「シャドバで勝つならチャンスを掴め」ふぇぐが語る勝負感

Mako(WPJ編集部)

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■前編記事

シャドウバース世界王者ふぇぐ――大学休学から1億円までの道のり

先輩に誘われて始めたシャドバでプロへ

――シャドウバースはリリースされてからずっとやってるんでしょうか?

ふぇぐ:
リリースしてすぐにはやってなかったです。1回目のRAGEの決勝大会の1週間前とかだったと思います。リリースされて半年くらいのときですかね。

――もともとカードゲームには慣れ親しんでいたんですか?

ふぇぐ:
昔は「デュエル・マスターズ」や「遊☆戯☆王」をやってたんですけど、大学に入学してからはシャドバを始めるまでゲームにまったく触ってなかったんです。大学3年生のときに先輩に勧められたのがシャドウバースを始めたきっかけです。

始めてからはずっとハマり続けていて、周りの友だちが飽きてやめてしまっても1人でずっとやってました。それが今はプロでやってるというのは当時は思いもしなかったです。

――やり続けた結果、世界チャンピオンにまでなってしまいましたね。World Grand Prix 2018で優勝して周りの反応はいかがでしたか?

ふぇぐ:
しばらく連絡取ってない人たちからいっぱい連絡きましたよ。LINEの通知の数が見たことないくらいついていて。

「やっほー3年ぶり。」みたいな感じで、1回くらいしか話したことない人からも連絡がきましたね。顔も思い出せないような人も結構いて、飲み会に誘われるんですけど行ってないです。

――ご家族からはどうでしたか?

ふぇぐ:
優勝した当日は会ってないんですけど、LINEで「おめでとう、感動した。金の使い道には気をつけろよ」と言われました(笑)。マンションを買うのも父の勧めです。

休学を決めたときは殴られたのに、今は応援してくれてありがたいですね。

「シャドバを始めたきっかけはふぇぐ」が夢

――大会直後の報道では賞金額ばかりが注目されてしまいがちでしたが、もっとシャドウバースのここを知ってほしいみたいな部分ってありますか?

ふぇぐ:
面白いところはたくさんあるんですけど、それを語ろうとするとどうしても専門的な話になってしまうんです。

初心者やカードゲームを知らない人には、グラフィックとか世界観がいいとか話したりしますが、それよりも僕をきっかけにシャドウバースを始めてほしいと思っています。そのくらい、有名な存在になりたいです。

将棋の藤井聡太さんとかすごいじゃないですか。たぶん、藤井さんきっかけで将棋を始めたとか、子どもに始めさせた親が結構いると思うんですよ。僕はシャドバ界でそういう人になれたらいいなと思っています。

それでみんなが始めてくれたら、シャドウバースの魅力を知ってもらえるんじゃないかと思います。

――藤井さんは公式戦29連勝という記録を打ち立てましたね。シャドウバースに置き換えると、どのくらいの成績を残す必要があると思いますか?

ふぇぐ:
個人的に思ってるのは、World Grand Prixの2連覇なのかなって。今年も優勝すれば、3年連続世界大会に出ていて、しかも2連覇ということになるので、かなりのインパクトを残せるんじゃないかと思ってます。

それで藤井さんに並べるとは思わないですけど、そこからどんどん有名になっていければいいなって感じです。

僕がきっかけでプロゲーマーを目指す人が出てきたらめちゃくちゃ嬉しいですね。

――ふぇぐ選手がプロゲーマーを目指した経緯はどんな感じだったんですか?

ふぇぐ:
2017年末にシャドウバースに打ち込むって決めたときはまだプロリーグがなくて、配信とか実況や解説の仕事を目指していたんですけど、その頃にちょうどプロリーグが発表されたんです。それを見て迷わずチームのメンバー募集に応募しました。

――プロリーグはチーム戦でWorld Grand Prixは個人戦ですよね。そこでの違いって何かありますか?

ふぇぐ:
チーム戦だと僕だけでなくチームの勝敗が左右されるじゃないですか。これまでの成績を振り返ると、僕の勝敗がチームの勝敗に直結していて、毎回負けられないという気持ちが強いです。

個人での大会と大きく違うと感じるのは、試合までの準備です。チームとしてどういう戦略で戦うかを話して決めているので、誰かが負けてもそれはチームとしての戦略が良くなかったということになります。

本番は結局は1対1なんですけど、そこまでの準備がチームとしての強さにつながると思っています。そこでの経験がWorld Grand Prixで勝てた要因になってる気がします。チームの雰囲気もいいですね。

――シャドウバースは、スマホ向けゲームの中ではesportsシーンが盛んな印象なんですけど、選手層の厚さやプレイヤー全体がハイレベルになっている印象ってありませんか?

ふぇぐ:
自分が出ていない他の試合を見ていると、上手いなと感じることが多いです。

配信を見ていると、両方の手札が見えるからミスがわかりやすいんですけど、実際にそれがミスじゃないかもしれないことがあるんですよ。自分がプレイヤーで相手の手札が見えない状況だったらたしかにそうするなという場面が多くて、気付かされることがあります。

それでも自分は、両方の手札が見えてる観客も納得させられるプレイをするのが目標で、そこを目指してやっています。

運ゲーで優勝するための方法

――優勝後に「シャドウバースには夢がありすぎる」というTweetをしていました。これから後に続く人がその夢を掴むためにはどうすればいいんでしょうか?

ふぇぐ:
当たり前の話なんですけど、シャドウバースって勝てないこともあるんですよ。手札の引きなどで勝敗が決まってしまうこともあるんです。それはカードゲームの宿命だとは思うんですけど。

でも、夢を掴むためのチャンスや勝つためのチャンスって誰にもあるんです。それを逃さないのが大事なんだと思います。

なので、普段の練習はそのチャンスを逃さないための練習とも言えますね。そう思っているから何時間でも練習できるんです。

シャドウバースは運ゲーとか、運で勝って嬉しいか、とか言われることがあるんですけど、僕はたしかに運で勝ったと思ってます。でも、その運を逃さないように練習してきたつもりです。

嫌味に聞こえてしまうかもしれませんが。チャンス(運)を味方にするにも、日々の練習の積み重ねが必要だと思っていて、それが今回の結果に繋がったと信じています。

――ふぇぐ選手にとって、そのチャンスを掴んだ2018年となったと思います。では、2019年に成し遂げたいことは何でしょうか?

ふぇぐ:
シャドウバースといえばふぇぐ、というイメージを植え付けたいです。今だと、YouTubeなどでシャドウバースの配信をやっている人の名前があがると思うんですけど、それを覆したい。そのために、もう一度World Grand Prixで優勝します。

しばらくは今のペースで練習して、周りのレベルを見つつ練習時間や密度を上げていくつもりです。3カ月くらいで新しいパックが出て環境が変わるので、その状況も見つつですね。

いろいろなカードゲームがありますけど、今はシャドウバース以外のことは考えられないですね。他のゲームでプロを目指すとかは考えてないです。

あ、あとは彼女がほしいです。3年くらいいないので。プロになってからはずっとゲームをやっていて、女性と遊ぶ機会がなかったんですよね。誰か飲み会とかひらいてくれないかな(笑)。


プロリーグの第2シーズンが終了し、オフシーズンでリラックスしているところ取材の対応してくれたふぇぐ選手。第3シーズンについてはまだ発表されていないが、今年も各種大会でチャンスを逃さないプレイングを披露してくるだろう。

シャドウバース界の藤井聡太になれるか、年末に開催されるであろうWorld Grand Prix 2019で2連覇できるか、今年も見どころに尽きない大会になりそうだ。

写真・大塚まり

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Mako(WPJ編集部)
スマホゲームの攻略サイト、情報メディアを渡り歩いてウェルプレイドジャーナルに流れ着いた超絶新進気鋭の若手編集者。イベント取材では物販やコスプレイヤーに釘付けになりがち。

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