「プロは賞金稼ぎの資格があるだけ」今池壁ドンズαが考えるモンストのesports【後編】

WPJ編集部

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1ピクセルのズレまで研究は都市伝説ではなかった

――今池壁ドンズαのみなさんは、ピクセル単位でステージの研究をしているという噂を聞いたのですが、それって本当ですか?

なんとかキララEL:
本当ですが、最近はしてないです。

モンストグランプリ2016の頃の話で、今ほどモンスト界の横のつながりがなく、情報が自然と入ってくることがなかったので、自分たちで脳みそを絞りだして考えるしかなかったんですね。

そんなとき、ネットで情報を探していたら「あと2mmずらして……」みたいな書き方をしているのを見つけたんですけど、「ゲームにおける正確な最小単位はピクセルだろ」と。

べーこん:
端末のサイズでも変わってきますからね。

なんとかキララEL:
なので、同じ場所から撃ったときに、方向を1ピクセルずらしたらどうなるか動画を撮影して検証してみたんですね。

同じ場所から同じ撃ち方をしたら、絶対に同じことが起きるはずで、それをあらかじめ知っていたら勝てると思っていました。

ただ、それから2年間モンストを続けてきてわかったのが、残念なことに我々人間は、1ピクセルの違いを試合の本番中に見分けることはできないんです(笑)。

なので、そこまでするのは意味がないのでやめました。

――普段の練習はどんな形式でやっているのでしょうか?

なんとかキララEL:
pkrnだけ名古屋住みではないので普段は通話しながらやってますが、プロツアーの期間は週末に来てもらって顔を合わせて練習することが多いです。

誰かがうまくいかないときは、他のメンバーが撮影した動画でやり方を教えたり、アドバイスを言いあったりするというのは当たり前だと思ってずっとやってきました。

ただ、台湾に行ったとき(※)に他のチームの方たちとお話する機会があって、そこで聞いた限りでは、意外と普通ではないのかもしれないです。

他のチームは「お前はこれできるようになっておけよ。」で終わっている印象を持ちました。

あくまで個人的な予想ですけど、若い選手が多いので、プライドとかが邪魔をして言いにくいのかもしれません。

※11月に開催された「eスポーツ ワールドチャンピオンシップ大会」のデモンストレーション競技にモンストが採用。なんとかキララEL選手をはじめ8名が参加した。

そふぁ。:
確かに。それは納得感あるね。

僕たちは、勝つためには当たり前のことだと思ってます。

最後の1ピースpkrn加入秘話

――今池壁ドンズαはどういった経緯で結成されたのでしょう?

なんとかキララEL:
僕とそふぁ。は高校の同級生で、べーこんは友人の友人だったので、もともと一緒にモンストをやっていまして、大会があるから一緒に出ようと、この3人は速攻で決まりました。

他にもモンストをやってる仲間は20人くらいいたと思うんですけど、勝つためにはその中のメンバーだと無理だと思ったんですね。

で、僕があと1人を探し回って見つかったのがpkrn……ではなく、ちゃんめめっていうニューハーフの子だったのです。

――なんと(笑)。

なんとかキララEL:
その後、いろいろあってその方はチームを抜けて3人になってしまった頃に、モンストグランプリ2017が開催されることになりました。僕たちは2016年に優勝していたので、予選のタイムアタックは免除で決勝に出れるので、出るしかないと思いましたね。

同じ頃、pkrnが所属していた獣神亭一門が解散したのは聞いていて、声をかけることにしたんです。

彼はどこから誘われてもおかしくないような人だったので、「うちにくればタイムアタックないけどどうですか?」で口説きました。

――pkrnさんを誘うことにした理由は?

なんとかキララEL:
そふぁ。と一緒に遊んでいたということもありましたし、なによりも、他のプレイヤーよりあきらかに上手かったんですよ。

そふぁ。:
地方予選を観にいってプレイしているところを見たんですけど、絶対こいつだわって思いましたね。

――プレイングの上手さってひと目見てわかるものですか?

べーこん:
わかりますね。あとは立ち振舞いが他とは違いました。

誰かがミスったときに真っ先に声をかけていたり、試合中の表情だったり、1人だけ空気が違っていましたね。

――pkrnさんは誘われたときはどうお考えでしたか?

pkrn:
もともと獣神亭一門の前に極楽元町会(※)にいたんですけど、獣神亭一門のあーぼーに誘われて移籍して、モンストグランプリ2016で準優勝。

その後、獣神亭一門はいったん解散になって極楽元町会を再結成したんですけど、すぐに1人抜けることになってしまって、さらに1人が就職するかしないかというところで微妙な感じになったんですね。

抜けてしまった1人を埋めるために今は獣神亭一門にいるたっくす選手を誘っていたんですけど、やっぱりそんな中途半端なところに来てもらうのはかわいそうだという話になって、そのまま解散ということになりました。

そんなことがあって大会に出るのもやめようかなって考えていたタイミングで誘ってくれたので、ありがたかったですね。

※極楽元町会(ゴクラクモトマチカイ):現在はGameWithの「よーくろGames」にてYouTuberとして活動するよおちゃんがリーダーを務めていたチーム。

べーこん:
僕ら3人の意見としては、Twitterで募集するとか、その辺の変なやつを入れるという選択肢はなかったです。

のど飴常備でさらなる高みへ――

――獣神亭一門といえば、モンストグランプリ2018闘会議CUPのプロフェッショナルマッチで対戦した際に、ダメージウォールに突っ込んで、ゲームオーバーの末に敗北という結果になってしまったのが記憶にあります。

べーこん:
チーム内でプレイの方向性が一致していなくて、本来ならそれを確認しながら進めるべきだったのですけど、チーム全体で声がまったく出ていなかったのは反省したところです。

なんとかキララEL:
前日の試合と見比べてみると一目瞭然ですが、前日の試合で勝ったことに喜びすぎて喉を痛めていて、チーム内でコミュニケーションができていなかった結果だと思います。

――その結果を受けて戦略を見直すなどの修正はしていったのですか?

なんとかキララEL:
戦略そのものについては方針を変えたことはありません。強いて言えば、私はのど飴を常備するようになりました。

――なるほど(笑)。コンディションを整えるのは重要ですもんね。では、他のチームの選手でこれは敵わないと思った人っていますか?

そふぁ。:
練習不足。の<cyu_yan>選手が、ミスをして頭を丸めたのは感服しました。

僕に、そこまで出来るかはわかりません(笑)。

べーこん:
GVの☆星☆選手は上手だなって思いますね。

GVの戦略の中に早撃ちっていうのは組み込まれていると思っていて、その中であのパフォーマンスを出せるのはすごいです。頭一つ抜けているんじゃないかと。

pkrn:
戦術面でいうと、はなっぷの小陸選手ですね。変わった編成を使ってくるんですけど、小陸選手が考えているみたいです。

――最後に、2018年を振り返って、チームとして印象に残っている試合や出来事はなにかありますか?

pkrn:
モンストグランプリ2018 チャンピオンシップは、優勝したけど不完全燃焼感がすごく残っています。

練習したことをやれていなかったけど、結果が出てよかったねっていう感じ。

なんとかキララEL:
アドリブで勝ったようなものだったので、優勝したのに反省会をやりましたよ。運がよかっただけ。

それがあったから、プロツアーの第1戦、第2戦といい滑り出しができたのかもしれません。

pkrn:
第1戦で勝てたのは大きかったですね。

べーこん:
僕らが想定していた立ち回りがきっちりはまっていきました。見返すと駄目な部分もあるんですけど、他のチームがまだ追いついてなかったです。


モンスターストライク プロフェッショナルズ2018 トーナメントツアーのファイナルでも、コメントやパフォーマンスで会場を盛り上げつつ、確かな実力で優勝を勝ち取った今池壁ドンズα。

モンストは、2019年に初のジュニア向けの大会が開かれるなど、また新しい展開が予定されている。今池壁ドンズαに並ぶチームが生まれるか、今年の見どころである。

写真・大塚まり

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