けんつめしとRADが語る 日本のクラロワチームに足りないハングリー精神【後編】

WPJ編集部
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けんつめしとRADが考える最強日本人メンバー

――世界一決定戦は報道された媒体の数も多かったです。「クラッシュ・ロワイヤル」(以下、クラロワ)のプロシーンに注目が集まっているように思いますが、実感はありますか?

けんつめし:
世界一決定戦の会場でも声をかけてくれる人が多くて、クラロワのファンが選手である俺たちを知ってくれているんだなって感じました。

プロシーン自体も、アジアリーグのシーズン2は日本戦が2回あったり、東南アジアがめちゃくちゃ強くなったりして、競争率が激しくなって面白くなってきたと思います。

――2人はその中心にいた当事者だったと思うのですが、チームの実態として悩みや苦労などはあったのでしょうか。

けんつめし:
もちろん課題はいろいろと出てきました。それまではプロではなかったから、遊びの延長線上みたいな感覚が捨てきれなかった部分は否定できませんが、プロの世界は厳しい。

本当に勝てないときは悩みましたし、チーム内でコミュニケーションがうまくできていなかったこともありました。

――そういった課題に、どう立ち向かったのでしょう?

けんつめし:
これは反省点でもあるんですけど、誰かが中心となってまとめるみたいな感じはなかったです。

試合時のオーダーも、そのときになってからどうしようってなってしまったり、練習でもそうなってしまうことがあった。思い返すと、もったいないことが多かったですね。

RAD:
練習やオーダーなどのチーム戦ならではの要素に慣れていないのがとにかく大変でした。

Team QuesoやNova Esportsは、クラロワ以外の部門がもともとあったプロチームなので、団体戦に慣れているという強みはあったと思います。

反対に楽しかったことも多かったです。海外遠征は特にそうで、「来週は遠征だからがんばろう」という気持ちになれますね。

けんつめし:
楽しいんだけど、そこで勝ちきれないと気分は落ち込みますけどね……。逆に勝てれば最高。

ホテルでは、よくPONOS Sportsのライキジョーンズ選手の部屋に行っていろいろな話をしました。試合が終わった日はみんなで集まってトロ上げ(※)したこともあったし、日本のプロ同士は仲良いと思いますよ。

RAD:
良い面でも悪い面でもありますけど、日本のチーム同士はバチバチ感はあまりないですね。

けんつめし:
ただ、世界一決定戦のような大舞台に進んで戦っていくには、そういった甘い部分は捨てないといけない。

優勝したNova Esportsは、メンバー同士でも本気で怒っている様子も見られました。良いか悪いか、いろいろ考え方はあると思いますけど、あまり馴れ馴れしすぎるのは良くないんじゃないかなと。

※トロ上げ:バトルに勝ってトロフィー数を上げること

――日本ではチーム間で交流があるんですね。各チームから自由に選手を選べるとしたらどんなチームにします?

RAD:
2v2はみかん坊や選手と天GOD選手のペア。1v1はとりあえずKK19212選手、あとは……、難しいな。

けんつめし:
みかん坊や選手と天GOD選手ペアは入れておけば安牌みたいなところはありますね。

1v1は各チームのエースを抜く感じなんで、KK19212選手もそうですし、あとはRADとか、入れていけばいいチームになりそう。

欲をいうと。選手以外に相手の戦略やデッキを研究する専用の人がほしいです。

RAD:
それをやってくれる人は本当にほしいです。

FAV gamingは、全員がそれぞれ明確な役割があるという感じではなく、メンバーそれぞれがやっていた感じでした。

専門でやってくれる人がいるとチームとしては絶対に強くなれるはずです。

――チーム戦ならではの苦労をいろいろお聞きできた気がします。他にクラロワリーグで大変だったことはないですか? 例えば、試合時の環境に慣れないなどです。

けんつめし:
端末は試合で使うのと同じものが支給されていたんですけど、最初は慣れなかったですね。

RAD:
端末の違いは想像以上に影響が大きかったのを覚えています。自分が狙ったところをタップできていないんですよ。

けんつめし:
それよりも、試合では立ってプレイするのはキツかったですね。普段は立って練習しないし、やろうと思っても体力が持たないでしょうし。

意外と、世界一決定戦みたいな舞台の方が集中できるかもしれない。テンションも上がって、クラロワの画面以外何も見えなくなりそう。

2年目へ向けてクラロワ以外は眼中になし

――プロゲーマーになって大体1年経ったくらいですが、生活に変化はありましたか?

けんつめし:
結果が出ないときや長時間練習するときのキツさはこれまで経験しなかったものでした。以前は自分のペースでやってきたんですけど、プロになったらチーム単位で勝敗がつくのでそういうわけにはいかない。

自分は昼頃にFAV gamingのトレーニングルームに来て1人で練習することが多かったのもしんどかったです。やっぱり誰かと一緒に練習したかった。

生活リズムも一定ではなくなって体調も崩しがちだったのもよくなかったです。

そういう状況でも常にクラロワのことを真っ先に考えるんですけど、コンディションの調整がうまくできなくてチームに迷惑をかけてしまったこともありました。

RAD:
僕は学生と両立する中で、とにかくクラロワをやりたいと思っていて、学校でもプレイしていました。

千葉にある大学に通っているので、練習のために集まるのに時間がかかるのはつらいところでしたね。学校が終わる17:00くらいから1時間かけて練習に行って、また1時間かけて帰るという具合でした。

そして練習のために集まっても、そこから今日はどうしようかって考える感じで、意図を持って集まれていなかったのは反省しないとです。

けんつめし:
そのあたりは自分がキャプテンだったのですが、行動で示すことができていなかった。FAV gamingの圧倒的な柱になれていなかったと思います。

海外のチームはもっとハングリーさを持ってストイックにやってるんだと思うと、まだまだ届かない。これは大きな課題に感じています。

――今後、プロゲーマーとしてどうなっていきたいか、ビジョンは持ってますか?

けんつめし:
自分はゲームが好きなんで、いろいろなゲームをやって大会に出てみたいと考えたことはあるんですけど、やっぱりそういう甘い世界でもなくて、今はクラロワに自分のすべてを注ぎたいと考えています。

世界一決定戦みたいなめちゃくちゃ大きい大会を観てしまうとなおさらそう思います。

1つのタイトルでトップになれたら、他のタイトルでもやっていけると思うので、全部中途半端になるよりは、1つのタイトルをがんばったほうが今は楽しい。

RAD:
具体的にこうなりたいみたいなものはないんですけど、本当にクラロワで世界を獲りたい。それだけしか考えられないです。

世界大会に出たい。しかも、ただ出るだけでなくて優勝したいんです。

今はオフシーズンで時間に余裕ができたんですけど、1日中ずっとクラロワをプレイできる。そのくらいガチでやっていきたいです。

けんつめし:
シーズンが終わった今だからこそやりこまないと、次にリーグが始まったときに出遅れるでしょうね(※)。オフに何をするのかは、その後に影響すると思うのでしっかり考えてやっていきます。

もし今のままリーグが継続すれば、またPONOSが優勝すると思います。みかん坊や選手の存在はそれほどまでに大きいので、そこに匹敵する人がでてこなければPONOSで決まりですね。

次にリーグが始まるときまでに自分自身が成長できていないと、2019年も目立った活躍ができずに終わる危機感しかないです。

もっとストイックさを求めたいですよね。世界で戦っていくためには、甘えは捨てないといけないし、そうしないとチームを引っ張る人にはなれない。

※クラロワリーグ アジアの次シーズンについては、現時点では未発表

――けんつめし選手は20歳、RAD選手は19歳。人生で一番やりたいことがやりやすい時期でもあると思うのですが、クラロワ抜きにしてチャレンジしたいこととか遊びにいきたいとか思っていることはありますか?

けんつめし:
一度、普通でない体験をしてしまうと、普通には戻りたくないタイプなんです。今さら普通の生活はしたくない。常に人生のピークの状態でありたいんです。

先を目指して常にがんばっていないと、せっかく今いる位置がもったいない気がします。

とは思いつつ、ときには人間なので流されてしまうこともあるので、そこは難しいところですね。

RAD:
他のことよりも、もっとクラロワをやりたい思いが強いかな。

今のクラロワに打ち込んでいる生活は気に入っていて、シーズン中は学校との両立で忙しいけどやっていけます。

忙しいからこそ、オフシーズンに少し余裕ができるときにゆっくりできるのがすごくうれしい。そう思えるくらい、クラロワをやり込みたいです。


チーム練習の難しさやリーグの試合で勝てなかった時期があったこと、苦悩が絶えない1年だったことが話す中で伝わってきたが、それでも彼らはクラロワをプレイし続ける。

純粋にクラロワが好きだからなのか、プロゲーマーとしての成長を見据えてか、考え方は人それぞれかもしれないが、オフシーズンの準備期間を経て成長した姿を見せてくれるはずだ。

世界一決定戦の余韻に浸りながらそのときを待つことしかできないのが、なんとも歯がゆい年の暮れである。

写真・大塚まり

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記者プロフィール
WPJ編集部
「ゲームプレイに対する肯定を」「ゲーム観戦に熱狂を」「ゲームに、もっと市民権を」
このゲームを続けてよかった!と本気で思う人が一人でも多く生まれるように。
ゲームが生み出す熱量を、サッカー、野球と同じようにメジャースポーツ同様に世の中へもっと広めたい。
本気で毎日そのことを考えている会社の編集部。

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