コンパス初の公認大会でアイリスが優勝!エントリー数600を超えたY杯見どころまとめ

キズグチアロエ

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2019年12月に開催された「#コンパス【戦闘摂理解析システム】」(以下、コンパス)の3周年を記念したイベント「#コンパスフェス 3rd Anniversary」では、2020年から有名プレイヤー主催の公認大会を開催すると発表された。

本稿では、2020年1月12日に実施された第1回目のコンパス公認大会である「Y杯」のベストバトルを解説する。

Yズミ主催のY杯が第1回目の公認大会に

Y杯は主催者であるYズミが個人で開催してきた大会で、以前から多くのチームが出場しており、複数回にわたって実施されてきた。コンパス上級者も多く出場しているため、公式大会に勝るとも劣らないバトルが期待できる。

このほかにも、男女ペアで出場する「コンパスカップル杯」や特定のヒーローのみ使用可能な大会なども開催している。

Y杯ルールの特徴はカードレベル固定とメダル効果オフにあり

Y杯はカスタムバトルの公式タブを使用せず、Y杯独自の設定で戦うことになる。ルールは以下のとおり。

この中でも注目してほしいのが、カードレベルの最小値と最大値が99で固定されている点だ。

公式ルールであればカードレベルは50で固定だが、Y杯ではほぼ倍となる。これによって、カードのステータスがさらに重要な要素となるだけでなく、普通の大会よりも体力が多く、受けるダメージが大きくなるという変化も生じる。

カードのレアリティによるステータスの差も顕著に表れるので、普段とは違うデッキを使用したプレイヤーも多いのではないだろうか。

さらに、メダル効果がなしという点も特徴の1つだ。4回限界突破をしているカードを新たにガチャで入手するか、特定のミッションなどでしか入手できないメダルを使用してヒーローの性能をアップさせることができるのだが、思い描く理想の効果を得るためには運を味方につけるか、何度もメダルを付け替えて数を重ねる必要がある。

そのため、限界突破ができていないプレイヤーにとってはメダルは貴重で、理想の効果とは程遠い状態で妥協せざるを得ない状況にも成り得る。しかも、このメダル効果によって移動速度が常にアップしているなどのアドバンテージを得ることができるので、大会優勝を目指すならまず意識する点でもある。

だが、Y杯はメダル効果がオフの大会だ。このルールにより、プレイヤー間のヒーロー性能の差が埋まったと言えよう。

だいともから見たY杯の4つの特徴

「食パントースター」として「プチ炎上 #コンパス×WELLPLAYED LEAGUE」を制覇するなど、コンパス公式大会で多くの実績を持つプレイヤー。

Y杯にはチーム「TBT」として、「tea break」メンバーのてやぁーる選手と、「東京に行ってきました」メンバーのかずごん選手と出場し、ベスト16の成績を残した。

だいとも:@tr_dytm

公式大会と顔ぶれが変わったヒーロー選択

Y杯はメダル効果がオフなことに加えて、カードレベルが99で固定されています。ですので、メダル効果で移動速度をアップすることで本領を発揮する、桜華忠臣をY杯で使うのは厳しい印象でした。

一方で、元から移動速度が速い双挽乃保や、ヒーローアクションでワープができるマルコス’55、ヒーローアクションで長距離を移動できるセイバーオルタなど、歩く以外の移動手段を持つヒーローが輝いていましたね。

桜華忠臣は優秀な移動手段を持っていますが、普段の移動速度が遅く、持ち前の近距離攻撃カードを活かせないのが惜しいポイントでした。

このようにY杯は、公式大会と使用ヒーローが大きく変わる大会だったと思います。

Y杯はトッププレイヤーを倒せるチャンスだった

僕のチームであるTBTのトーナメント付近には、公式大会の優勝経験を持つれひるちんさんや、シリウスさんがいました。他のブロックにはチーム「いたごん家に居候」も出場していましたし、公式大会でも通用するレベルの人が数多く出場した大会でした。

ただ、Y杯のルールは公式大会とは異なるので、トッププレイヤーの感覚は狂いやすかったと思います。2019年最強チームの「ルミナス」もメダル効果の有無による感覚違いでキルができなかった場面があったようです。

この点を考えると、メダル効果の恩恵があまりない環境で練習しているチームが、トッププレイヤーに一矢報いやすい大会だったと言えるのではないでしょうか。

決勝戦の零夜とオカリンは研究の成果

「アイリス」と「インテグラル」の決勝戦第3バトルで起こった零夜と岡部倫太郎(以下、オカリン)のミラーマッチは、両チームがY杯のルールを研究した結果が表れていると考えています。

零夜はスプリンターなので移動速度が速く、他のヒーローは比較的遅いため、攻撃倍率1.4倍から繰り出されるダッシュアタック(以下、DA)を避けるのが難しいです。避けなければアビリティによってスタン状態になりますし、本当に強力でしたね。

オカリンも同様で、ヒーローアクションのスキに距離を詰めるのが難しいので、強化された状態のオカリンの猛攻を耐えるだけで精いっぱいだったはずです。

だいともはカードBANルールを期待

いろんなルールがコンパス大会に追加されたら面白くなると考えていたので、今後もY杯のような特色がある大会を開催してほしいですね。

僕が仮に大会主催者なら、負けたチームがカードを1枚指定して、そのカードを使用することができなくなるというBANルールで開催してみたいですね。特定のヒーローしか使いこなせない人はデッキの変更を余儀なくされて、いつもどおりのパフォーマンスを発揮するのが難しくなると思います。

今後はどんなルールで開催されるのかはわかりませんが、賞金付きの公な大会はY杯が初だったと思うので、優勝賞品についても期待しています。

Y杯ベスト4配信では「かけだせ!じっぱか城」でのバトルも

Y杯のチームエントリー数は600を超え、ベスト4に残るだけでも8回戦にまで勝ち残る必要があった。この厳しいトーナメントを勝ち抜いて配信に姿を見せたのは、以下の4チーム。

どれも熱いバトルが繰り広げられたが、今回解説していくのは、以下の2バトル。

1バトル目:ルチの大群 vs アイリス(準決勝第2試合)

2019年12月に実装された新ステージ「かけだせ!じっぱか城」(以下、じっぱか城)でのバトル。本ステージはコンパスに登場してからまだ日が浅いため、多くのプレイヤーが注目していた。

2バトル目:インテグラル vsアイリス(決勝戦第3試合)

Y杯優勝がかかった、ルチの大群とアイリスによる最終バトルを解説。両チームにスプリンターの零夜と、ガンナーの岡部倫太郎(以下、オカリン)が採用されているという、ミラーに近いヒーロー構成同士のバトルとなった。

注目のじっぱか城ではソルが大活躍

2019年12月に「かけだし勇者」のモチーフステージとして登場した「かけだせ!じっぱか城」は、下のエリアにA、E、Cの3ポータルがあり、ワープゾーンの先にB、Dポータルキーがあるステージだ。

各チームのヒーロー構成は以下のとおり。

本ステージは対戦相手の動きによってはワープゾーンを使用しての移動が多くなるため、常にライフが減り続けるアビリティを持ったグスタフハイドリヒ(以下、グスタフ)が少し戦い辛いマップアップとなった。

開始~1分:攻めのアイリス・守りのルチの大群

バトル開始直後は、早くもじっぱか城のセオリーとなりつつあるスプリンターやタンクが1陣目のポータルキーを制圧!

1陣目のポータルキーが最もお互いに攻めやすいため、アタッカーやガンナーがポータルキーを獲得してしまうとそのスキを狙われやすく、リスクが大きい

ここからは各チームの戦術によって動きが異なるのだが、序盤からアイリスがルチの大群の陣地にまで攻め込む!

これに対して、さくやの使うグスタフが周囲サイレント攻撃で敵をダウンさせる見事なプレイ

しかし、ここで玄野のソル=バッドガイ(以下、ソル)が「紅薔薇の暗殺術クルエルダー」(以下、クルエルダー)と「ライバル狂刃忍者-幽々院ゆらら-」の2枚でグスタフとフィズの操るデビルミント鬼龍デルミン(以下、デルミン)を足止めする。

遠くにいる敵を、目の前に強制的に引っ張る効果を持つクルエルダーを起点としたナイスプレイ。これにより、デルミンを倒すことに成功

しかし、体力ステータスの高いグスタフを倒しきることができず、ソルのヒーローアクション(以下、HA)を当てるもわずかにライフを残した状態で、グスタフをワープゾーンに飛ばしてしまう。

これにより、グスタフはピンチを脱してB、Dどちらかのポータルキーを先に制圧ができる有利な状況を作り出す

だが、グスタフがまさかのデス! 残りのライフ量を見誤り、ポータルキーに触れる直前にライフが尽きてしまった。

回復ができるHAを一度でも挟んでいればデスすることはなかったため、悔やまれるミスとなった

そしてその後は、グスタフを追いかけていたソルとsun@すんの使うルチアーノ、そしてアイリス側のたっくんてま?が操るオカリンと、デルミンの2on2の状態に。

それぞれがタイマンをする状態での2on2。どちらかが倒されたチームが不利になってしまうことは言うまでもない

序盤から激しく激突したバトルは、中盤へと差し掛かる。

1分~2分:キルが発生するもバトルに大きな変化はなし

2on2の状況を打破したのは、アイリスチームのデルミン! ルチアーノを倒し、Bポータルキーを獲得する。

この直前に、オカリンが到着する前にソルがDポータルキーを確保しており、攻防が続けられている

そしてデルミンの制圧スキを見逃さなかったソルは、再度クルエルダーを放つ!

あと少しずれていればオカリンとデルミンの両方にヒットさせることができたが、デルミンの身代わりにオカリンがなる形でアイリスは全滅を防いだ

オカリンのキルに成功したソルはステージの下に戻り、グスタフとぶつかり合っていた。しかし、ライフの多いグスタフを簡単に倒すことはできないため、ルチアーノと一緒にヒーロースキル(以下、HS)を溜める動きにシフトした。

眼鏡クンの使うニコラテスラのHSである、テスラコイルが争いを止めるかのような形で使用された

そしてこのまま大きくバトルに変化が起こることなく、バトルは終盤を迎えた。

2分~3分:グスタフが1対2の状況にも関わらず逆転に成功!

終盤で戦場となったのは、最もポータル範囲の面積が狭いCポータルキー。まずは、アイリスが有利な状態だったCポータルキーを数的有利を活かし、ルチの大群が獲得する。

1人は足止めをし、1人がポータルキーを制圧するという連携の基礎を見ることができた

しかし、倒し切れなかったグスタフに周囲攻撃カード1枚でCポータルキーを奪い返されるという、手痛い反撃を受けてしまう。

グスタフから一瞬で繰り出される周囲スタン攻撃はとても強力

しかし、グスタフしかいない場面ではあったので、ルチの大群のいずれか1名がグスタフと距離を保っていれば、Cポータルキーはルチの大群が守りきることも可能だったはずだ。

序盤から積極的に攻め込み、見事なプレイを披露したアイリスの勝利となった

アイリスが3-2で勝利!

ルチの大群 vs アイリスのバトルを動画で確認!

痛恨のミスで逆転を許したインテグラル

次に解説するのは、準決勝戦で☆Amirumi☆に対して2-1で勝利したインテグラルと、ルチの大群を降したアイリスの優勝が決まる最後のバトル。

このバトルの各チームのヒーロー構成は以下のとおり。

両チームにオカリンと零夜がいるという、似たようなヒーロー構成となった。インテグラルにはタンクであるジャンヌダルクがいることから、序盤からのリードを守りきる形での勝利を、アイリスは序盤から攻め込みいち早く有利な状態を作り出すのが勝利への近道だろう。

開始~1分:3点側はインテグラルが一歩リード

本ステージはB、C、Dポータルキー側(3点側)とA、Eポータルキー側(2点側)の2つに分かれている。バトル開始直後の各選手の動きは、以下のとおり。

  • インテグラル
    • いつかめ(ジャンヌダルク):3点側
    • たいちゃ(零夜):2点側
    • 戦士(オカリン):2点側
  •  アイリス
    • たっくんてま?(オカリン):2点側
    • フィズ:(零夜):3点側
    • さくや(リュウ):2点側

両チームとも2名を2点側へと向かわせ、3点側ではタイマンの状況を作った。

まずカメラが捉えたのは、2点側で敵陣地へと向かうたいちゃの操る零夜だ。

ダメージカットを上手く扱い、アイリス側のカードを複数枚使用させることに成功した

このチャンスを戦士の使うオカリンが逃さず、アイリスのたっくんてま?が操るオカリンを撃破する。

発動にスキがないダメージカットを零夜の攻撃に対して使用していたため、HAの効果が乗ったオカリンの攻撃に対応することができなかったようだ

残ったリュウも2人で倒そうとするが、なぜか壁際に追いつめた状態で攻撃の手を休めてしまう。正確な意図はわからないが、リスポーンして前線に復帰する零夜の攻撃を受けたくないがために、ポータルキー制圧を優先したのではないだろうか。

そして3点側のカメラに切り替わったタイミングでは、いつかめが操るジャンヌダルクとフィズの使う零夜が攻防を繰り広げていた。

しかし、耐久力に特化したジャンヌダルクを零夜1人で倒すのは難しく、やや不毛な争いに。

バトル序盤でジャンヌダルクが先にCポータルキーを確保していたことが、インテグラルにとってはかなりのアドバンテージとなっている

3点側は安定して有利を取れているインテグラル。一方で、2点側ではオカリンと零夜が倒されてしまい、Eポータルキーをアイリスに奪われてしまう。

これの対処をするべく、たいちゃの零夜が猛スピードで駆けつける。

ここでアイリスの零夜を倒すことに成功すれば、今度はインテグラルが数的有利を作り出すことができる重要な場面だ

ちょうどEポータルキーがアイリスの手に渡った段階で、バトルは中盤を迎える。

1分~2分:バトルはCポータルキーの奪い合いに

ポータル制圧スキのある零夜を何とかして倒したいインテグラルだが、インテグラル側の零夜のダッシュアタックが決まったタイミングでリュウに近距離攻撃カードを使用され、飛ばされてしまう。

リュウがAポータルキーに意識が向いていたら、おそらくアイリスの零夜は倒されていたであろう。基本的ながらも、アタッカーが味方のカバーするという綺麗な連携を見ることができた

再度数的有利を作り出すことができたアイリスは、2点側のAポータルキーへと距離を詰める。

しかし、リスポーンしたオカリンに2人とも倒されてしまい、チャンスは泡と消えた

これで2点側はお互いにポータルキーを1本ずつ広げきったため、3点側の状況が重要になる。マップで確認してみると、3点側ではジャンヌダルクが序盤から中盤までCポータルキーを守っていた!

インテグラルが想定していたであろう、Cポータルキーを守る戦い。この状況だけを見ると耐久力の高いジャンヌダルクがいる、インテグラルが有利に見える

そして優勝が決まるラストバトルの終盤へ。

2分~3分:オカリンHSが使えない悔やまれるミス

Cポータルキーが戦場になった途端、ジャンヌダルクはオカリンと零夜の火力に耐えきれず倒されてしまう。

すぐ近くにはHSを使える状態のオカリンがいるため、オカリンがHSさえ使用できれば、ジャンヌダルクは自身を加速させるカードを使ってCポータルキーの防衛に駆けつけられるだろう

しかし、ここでインテグラルのオカリンが痛恨のミス。HSを使うだけでかなりの時間を稼げたはずだが、HSを使用するまでの時間稼ぎとして使用したカードのスキを狙われ、HSを使う前に倒されてしまう。

ジャンヌダルクが「どこにでもいけるドア」をデッキに採用していないため、防衛が間に合わずCポータルキーをアイリスに奪われてしまう

そして2点側のポータルキーまでもアイリスの零夜に奪われる。

これにはリュウがHSで対応。ギリギリのところでヒットさせることに成功し、2点側を均衡状態に戻した

これでなんとかインテグラルは2-3の状態にしたものの、肝心のCポータルキーは取り返せずにいた。

ジャンヌダルクはポータルエリアが広がりきる前に到達したものの、1人ではポータルキーを取り返すのが難しく、誤ってポータルキーに触れてスキを作らないように、ひたすらHAをすることしかなかった

そして時間だけが経過し、残り7秒のタイミングでフィズの零夜がHSを発動! 無敵時間を活用し、Cポータルキーを確実に守り勝利を掴んだ。

力及ばず準優勝となったインテグラルも、Cポータルキーを奪われる前にHSさえ発動できていれば勝利していた可能性もじゅうぶんにあった。

だが、わずかなスキを見逃さなかったアイリスの見事なプレイに拍手を送りたい。

アイリスが3-2で勝利!

インテグラル vs アイリスのバトルを動画で確認!


Y杯を終えた後に、2019年に開催された「プチ炎上 #コンパス × WELLPLAYED LEAGUE」のSeason2の詳細が発表された。

予選であるGATE大会が4つから3つの開催になっていたり、一部のルールが変更されたりしているので、ぜひ公式サイトをチェックしてみてほしい。

ウェルプレイドリーグ公式サイト

Y杯アーカイブ

(C)NHN PlayArt Corp.
(C)DWANGO Co., Ltd.

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記者プロフィール
キズグチアロエ
「#コンパス」にどっぷりハマり、「#コンパス」に人生を捧げると決めた、傷口だらけのアロエ。
「#コンパス」に携わるクリエイターたちと、仲良くなりたいフリーライター。
どんなヒーローでもそこそこ扱え、特定のヒーローというよりもヒーロー全員が好き。

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