クラロワリーグS1を終えたPONOS「終わりよければすべてよし」の精神だけど反省も欠かさない

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クラロワリーグ アジア2019 シーズン1が6月に幕を閉じた。
日本のチームからは、GameWithがグループAを首位で、PONOSがグループBを2位で通過、プレイオフでも両チームが勝ち進み、決勝でぶつかることに。
日本中のクラロワファンが注目を集めたこの試合は、Set5のKING OF THE HILL(以下、KOH)までもつれ込み、勝利の女神はPONOSへほほえんだ。
今回、PONOSの全メンバーと今シーズンからは監督という立場でチームを支えるフチ監督に時間をいただき、約2ヵ月にわたって繰り広げられた激動のシーズンを振り返っていただいた。
慣れない韓国生活を支えたのはフチ監督の手料理
――まずは優勝おめでとうございます。今シーズンはすべての試合が韓国で実施されました。PONOSのみなさんは韓国に常駐して試合に臨んでいたとのことですが、シーズン全体を振り返って率直な感想をお聞かせください。
ライキジョーンズ:
シーズン前半に負けが続いてしまい、チーム内でもケンカとまではいかないですが言い合いみたいになることが結構あったんです。
でも、終盤になるにつれてまとまっていって、みんなが意見を出すようになり、良い雰囲気でプレイオフを迎え、優勝できたと思います。
――チームがまとまり出したきっかけとして、何かあったのですか?
ライキジョーンズ:
これといったきっかけはなかったですが、負けたときにみんなで話し合ってどこが悪かったか、逆にどこが良かったかといった意見を出して話し合えたおかげで、誰かがモヤモヤを抱えることもなくなって、徐々に良くなっていったんじゃないかなと。
RAD:
僕は個人のことになるんですけど、勝てるときは勝てるけど負けるときはずっと負けが続いてしまって……。結構不安定な感じだったので、そこが辛かった部分ではあります。シーズンを通して安定して勝てるようにしたいというのは振り返って感じるところです。
負けが続いているときは、「また負けか……」となって試合に出るのも辛かったですね。
kota:
自分もどうすれば試合に勝てるようになるかを悩んでいた部分もありましたが、チームのみんなと常に一緒に生活をしているので、普段からアドバイスをくれたりして助かりました。
みんなそれぞれ苦しい場面があったと思いますが、僕は一緒に生活できてよかったなと思います。毎日練習をしていたのでそこまで余裕があったわけではないですが、みんなで遊んだりもできて、ずっと苦しいというよりは結構楽しくできたかなと思います。
天GOD:
自分は2v2に出場することが多かったんですけど、アジアの2v2のレベルが高くなっていたこともあり、負けてはいけないところで負けてしまったのはシーズンを通して痛かったかなと思います。
逆に、Match59のSANDBOX Gaming戦では初めてKOHに出場して3タテすることができて、自信がついた感覚はあります。これまで2人抜きはあったんですけど、3タテは初だったのでうれしかったですね。
みかん坊や:
振り返るとやっぱり韓国の生活が日本と違って大変なところが多かったし、自分も大事なところにならなきゃ勝てないというか、余裕がある場面では余裕をこきすぎて結果が出せないことが多くて……。
「終わりよければすべてよし」の精神でいるから、チームが優勝して終えられたのはよかったと思います。ただ、そこに至るまでに自分が1v1で勝てなかった場面もあり、そこは課題として次のシーズンにつなげる。2v2やKOHは結果が出せたので、総じて悪くないシーズンだったと思います。
――生活面で大変だったところは例えばどんなところでしょうか?
みかん坊や:
好きなときに好きなことができないところですかね。
日本にいるときのように気軽に牛丼を食べに行くこともできませんし、共同生活だから自分の好き勝手にできないという部分はありました。
――フチ監督は今年からは監督という立場で臨んだシーズンでしたがいかがでしたか?
フチ:
監督の仕事の1つとして、自分がみんなの食事を全部作っていたんですね。最初の1ヵ月はそれにかかりきりで体力が持たなかったりしてちょっと限界を感じたんですけど、それに加えて負けもこんでいて精神的に厳しい場面もあって、「辛いなぁ」と思う時期は正直ありました。
それを繰り返したくないと思いますけど、すごくいい経験になったとも思います。
――フチ監督の料理は選手のみなさんの好みに合いましたか?
ライキジョーンズ:
最初は結構健康に気を使う感じのメニューだったんですよ。それもおいしかったんですけど、だんだんと僕達好みの味に寄ってる感じがしましたね。ちょっと味が濃いめになったりとか(笑)。
フチ:
健康管理が重要だと思っていて、選手として参加した昨年は試合の前に体調を崩してしまうことがあって、それを試合に持ち込みたくないと思ってました。実際、持ち込まない方がパフォーマンスも良くなると思っていたので、みんなの体調をできるだけ崩さずに試合に臨んでもらうというのを目標にしてやっていました。なんとか達成できたかなと思います。
――監督という立場で意識していたことは他に何かありますか?
フチ:
やっぱりみんな個性が強いので、なるべく雰囲気を壊さないように立ち回るというのを意識していましたね。つまり、気を使うということなんですけど。
これはひと言で表せるようなことではないんですけど、雰囲気を良くするためには壊さない
ようにするための努力を誰かが必ずやらないといけないので。やってくれる人と苦手な人がいるのはわかっているので、そのケアに気を回せていたつもりでいます。
長風呂派のみかんは口笛でライキを寝かしつける!?
――今年はチーム間の移籍や新加入の選手がいるなど、どのチームも体制が変わりました。RAD選手、kota選手は今シーズンからPONOSへ加入しましたが、環境の変化などを感じた部分はありますか?
kota:
4月からみんなと練習を始めたんですけど、僕以外のみんなは昨年1年間プロリーグを経験していて、自分より経験が豊富にある人たちです。そういうところを見習いたいなって思いながらシーズンに入りました。
あと、最初はみんながどんな人かわからないというのがあってめちゃくちゃ気を使ってしまったんですけど、優しくしてくれて楽しく過ごせたと思います。
RAD:
昨年、別々のチームだったときから、プライベートでもPONOSのみんなと遊んだりしていたという関わりは持ってたんですけど、一緒のチームで活動させていただいて、みんなの扱い方というか対応が慣れてきたりして、以前より圧倒的に仲が深まったと思ってます。
みんなの性格がよりわかったって感じですね。
――昨年からPONOSのチームメイトとしてやってきたみなさんは、今回の共同生活でメンバーの新たな一面が見えたりしましたか?
フチ:
うーん……天ちゃん(天GOD選手)が割と歌うとか。
一同:
(笑)。
フチ:
みんな音楽をかけて練習することがあるんですけど、天ちゃんがすごい爆音で流したりして、夜中に起きて「下げて」って言ったり。
天GOD:
それは、ライキさんとかが結構音楽が好きな人なので、自分が流すことでみんなに気を使って……。
みかん坊や:
自分も音楽が好きなみんなに気を使って、風呂で口笛を吹いてました。
――風呂場で口笛……?
天GOD:
みかんさんは風呂で1~2時間くらい口笛吹いてるんですよ。
フチ:
よくそんな長時間もやってられるなーって思ってます。
――みかん坊や選手は長風呂派なんですね……。
みかん坊や:
長いときで5時間くらいは余裕で入ってますよ。
フチ:
いつまで経っても空かなくて、何やってるんだろうなって思ったら口笛が聞こえてくる。
ライキジョーンズ:
寝室と風呂場が隣接していて、風呂場のドアを開けたら寝室があるみたいな感じだったので、みかんさんの口笛を聞きながら寝ることになるっていう(笑)。
深夜3:00くらいまでやってるときもありましたね。
RAD:
ちょっとだけうるさかったかな(笑)。
ライキジョーンズ:
ずーっとですよ。
みかん坊や:
ずっと聞いてられる口笛。
1人の選手に頼らないシステム作りが課題
――日本のチームで唯一韓国に拠点を構えたことも今シーズンの結果につながっていると思います。
フチ:
海外の強いチームを見ていて思うのが、やっぱり環境がいいんですよ。アナリストがたくさんいるだとか、監督がちゃんとした経歴を持ってる人格者だとか、あとは単純にお金があるだとか。
そういう環境を揃えれば、1人の選手に頼らなくて済むようなチームとして強いシステムができあがるんじゃないかなと思っています。昨年から若干思ってたことではあるんですけど、どう考えても1人では難しい話です。
チームとしてうまいサイクルシステムを作ることができれば安泰なわけですよ。それを作るのがとてつもなく大変なんですけれども、意識しないと一生できずにダラダラと続いてしまう。
うちもアナリストの方がいるんですけど、データ収集は0からはじめていくもの。シーズン1ではできなかったんですけど、これからは有効活用して、1v1の勝率も上げていきたいです。
韓国での共同生活を経て、よりいっそう強くなったPONOS。インタビュー後編では、プレイヤーとしてのシーズン振り返りを中心に話を聞いてきた。
写真・大塚まり
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