yamadaが教える解説では語られないブロスタテクニック
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■前編記事
解説の裏にある本当のテクニック
――「これまでのブロスタ解説は間違っていた」というツイートを見ました。この間違っていたとは、具体的にどういうことなのでしょうか?
トッププレイヤーの試合を紹介しても何が上手いかほとんど伝わってなくて見所じゃないところに着目する人がほとんどなのでもっと根本から解説してみんなのレベルをまず引き上げる必要がある。
そうすればもっと盛り上がる気がする🤔
今までちょっとミスってたなと感じた— Yamada🗻世界大会挑戦中🔥 (@Yamada_kantoku) March 26, 2019
yamada:
トッププレイヤーの試合って、キルの原因がかなり前に発生してることが多いんです。なので、キルされた人が悪いわけでもないし、キルした人がすごいわけでもない場合があるんですよ。
でもそれを言葉にするのは難しくて、3秒の出来事を説明するだけでも、6人分の解説が必要。それをリアルタイムで説明するのは無理なので、解説するときはA選手がB選手を倒した、という表現になるわけです。
――なるほど。
yamada:
しかも、間合いの読み合いが多かったり、有利なポジションに行くまでの駆け引きが長いんですよ。
例えば、味方が有利なポジションに行こうとすると、敵がそれを防ごうと攻撃してきますが、その攻撃をさせないためにけん制攻撃しておく、みたいな(笑)。
――奥が深すぎますね。
yamada:
そのけん制攻撃は外れるんですけど、けん制攻撃があったおかげで味方が有利ポジションに行けた、こういうのが連携なんですよ。
でも連携を意識せず、個人の技で勝とうとしてるプレイヤーが多いので、この解説をしてもうまく伝わらないんですよね。
――言ってしまえば、がんばって解説してもそれを理解してもらえないということですね。
yamada:
そうですね。解説動画も作ってはいますが、この動画を見るのはブロスタを上手くなりたいモチベーションの高い人だけなので、反響も少ないんだろうなと思ってます。
トッププレイヤーのバトルを解説した動画があるんですけど、実はあまり評判が良くないんですよ。トロフィー8,000ぐらいだったらトッププレイヤーが上手いってことは伝わると思うんですけど、トロフィー3,000ぐらいの人からすると、下手に見えるらしくて(笑)。
――そうなんですか? 不思議ですね……。
yamada:
けん制攻撃を、ただ攻撃を外したとしか見えてないみたいです。あと、バトルに派手さもないので見ごたえがないんじゃないかと思ってます。そう感じて、もっと根本からブロスタプレイヤーのレベルを上げる必要があると思い、これまでのブロスタ解説は間違っていたと発信しました。
――そういうことだったんですね。全体的なプレイヤーレベルの底上げが必要な気がします。
yamada:
そうですね。とりあえず時間が必要なのと、やっぱり解説してくれる人がいないとだめですね。でも、この解説ができるのは僕だけだと思ってます。それと同時に、本当に解説する必要があるのかな? とも考えていますね。
――私個人としては、解説動画を見たいです。
yamada:
作ってはいるんですよ。ただ、コストがかかりすぎてて(笑)。再生回数も見込めないので、気長にやっていこうと思ってます。
結局、「最強」とかのワードが入っている動画が見られるんですよね(笑)。
――YouTubeの性質上仕方ない部分に思えますね。細かい解説を理解するためには、やはり上手くなるべきなんでしょうか?
yamada:
いや、そうでもないですね。知識さえあれば、解説は理解できると思います。
例えば、このマップのどこが有利ポジションなのかを把握しておくと、そこに行ったプレイヤーが良いプレイをしている、というように理解できます。なので、必ずしも上手くなる必要はないです。
――なるほど知ることが重要なんですね。今後の解説スタイルは変えていくのでしょうか?
yamada:
リアルタイムでの実況は変えるつもりないです。ただ、動画やゆっくり解説できるときは、細かく解説していけたらなと考えています。
ブロスタリーグ week2 性根ブラザーズ vs JAPANを解説
ここからは、yamadaさん自身がプレイの解説をする。
解説するバトルは、まさちょん氏が主催している「ブロスタリーグ」の、yamadaさんが出場しているバトルだ。
最後まで解説しているわけではないが、yamadaさんのバーリー目線でバトルで起こっていることが細かく解説されている。
普段の実況とは密度もレベルも段違いの、本気のyamadaさんの解説に注目してほしい。
まさちょん氏についての記事はこちら
ステージ:クリスタル洞窟
yamada:
まずは、左サイドに向かいます。今回の対面はボウですね。攻撃は受けていますが、左側の壁のところまで移動するほうが大事なので問題ないです。
yamada:
ブッシュ(草むら)に入るとき、ボウが左側にいるので、その反対側である右側に行きます。この時点で、バーリーにとっては有利なポジションを取ることができました。
そこからは、ボウの対角線にいることを心がけつつ、できるだけボウとの距離を近くして攻撃しましょう。敵との距離が近ければ近い分着弾が早いので、効率的にダメージを与えられます。
yamada:
これはバーリーのテクニックなのですが、1回目の攻撃を敵の上側に、2回目の攻撃を敵の下側に投げます。これで、ボウは近づいたら攻撃を当てられるけど2回分のダメージを受ける、引いたら攻撃できないけど1回分のダメージで済む、という選択肢を与えました。
yamada:
そのままボウの体力を減らし、確実に1発で倒せる体力にしたら、近づいてボウを倒します。近くにいれば、オートエイムで確定ヒットするのであえて近づいています。
これで左サイドから敵が消えたので、次はミッドのカバーです。パムの体力がジェシーの攻撃2発で倒せるほどなので、必殺技で退路をなくしてパムに圧をかけます。
ただ、右サイドが押されていて、パムを倒すことができませんでした。右サイドが有利、もしくは均衡していた場合は、スパイクがパムに攻撃できるので倒せたはずです。
yamada:
ボウが復活しているので左サイドに戻り、ボウと戦うのが普通です。しかし、あまりにも右サイドが押されているので、左サイドをいったん諦めて右サイドのカバーをします。
このカバーが必要なければ、一度有利をとった左サイドを活用し、有利な状態でボウと戦えます。ただ、キャラ相性を含めて不利な状態からでもボウに勝つ自信があったので、あえてこのバトルでは左サイドは捨てました。
その後は左サイドでもう1度ボウを倒し、ミッドに圧をかけて勝利を狙うといった感じです。ガチで解説するとこうなります(笑)。
――ありがとうございます。説明されるまで気付けない動きの意味が多く、ここまでブロスタって考えてプレイされているんだと、改めてトッププレイヤーのすごさに気付くことができました。これをリアルタイムで実況は、無理ですよね。
yamada:
30秒でこれだけ考えて動いているので、リアルタイムで実況するのは無理だと思います(笑)。
解説したバトルの動画はこちら
ガチ解説は、ブロスタをそれなりにプレイしている私も理解が及ばず、説明されたことを確認しながらゆっくりと進められた。
非常に貴重な体験をすることができたが、あのレベルの解説を今後は動画でじっくりと見れるのが楽しみで仕方がない。
解説以外でも、キャラの使い方を網羅しているyamadaさんだからこそできる、指南書のような動画はいくつも存在する。ブロスタを上手くなりたいなら、動画をチェックしておくべきだろう。
YouTubeチャンネル:yamada entertainment
写真・大塚まり
(C)2018 Supercell Oy
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