プレイヤーとして自由に――お金と上達の両立を夢見るkept

Mako(WPJ編集部)

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■前編記事
心がキュっとなってから強くなったスマブラプレイヤーkept

海外でワンチャン戦えるkeptのポテンシャル

――今年に入ってからは、「スマッシュボール杯 スマブラSP 西日本リーグ」に出場されました。普段のオフライン大会とは異なるルールでの対戦となりましたがいかがでしたか?

kept:
アイテムやチャージ切り札ありだったり毎回変わる対戦ルールだったり、普段やってるスマブラではなかったというのがまず感じていることです。リーグに向けてプレイヤーとして真剣に練習するというのが、普段の練習とは違うものがありましたね。

しかも、自分が使っているむらびと、しずえがあまり向いていないルールで苦戦しました。

ただ、見ている人からしたらタイマンのアイテムなしより面白いと思いますよ。

――やっぱりリーグ向けの対策は必要でしたか。

kept:
そうですね。アイテムの特徴とかは普段やってないので知識が全然なかったので。

あと、3キャラ使わなきゃいけないルールとか、1回使ったキャラはもう一度使えないルールもあったりして、むらびと、しずえ以外使い込んでない自分にはきつかったです。

前のラウンドで上位から順に使用キャラを選んでいく感じだったんですけど、僕が選ぶ前にむらびともしずえも取られてしまったり(笑)。そうなるだろうなとは予想していたので、他のキャラの練習はある程度やっていましたが。

――リーグでは日本選手権まであと1歩及ばずでした。とはいえかなりの活躍をしましたし、他の大会でも1桁台の順位にコンスタントに入れていて良い調子です。今年もあと半年ほどになりますが、2019年内に目標としていることは何でしょうか?

kept:
やっぱり前回のEVOから大きな目標は変わってなくて、海外の大会で勝ちたいと思っていて、具体的にはトップ16くらいには入りたいと思ってます。ゆくゆくはもっとトップ8とか、もっと上位に入ることが目標です。

――まずはトップ16を目指すと。達成の見込みはどう考えていますか?

kept:
正直、僕が使っているキャラはプレイヤー人口が少ないんですよ。しかも海外だとそれがより顕著で全然いないんです。なので、海外のプレイヤーは僕に対するキャラ対策がそこまで進んでいません。

たまに海外のプレイヤーが日本に来てくれて対戦する機会があるんですけど、日本人と比べると「あ、こいつわかってないな」って感じることがあるので、その強みを大きい大会でも活かすことができればワンチャンあるかなと。日本は割とレアキャラ職人気質みたいな人が結構多くて、海外はとにかく強キャラを使う傾向がありますね。

他の日本人上位プレイヤーと比べると、自分なんて警戒されてないと思うので、そういう意味でもチャンスはあると思います。

プロになる決意と情報発信の意図

――たしかにそれはワンチャンありそうです。では、プレイヤー人生で成し遂げたいことは?。

kept:
いまは仕事と両立して活動しているのですが、普通の会社員をやっていると時間的制約が多くて、プレイしたいのにできなかったり、出たい大会があるのに行けなかったりするので、そこは自由に動けるようになりたくて。

ただ、今のスマブラとか他のゲームの界隈を見ると、プロとしての固定給や賞金だけで食べていくのって相当難しい印象はあります。

自分はYouTubeの配信で収益も出ているんですけど、配信で収益を出すためにプレイするのって大体オンライン対戦の様子を流したり、動画であれば編集に時間を割いちゃったりするので、言葉を選ばずに言うと「お金を稼ぐためのスマブラ」をすることになります。そのスマブラと強くなるために配信も何もせずにただ対戦場に行って対戦してくるっていうスマブラ、この2つを両立をさせて、プレイヤーとして自由に動けるのを目指したいです。

視聴者としては強いプレイヤーの動画を見たいでしょうから、強くないといくら動画編集を頑張ってもたくさん見られない。どっちもおろそかに出来ないですね。

――社会人を続けながら練習や大会への参加、さらに配信や動画編集などもやるとなるとかなり時間と情熱を注いでいる印象です。

kept:
そうですね。

実はプロの話もいくつか来ていてまだはっきりと返事をしていないところもありますし、個人的に興味があって話を聞きに行きたいところもあって、これから動こうと思っているところです。

――そうなんですね……! ドタバタしてるときに取材させていただいて申し訳ないです。

kept:
プレイヤー側からプロになりたいと発信する人って意外といないじゃないですか。そういった意思表示をしていない人に声をかけるのって企業側としては積極的にはなれない、みたいな話を聞いたことがあるんですよ。プロになりたいと思ってない人に、プロになりませんか? と言いにくいみたいで。

ライターとYouTuberの顔

――そういえば、カリスマ3 on 3でチームを組んだtakera選手、Raito選手とはどのように出会ったのでしょうか?

kept:
どっちも大会であたったのが初対面です。その後、Raitoさんとは宅オフとかで一緒になることがあって仲良くなったんですけど、takeraさんとはあまり絡みはありませんでした。

カリスマ3 on 3も、自分はプレイヤーの友だちがあまり多い方じゃなかったので関係ないかなって思ってたんですけど、Raitoさんから「組もうよ」って連絡が来て出場することにしたんです。そのもう1人のメンバーがtakeraさんだったんですけど、実力も近いし組んだら楽しいんじゃないかなって感じでした。

大会まであまり時間がなかったので、takeraさんが宅オフを開いていたのでそこで合宿をしようとなって、1週間くらい泊まり込みで練習したんですけど、そこでかなり仲が深まったと思います。

みんな仕事してたので日中は出勤して、takera宅に帰ってきて寝るまでスマブラして、ご飯を食べるときは他のチームの対策やオーダーについて話したりして、あのときは楽しかったですね。

――その合宿が準優勝につながったわけですね。国内の大会でこの大会に優勝したいという大会はありませんか?

kept:
関西ならスマバト、名古屋ならカリスマ、関東ならウメブラなどがありますけど、ウメブラは規模が大きくなって、頻度もそんなに多くないので、本当に大きなイベント感があります。地方在住のプレイヤーもウメブラには行くみたいな雰囲気がありますし。イメージで言うと、関東大会というより全国大会という感じになってて、自分はキャラが割と尖っているので地方に行くと慣れていないプレイヤーが多かったりして1桁の順位に入れるんですけど、ウメブラでは相変わらず入れないです。

ウメブラで最後に1桁に入ったのはスマブラforの中期くらいで、それ以降は取れてないですし、活躍したときの注目のされ方は大きいので、ウメブラで勝たないと、とは思います。

あとはやっぱり国内の大会より海外で勝ちたい気持ちがありますね。大会の演出だったりステージだったり機材だったり、海外を見ていると桁違いというか。参加費も日本の5~6倍かかるので、その分お金をかけてやっているのがわかりますよね。そこで良い成績を残したいです。

――話は代わりますが、「柴又チンジャオロースー」というYouTubeチャンネルをやられていますが、あれは一体何なんでしょう?

kept:
あれはですね、高校の同級生と3人でやってるチャンネルでして(笑)。

実はこの3人でルームシェアをしているんです。別にYouTubeをやるために一緒に住み始めたわけではなくて、仲が良くて一緒に住み始めたんですけど、自分が個人でゲーム配信を始めたのがきっかけでこっちもやってみようと。

他の2人は別にスマブラのガチのプレイヤーというわけではないですよ。ギリギリVIPにいけるくらい。

――個人のYouTubeに柴又チンジャオロースー、さらにはブログと、いろいろと発信することが好きなんですね。今回インタビューさせてほしいと思ったきっかけもブログを読んだからなんですけど、そういえば最近更新がないですよね?

kept:
したいとは思ってるんですけど(笑)。Smashlog(※)の方でも執筆しているのでなかなか時間が取れず……。

プロとしてやっていきたいという思いをどこかで書きたいんですけど、最近、noteが流行ってるのでそっちで書いた方がいいのかなって思いつつ、ブログには愛着があるのでそっちで書こうかなとか迷っていて。

※Smashlog:kept選手をはじめとしたスマブラトッププレイヤーが攻略や大会レポートなどを執筆しているWebメディア

――スマブラ界隈はブログなどで情報発信する人が特に多い印象があります。単純に人が多いからかもしれないですが。

kept:
みんなやっぱり承認欲求があるんじゃないでしょうか。見てもらいたい、評価されたいっていう気持ちが。

――keptブログのファンなのでぜひブログの方で読んでみたいです。最後に、スマブラプレイヤーインタビュー恒例(にしようとしている)試合前に食べる勝負メシを教えてください!

kept:
うーん……、最近はあまり食べてないんですけど、takera宅の近くにある福徳食堂ですかね。

――福徳食堂! Raito選手のインタビューでもそのお店の名前が出てきました。

kept:
メニューによっては量が多くてがっつり食べれるお店なんですよ。

takera宅で合宿していたときによく通っていて、そこで大会に向けた話し合いを食べながらしていました。

――近くに行ったら寄ってみようと思います。ありがとうございました!


タイミングが良いのか悪いのか、ちょうどプロとしてやっていく決意をして、これから動き出すという時期の取材となったkept選手インタビュー。

そう遠くない内に、どこかのチームのユニフォームを着て大会に参加していることを祈りつつ、海外大会での彼の試合には注目しておきたい。まずは8月に控えるEVO 2019。keptむらびとが海外勢をあっと言わせることに期待せずにいられない。

写真・大塚まり

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記者プロフィール
Mako(WPJ編集部)
スマホゲームの攻略サイト、情報メディアを渡り歩いてウェルプレイドジャーナルに流れ着いた超絶新進気鋭の若手編集者。イベント取材では物販やコスプレイヤーに釘付けになりがち。

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