ゲームを続ける理由をゲームの外に作るということ【前編】

髙尾恭平

※この記事はNoteの転載です。

こんにちは! ウェルプレイド代表取締役/COOの高尾です。

前回の投稿では、「意思なきルールは罪」という考え方のもと、甲子園を例にルールの重要性について書きました。今回は、その「ルール」をゲーム(esports)の世界においてどのように設計していくかを書いていきたいと思います。

そもそもなぜesportsをやるのか

これは谷田が以前に書いているので、僕からはあえて超平たく言うと、

  • 世の中に楽しいゲームめっちゃ出まくってて、どのゲームやるか迷う!
  • Youtubeも面白いし、Netflixでも観たいドラマも溜まってるし!

みたいな感じで、いわゆる可処分時間の取り合いの状況になっています。そんな中、差別化の1つとしてesportsというキーワードが注目されてきています。

すべてのゲーム=esportsなのか

まず、当たり前の話ではありますが、すべてのゲームがesportsとして扱えるわけではありません。厳密に言えば扱えないことはないのですが、そういった極論はここではいったん除外します。

いわゆる対戦ゲームなど、誰かと競うゲームが一般的にはesportsとして扱いやすいものとなります。そして、ここで言うルール設計とは、ゲームそのもののルールではなく、ゲームの外側のルール設計を指します。

クラッシュ・ロワイヤルという対戦ゲーム

さっそくですが、具体的な話に入りましょう。みなさんは、Supercellさんの「クラッシュ・ロワイヤル」(クラロワ)をプレイしたことがありますか?ここまで辿り着いている方であれば、最低でも「どんなゲームであるかはわかる」と思うので、ゲームの説明は割愛させていただきますl

このクラロワで2017年に行われたイベントの1つに、「クラロワ 日本一決定戦」というesportsイベントがありました。ウェルプレイドはこのイベントにおいて企画から実際の運営までお手伝いをさせて頂いたのですが、今回はここのルール設計において過程を含めてご説明したいと思います。

最終的にどうしたいのかをぶらさない

ルール設計をするにあたり、最初の足がかりとなるのは「最終的にどういう状況が作られていることが理想なのか」ということです。「クラロワ 日本一決定戦」において、ここには明確なものがありました。

  1. 世界大会に出場するプレイヤーを決めたい
  2. ヒーローを生み出したい

この2点です。1つめは定量的な内容であり、2つめは定性的な内容ですよね。このようにゴールは定量的なものから定性的なものまで存在するのですが、基本的にはどちらでも問題ありません。大事なことは、このゴールが確実にぶれないものであることです。

ゴールに向けたルール作り、の前に!

ゴールを確認したあとは、いよいよ具体的なルール設計…とはいきません。ルール設計をする前に、イベントの思想を固めていきます。

この思想を固める部分がルール設計において非常に重要な工程となります。ゴールを目指すことは前提とした上で、「こういう大会であるべきだ!」「今のクラロワユーザーはこういうものを望んでいる!」「こんな大会になったら寒い!」といった感じで、ただひたすら「こうあるべきだ」という思想を固めていきます。

この思考は超情熱的で、いわゆる”エモさ”があります。ウェルプレイドの真髄はここにあるといっても過言ではないくらい、「なぜこうしたいのか」を徹底的に議論し、関係者全員が納得できる思想を生み出していきます。

以下、実際の思想です。

より実力を反映したい
  • 一発勝負ではなく、できる限り長期戦
  • みんながある程度納得できる形で代表者を選出したい

強い人や人気のある人のプレイをたくさん観たい

  • 勝ち抜けルールではなく、できるだけ多く出場・多く勝利した方がメリットとなるように
  • 徐々に有名プレイヤーが参加しなくなってしまうことを避けたい

プレイヤーファーストであるべき

  • プレイヤーに極端につらいと思わせない
  • プレイヤーに極端に退屈と思わせない
  • プレイヤーに楽しみにさせたい
  • プレイヤーがすぐに理解できないルールにはしたくない

プレイヤーのカラーを打ち出したい

  • 常に同じ条件で最強を決めるのではなく、特殊な環境下でも大会を行う
  • 「○○○を使わせたらこの人」「高回転デッキ使わせたらこの人」といったイメージ

バトル中のPSだけではなく、試合前のPS(読み合い)に着目したい

  • バトル間のデッキ修正あり
  • 相手のクセ・得意デッキを読んでのデッキ構成に着目
class="p-emBox"> なぜ、その思想に行き着いたのかという説明は長すぎるので省略していますが、「徹底的にやり込む」というウェルプレイドの強みがあってこそ成し得るものだと自負しています。

具体的なルールを作っていく際に、何度も何度も「本当にこのルールでいいんだっけ?」と思うことがあります。ここで決めた思想は、その答え合わせするための指標となるのです。

いざ、ルール設計へ!

さて、すべての準備が整ったら、実際のルールを設計していきます。

このペースでいくと、倍の量となってしまいそうなので、一度ここで筆を置かせていただきます。我ながらビックリするくらい焦らしすぎ、ですよね(笑)。不器用か!!

ただ、ウェルプレイドはそれくらい本気でesportsに向き合っているということは伝わるでしょうか。

本気で向き合っているからこそ、esports専門の会社として3年間事業を続けることが出来ているのかもしれません(都合良すぎかなw)。

次回、次回こそは……! ここで紹介した思想のもとに、どのようにルールを設計したかをお話できればと思います。

それでは、また!

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記者プロフィール
髙尾恭平
esportsから生まれるドラマと熱狂を世に広めるべく、日々奮闘中。 2017年にはラスベガスで開催されるEVOにも選手として出場し、1次プール抜けを果たしました。 選手や観客、デベロッパーなど、あらゆる視点からesportsを捉えられることを最大の強みとしています。 休日は友達とスタジアムでビール片手にesports観戦。 そんな当たり前のようで、まだまだ実現できていない世界を本気で作り上げていきたいです。

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