プレイヤー/実況解説/大会主催者、3つの“職業”で「ドラゴンクエストライバルズ」を盛り上げるトシの次なるコマンド(取り組み)は?【前編】

新進気鋭のプレイヤーをいち早くフォローアップする「RISING STAR(新カテゴリー)」。今回は、対戦デジタルカードゲーム「ドラゴンクエストライバルズ」(以下、DQライバルズ)の“特別企画”として、DQライバルズの公式大会で活躍する有名プレイヤーたちに迫るインタビューシリーズを実施。
第一回は、公認オンライン大会「ウィークエンド・トーナメント」初回大会優勝者であり、「週末あらくれ杯」の実況解説者としても活躍するトシさんにインタビューを行った。
彼はプレイヤーとしての一面以外にも、毎週金曜日の夜に開催しているユーザー主催大会「フライデーナイトカップ」の主催者、「週末あらくれ杯」の実況解説など、幅広い活動を行っており、コミュニティの活性化に尽力している。
今回WELLPLAYED JOURNALでは、プレイヤーとして、大会主催者として、実況解説者として、それぞれの視点からトシさんの内面に切り込んで話を伺った。本稿では、彼がなぜここまで多方面に活動をつづけているのか、その心境を赤裸々に語ってくれた。
名前:トシ
Twitter:@Toshi_DQR
YouTube:トシGames
SLGをきっかけにやり込みゲーマーに
――:本日はよろしくお願いします。今や「DQライバルズ」の有名プレイヤーですが、そもそもトシさんが初めてゲームに触れたのはいつころだったのでしょうか。
トシ:
2歳か3歳くらいのときにファミコンを始めて触ったのを覚えています。そのときのソフトは「スーパーマリオブラザーズ」でした。その後は「バトルシティ」という戦車のゲームにハマリ、めちゃくちゃ遊んでいた記憶があります。
――:「バトルシティ」は対戦寄りのタイトルですよね。そこからゲームと一緒に生活を送っていたのですね。
トシ:
そうですね。小学生のときに中国へ留学していて、そのときにはゲームから離れて生活していたのですが、じつは携帯ゲーム機はもっていたので遊んではいました。当時は勉強もあるなど、今のようにずっとゲームという感じではありませんでしたが。
――:その後にハマったタイトルはありましたか。
トシ:
兄の影響で始めた「ファイアーエムブレム」ですね。当時はゲームボーイアドバンスの「ファイアーエムブレム 封印の剣」が発売されたタイミングでしたので、中国ではずっとそれをプレイしていました。次の作品である「ファイアーエムブレム 烈火の剣」が発売されたときは、わざわざ日本に買いに戻って、また中国留学中には繰り返し遊んでいました。
――:シミュレーションゲーム(SLG)が好きということで、やはり繰り返し遊べるという点にハマったという感じでしょうか。
トシ:
そうなんです。だから、逆にRPG系はなかなかプレイしたことはなくて、やったことがあるのは「ペーパーマリオRPG」くらいですね。RPGでしたが、あれも繰り返して5回くらい遊んだ記憶があります。
――:ひとつのものに対して、何度も繰り返し遊ぶタイプなんですね。
トシ:
ええ。逆に有名なRPGはプレイしたことがなくて、じつは「ドラゴンクエスト」に関しても、5と11をつい去年に遊んだばかりで、それまで触ったことがなかったのです。
――:それは意外ですね。では、シリーズを遊ぶようになったきっかけは。
トシ:
やはり「DQライバルズ」の影響です。あとは、知人からオススメされて遊んだのもきっかけのひとつですね。
――:そういう意味では、「ドラゴンクエスト」シリーズを遊んだことなく、「DQライバルズ」に興味をもったのですね。“きっかけ”つづきで恐縮ですが、遊ぼうと思った理由はなんだったのでしょうか。
トシ:
カードゲームだったからです。もともと「ドラゴンクエスト」自体には興味はあったので、「ようやく自分が遊べるドラクエがきた!」という感じで始めました(笑)。
――:カードゲームも触ってこられたということですが、アナログ、デジタル両方ともでしょうか。
トシ:
はい。アナログカードゲームでは、「ハヤテのごとく!TCG」「ヴァイス・シュヴァルツ」「遊戯王」「ChaosTCG」などをよくプレイしていました。デジタルでは、「ハースストーン」や「シャドウバース」を通り「DQライバルズ」に行き着きました。デジタル中心ではありますが、未だにアナログカードゲームはやめられないですね。
「DQライバルズ」の魅力
――:ここまでトシさんが「DQライバルズ」にハマっている理由はどこにあるのでしょう。
トシ:
“難しい”という部分が大きいですね。ゲームのルール上、正解に辿り着くのが難しいのです。「すぐに勝てる」「絶対勝てる」という場面にはなかなかなりません。もちろんほかのカードゲームと流用できる知識もあるのですが、同じ感覚でやっていると足元をすくわれる場面が多いです。
どんなプレイヤーでもミスをすることがあり、知人たちと「このゲーム、いつまで経っても置く場所間違えるよね」という話はよくしています。そこを改善する余地があるという部分では、このゲームにのめり込めるひとつの理由ですね。
――:ゲームをプレイする時間は、1日の中でどれくらいでしょうか。
トシ:
本格的にやるときは、丸1日もあります。そのときは、お風呂と寝ている時間以外はずっと触っているくらいの勢いですね。食事中にプレイしている、なんてこともよくあります。
――:それだけやる際には、何か目指す目標があったりされるのでしょうか。
トシ:
最速でレジェンドランクに行こうというのを、カードパック第2弾(解き放たれし力の咆哮)が出た直後にやっていました。そのときは朝から夜まで12時間くらいぶっつづけでプレイしていましたね。そのときにご飯は……うーん、食べたっけな? とまあ、食事を忘れてしまうくらいの勢いでした。中学生くらいからの癖で、夢中になると食事も取らずにつづけてしまうんですよね。
――:それだけの試合を行うと、ひとつひとつの試合の反省を行うのも難しそうですね。トシさんは、試合後に反省することはあるのでしょうか。
トシ:
1回負けたくらいだと「引きが弱かったかな」……くらいで片付けちゃうのですが、負けがつづいたときには、その試合を振り返るようにしています。同じデッキにずっと負けつづけると「さすがになんか違うな」と思いますね。そのときには「じゃあどうするべきなのだろう」と考えるようにはしています。
――:回数を重ねるからこそ見えることもある、ということでしょうか。
トシ:
ミスなのか、引きが悪かったのか、原因は1試合だけではわかりませんが、やはり回数を重ねていくうちに気が付くことはありますね。逆に、反省のきっかけは負けたときなので、1日の終わりにまとめて振り返るみたいなものはあまりありません。
――:振り返る際には、どういう点を中心に振り返るのでしょうか。
トシ:
試合が終わった直後に、すぐに振り返って、プレイを間違えたのか、引きが悪かったのか、それを考えていますね。逆に勝っている試合はあまり振り返ることはないです。
やはり勝ったときより負けたときの方が重要ですからね。負けるとやる気がなくなっていってしまうことはあるのですが、負けないとわからないことも多いので。そこでやめずにつづけられるかが大切だと思います。これはシミュレーションゲームでも同じですよね(笑)。
トシが語る“強カード”の見極め方
――:これはテクニック寄りのお話になりますが、デッキを作るときのコツっていうのはありますか。
トシ:
じつは、デッキを作るのがあまり得意ではなくて、知り合いに貰ったり、既存のデッキを環境に合わせて調整したりといったことが多いですし、そっちの方が得意ですね。逆にゼロからデッキを作るのは苦手です。
――:それは意外でした。では、ご自身でデッキ調整する際に考えていることはありますか。
トシ:
自分で意識しているコツは、やはり使いたいカードを“使いたいように使う”ということですね。その結果勝てなくなってしまうこともありますが、大会以外のシーンでは、とにかく使いたいカードをどうやって活かすかということを意識しています。
――:強そうなカードを使ってみたいと感じる人は多いと思いますが、そうした強いカードを見つけるコツはありますか。
トシ:
強いカードにはいくつか種類があって、“組み合わせて強いカード”と、“1枚で強いカード”があります。前者は探すのが大変ですが、後者はわりと見つけやすいです。1枚で強いというのは結構簡単で、いつでも強い、どの状況でも腐らない、というのがポイントなんです。
――:指を鳴らす“アイツ”(ネルゲル)とかですよね。

©SQEX
トシ:
まさにそれです。「ネルゲル」のような、ほとんどの状態で強いカードはそれにあたります。他にもアリーナだと、ふくめんバニーやキラーマシンなどは、相手の場ユニットがいたとしても強いカードですね。とくにキラーマシンはいなくても強くて、そういう状況を選ばないカードは1枚で強いカードです。
――:出し得なカード=1枚で強いカード、という感じなんですね。
トシ:
相手の動きに合わせて強いというカードもありますが、それはあくまでカウンターカードという扱いになります。その点、普段からずっと強いカードはそういうのが関係なくて、ただ状況を選ばないというカードなんです。もちろん相手のカウンターを警戒して出せない状況もありますが、それは相手もカウンターがなければ苦しい展開にできるので。
寝食を忘れて、ひとつのものに対し繰り返し挑むその姿こそ、彼の強さの秘訣かもしれない。後編では、実況解説、大会主催者としての一面について詳しく伺った。また、トシさんが見据えるコミュニティの形についても答えてくれた。
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