「自分らしく」を貫くうでぃはウイイレで世界へ挑戦する

ハル飯田

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第11回eスポーツワールドチャンピオンシップ「eFootball ウイニングイレブン2020」部門への出場選手を決定する国内予選が東京ゲームショウ 2019(以下、TGS2019)内にて実施され、よしもとゲーミング所属のうでぃ選手が優勝を果たし日本代表の座を手中に収めた。

前作でも日本代表としてアジアの舞台に挑戦した実力者であり、YouTubeでの動画投稿も行うなどSNSでのフォロワーも多いうでぃ選手。

プロライセンスも獲得し更にプレイヤーとして一段ステップを昇ったばかりの彼に、その高い操作技術のルーツやウイイレ観、さらには将来の目標まで話を聞いた。

新環境で掴んだ日本代表の座

――まずは日本代表、おめでとうございます。

うでぃ:
ありがとうございます!

――新作発売日の大会という新環境が始まってすぐの大会でしたが、勝因はどこにあったと感じていますか?

うでぃ:
大会に対する緊張感とかはあまりなくて、大会直前にMayagekaさん(※)や他のプレイヤーとよしもとゲーミングハウスを使って練習したり意見交換したりという機会があったんですが、それが一番大きかったと思いますね。

だから1人の力で勝ったというより、仲間のおかげで勝てたかなと思っています。

※Mayageka:3年連続世界大会に出場している国内トッププレイヤー

――ものすごく自信や手応えがあった訳ではなかったと?

うでぃ:
そうですね。自信がなかった訳ではないんですが、絶対的なものはなかったですね。それこそ、練習時にはボコボコにされることもあって(笑)。

――TGS2019という舞台で非常に注目度の高い大会でしたが、それでも緊張はなかったですか?

うでぃ:
初めて大会で優勝した時からやっていることなんですが、音楽やBGMを聴きながらプレイしているんです。

実況とかアナウンスとかが聞こえてくるとどうしても集中できないので、それをシャットアウトして家でやっているのと変わらない状態でできたのがよかったですね。

――今回から新たに「eFootball 2020」という環境になってさまざまな変更点がありますが、実際にオフライン環境での大会を戦ってみてどう感じていますか。

うでぃ:
発売前に公式からファールについてかなり変わったと発表されていたので「どの程度の接触が許されて、どこからカードが出るのか」が気になっていました。実際、TGS2019の大会でも本番前に2試合くらい練習する時間があったので、そこでとにかくたくさんファールして良い悪いのラインを確認しましたね。

ただ、シュートやパスなどの基本的な部分は、オンラインはともかくオフライン環境ではそこまで変わってないと感じます。

――日本代表として出場するeスポーツワールドチャンピオンシップに向けて、どのようなプランをお持ちですか?

うでぃ:
日頃はmyclubモード(※)をやっているのでそれをとにかくやりこんで、直前にフォーメーションや戦術などの選択肢をいくつか用意しておこうと思います。そこまで「大会だから」と特別な対策をせず、普段通りのベストな自分をぶつけてどこまで通用するか、という感じですかね。

これまでの大会でも相手によってフォーメーションを変えたりせず、自分を突き通すプレーをしてきました。

※myclub:選手監督をスカウティングし自分だけのチームを作り上げて対戦するウイイレの人気モード

――国際試合だと海外プレイヤーとの対戦になりますが、そうした舞台ならではの要素もあると思います。

うでぃ:
そうですね。昨年のアジア大会でも感ましたが、日本人プレイヤーが相手の場合に比べて「そこでパスするんだ」ってシーンが何回もあったのでビックリしました。

でも今はYouTubeとかで相手のプレイも観られますし、そういう意味では海外プレイヤーの分析をするのが一番の対策かも知れないですね。

逆に日本人プレイヤーも普段対戦しないスタイルだから警戒していると、対戦相手に言われました。

2020は3バックが有効!?

――ウイイレ2020発売から1ヵ月が経ちましたが攻略法はどう感じてますか?

うでぃ:
これまでずっと4-3-3のフォーメーションだったんですが、今作は3バックにしています。3バックが強い作品はすごく久しぶりですね。

今作ってクサビのパス(※)が通りやすいので、2トップが強いんですよね。そうなると守るときに4バックだとサイドバックの2選手が余ってしまうので、3バックとアンカーの4人で中央をギュッと締める方がボールを回収しやすいと感じてます。

もちろん、これまでのようにサイドから崩したりという戦術も本当に上手い人が使うと強いですが、ドリブルが若干難しくなったのでサイドから崩し切れるケースが少ないのもありますね。

※クサビのパス:攻撃の足がかりとなる前線の選手への縦パス。前線の選手は相手ゴールに対して背を向けてパスを受け、その後の展開を作る

――では、攻撃の攻略法は2トップということですね。

うでぃ:
そうですね。3-5-2、僕はボランチ1人の3-1-4-2のフォーメーションです。

猛者だと相手もこっちのクサビ狙いはわかっているので、中盤の5人でポゼッション(※)してそのタイミングを焦らすのが効果的かなと。相手が我慢できずに出てきたところでズバッと通すのが気持ちいいし、1つの攻略法だと感じてます。

※ポゼッション:ボールをキープして試合の主導権を握る戦術

――ずっと使ってきた4バックに戻す可能性もまだありますか?

うでぃ:
そうですね。というか、3バックも僕にとっては新しい挑戦というか、やってみたら上手くいったという感覚です。いずれ3バックも飽きてくると思うので、そこでまた新しいスタイルを探して、自分なりのやり方が確立できれば。

――流行らせたいですね。

うでぃ:
そうなんですよ!

やっぱりYouTubeをやってて楽しいのが、自分の戦術を真似してくれる人の存在です。

対戦した時に僕と同じ選手、フォーメーション、コンセプトアレンジだと「うでぃキッズかな?」って思ってうれしいですし、かわいいです(笑)。

――ウイイレは3vs3の「CO-OP」ルールが今年の国体に採用されています。うでぃさんも東京予選に出場されて惜しくも代表の座は逃しましたが、同じウイイレでも1vs1とかなり違いますよね。

うでぃ:
違いますね。難しいです。

――1vs1の猛者であるうでぃ選手の考える3vs3のポイントは何かありますか?

うでぃ:
1vs1で強い人が、ただ3人集まっただけで優勝するのは無理なのかなって思いますね。

ゲームのために集まったメンバーよりも、学校の友だちとかそういう仲間の方が実はうまくいくかもしれません。性格とかプレイの好みも重要ですし、3人のやりたいことが一致していることが大事かなと。

そういう意味ではリーダー的なプレイヤーが1人いて、その意図を理解してついてきてくれる役割の人たちが理想かも知れません。CO-OPは難しいですけど、ゴールの際に喜びあえることもあって本当楽しいです。

確かに感じるウイイレの盛り上がり

――国体種目になるなどウイイレはいま非常に盛り上がっています。まだ構想段階ですがトッププレイヤーは欧州クラブの所属として活動する可能性もありますが。

うでぃ:
いいですよね、やっぱり憧れます。去年から急に大会も増えたのですご’く盛り上がっているのを感じます。都内だけじゃなくて地方でも毎月のようにイベントがありますし、すごいなと。

――そういうイベントの場では選手ではなく解説を務めるケースもあるかと思いますが。

うでぃ:
何度かそういう機会があったんですけど、やっぱり楽しいですね。人のプレイを見るのも面白いですし、喋るのも好きなので苦にならないです。

――いずれはエミレーツスタジアム(※)で試合を。

うでぃ:
それは本当にやりたいです! 目標ですね。

※イングランドの強豪クラブ、アーセナルの本拠地であり例年世界大会の決勝が開催されているスタジアム


新環境での日本代表決定戦という難しい状況のなか「普段どおり」で優勝を収めたうでぃ選手。高い技術力に探求心と向上心を持ち合わせ、本番で自分らしさを貫くメンタリティもまたトッププレイヤーたる所以だろう。

インタビュー後編ではウイイレ上達やYouTube活動のルーツから将来の目標まで、うでぃ選手というプレイヤー個人にフォーカスし、さらに深く話を聞いた。

写真・BUN

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ウイイレトップを目指すうでぃのさらなる野望は「コミュニティーへの還元」

よしもとゲーミングに所属し、より活動に力が入るようになったといううでぃ選手。プロプレイヤーとして結果にコミットする今、コミュニティーをより楽しいものにしたいという将来を語ってくれた。

記者プロフィール
ハル飯田
関西を拠点に活動するフリーライター。コンシューマー機のeスポーツシーンを得意分野にしており、スポーツとゲームが好きすぎてスポーツゲーム「パワプロ」のプロリーグでは解説者も担当。

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