挑戦者に立ちふさがるクラクラチャンネルと群馬帝国遠征軍 【前編】

「クラッシュ・オブ・クラン」(以下、クラクラ)というゲームがある。このゲームは2012年当初、プレイヤーがほかのプレイヤーの村から資源を略奪する、RTSとしてリリースされた。
しかし2014年4月、そのゲーム性を一新させる大きなアップデートが発表された。
「クラン対戦」である。
このクラン対戦は、それまで単なる個人プレイの略奪ゲームに過ぎなかったクラクラを、チームで協力して戦う団体戦へと瞬時に作り替えた。
この変化に多くのユーザーは熱狂した。そして世に無数の対戦特化クランを生み出す流れを作った。
東の雄 群馬帝国遠征軍 西の雄 クラクラチャンネル
2014年「クラン対戦」が実装された流れの中で、日本の東と西で、後に大きな名を残す2つのクランが生まれた。
クラクラチャンネルと、群馬帝国遠征軍である。
このときのクラクラチャンネルリーダーはドズル。
クラクラチャンネルはTH11から9まで、穴のないメンバー構成によるバランスの良さが特長だ。
とりわけTH10はJapan War Clan ranking※という国内リーグで連覇を果たすなど、その強さは他のクランから一歩、抜きんでている。
※Japan War Clan ranking:通称JWC。日本のTH9~12を盛り上げるために作られた国内ランキングリーグ。
注目プレイヤーはJAILBIRD。独特の華がある現リーダーで、クラメンからの信望も厚い。プレイヤーとしても有名で、Season 1で見せた全壊は人々を驚嘆させた。
一方の群馬帝国遠征軍リーダーは、ponta。
群馬帝国遠征軍は、大舞台でも自分たちの戦いを遂行する手堅さが特長である。
落としてはいけないところでは落とさない。それを支える勝利への意思が、群馬帝国遠征軍に数々の栄光をもたらしてきた。
注目プレイヤ―は、たんたん。日本屈指の全壊プレイヤーで、エースオブエースが集まる群馬帝国遠征軍の中でも抜きんでた全壊率を誇るスーパーエースである。
2つのクランはリーダー自らが攻略情報を発信し、それにより優秀な仲間を呼びこむという点で、強化のアプローチ方法は似ていた。
ドズルはYouTube、pontaはブログという手段を取った点だけが違っていた。そして、この2人には抜きんでた実況と文章の素質があった。
2つのクランはリーダーの発信力を武器に急速な成長を遂げ、2015年になるころには、その名はすでにクラクラ界に鳴り響くようになっていた。
お互いを意識し、ドズルが「ドズル杯」を開けばpontaは「ポンタ杯」を開いた。
群馬帝国遠征軍が東京ゲームショウ(以下、TGS)に出れば、クラクラチャンネルはクランレベル10の到達レースで世界と戦った。
ライバルは競い合うことでその力を高めていく。かくして日本中のタレントは、2つのクランに集まった。
クラクラチャンネルと群馬帝国遠征軍が戦えばどちらが強いか、当時の多くのユーザーの関心事であった。
そして2015年冬、初めて2つのクランは激突した。
ユーザー主催のTH9大会、第1回明星杯において、クラクラチャンネルは群馬帝国遠征軍を紙一重の差で破り、そのまま優勝を果たしたのだ。
このとき、クラクラチャンネルは間違いなく、日本クラクラ界の頂点に立ったのである。
その後の2016年夏、OSAKACLASHの決勝で両者は再び激突。ここでは、群馬帝国遠征軍がクラクラチャンネルを破って優勝。見事、リベンジを果たした。
2017年春、クラクラ公式大会であるVERSUSにクラクラチャンネルと群馬帝国遠征軍も登場。Champions War League※やJapan War Clan rankingといったリーグでも活躍。日本を代表するクランとして、両者は常に脚光を浴びる場所にあり続けた。
※Champions War League:通称CWL。2017年時点では世界最高峰の非公式国際リーグ。
特に群馬帝国遠征軍は、公式大会では無類の強さを見せ、無敗の成績を残し続けた。
一方、クラクラチャンネルは公式タイトルのかかる場所ではなぜか勝てず、結果の出ない日々が続いていた。
ウェルプレイドリーグ Season 2開幕
「覚悟はできたか?」
迎えたウェルプレイドリーグ Season 1。群馬帝国遠征軍はクラクラチャンネルとの直接対決では勝ったものの、優勝に輝いたのはクラクラチャンネルであった。
公式大会での初の栄冠。優勝トロフィーはクラクラチャンネルのものとなった。
その結果、Season 2ではクラクラチャンネルは優勝クラン、群馬帝国遠征軍は準優勝クランとして、予選から勝ち上がった3クランを待ち構える。
物語の主役はいつも、無名で挑戦者のほうだ。
人々が好むのはジャイアントキリング。古豪、名門は打ち破るべき敵役として登場することが多い。
「優勝クランがなんだ、有名クランがなんだ」はウェルプレイドリーグ予選のキャッチフレーズだ。
しかし、古豪も名門も、あぐらをかいてその位置にいられたわけではない。
古参メンバーの離脱、解散の危機、激変する環境への適応。そういった難局を乗り越え、歯を食いしばって戦い続けてきた。絶え間ない挑戦と変革。その結果としての名門なのである。
クラクラチャンネルと群馬帝国遠征軍の歴史は、日本のクラクラ史そのものだ。新たな道を探し、切り開きながら進んできた。同時に、その発信力の大きさにより「挑戦される側」として巨大な壁の役割を果たしてきていた。
そして、このウェルプレイドリーグ Season 2でも、クラクラチャンネルと群馬帝国遠征軍は挑戦者たちの壁としてそびえたつ。
予選から勝ち上がったクランに下剋上の野心があるように、名門クランには名門クランの誇りと歴史がある。
野心が勝つか、誇りが勝つか。
熱き心を秘めた者たちの戦いがいま、始まる。
ウェルプレイドリーグ Season 2予選を勝ち上がった3クランの全貌は? 【後編】
