「ゲームを隠す」コンプレックスからプロへ もけの格ゲー人生を辿る【後編】

WPJ編集部

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マゴに手を引かれ、目指すはウメハラ&ときど

――動画勢としてプロゲーマーの戦う姿を見てきて、昨年、自分もその世界に足を踏み入れた。自分の実力が通用する感覚はありましたか?

もけ:
「ストリートファイターⅤ」(以下、ストⅤ)が発売されたら、ウメハラさんやときどさんと同じ環境でプレイしていこうと考えて、とにかく強くなろうという気持ちでいました。

実際に発売されてからも、戦っていける感触は自分の中でありました。

特に去年はEVO2017で5位になって、Cupcom Cup 2017では4位になれたのですが、まさかそこまで良い結果が出せるとは思ってませんでした。TOP8に残るのも難しいと感じていたので。

運が良かったところもあると思いますね。才能もあれば運もある、これからもどんどん結果を残していけるだろうと思いましたね。

――ウメハラさんやときどさん、言わずと知れたトッププレイヤーと同じ環境を目指していたのですね。

もけ:
そういう意味では、上京できたことは本当に良かったです。

大阪と東京ではプレイヤーの数が圧倒的に違っていて東京の方が多い。当然、上手いプレイヤーが東京にはたくさんいます。

ドラゴンボール ファイターズは大阪にもトッププレイヤーがいますけど、ストⅤは比べ物にならないくらい東京に強い人が多いんです。

そんな人たちと同じ環境で経験を積めるので、東京に来たメリットはかなり感じますね。

――トッププレイヤーとの交流はためになりそうです。

もけ:
トッププレイヤーのみなさんが集まって一緒に練習していて、そういった場に積極的に行くようにしています。

ウメハラさんやときどさんといった、ストリートファイターのベテランプレイヤーの人たちと同じ空間にいるというのは貴重な経験です。

――ウメハラさんやときどさんというと、動画勢時代によく観ていたプレイヤーになるんですか?

もけ:
もちろんそうです。

動画を観ていてこの人たちみたいになりたいと思ったし、立ち振る舞いだったりゲームへの姿勢だったりという部分で、目指す先として常に意識しています。

そのための道を与えてくれたのはマゴさんです。

――マゴさんですか。それはウメハラさんやときどさんに対するのとは違った、また別の感情?

もけ:
先輩方みなさんに可愛がってもらっていますが、マゴさんはプロになる前から家に泊めてくれるなど、本当にお世話になっていて、いつか恩返ししたいと思ってます。

そう考えると、格闘ゲームの世界を切り開いてきたゲーマーの方たちに引っ張ってもらっている感じがしますね。

――今、名前が挙がったプロゲーマーたちの中に入っていくと、もけ選手ってかなり若いですよね? ジェネレーションギャップを感じることはないですか?

もけ:
基本的にはゲームの話ができるので、会話が通じないことはないですね。

ただ、DBFZをやっているのにドラゴンボールを読んだことがなくて、いじられることがあります(笑)。

――え⁉︎ ドラゴンボールのゲームの選手なのにですか?

もけ:
アニメを観たこともないです。

悟空がドラゴンボールを集める、みたいなざっくりとしたあらすじは一応知っていますけど、キャラクターの知識とかは全然ないです。

DBFZではトランクスをメインに使っているんですけど、どんなキャラクターなのか一切わからない。

――どんなキャラクターなのか知らないで使っているとは思いもしませんでした。

もけ:
周りのDBFZプレイヤーからは「ドラゴンボールを読んでないのはありえない」って言われますよ。

なので6巻くらいまでは読んでみましたが、そこまでだとDBFZに出てくるキャラクターが全然登場しないんですよ。

でも、そんなドラゴンボールを知らない僕を面白がってくれる人もいるので、最近は読まなくてもいいかなとも思ってます。

あ、一星球(※)は読めるようになりましたよ。

※一星球:全部で7つあるドラゴンボールは、内部に星が1〜7つありそれぞれ呼び方が異なる。一星球は「イーシンチュウ」。

格ゲーマー出国前の定番はつけ麺「六厘舎」?

――プロゲーマーの人たちとのエピソードは面白いですね。そういえば、もけ選手のTwitterをさかのぼって見てみたんですが、海外大会に行く前に空港でつけ麺を食べるのがお決まりなんですか?

もけ:
そうなんですよ。

これも、ストリートファイターのプレイヤーってなぜか羽田空港から渡航するときは、他にもいろいろお店あるのに必ず六厘舎(※)のつけ麺を食べるんですよ。

僕もつけ麺は好きでついていって一緒に食べてたんですけど、今は1人のときでも六厘舎を食べて出国するようになっちゃいました。

※六厘舎:東京都で展開する人気つけ麺店。羽田空港国際線旅客ターミナル内にも店舗を構える。

これからイギリスへのフライト!!✈️??

いつも通りの六厘舎をキメキメ。
つけ麺の写真撮ってたら、一人でポーズ決めてたのでついでに撮ったガリレオさん。

今回はポノスのふたり旅で、まずはパリを目指します! pic.twitter.com/tI0tC3WkXz

— PONOS/もけ(moke) (@lllmokelll) July 18, 2018

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――格闘ゲームのプレイヤーってラーメン、つけ麺が好きなイメージがあります。

もけ:
僕は周りに流されてそうなったところがありますけど、たしかにそうですね。

たぶんですけど、ゲームセンターに行く人は、パッと食べてすぐ戻って対戦したいからじゃないでしょうか。

ゆっくりお話ししながらランチっていう感じではないですよね。

――Twitterでこういった素顔が見れるのはファンからすると楽しいですね。

もけ:
以前はそんなにつぶやかなかったんですけど、最近はフォローしてくださる方も増えてきたこともあって、僕のことを知ってもらう場にしたいと思って積極的に日常をつぶやくようにしています。

プロになって芽生えた見られる意識

――他にプロになってから、意識するようになったことはありますか?

もけ:
大会に出場したりネット配信の番組に出演したりと、人前に出る機会が増えたので、立ち振る舞いについては気をつけるようにしています。

やっぱりゲームって、一般の方の認識としてはオタク文化なんですよ。

よく知らない人からすると、ゲーマーはなよなよしたイメージを持っている人が多いでしょうから、それを変えていく必要があると思います。

がっつり体づくりをするまではやってませんけど、弱々しく見られないように常に堂々とするようになりました。

ゲーム業界を代表してメディアに出ることも、今後あるかもしれないですし、マイナスなイメージを与えるような人にはなりたくないので、やはりたちふるまいは大事ですね。

――とはいっても、だいぶゲーマーのイメージって変わってきているという意見も耳にします。ぶっちゃけた話、プロゲーマーってモテる職業なのでは?

もけ:
どうなんですかね……。

露出の機会が増えたら、テレビやネットといった画面の中の人として捉えていただくようになるかもしれないですね。

今年の東京ゲームショウでも、少ないですが何人かの方が声をかけてくださって一緒に写真を撮りました。

もっと目立ったり、ときどさんのように人間性がクローズアップされたりするとモテていくのかな? 僕はまだ全然です。

――個人的にはこうなっていきたいという願望はあるのでしょうか?

もけ:
僕の目標は変わってないです。

今はストⅤとDBFZをプレイして、大会で勝って知名度を上げていくこと。ポノスでは、ゲームをプレイすることを優先させていただけるので、うまく両方のタイトルに時間を割けるようにタイムスケジュールを組んで練習しています。

練習の環境だったり生活だったりはなんとか保っていって、国内外の大会で勝って名前を轟かせます。

格闘ゲームって一瞬の流れで勝負がきまってしまうことがあるので、すべての試合で勝てるとはもちろん思っていません。そこは織り込んで練習や大会に臨んでいきたいです。


前編で語られたとおり、2018年はストⅤで納得のいく結果を残せていないもけ選手だが、プロゲーマーとして成し遂げたいことは決してぶれない。

それを叶えるためにどう成長していくかを、周りの助けを借りながらも、自分で考え行動に移している。

筆者と話すもけ選手の目は、たしかにウメハラ、ときどの背中が映っていた。

写真・大塚まり

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記者プロフィール
WPJ編集部
「ゲームプレイに対する肯定を」「ゲーム観戦に熱狂を」「ゲームに、もっと市民権を」
このゲームを続けてよかった!と本気で思う人が一人でも多く生まれるように。
ゲームが生み出す熱量を、サッカー、野球と同じようにメジャースポーツ同様に世の中へもっと広めたい。
本気で毎日そのことを考えている会社の編集部。

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