まちゃぼー的ギルおじが強いワケと幸せの定義

Mako(WPJ編集部)

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■前編記事

ギルティギア界のMr.最適解 まちゃぼー現役復帰はウメハラきっかけ

ゲームが自分のためだけでなくなった

――一時の引退の前後で競技シーンの変化はありませんでしたか?

まちゃぼー:
これはありましたね。まず、大会の数が増えました。今までは年に1回、多くて2回だったのが、5回以上もあって、当時では考えられなかったですもんね。

格ゲーの環境では、主戦場がアーケードではなく家庭用に移行しつつあります。大会でも、家庭用から始めましたって人、名前を聞いたことない人たちが現れてきているのが見受けられましたね。こういう時代になったんだなって。

これまでだったら大会上位の人を知っておけば良いとか、このゲーセンの強い人を知るとか、ゲーセンありきだったんですよね。あとは、僕自身の人柄が変わりましたね。

――人柄が変わった……というと?

まちゃぼー:
この前、久しぶりに会った人と一緒にお酒を飲んだんですけど、変わったねと言われました。かなり穏やかになったのは自分でも感じます。昔はもっととげとげしくて、「格ゲーがすべて。弱いことはダメ」みたいなタイプだったので。

どこまでいっても、人間関係を築くのがゲームからだったんですよね。基本的にゲームセンターにいたので、知り合いがあまりいないんです。強い人とかしか喋らないタイプでした。でも今はもう、誰とでも話すようになりましたね。何から何まで180度変わったレベルで。

――そういうところが表情にも出て、変わったと言われるんですかね。

まちゃぼー:
そうなんだと思います。そう言われるのは個人的にうれしかったです。成長できているということだと思うので。

――今回、YOSHIMOTO Gamingの所属となりましたが、どういった経緯だったでしょうか。

まちゃぼー:
去年の11月末にそれまで所属していた事務所をやめてフリーになったところで、いろいろな人に話して何かあったら教えてくださいと声をかけていたところ、吉本さんからお声がけいただきました。

――最初に話を聞いたときは、吉本ってどういう印象でしたか?

まちゃぼー:
やっぱり、最初はお笑いっていうイメージしかなかったですね。そんなに世の中の情報に詳しいほうじゃなくて、よく知らなかったんですけど、esports関連に進出していたのは知っていて、業界を盛り上げようとしている会社なんだという認識はありました。

そういう会社にサポートしていただけるので、身が引き締まる感じはします。

――確かに、今回まちゃぼー選手以外も新たにマネジメント契約を結びましたし、積極的に展開していますよね。そういった後押しもある中で、まちゃぼー選手が成し遂げたいことって何かありますか?

まちゃぼー:
今まではゲームしながら気楽に生きていければいいなっていう考えでしかなかったんですけど、今は勝ちたいというか強くなりたいっていう気持ちが大きいです。しかも、スポンサードしてもらえてるので、活躍する場所や機会を作っていただいています。ですので、最低でもCapcom Cupに出場して、できれば優勝という目標がありますね。

あとは、誰もが思う最強はまちゃぼーだと言われる存在になりたいです。

強いプレイヤーはゲーセン文化が生む

――最強の存在になることが目標ということは、今現在はまだそうはなれていないということの裏返しだと思うんですけど、自分以外でそれに近い位置にいる人って誰か思いつきますか?

まちゃぼー:
僕が思うのは、ときどさんとふ~どさんがかなり勝っているし、最強に近いなって感じはありますね。自分があまり勝ってないのもありますし、考えとかプレイする内容とかも一緒に練習しているので見たり聞いたりするんですけど、そこでレベルの差を感じてます。

僕より上の選手はたくさんいるんですけど、一番上にいるのはこの2人かなって思ってます。いつでも練習できるので、まずは追いつきたいなと。

――経験豊富で、今なお最前線にいるお2人ですね。年齢を重ねていくことでパフォーマンスが落ちていくことはないんでしょうか。あるいは、それ以上に経験が重要になってくるでしょうか。格ゲーの強さと年齢の関係ってどうお考えですか?

まちゃぼー:
歳を取ると人を知る機会が多くなることは間違いないです。人の数だけ考え方やプレイングがあるので、それを知れば知るほど有利になっていくはずなんですよね。

若手のプレイヤーだと初めて対戦するような相手が多いと思うんですけど、僕とかもっと上のレベルにいる人からすると何度も相手にしていることがあったりします。経験が増えていくことによって、理解度も増していくという感じですかね……。

歳を重ねるということはそれだけ時間が経っているということなので、いろいろな人と巡り合う確率が増えているわけじゃないですか。その対戦の経験が、歳を重ねたほうが強くなることにつながっているのかと思います。格闘ゲームは強さの質というか種類がいろいろあるので、幅広いタイプのプレイヤーと対戦している方が強くなりやすいです。

――ゲームセンターから家庭用に移行していることで、経験の積みやすさに変化がありそうですね。

まちゃぼー:
ギルティギアに関しては、ゲームセンターに通ってやり込んでいる人と家庭用で練習している人だと、ゲームセンター派が勝つんじゃないですかね。ゲームセンターでの交流は、人の話を聞けてプレイスタイルにも触れられるので、より強くなれるんじゃないかと思います。

あくまで僕の考えなんですけど、ギルティギアで最前線で活躍している人は、昔から僕が対戦したことある人とか、いわゆる「ギルおじ」って呼ばれてる人が活躍してますね。そういう人たちはいまだにゲームセンターに通っていますし、レベルの高い対戦していろいろな人と交流しているのもあって、経験値の入り方が違うんです。強い人がたくさんいるところで戦った方が、弱いところでやるよりも絶対いいので。

課金できるようになったから幸せ?

――以前は幸せではなかったとおっしゃっていましたが、今は専業のプロゲーマーとして生活されています。幸せですか?

まちゃぼー:
幸せの定義は人それぞれだということを前提に聞いてほしいんですけど、僕はお金がほしかったので、生活が苦の時点で幸せじゃなかったんです。人によってはお金がなくても恋人や家族がいればいいと思う人はいると思うんですけど、僕は最低限食べるものには困らないぐらいには暮らしたい。

なので、今はかなり幸せです! ゲームで生きているだけでもうかなり満足なんですけど、今までできなかったことがあっさりできるっていうのがうれしいですね。

スマホゲームに課金するとか、昔は絶対できなかったので(笑)。今は始めたゲームにすぐ課金しちゃいます。

――スマホゲーもやるんですね。

まちゃぼー:
格ゲーに限らず、ゲームと名の付くものは好きですからね。今スマホには20個くらいゲームが入ってます。電車での移動中とかはずっとやってますよ。

さすがに本業のゲームに差し支えるレベルではやってないですけど、寝る前とか寝起きとか、ちょっとした時間にやっちゃいますね。

――ちなみに最近ハマっているのは?

まちゃぼー:
最近でもないんですけど「グランブルーファンタジー」ですね。格ゲーが出るって発表されましたし、もともと好きだったんですよね。(※)

僕の周りに格ゲーは未経験だけどグラブルをやってる人がいるんですけど、アケコンとかレバーを買ってやる気満々なんですよ。今のうちに格ゲーを覚えておきたいというので、ストⅤを一緒にやっています。格ゲープレイヤー以外とも触れ合えるのはうれしいですね。

※グラブルを題材にした格闘ゲーム「GRANBLUE FANTASY Versus」が2019年発売予定。開発はアークシステムワークスが手がける。


引退時の裏側や昨今のプレイヤー事情を包み隠さず語ってくれたまちゃぼー選手。YOSHIMOTO Gamingに所属して幸せになった彼の、より一層の活躍を見せてくれるのを楽しみにしてほしい。引退して一時はゲームから離れたことも、人生の最適解だったと思わせてくれるはずだ。

写真・大塚まり

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