用心BΩYは鉄拳彼女に支えられファンから英語を学ぶ

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鉄拳7のギガース使いといえば、用心BΩY選手の名前が挙がるのではないだろうか。昨年10月に行われた「MASTERCUP TRY TOKYO」ではプロライセンスまであと一歩のところまで勝ち上がり、今最もプロライセンス獲得に近い選手であると言っても過言ではない。
本稿ではそんな彼の鉄拳にかける思いから、プロライセンスをかけた「Wellplayed Challenge」への意気込みまでを紹介する。
用心BΩYは鉄拳彼女とファンに支えられている
――今年は海外大会にもかなり参加されていますよね。いきなり下世話な質問になっちゃいますが、渡航費などが結構な出費じゃないですか?
用心BΩY:
いきなりですね(笑)。
今年はすでに韓国、台湾、ポーランドに行ったんですけど、韓国と台湾に行くときにかかる金額は、大阪から東京に行くときにかかる3万円と同じぐらいです。現地でも2万円ぐらいしか使わないので、大きな出費ってわけではないですよ。
ただ、行くたびにお土産を買っていたらお金がいくらあっても足りないので、会社や周りの人にはお土産は買わないよって伝えてあります(笑)。
ポーランドは東京からしか直通の飛行機がないこともあり、行って泊まるだけで15万円ぐらいかかりましたね。自分のためなので負担という表現が正しいかはわかんないですけど、今年はEVOにも行くと決めているのでちょっとしんどいです。
大会に参加すると日給の仕事を休むことにもなってお金がなくなるので、夜中にバイトしてるときもありますよ。
――そこまで鉄拳をがんばっている用心BΩY選手を支えているものはなんですか?
用心BΩY:
鉄拳プレイヤーでもある彼女の存在が大きいですね。応援してくれていて、とても助かってます。あとはファンからもらえる応援メッセージと、配信に来てくれる方たちにも支えられています。
小学生の頃とかに楽しみにしてたアニメが野球中継とかで放送されなくなる悲しみを知ってるから、自分の配信を楽しみにしてくれているファンが待ってるのを考えると、多少疲れていてもがんばって配信をしようという気持ちになれますね。
実際にやってみると楽しい時間だったで終わることができるので、ファンとの交流のためにやってます。
――ファンへの愛が伝わってきます! 用心BΩY選手が交際している方も鉄拳プレイヤーとのことですが、プレイ歴はどのくらいなんでしょうか?
用心BΩY:
鉄拳6からなので、結構長いんじゃないですかね。たまに2人で練習することはありましたけど、そこまで多くはやったことないです。ゲーセンに行ったらよくやるんですけどね。
僕の家には鉄拳で遊べるスペースが2ヵ所あるんですが、僕が配信中のときも彼女が普通に遊んでるので、たまに彼女がキレてる声が配信に入ることもあります(笑)。
彼女は気晴らしとして鉄拳をやってるらしく、早いときは15分だけやってすぐゲームやめてますね。負けていやになってやめるのはわかりますが、いい感じで勝ててもそのままやめてしまいます(笑)。
寂しさがきっかけで学び始めた英語
――用心BΩY選手は、1日のうち何時間ぐらい鉄拳のことを考えていますか?
用心BΩY:
最近はめちゃくちゃ考えてますね(笑)。
遊ぶときは遊んで、休むときは休むスタイルなんですけど、寝る前とかは鉄拳のことをつい考えてしまいますね。TWTのような大会が近付いてくると、そろそろやらないとなっていう気持ちになるので、最近は本当に鉄拳しかやってないです。
――鉄拳の練習時に英語の勉強もしているようですね。
用心BΩY:
そうなんです。最近は英語を積極的に使いながら鉄拳をする配信をしていて、見てるだけでコメントまではしてくれなかった海外の視聴者さんも、最近はコメントしてくれるようになったんですよ!
ただコメント内容が難しくてわからないときもあるので、そういうときはあなたのコメントを英語で返すのは難しいという意味の「I don’t know how to say English」と答えています(笑)。
これまで英語の勉強はやったことがなくて、あいさつ程度の簡単なレベルの単語や言い回ししか知らなかったんです。
ただ、 TWTで海外に行ってるときに、英語でのコミュニケーションがうまくとれず、英語が堪能な選手に通訳してもらっているのが申し訳なくて。しかも、何を言っているのか教えてもらっても、英語が話せないので返事を直接伝えることができないんですよ。これがすごく寂しかったんですよね。
――それがきっかけで英語を勉強されたんですね。
用心BΩY:
ですね。韓国の選手は英語が話せる人が多いんですけど、その中でもめっちゃ上手いFight Spirit選手がいて、鉄拳強くて英語ができてフレンドリーだし、そして僕があの顔になりたいぐらいイケメンなんですよ(笑)。
僕はかなりのチェーンスモーカーなので、会場で禁煙パイプをくわえていたんですよ。そしたらFight Spirit選手に「それはなに?」って英語で声をかけられました。
そのときはがんばって禁煙用のパイプだよと英語で伝えたんですけど、それに対しての返事の意味がわからかったんです。周りに英語が話せる知り合いがいなかったというのもあって、ちょっと気まずくなってしまいました。
こういう思いをさせたくなくて、勉強しようと決意しました。最近は、周りから英語を勉強し始めてからイキイキしてるように見えるって言われるんですが、僕自身もそう思ってます(笑)。
――最近覚えた英語の言い回しにはどんなものがありますか?
用心BΩY:
最近よく使うのが、さっきも話した英語で返せないという意味の「I don’t know how to say English」や、鉄拳プレイ中につい出てしまう「はぁ?ふざけんなよ」の代わりに「No way!」とか。あとは、今この取材中もそうなんですが緊張すると汗をかいてしまうので、「I broke into a cold sweat」で冷や汗をかいたぜとか、ここらへんでしょうか。
鉄拳してるときに言える生きた英語を視聴者さんが教えてくれるので、うれしいですね。日常会話もそうですが、こういうことも言えるようになってコミュニケーションをとりたいと思ってます。
――確か、海外の選手ともよく会って遊んでいますよね。
用心BΩY:
そうですね!Naps選手が5日間ぐらいホームステイをしているときに、2日間だけイタリア在住のティッシュもん横とび選手もいっしょに家に来たときがありました。
そこで2人が英語で煽り合っているのを見て、面白そうだし参加したいって気持ちになりましたね(笑)。
――英語がペラペラに喋れるようになったら、何をしたいですか?
用心BΩY:
僕みたいに英語が話せなくて寂しい思いをする選手がいなくなるように、僕が現地で通訳をしてあげたいです!
全身の力が抜けて立てなかったMASTERCUP TRY TOKYO
――昨年の「MASTERCUP TRY TOKYO」は、プロライセンスまであと一歩でしたね。負けてしまったときは、どんな心境でしたか?
用心BΩY:
実はあの日はじょうたろう。選手にしか負けてないんですよ。しかも、最初に負けたときは凡ミスで負けたんです。いつもは自分が1P側なんですけど、間違えてじょうたろう。選手の体力ゲージを見てしまいました。
レイジ状態だと思ったのでレイジドライブ技のコマンドを出したんですが、僕の体力ゲージはレイジ状態ではなかったので、別の技が繰り出されてそのまま浮かされて負けました。
これは自分の中では許されないミスで、悔しくてこの段階で少し泣いてるぐらいです。このときティッシュもん横とび選手に「負けることは誰でもあるから、あまり考えずに切り替えて次勝てばいい」ってアドバイスをもらえました。でも、あまりに悔しくて切り替えられませんでした。
ただ、次の対戦相手が知り合いの選手だったこともあり、負けたことを忘れてプレイすることができたんです。たぶん、初見の知らない人とだったら多分負けてましたね(笑)。
この対戦がきっかけで、その後の対戦も落ち着いてプレイできました。あの場では楽しくプレイできたので、最近はどうやって負けたときにあの状態を作り出せるかを模索しています。
――負けてしまった後に、周りの選手が駆けつけていましたよね。そのとき、何と声を掛けてくれたんですか?
用心BΩY:
「良かったよ感動したよ」とか「お前の本気でここまですごいと思わなかった。モチベーション上がったよ」って声を掛けてもらえました。あのときは全身の力が抜けていて立てないし、上を向いているからまぶしくて目を開けられないっていう状態だったんですが、声を掛けてくれた選手もなぜか泣いてました(笑)。
昔は涙もろくなかったのですが、30歳を超えると高校野球を見ても泣いてしまうんですよね。いろんな経験をしてるから感情移入しやすいのかもしれませんね。
敗北したときに、一緒に泣いてくれるほど選手からも愛されている用心BΩY選手は、日本だけでなく海外の選手とも交流を深めたいと考えているようだ。用心BΩY選手が通訳になってくれる日もそう遠くないかもしれない。
後編では、決して強くないキャラのギガースを使い続ける理由や、今年の大会に向けての意気込みや目標について話を聞いた。
写真・大塚まり
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