TAKEcakeはいかにしてDQライバルズの公式大会「勇者杯2018春」で勝利したのか。勇者が歩んできた“これまで”と“これから”【前編】

新進気鋭のプレイヤーをいち早くフォローアップする「RISING STAR」。今回は、対戦デジタルカードゲーム「ドラゴンクエストライバルズ」(以下、DQライバルズ)の“特別企画”として、DQライバルズの公式大会で活躍する有名プレイヤーたちに迫るインタビューシリーズを実施。
第2回は「勇者杯2018春」で優勝し、初代勇者となったTAKEcake(タケ ケーキ)さんにインタビューを行った。
初の公式全国大会として開催された「勇者杯2018春」は、強者同士による白熱した試合がつづき、表彰式ではサプライズとして「ドラゴンクエスト」シリーズの生みの親・堀井雄二さんが登壇。まさに、新しい勇者を決めるに相応しい、大盛り上がりの大会となった。
今回は、期待が集まった大会でTAKEcakeさんがどのような心境で試合に臨んだのか、それまでにどんな準備をしてきたのかについて深く切り込んで質問を行った。彼はインタビューのなかで、優勝して尊敬する堀井さんと対面し、おもわず涙してしまったあの瞬間についても赤裸々に語ってくれている。
Twitter:@TAKE_YPmagical
ゲームができない環境で育ったTAKEcakeさん

「勇者杯2018春」決勝出場者インタビュー TAKEcake選手(※クリックで動画閲覧)
――:本日はよろしくお願いします。まず、TAKEcakeさんのお名前についてなんですが、趣味のケーキ作りから来ていると聞いています。
TAKEcake:
そうですね。ケーキ作りが好きで、本名のタケと組み合わせてTAKEcakeになりました。
――:ケーキ作りが趣味とは、男性では珍しいんじゃないでしょうか。
TAKEcake:
友人のお父さんがパティシエで、その友人宅でゲームをやっているときに、よくケーキを振る舞ってくれたのです。そこでお父さんとも話すようになり、ケーキ作りを教えてもらうようになりました。
――:幼いころからつづけている趣味なんですね。
TAKEcake:
最近はあまり作れていませんが、当時は月に1、2回はケーキを作っていましたね。
――:ゲームを触りはじめたのはいつころでしょうか。
TAKEcake:
小学2年生くらいですね。当時は家庭が厳しかったこともあり、家でゲームができなかったので、友人の家に行って「ドラゴンクエスト」や「カービィのエアライド」などをやっていました。
――:ゲームは家で遊べなくても好きだったと。
TAKEcake:
はい。当時から楽しいなと思って遊んでいましたね。とくに「ドラゴンクエスト」に関しては、長時間友人宅に入り浸って友人のデータでクリアするってこともありました(笑)。
自分の家でゲームが遊べるようになったのは、中学生くらいですね。ニンテンドーDSを購入して、最初はいろいろなトランプゲームが収録されたソフトで遊んでいました。
――:念願のゲームを手に入れて、やる時間がさらに増えていったということなんですね。
TAKEcake:
もう少し後になると、PSP®(プレイステーション・ポータブル)の「モンスターハンター」を購入して、友達とずっとやり込んでいました。子供のころに遊べなかった分、それが爆発した感じでしたね。
カードゲーム、そして「DQライバルズ」との出会い
――:では、カードゲーム自体はいつごろからプレイするようになったのでしょうか。
TAKEcake:
小学生くらいのときに、とある集まりで景品としてパックが配られて、それで始めようと思いました。「テレビゲームは禁止でも、カードだったら……」ってことで遊べたのです。当時遊んでいたのは、「遊戯王」や「デュエル・マスターズ」などですね。
――:そこからカードゲームはずっとつづけていくことになるんですね。
TAKEcake:
はい。いわゆる“ガチ勢”になったのは高校2年生くらいです。そのときのタイトルは「遊戯王」でした。
――:当時の実力はどのくらいだったのでしょうか。
TAKEcake:
「遊戯王」を始めて1週間くらいのとき、64人のチャンピオンシップという非公認大会ではベスト4に入れました。
――:1週間で……! やはりセンスがあったんですね。
TAKEcake:
かもしれませんね(笑)。当時も自分で「やっぱり自分はカードゲームに向いているんだな」と思いました。
――:そしてアナログのカードからデジタルに転換することになりますが、デジタルのカードゲームを始めたのはいつころだったのですか。
TAKEcake:
デジタルカードゲームは、約2年前の「シャドウバース」が最初でした。ちょうど第2弾の「ダークネス・エボルブ」がリリースされたタイミングですね。そこから本格的にデジタルのカードゲームで遊ぶようになりました。
――:デジタルカードゲームは複数のタイトルがリリースされていますが、ほかにも遊んだことのあるタイトルはありましたか。
TAKEcake:
周りの人から「ハースストーン」をオススメされて、「ワン・ナイト・イン・カラザン」のあたりで始めました。一応レジェンドランクに行くくらいまではやりました。
――:そして、「DQライバルズ」と出会うことになるんですね。遊ぶきっかけは。
TAKEcake:
友人から「ドラゴンクエストのカードゲームが出る」という話を聞きまして、当然「ドラゴンクエスト」をかなり遊んでいたので「もうやるしかない!」と思って始めました。
――:ちなみに「ドラゴンクエスト」を遊んでいたというお話ですが、これまでにプレイされたシリーズは。
TAKEcake:
「X」以外は全部プレイしましたね。「II」とか「III」くらいまで戻るとゲームの内容はうっすらとしか覚えてないのですが。
――:ちなみにお気に入りのシリーズ作品は。
TAKEcake:
自分は「VII」が好きでした。ゲーム本編が長いうえ、物語の展開がちょっと暗く考えさせられる要素を含んでおり、シリーズのなかでも異色の作品でした。当時は友人の間でさまざまな噂話が挙がり、「じつはキーファが裏ボスなんじゃないか」みたいな、ファンによる考察が多い作品で、そこも面白かったです。
――:キーファといえば、ステータスが上昇する種を使用したにもかかわらず、途中で離脱して嘆くユーザーが当時多々おりました。しかし、「DQライバルズ」に登場するキーファは、当時のユーザーの想いに応えるようなカード効果を秘めていますよね。

死亡時:自分がこのユニットに使った特技カード全てを自分の手札に加える。そのため、種カードとの相性が抜群。十数年越しで“キーファから種が戻ってくる”という細かい演出に、シリーズファンは感心したそう。
TAKEcake:
そうなんですよ。「DQライバルズ」では、使用した種がきちんと返ってくるのです。その親切設定が追加されていて、そういう部分もシリーズ一貫して魅力ですよね。
難しいから面白い。「DQライバルズ」の魅力
――:「DQライバルズ」で気に入っているリーダーはありますか。
TAKEcake:
トルネコが好きですね。ブン回りが少ないですが、安定しているというのでしょうか。ほかのデッキは振れ幅が大きくて、勝つとき負けるときが偏るのですが、トルネコはそういった事故が少なくて、一定した強さがあるかなと思って気に入っています。
――:逆に振れ幅が多いというと、ミネアとかでしょうか。
TAKEcake:
そうですね。とくにミネアは「銀のタロット」を引けるか引けないかでだいぶ強さが変わるので。
――:じつはトルネコが安定していて好きというお話は皆さんされていて、あとは考えることが多いのが面白いというお話も聞きました。
TAKEcake:
何千試合もやっている人もいますが、その人でも未だに配置を間違えるという話もありますね。今では地形などもありますし、難しくて面白いというのは確かにそうだと思います。
――:具体的に楽しいと思う瞬間はどこですか。
TAKEcake:
正解がわからないので、模索し続けているまさにその瞬間が楽しいですね。まさに、その“難しさ”がハマる要因かなと思っています。今まで配置みたいな要素はデジタルのカードではあまり見なかったので、配置を重要視したシステムに惹かれました。
――:デッキを作るときのコツはありますか。
TAKEcake:
僕はベースとなるデッキが公開されているのをみて、そこから仮想敵を想定してメタを寄せるみたいな感じでデッキを組んでいます。いちからデッキを考えるのは、そんなに得意ではないので。
――:メンタル面に関しての調整もあるのではないでしょうか。
TAKEcake:
神頼みのような話になってしまうのですが、勝率は収束すると思っているので、負けつづけたら勝ちつづけるであろうとは信じています。結構ランクマッチとかに潜ったりもするのですが、勇者杯のときは負けつづけたらやめて、そのままの状態で大会に臨むということをしていました。「これだけ下ブレがきたら上ブレくるだろ!」みたいな(笑)。
――:それは面白い考えですね(笑)。気持ちはとてもわかります。
TAKEcake:
確信があるわけでもないので、メンタル面の話は人それぞれだと思います。人によっては勝ちつづけている流れでそのまま大会に行くという人もいるでしょうし。
――:負けをプラスと捉えられるのは、メンタルの強さだと思います。
TAKEcake:
性格的にポジティブなところがあるので、そういう部分は影響していますね。
――:負けたときに試合を振り返るみたいなことはしないのでしょうか。
TAKEcake:
決勝のときにも話したことなのですが、負けた試合のことは引きずりたくないので忘れちゃうんですよね(笑)。もちろん、後々振り返ってどこが敗因だったかの反省等はします。しかし、大会の時などは切り替えるために忘れます(笑)。そういうところも自分らしいメンタルの保ち方かなと思っています。
――:ほかに「DQライバルズ」をやる上で意識していることはありますか。
TAKEcake:
まずは楽しむことですよね。どこまで行ってもゲームはゲームなので、楽しまないと損だなと思っています。逆に、楽しめないゲームはゲームじゃないので。
ゲームができない環境で育ったTAKEcakeさんだが、「ドラゴンクエスト」とカードゲームに対する熱をもちつづけていた青春時代。後編では、「勇者杯2018春」試合中の心境をはじめ、優勝して尊敬する堀井雄二さんと対面し、おもわず涙してしまったあの瞬間についてもお聞きした。
プレイヤー/実況解説/大会主催者、3つの“職業”で「ドラゴンクエストライバルズ」を盛り上げるトシの次なるコマンド(取り組み)は?【前編】

プレイヤーとして、大会主催者として、実況解説者として、それぞれの視点からトシさんの内面に切り込んで話を伺った。彼がなぜここまで多方面に活動をつづけているのか、その心境を赤裸々に語ってくれた。
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