けんつめしとRADが語る 日本のクラロワチームに足りないハングリー精神【前編】

2018年12月1日、「クラッシュ・ロワイヤル」(以下、クラロワ)の世界一決定戦に、世界中のクラロワファンやesportsの動向を追う人たちの注目が集まった。
日本からは開催国枠でPONOS Sportsが出場し、世界の強豪を相手に堂々と戦ったことも記憶に新しい。
その会場には、クラロワリーグ アジアのワイルドカードにて敗退したFAV gamingのけんつめし選手、RAD選手の姿があった。
彼らには届かなかった大舞台を目にした胸中を聞いてみた。
世界一決定戦で感じたFAV gamingと世界の距離
――クラロワリーグ アジアのシーズン2が終わってひと段落したしたところだと思います。世界一決定戦は会場で観戦されてましたが、まずは率直に感想を聞かせてください。
けんつめし:
やっぱり、あの舞台に立ちたかったという思いが強いです。観戦していて羨ましかった。
大会の結果としてはだいたい予想どおりでしたね。Nova Esportsが優勝すると思っていましたし、PONOSは1勝はできると思っていたので当たりました。
みかん坊や選手と天GOD選手ペアの存在が大きかったですね。
RAD:
僕もやっぱり羨ましいと思いました。
世界大会というだけあって、出ている選手たちみんながうまい。2v2も1v1もうまいんですけど、特に1v1でずば抜けて強い選手がいるチームが勝ち抜いていった印象です。
ただ、そこと自分を比べて、大きな差があるとは感じなくて、実際に試合してみたら勝てないことはないと思います。
――ベストマッチを選ぶとしたらどの一戦になりますか?
けんつめし:
一番見応えがあったのは、KING-ZONE DragonXとTeam Quesoの試合でしたね。
チームの戦力的にはQUESOの方が格上で、2v2はQUESOが取りましたが、そこからX-bow master選手が1v1とKING OF THE HILLで次々に敵を倒していった逆転劇は熱かった。
最後にHo選手が試合を決めたのも、観ていて震えました。
アジアリーグで戦ってきたチームが世界を相手にして勝っている光景は、単純にうれしいですね。やっぱりアジアは強いなと、実感できました。
大会を通して感じたのは、圧倒的なエースがいるチームは強いということですね。
――KING-ZONE DragonXでいうとX-bow master選手のような?
けんつめし:
PONOSのみかん坊や選手だったり、Team QuesoのSoking選手だったり、世界一決定戦のトーナメント表を決めるシーディングイベントに出場した選手たちですね。
勝ち星を計算できる彼らの存在は、チーム戦においてかなり大きい。
――FAV gamingでいうと誰になります?
けんつめし:
やっぱり、RADじゃないですか?
RAD:
うーん、みかん坊や選手やX-bow master選手ほどのエース感はないじゃないですか。
けんつめし:
RADは主に2v2をやってくれていたので、確かにそうかもしれない。
FAV gamingは、1v1で絶対的に頼れるエースがいなかったですね。
今考えると、1v1と2v2の両方とも強いチームがいなかったのかなと。2v2で負けても1v1で取り返して勝っていくような、セット3までもつれ込んでいた展開ばかりでした。
みかん坊やだけが持つ強者の資質
――会場の雰囲気はどうでしたか。
けんつめし:
盛り上がりはやっぱりすごかったですね。
主役はもちろん出場している選手たちなんですけど、うれしいことに俺たちも会場で結構声をかけられて、一緒に写真撮影したこともありました。
クラロワのプロによる世界大会、それも日本で開催されるってことで足を運んだ人は割といるんじゃないですか?
RAD:
会場の雰囲気もすごかったですけど、僕はやっぱり海外選手のオーラがすごいなと思いました。
Nova EsportsのAuk選手が好きで応援していたんですけど、オーラというか雰囲気というか、強そうな感じがでていて。
――そういう雰囲気みたいなものって、同じ選手であっても感じるものですか?
けんつめし:
それはありますね。試合が始まる前から強そうな雰囲気が出てて。
日本の選手はまだまだその辺が海外に遅れをとっているところじゃないですか?
みかん坊や選手は、強そうな雰囲気がありますよね。選手兼監督でチームをまとめているリーダーシップもあって。
他の日本人選手は、まだそこまで達していない気がします。
海外のチームはそういう雰囲気があって、特にNova Esportsは、チーム全員が常に世界を見ているような層が厚いような感じもしました。
RAD:
2v2は、たぶんアジアが1番ハイレベルだと思います。それ以外の地域は、1v1に化物がいるって感じで。
なのでPONOSは2v2で勝てると思っていて、実際にそのとおりになっていました。
世界への道が絶たれたあのとき
――世界一決定戦への道が閉ざされたワイルドカードでの敗北の瞬間は、どんな心境だったでしょう?
RAD:あんまり思い出したくないですね(笑)。終わった後はとにかく不完全燃焼な感じだったような気がします。
――対照的にPONOSが世界一へと駒を進めたわけですが、FAV gamingとPONOSの差は何だったと考えますか?
けんつめし:
PONOSはチーム全体のレベルアップができていたように思います。
ほとんどの選手がクラロワの選手専業で、チーム全員での練習とか研究の体制が整っている印象です。安定感がありましたよね。
FAV gamingの場合は学生との兼業もいて、練習時間の調整だったりが難しかった。特に2v2は限られた時間のなかで仕上げていくの困難でした。
RAD:
僕はデッキ作成時間の短さが辛かったです。1分は正直なところ厳しい。もうちょっと時間をいただけると助るんですけど……。
あとは、チーム内で2v2と1v1を両立することが難しいと感じたシーズンでした。2v2がうまければ、簡単に1セット取れるということなので面白かった面でもあります。
ただ、2v2は練習をすること自体が難しいです。同じレベルの練習相手2人組が必要ですし、外部の人に頼んだら情報が漏れるリスクがあるので、そこをどうクリアしていくのか。そういうところでPONOSと差が出ましたね。
けんつめし:
シーズンを通して戦うので、相手の采配とかデッキを観察するという情報戦でも勝っていかなければいけない。そのあたりで妥協してしまうと、絶対にPONOSを追い抜くことはできないはずです。
プロの世界に足を踏み入れたこの1年の区切りとなる世界一決定戦を振り返ったけんつめし選手、RAD選手。やはり、その舞台に立てなかったことに悔いが残っているのが伝わってきた。
インタビューの後編では、その悔しさをバネにして飛躍するために彼らが内に秘める思惑に迫っていく。
写真・大塚まり
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