「海外プレイヤーは不可欠」EVO優勝のらんぽが考えるUNIの現状

キズグチアロエ

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2012年にアーケード版が登場し、今もなお人気を誇る「UNDER NIGHT IN-BIRTH」(以下、UNI)という格闘ゲームが存在する。

UNIの最新作である「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[st]」はEVO2019のタイトルにも選ばれ、日本人でウェルプレイド所属のらんぽ選手が優勝を成し遂げた。さらに、同時期に新作の発表もされたことから、今後もさらなる注目が集まるタイトルだと言えよう。

本稿では、らんぽ選手に聞いたUNIの魅力や日本大会と海外大会の違いをを紹介する。

日本選手の中で一番EVOを意識していた

――最初にEVO2019で優勝した感想を教えてください。

らんぽ:
EVO2019タイトルにUNIが採用されてからは、EVO2019で優勝することを目標にしていたので、本当にうれしいですね。

僕はEVO2019に向けて国内の大会だけでなく海外の大会にも出場するなど、トレーニングを欠かさなかったんですよ。おそらくですが、僕が日本人の中でも一番EVOを意識していたので優勝できたんだと考えてます。

EVO2019では終盤でも巻き返せる性能を持つビャクヤを使用していたので、僕と対戦した人はかなり戦いにくかったと思います(笑)。

――UNIがEVOタイトルに選ばれたときの、SNSの様子はどうでしたか?

らんぽ:
Twitterのタイムラインがふるえてましたね(笑)。

僕もEVOタイトル発表配信をリアルタイムで見ていたんですが、UNIがタイトルに選ばれたときの驚きは言葉にならなかったです。

――UNIがEVOタイトルに選ばれたのは、なぜだと考えていますか?

らんぽ:
僕の個人的な意見になりますが、UNIの日本コミュニティの盛り上がりが海外にも伝わって、海外の大会も盛り上がるようになったから、EVOタイトルに選ばれたんだと考えています。海外プレイヤーが盛り上がることで日本もさらに活気が出ますし、UNIにおいて海外プレイヤーの存在は欠かせませんね。

あとは、過疎ゲーだなんだと言われながらも、地道に活動を続けていたおかげかな。

――UNI部門のTOP8のうち、7名が日本人プレイヤーでした。日本は強豪国なのでしょうか?

らんぽ:
現時点では日本は強豪だと思います。日本発のタイトルでもありますし、日本選手と海外選手のUNIへの理解度の差が大きいんですよ。ただ、TOP8にカナダのRikir選手もランクインしていますし、海外との差は確実に縮まっていると思います。

海外の選手はハングリー精神がすごくて、僕が海外にいるときも「なんでこうしたの?」「なんでこのタイミングでこの技を?」とすごく質問をしてくるんですよ。ここ数年で海外プレイヤーの実力は顕著に上がっていますし、日本もうかうかしていられないですね(笑)。

――質問は英語で聞かれると思いますが、英語は話せるんでしょうか?

らんぽ:
話せないです……。でも、すごく英語を話したいですね。

現在は翻訳アプリを使ってなんとか交流していますが、自分の言葉で伝えたいという気持ちが大きいですね。最近は英語を勉強できるアプリを使って、コツコツと英語を身に着けてます。聞かれると思うので先にお答えしておきますが、あまり効果は実感できてません(笑)。

――大会終了後にUNIの新作「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[cl-r]」が発表されました。ファンの反応はいかがでしたか?

らんぽ:
過去の大会で新作を作っているという発表はありましたが、実際に会場で正式な発表があったときは、会場はもう大盛り上がりでした! 海外のプレイヤーは飛び跳ねてましたね(笑)。

――開発元である「ふらんすぱん」と、ユーザーの距離は近いんでしょうか?

らんぽ:
異常なほど近いかもしれません。ゲームプランナーの方も大会に誘ったら一緒に出てくれますし、ゲームを作っている方たちがプレイヤーでもあるのは、本当にいいことだと思います。

――今年はEVO直前にラスベガスでバッタが大量発生するという現象が起きました。

らんぽ:
初めてバッタの様子を動画で見たときは、言葉を失いました(笑)。

夏場だしEVOにはサンダルで行こうと思っていたんですが、現地の人が「絶対に靴で来い。なんなら、長靴のほうがいい」と教えてくれたので、サンダルで行くのはやめました。

でも、実際にラスベガスについたらバッタはほとんどいなかったんですけどね(笑)。

UNIの面白さはグラインドグリッドにあり

――数多くある格闘ゲームの中から、UNIを選んだ理由を教えてください。

らんぽ:
僕はもともと「MELTY BLOOD」という格闘ゲームをプレイしていたんですが、その会社がUNIを作っていたので興味を持ちました。無印版のUNIにどうやってハマったのかは覚えていないんですが、なぜかずっとプレイしていましたね。

ただ、無印版から「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late」にバージョンアップしたときに、コンボ周りがガラッと変わったことに抵抗があり、一度UNIは引退してしまったんですよ。しかし、「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late」をプレイしていた友人から「今のUNIはすごくいいゲームだから!」と何度も言われ、押し切られる形でUNIに復帰しました(笑)。

――UNIの一番の魅力は何だと考えていますか?

らんぽ:
魅力はたくさんあるんですが、その中でも「グラインドグリッド」(※)と呼ばれる、ポジティブないしネガティブな行動によって増減するゲージです。

このシステムがあるからUNIは面白くなっていると言っても過言ではないですし、理解しないと本当に勝つことが難しいゲームになってます。でも、プレイしているうちにシステムに慣れてくるので、そこまで身構えなくても大丈夫です。

ただ、このシステムの面白さを理解する前にやめてしまうプレイヤーが多いので、ちょっともったいないですね。

※ポジティブ(前進・防御・攻撃など)、ネガティブ(後退、被ダメなど)でゲージが増減し、ある一定のタイミングでゲージ量の多いプレイヤーが攻撃力アップなどの恩恵を受けられる

――ストーリーも魅力だとお聞きしました。

らんぽ:
そうなんですよ。10時間ほどのストーリーが用意されているのですが、ノベルゲームのようになっていて、ストーリーに対戦を挟まないのが特徴的ですね。格闘ゲームが苦手な人でも楽しめるようになっているので、キャラクターやUNIの世界観が好みな人におすすめです。

――ストーリーを読み進めたら、対戦もしたくなるかもしれませんね。

らんぽ:
確かにそうですね(笑)。

でも、UNIは格闘ゲームの中でもかなり初心者に優しいチュートリアルが用意されているんです。攻撃とは何かから教えてくれるので、格闘ゲームを知らない人でも1から学ぶことができますね。もちろんコンボチュートリアルも用意されていて、ここで練習したコンボだけでも大会でじゅうぶんに戦えるので、本格的にプレイしたい人のニーズも押さえてます。

――ゲームバランスはどうなんでしょうか?

らんぽ:
長く続いているゲームということもあり、かなりバランスはいいですね。もちろんキャラクター相性や、性能面での優劣は多少ありますが、UNI最大の特徴であるグラインドグリッドシステムのおかげでその差が埋まっているんです。

実際にEVO2019のTOP8には、7種類のキャラクターがランクインしていましたし、本当にいいゲームバランスだと思います。

――本作では体力バーのことを「ヴァイタルヴェセル」と呼ぶそうですが。

らんぽ:
UNIはキャラクターもですが、システム名も中二病チックなんですよね(笑)。

主人公であるハイドの武器名は、”断裂の免罪符(インスレーター)”ですし、能力名も”漆黒のEXS「ヴォイドレッド」”とまさしく中二病です。もし、こういう世界観が好きな方ならきっとUNIも好きになれると思います(笑)。

――UNIはどんな人に向いているゲームだとお考えですか?

らんぽ:
コンボをつなげるのが好きな人なら、UNIを楽しんでプレイできると思います。UNIはコンボゲーと呼ばれるぐらいコンボが重要で、コマンド入力の難易度も高いゲームなんですよ。もちろん出すのが簡単なコンボもありますが、コンボ数を伸ばそうとするとかなり難しくなるので練習しがいがありますね!


EVOを意識して行動し、見事に王者の座を勝ち取ったらんぽ選手。その意識は強く、EVO1ヵ月前からは禁酒もしたそう。後編では、らんぽ選手がハマっている趣味や、海外大会で起きた面白エピソードをお届けする。

写真・大塚まり

(C) FRENCH-BREAD / ARC SYSTEM WORKS

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記者プロフィール
キズグチアロエ
「#コンパス」にどっぷりハマり、「#コンパス」に人生を捧げると決めた、傷口だらけのアロエ。
「#コンパス」に携わるクリエイターたちと、仲良くなりたいフリーライター。
どんなヒーローでもそこそこ扱え、特定のヒーローというよりもヒーロー全員が好き。

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