【感想戦】もけが振り返る EVO JAPAN ストV部門の優勝者・Infiltration×だいこく戦 教訓は“攻める=前に出る“という考え方の見直し

WPJ編集部

将棋の「感想戦」をご存じだろうか。対局終了後に、棋士が対局中の考えを相手と共有し、ともに確認しあうもの。この企画では、感想戦を「対戦ゲーム」に当てはめて行う。

本稿では、去る2018年1月26日(金)~1月28日(日)に開催された「EVO JAPAN 2018」、「ストリートファイターV アーケードエディション」部門で行われた“Infiltration(メナト) VS だいこく(バーディ)”の試合をピックアップ。

【試合結果】※リンクは各試合のポイントに飛びます
1試合目:0-2 だいこく勝利
2試合目:2-0 Infiltration勝利
3試合目:2-1 Infiltration勝利
 

対象試合:Infiltration VS だいこく

【Infiltration選手】<使用キャラクター:メナト>

出典:CAPCOM シャドルー格闘家研究所(Infiltration選手)※詳細はリンク先より


Total Matches 2286/Wins 1952/Losses 334
勝率:85.39%(Last Play 2018-06-27)

メナト:水晶玉を使った攻撃のリーチが長く中距離~遠距離が得意なキャラ。水晶玉で相手を挟み、玉ごと相手を引き寄せて攻めるといったトリッキーな崩しができる。一方で守りが弱く、攻められると厳しい。いかに相手に近づかせずに体力を減らすことができるかがポイント。
 
 
【だいこく選手】<使用キャラクター:バーディ>

出典:CAPCOM シャドルー格闘家研究所(だいこく選手)※詳細はリンク先より


Total Matches 14259/Wins 10454/Losses 3805
勝率:73.32%(Last Play 2018-06-28)

バーディ:見た目通りパワータイプで近距離が得意なキャラ。近づいてからの打撃やコマンド投げ、近づくことさえできれば相手を崩す手段は豊富。一方で遠距離が苦手であり、近づくことがとても困難。
 
 
【試合動画】

※EVO JAPAN SFV AE - Infiltration vs だいこく
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感想戦を行う選手:もけ & だいこく

今回の感想戦では、PONOS所属のプロゲーマーもけ選手を聞き手に、実際に試合を展開しただいこく選手本人を迎えて振り返っていった。当日同部門で優勝を果たしたInfiltration選手はどのような立ち回りで攻め込み、そしてだいこく選手は臨んでいたのか。

名前:もけ
Twitter:lllmokelll

【大会実績】(一部抜粋)
2017年 Tokyo Offline Party 4 スト5 準優勝
2017年 Capcom Pro Tour Online Asia 2 スト5 準優勝
2017年 EVO2017 スト5 5位
2017年 闘神祭2017 LIMITED MASCHINE TOURNAMENT 2017 スト5 優勝
2018年 ストリートファイターV ARCADE EDITION 闘会議GP大会 9位


名前:だいこく
Twitter:daikoku_GO
Openrec:WP|だいこく
Blog:配信者だいこくのブログ

【大会実績】(一部抜粋)
2017年 ThaigerUppercut Championship 2017 7位
2017年 Manila Cup 2017 9位
2017年 TWFighter Major 2017 5位
2018年 ストリートファイターV ARCADE EDITION 闘会議GP大会 9位

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1試合目:0-2 だいこく勝利
水晶引き戻しにおける攻防戦

【1試合目のポイント】水晶が背後にあるにも関わらず、バックジャンプをしてしまっただいこく選手


よろしくお願いします。まずは1試合目の動画をみてみましょう。ふたりの使用キャラクターは、だいこくさんがバーディ、Infiltration選手はメナトです。Infiltration選手(メナト)との試合ですが、どのあたりを注意されていましたか。


メナトの水晶引き戻し、前ステップ投げなどですね。とくにメナトの大パンチはリーチが長く、不利になることがある。でもInfiltration選手側は防御という選択肢を取らなかった。だから何かしらボタンを押せば勝てると思ったので、結果的にEXブルホーン(1段アーマー技)はよく当たりました。


だいこくさんは、Infiltration選手(メナト)の水晶引き戻し後と大パンチ後の行動に意識を割いていたのですね。あとは、画面端に行くか行かないかの距離を維持するのが重要ですね。相手に画面端を背負わせて、ジャンプ攻撃で位置を入れ替えられないギリギリの距離。メナト側は、近距離が苦手で画面端から逃げる術がないですしね。


実際に1試合目は勝利したけど、あのバックジャンプはない(上部シーン参照)。水晶を引き戻している最中に動かないのは、全キャラ共通だと思います。逆に水晶を飛ばした時は、何をしてもいい。


ちなみにだいこくさん(バーディ)のEXブルホーンからVトリガーキャンセルに対して、メナトは確定反撃はあるのでしょうか?


一応あります。ただInfiltration選手(メナト)側の確定反撃は、くらっても大したダメージにはならない。それに対し、こっち側はリターンが大きいのでくらってもいいかなといった形です。


だとするとInfiltration選手(メナト)側、やっていて嫌そうですね。


Infiltration選手(メナト)が嫌がっているのはそこだね。ただ、バーディは水晶をかいくぐって相手に触りにいくのが難しい。メナトの立ち大パンチや立ち中パンチなどでけん制されるとなかなか触れられない。どこかで強引にジャンプ攻撃を通すか、じりじりと我慢しながら歩いて近づくか……といった形になる。

※1試合目から視聴できます 00:00~03:00

2試合目:2-0 Infiltration勝利
EXブルヘッドの2段目をガードせずに差し返す

【2試合目のポイント】EXブルヘッドの2段目をガードせずに差し返したInfiltration選手


2試合目です。メナトは水晶引き戻しのあとにステップしていますね。Infiltration選手の特徴は展開の速さにあるから、ひとつでも咎めることができる選択肢をもっているのは大きいですね。


これは本当に意識したほうがいい。Infiltration選手(メナト)の早い展開は、水晶引き戻しからのステップなどで投げと打撃の2択を高速で迫ってくること。そして一回ダウンを取られるとループしやすい。そこを抑えるために、あらかじめ水晶を引き戻したあとに何をするのかを意識して、展開が早くなるまでに止めておくのが重要。


ちなみに、このEXブルヘッドが終わる際に攻撃差し返していますが、うますぎませんか?


これやられるの2回目だけど、未だにこの回避方法は嘘だと思っている。狙ってできる人間がいるとは思えない(笑)。

※2試合目から視聴できます 03:00~05:40

3試合目:2-1 Infiltration勝利
再び水晶に足元をすくわれる

【3試合目のポイント】焦りが生じたか、足元の水晶を見過ごし突進しただいこく選手


これは3試合目の決定的なミスシーンだね。水晶が置いてあるのに攻撃に移ってしまうと、水晶引き戻しからコンボに行かれてしまう。ここでEXブルヘッドを打って、ゲージを無駄に消費してさらにダメージまで取られるという最悪の形になってしまった。せめて引き戻しを待ってから仕掛けなくちゃいけない。


あぁ……これすごいですね。バーディへの対策がアップデートされている。


そうなんだよね。Infiltration選手(メナト)が水晶引き戻しのあとのステップ投げとかを咎められていると気づいてきたから、引き戻しのあとに立ち中キックなどに変えている。それに俺が気づけなかったんだよね。ずっと同じ対策をしていた。だから終わった後、納得するしかなかったね。こいつはマジで強いなって……。

※3試合目から視聴できます 05:45~08:40

感想戦から得られた“教訓”


結局、だいこくさんの中で敗因はなんだったのでしょうか?


最初に話した“水晶引き戻し後の動き”の対策をしてきたにも関わらず、Infiltration選手はその対策の対策をしてきていた。たとえば、“水晶引き戻しの後に中キック”など。その対策の対策に最後まで気づくことができなかった。1試合目の読み合いをつづけてしまったのが大きな敗因かな。

あとは、Infiltration選手の対策も深かった。EXブルヘッドの2段目をガードせずに差し返すなど……本当にうまいよ。ここで初めてやられたし(笑)。ただ、俺が“水晶引き戻しの後の行動”のとき、むだに動いたりして、当たる必要のないダメージを受けすぎたというのもある。


僕がみていて、最初と最後で差を感じたのが、どういうスタンスでメナトに対して有利を取るかということ。最後のダメージの取られ方は、強引に前に出ようとしてダメージをくらったんですよね。

それを「相手が位置を入れ替えられない距離を維持する」という前提を置いていれば、もっとどっしり構えることができたと思います。どっしり構えることがメナト戦の基本で、そこにイラだって強引に行くとダメージレースで負けてしまうのですよね。


本当は1試合目の画面端に行くか行かないかの距離を維持したかった。2試合目以降は、前に出すぎていて、Infiltration選手がガードするよりも攻撃を置く方がリターンは大きい行動になっていた。


本当にその通りで、“攻める=前に出る”という考えになってしまって、無駄なダメージをもらいすぎた結果、どうしようもできなくなり無理をしてしまった……というよくない循環に陥っていたから勿体なかったですね。だから、距離を詰めるということよりも、どっしりと構えておくという考えを持って動いていたら、もっと試合展開が変わっていたのだろうと思います。


あとは後半、頭にキテいた。よくない癖だけど本当にキレてた。ガイル、メナト、ダルシムとかが苦手な理由は、頭に来ちゃうんだよね。


ありがちですよね。だからそうならないように、“前提を持つ”ということを意識づけて戦うべきかもしれません。

【感想戦から得られた教訓】
“攻める=前に出る”という考え方を見直し、キャラごとの前提を据える
class="p-emBox"> 【試合結果】※リンクは各試合のポイントに飛びます
1試合目:0-2 だいこく勝利
2試合目:2-0 Infiltration勝利
3試合目:2-1 Infiltration勝利

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