スマブラ最強の高校生ザクレイ 初海外遠征を終えて

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「Genesis 6」や「Frostbite 2019」など海外でも大型大会が開催されている「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」(以下、スマブラSP)で、ひときわ注目を集める日本人プレイヤーがいる。
それが、17歳の現役高校生にして、GameWithに所属するザクレイ選手。Genesis 6で日本人最高位の5位まで勝ち進んだことは記憶に新しく、今後の活躍に注目しておきたいプレイヤーである。
今回は、彼のプレイヤーとしての思考や性格、高校生らしさのある一面をインタビューを通してお届け。彼の試合を観戦、応援する際に、より力が入るようになってくれれば幸いだ。
海外からの凱旋……祝福はなし?
――なんといってもGenesis 6で日本人最高位になったことが、それまでスマブラの大会やプレイヤーに詳しくない人に知られたきっかけになったと思います。なんでも、初海外だったそうですが。
ザクレイ:
前作の頃から海外遠征に行ってみたいと思っていたので、やっと行くことができてうれしかったです。
海外の大会は動画で観ていたのですが、実際に行ってみて感じたのは、日本と違って観客の盛り上がりがすごかったことですね。大声を出して選手を応援していて、その声量が日本ではまず聞くことのないくらいで驚きました。
参加人数の規模も普段出ている大会より大きかったし、いい経験でした。
――そういう環境の中で普段どおりのパフォーマンスは発揮できた?
ザクレイ:
いやー、正直微妙なところです。
最終日の3日目は本当に会場の熱気がすごくて、いつもどおりの動きができたかというと、少し硬かったかなと思います。
当日プレイしているときや後で見返したときにも感じたのですが、いつもより操作の精度が良くなくて、ミスしたところがちらほらありました。もちろんうまくいった部分もありますけど。
――Genesis 6の3週間後に行われたFrostbite 2019では、クルーバトル(※)のメンバーに選ばれました。ザクレイ選手の出番がなく日本の勝利に終わりましたが、普段の個人戦とは違う心境で大会に臨んだのでは?
ザクレイ:
まずメンバーに選ばれたことがうれしかったですね。
個人的に、大会に懸ける気持ちの大きさは、1対1の大会の方が強いです。個人戦では自分が優勝したいという気持ちが強く、クルーバトルは負けた時の責任がのしかかってくるのが大きいな違いですかね。
個人戦は負けても自分だけの問題ですけど、クルーバトルでは自分の負けがチームの負けにつながることもある。そのことを考えてしまって戦いに影響が出る可能性はあると思います。
最低でも1人分の仕事はしたいなという気持ちだったのですが、そういうチームへの責任感を背負って挑む人が大半だと思います。昔は1対1よりもクルーバトルのほうが緊張していましたね。今は慣れてきてそうでもないですけどね。
※クルーバトル:複数人チーム同士による勝ち抜き戦。スマブラにおいては、試合間でストック数が引き継がれることが多い。Frostbite 2019では、日本対北米のクルーバトルが行われた
――Genesis 6で日本のスマブラファンの注目を一気に集めましたが、帰国後に学校の友だちとか周りの人からのお祝いなどはありましたか?
ザクレイ:
実は、スマブラ界隈のことは友だちにはあんまり話していなくて、Genesis 6という大会がどれほどの大会なのか、僕がスマブラにおいてどの位置にいるプレイヤーなのか、みたいなことは友だちには伝わってないと思います。やっぱり、それなりにスマブラをやっている人じゃないとわからないですし。
スマブラで強くなりたきゃ宅オフ一択
――そもそも、高校生の間でスマブラは遊ばれていますか? 最近の高校生はスマホゲームしか遊ばない人も多いと聞きます。私が高校生だった10年くらい前は、ニンテンドーDSやプレイステーション・ポータブルで昼休みに遊ぶことは多かったです。
ザクレイ:
確かにテレビゲームはスマホゲームに比べて一部の人にしか流行っていないものですけど、スマブラは知っていてプレイしたことがあるという人はやっぱり多い印象はあります。
僕みたいに本気でやってないにしても、好きでプレイしている人はいますよ。
――やはり現役高校生ということで、大会で活躍するスマブラプレイヤーの中では圧倒的に若いですよね。そもそもスマブラに初めて触れたのはいつ頃のことなのでしょう?
ザクレイ:
確か5歳くらいの頃にスマブラDXをプレイしたのが初めてのスマブラだったと思います。
少し歳の離れた兄が2人いて、兄がプレイしていたゲームを一緒になって遊ぶことが多かったんです。その頃からゲームが好きでいろいろプレイしていたので、僕よりちょっと上の世代のゲームは結構やっていますよ。僕と同年代だと、DXをやったことがある人はそこまで多くはないかもしれないです。
本気でスマブラに取り組むようになったのは、スマブラWiiU買って2~3年くらい経ってから、今から3年くらい前ですかね。それまでは友だちとかと遊んでいました。
――もちろん、その中では強かったのですよね?
ザクレイ:
まあ、一応強い方でしたね。今、活躍しているプレイヤーたちも地元では強くて、そこから大会に出るようになったという人がほとんどじゃないですかね。
もともとはオンライン対戦をよくやっていたのですが、そこでつながった知り合いから誘われたのがきっかけで、オフライン大会に出て、スマブラ界隈の人たちと知り合っていったという感じです。
――スマブラ界隈は宅オフが盛んですよね。どんな雰囲気なのですか?
ザクレイ:
まあ、場所によりますが、結構自由気ままな雰囲気です。友だちの家にスマブラやりにいくのと近いと思います。
初めて行く人は緊張するかもしれないですけど。
※宅オフ:プレイヤーの自宅で行われるオフ会。家主の名前をとって〇〇宅と呼称される(例:takera宅)
――強くなるためには宅オフに行くべきだという意見を目にしたことがあるんですけど、ザクレイ選手はどう思いますか?
ザクレイ:
強くなるためには重要ですね。
宅オフに限らず、オフラインの環境で練習することが大事です。オンラインでの練習ってオフラインの練習にどうしても劣る部分がありますね。
スマブラにおいては、オフラインの環境を求めると、必然的に宅オフに通う必要があって、宅オフに行くと強くなるというよりは、オフラインの環境でたくさん練習した方が強くなるというのが正しい表現ですかね。
――オンラインとオフラインの違いってなんでしょうか?
ザクレイ:
単純にラグや遅延が一番大きいです。
あとは雰囲気ですね。1人で画面越しにやるのと、相手と同じ空間でやるのでは全然違いますし、大会では観客もいるし、心境が全然違いますね。
オンライン対戦は本気の練習というよりは、気晴らしに近い感覚でプレイしています。
高校生という若さに反して、どうすればスマブラが強くなれるか、その手段が自分の中でしっかりと確立されているザクレイ選手。
後編では、プレイヤーとしての一面にさらに踏み込んでいく。
写真・大塚まり
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