどうにかなるかなっていう学びはありました。

――ドイツは初めてだったそうですがいかがでした?

けんつめし:
一番印象に残ってるのは、やっぱりご飯のボリュームがすごかった! しかも、1つ1つの味が濃かったですね。ビールと合うようになっているのかもしれないです。

町並みもすごくオシャレだったんですけど、1つ事件があったんですよ……。

――事件?

けんつめし:
ホテルから会場まで結構距離が離れていたのでタクシーで向かったんですけど、タクシーを降りてから建物に入るまでの間に池みたいなのがあったんですよ。

でも、かなり寒い時期だったので水が凍っていて、池だとは気付かずに道路が凍っているだけかと思ったんです。そのまま渡ろうとしたら割れて、池にドボンっと。池が凍るくらい寒いし、雪も降ってる中で池ポチャはキツかった(笑)。

もちろん、スマホも水没しました。しかもこれ、初日の出来事なんですよ。これがドイツの洗礼かと思いましたね。

先駆者として死ぬ気でクラロワ!

――レッドブル・アスリートになった経緯について最後におさらいしておきたいんですけど、そもそも自分のどういうところを見られて声がかかったか、クラロワのプレイヤーとして他の人にはない誇れるものって何だと思いますか?

けんつめし:
やっぱり、学生だったときに覚悟を決めて、大会で優勝して、日本代表になって、世界と戦ってアジア3位で帰ってきて、学校もやめるという決意もして……。日本のプレイヤーの中でいちばん最初に覚悟を決めてプロを目指し始めたというか、最初にこの世界に踏み込んだと思うんですよね。

先駆者であるということに価値があると思っていて、自分のことは自分で決める覚悟を持っているとか、まっすぐ突き進む感じが自分の良さなのかな。ちょっと変わってるところもあるので、世間一般の意見に対して自分の意見も発言してきましたし、そういう部分が目立ってこれから成長していくと見てもらえたのかなと思います。

これまでの結果というと、正直なところぼちぼちじゃないかなと思います。自分ではまったく満足してないですけど、悪くはないとは考えています。たぶんですけど、結果だけではレッドブル・アスリートになれていないんですよね。メディアで話す内容や考え方が、プロゲーマーとして外から見られたときの雰囲気みいなところがあったからこそ、興味を持っていただけたのかもしれないです。

なんかこう、レッドブル・アスリートって面白いスポーツだったり、今はあまり知られていないもの見つけて、どんどん広めていくっていう印象があるので、そこに自分の面白い部分がマッチしたんだとしたらうれしいです。

――では、レッドブル・アスリートとして成し遂げたいことは?

けんつめし:
やっぱり世界王者になってみたいオンライン大会でもいいので、世界大会があれば1位を取りにいきたいですね。クラロワリーグは今年もあるみたいなので、そこでも世界1位を取れるように、死ぬ気でクラロワをやっていきます。

クラロワはそれだけやりたくなる魅力があるんですよね。人によって使うデッキが違うのはもちろん、カードの使い方にも個性が出るし、個性がぶつかり合う試合は本当に面白い。その個性を磨きに磨いて、世界の頂点を目指します。


死ぬ気でクラロワをやり込む。これは、水谷隼選手から受けたアドバイスでもあるとのこと。それが1人のクラロワプロプレイヤー、世界初モバイルeスポーツのレッドブル・アスリートという、先駆者としてやるべきことの1つの答えだという。クラロワリーグをはじめとした試合の場で、その結果を見せてくれることだろう。

写真・大塚まり

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スマホゲームの攻略サイト、情報メディアを渡り歩いてウェルプレイドジャーナルに流れ着いた超絶新進気鋭の若手編集者。イベント取材では物販やコスプレイヤーに釘付けになりがち。

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