インターネット上級者なゲームライターちょもすが対戦ゲームにハマったワケ

Mako(WPJ編集部)

【この記事は約7分で読めます】

ウェルプレイドジャーナルをはじめ、いろいろな媒体で記事を寄稿しているライターのちょもす氏。

カードゲームの大会で立たされた人であり、「Code of Joker」(以下、CoJ)の大会のために会社をやめた人であり、たまに何かのゲームの記事書いてる人であり、最近はオートチェスをやってる人である。

しかし、彼の記事やブログを読む機会はあれど、どういう人なのか話を聞かれている構図はなかったのではないかと思い、今回インタビューをさせていただいた。

立たされても炎上ライターになりたくはなかった

――いきなりなんですけど、ちょもすさんってそもそもライターっていう肩書が一番しっくりくるのでしょうか?

ちょもす:
「ドラゴンクエストライバルズ」の番組に出させていただいたときに、ちょもすさんって何者なんですかって説明するために肩書が必要になって。「うーん、じゃあ、ゲームライター……ですかね……?」みたいなやりとりがありまして。

そこからライターということにされてるんですけど、特にその肩書にこだわっているわけではないんです。

――実際のところライターとしていろいろな媒体で記事を執筆されていますが、最初に依頼された案件って何か覚えていますか?

ちょもす:
確か「電撃アーケードゲーム」(以下、電アケ)だったかな。CoJをプレイしていた時期に「ちょっと書いてみませんか?」と話をもらって、ちょっとした枠で書かせてもらったのが最初だったと思います。

それこそ今RAGEでがんばっているちゃみくん(※)の知り合いに電撃の人がいて、そこ経由で声をかけてもらいました。

CoJをやってるうちに“中の人”の知り合いが増えていって、それにともなって原稿依頼の話が増えて来た感じでしたね。

「いい感じのカードゲーマーいないっすか?」って話になると、僕のことを知っている人が紹介してくれていたみたいで。ありがたい話ですね。

※ちゃみ:読売新聞プロeSportsチーム「G×G」所属。RAGE Shadowverse Pro Leagueに参戦中

――ブログはライターとして依頼を受けるようになる前から続けられていますが、脚光を浴びたのはやはり第一回FRESH!杯「シャドウバース編」について書いた記事ですか?

ちょもす:
そうですね。僕のブログのPVは、あの記事だけ突き抜けちゃってますね。お恥ずかしい話ですけど。

その時はつくづく炎上って儲かるんだなって思いましたね。まとめブログが流行るのも理解できたし、記事のタイトルも扇動的なものをつけたり、読んだ人たちに対立を煽るように仕向けたりしたほうがいいよな、と。

知識としてはわかってたんですけど、そこで身を持って実感しました。

――でもその後、ちょもすさんはそういった炎上を狙って記事を書いたりはしてないように思います。

ちょもす:
あのタイミングで炎上芸人みたいな方向にいけば結構儲かるだろうなとは思ったんですよ。実際ちょっと考えましたけど、別にそれがやりたいわけじゃなかったんですよね。結局僕はゲームをしたいだけなので。

お金にめっちゃ困ってたらたぶんそっちに行ってたと思うんですけど、そこまでしてもな……っていうのが自分の中であって。だから落ち着くまでは平穏に暮らそうと思ってました。

対戦ゲームにハマったのはTGS招待枠がきっかけ!?

――そもそもは三国志大戦の記事から始まったブログですよね。

ちょもす:
そうですね。当時は攻略情報がネットにも全然出てなかったので。

CoJもそうなんですけど、アーケードのゲームって攻略情報が基本的にないんですよ。今でもそうなんですけど。

そういう背景もあって、攻略情報をブログに書けばプレイヤーたちに受け入れられる感じが割とあって。

――昔からカードゲームをプレイすることが多かったんですか?

ちょもす:
いや、そんなことはないですね。むしろ新参の方で、真面目にやりだしたのがCoJくらいからなので、ガッツリやるようになったのはここ6年くらいですかね。

それ以前となると、小学校の頃に「遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム」(以下、遊戯王)が流行っていたので自分も少しやってたくらいです。中学生になるとCGIで動く遊戯王があったのでやっていましたけど、勝率40%くらいのザコでした(笑)。

その後に、「CARTE(※)」っていうデジタルカードゲームもやってました。かなりマニアックなゲームですけど。

ただ、それも対戦ゲームだからやってただけで、カードゲームだからやってたというわけではないんです。その頃はどっちかというと格ゲーとかの方が触ってましたね。

※CARTE(カルテ):2012年3月から2013年10月にOnNetがサービスしていたオンラインTCG

――対戦ゲームが好きで、あくまでその中の1つだと。

ちょもす:
対戦ゲームが好きになったのは、中学校の頃にやっていた「ポトリス」というゲームがきっかけですね。

知り合いと2人で大会に出たんですけど、関東大会で優勝して全国大会に出場することになったんですよ。

その全国大会が東京ゲームショウ(以下、TGS)の中で行われたんですけど、大会出場者はTGSに招待枠で入ることができて、それが当時の僕には衝撃的な出来事で……。これが明確に対戦ゲームを好きになったタイミングですね。

あんまりゲームをやらせてもらえない家で、その中でやりたいけどできないっていう状態がずっと続いていて、その中でたまたま結果を出してしまって。未だにその幻影を追いかけているところはあるかもしれないです。

――対戦という大きなくくりでいうと、将棋もやられていたとのことですが。

ちょもす:
将棋は確か小学3、4年生くらいから始めました。ゲームはだめだったんですけど、将棋はOKだったんですよ。ゲームをやると馬鹿になるけど、将棋は頭が良くなるみたいな考えが僕の親にあったっぽくて(笑)。時代的にしょうがないんですけど。

将棋も結構やってたんですけど、いい感じの対戦相手が少なかったんですよね。

――周りにやってる人も少ないでしょうし。

ちょもす:
そうですね。だから千駄ヶ谷にある将棋会館とかまで行ってやってたんですけど、わざわざ行くのも大変じゃないですか。

中学生になったらネットでなんでもできるようになったので、別に将棋じゃなくていいかってなって徐々に離れていきましたね。

――そういえば、将棋の経験があるゲーマーって結構多い気がします。

ちょもす:
多いですよね。

話を聞いてると元奨励会の人とかゴロゴロでてきますよ。「将棋の話、できるよ」ということにするとすぐ“本物”が登場して危険なので、あまりしないようにしています。

――そして、対戦ゲーム好きが高じて「CoJの大会に出るために会社を辞めた」というプロフィールにつながっていくわけですね。

ちょもす:
今なら言ってもいいと思うんですけど、あれはなんで辞めたかっていうと、セガグループの従業員だとセガのゲームの賞金制大会に出ちゃいけないっていうレギュレーションがあったんですよ。

当時は僕も一応セガ従業員というくくりだったので、大会出るには辞めなきゃいけないっていうことになったんです。

そこで「CoJの大会に出るので辞めます」って上司に言ったらあっさりOKされて。今考えるとかなりむちゃくちゃなエピソードなんですけど、あのときの上司の方には感謝しています。実際50万円取れましたしね(笑)。

正確な見込みが物語るインターネットの上手さ

――RED ONE(※)の最高顧問でもありますが、具体的には何をされてるのでしょう?

※RED ONE:柳建二(やなけん、@yanaken_games)氏が代表取締役を務める、eスポーツイベントの企画、運営やタレントマネジメントを事業とする会社

ちょもす:
何もしてないです(笑)。何もしないのが僕の仕事なので。

――オフィスには行くんですか?

ちょもす:
たまに行って、寝るか、ゲームするか、飯を食うかの3択です。

いや、そういう形でいいからいてくれって言われたんですよ。別に何もしなくていいから、うちの会社にいるということにしてくれた方がメリットがあるということで。

もちろん、諸々で相談されたりはするので、これはこうした方がいいんじゃない? っていうのは言ったりします。

なんていうか、ゲーム界隈って独特の文脈があったりするじゃないですか。あまりゲームやってない人が「やってる風」を出すと叩かれるとか、どのへんまでなら言ってよくて、どのへんまで言っちゃうとアウトとか。そういう感覚を伝えるっていうのが一番近いですかね。

――ちょもすさんはブログやTwitterの投稿に対して「こういう反応がくるだろうな」という見込みは想像している?

ちょもす:
見込みはします。かなり精度は高い方なんじゃないかなーと個人的には思うんですけど……こういうことを自身満々で書くと後で確実にブーメランするので、あまり声を大にしては言いたくないですね。

FRESH杯!の時のブログも、投稿ボタンを押すのに手が震えました。ある程度反響があるのは目に見えていたので。

僕のイメージ通りな展開になるのを「勝ち」とすれば、勝率は75%くらいだなって当時は思っていて、25%くらいで干されるだろうと。ただ、いったんそこで干されてもなんとかなるか!みたいに思って投稿ボタン押しました(笑)。


のっけから際どい話でスタートしたインタビューだったが、ウェルプレイドジャーナルはeスポーツ専門メディアである。

後編では、ちょもす氏がeスポーツやプロゲーマーに対して思っていることをぶっちゃけてもらった。

【あわせて読みたい関連記事】

プロゲーマーは金持ちの息子?ちょもすが語るeスポーツの今

ちょもす氏が見聞きしてきたeスポーツの現状。それは、恵まれた環境を持った人たちが活躍する世界だという。前編に増して業界にメスを入れるインタビュー後編をお届け。

記者プロフィール
Mako(WPJ編集部)
スマホゲームの攻略サイト、情報メディアを渡り歩いてウェルプレイドジャーナルに流れ着いた超絶新進気鋭の若手編集者。イベント取材では物販やコスプレイヤーに釘付けになりがち。

関連記事

注目記事

新着記事