シャドバ世界4位のソルトはどんなデッキレシピも見逃さない

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デジタルTCGとして人気を誇る「Shadowverse」(以下、シャドバ)は、優勝賞金100万ドルの世界大会「Shadowverse World Grand Prix 2018」を実施し、eスポーツ界隈で注目を集めた。
プロ選手によるリーグ戦「RAGE Shadowverse Pro League」(以下、プロリーグ)には、世界大会で優勝したふぇぐ選手、世界3位のRiowh選手、4位のソルト選手も活躍中だ。
その中でも、新たにプロシーンに参戦したソルト選手にフォーカス。本稿では、ソルト選手の素性からプロ選手としてのあり方まで、余すところなくお届けする。
プレーオフでAXIZのRUMOI選手にリベンジ宣言
――先ほどまで行われていた「RAGE Shadowverse Pro League」の第6節でチーム「AXIZ」と戦ってみてどうでしたか? 惜しくも1-2で敗れてしまいましたが……。
ソルト:
自分でプレイした直後にわかるミスをしてしまったので、今日のプレイングはだめだめでした。応援してくれているファンの方には、本当に申し訳ないことをしてしまったと思っています。
「真実の宣告」を2枚いっきにドローできたときに、想定していたプランを変更してしまったんです。そこから、プレイに乱れが出てしまいました。今回は最善の選択はできていなかったように思います。
マリガン(手札の交換)でガッツポーズするぐらい手札は良かったんですが、活かしきれませんでしたね。ちなみにこのガッツポーズは、「この手札をもらっているんだから勝たなければ!」と意気込むときの自己暗示のようなものです(笑)。
――第6節では大将戦を担当していましたが、1戦目のkeiuke3選手が勝ったときは、控え室はどんな様子でしたか?
ソルト:
keisuke3選手は、2択の選択を繰り返してデッキを構築する2Pickでの対戦だったんですけど、初戦で勝ってくれたおかげでかなり控え室は盛り上がりましたね!
でも、続くSurre選手が負けてしまったので大将である僕の出番が回ってきました。緊張して負けてしまいましたが、プレーオフ進出が決まっている状態で、1-1の状況で迎える大将戦が経験できたのは良かったですね。
AXIZにはプレーオフでリベンジしたいと思っています。直接対決で負けたRUMOI選手ともう1度対戦したいとも思っているので、RUMOI選手はプレーオフでは大将じゃなくて中堅に来てほしい(笑)。
座右の銘は「やらない後悔よりもやる後悔」
――シャドバとの出会いを教えてください。
ソルト:
僕は大学生のときにサッカー部にいたんですが、合宿先などで夜の空き時間を持て余してました。そこで、Google Playストアのセールスランキング上位にあったシャドバをインストールしました。つまり、最初は暇つぶしとしてシャドバと出会ったわけです(笑)。
でも、ゲームはシャドバぐらいしかやっていなくて、当時の最高ランクのマスターに到達していましたよ。
――もともとカードゲームに親しみはあったのでしょうか?
ソルト:
大会に出るほどではないですが、中学生のときはいろんなカードゲームをプレイしていましたね。1枚の引き、ドローに重みのあるカードゲームが好きなので、当時は「デュエル・マスターズ」の速攻デッキにハマってました。
シャドバもドローに重みのあるカードゲームだったので、当然のようにハマっちゃいました。
――ソルト選手から見たシャドバの魅力は何でしょうか?
ソルト:
シャドバの魅力は、他のカードゲームと違って課金の差が発生しない点ですね。課金をしなくてもほとんどのデッキを使うことができます。実際、僕がRAGEの大会に初めて出たときは、無課金でした。
シャドバでは不要なカードを売却して、そこで得た通貨を使ってカードを生成することができるシステムがあるんですが、売却時にもらえる通貨の量が多くて、本当にユーザーに優しい設計なんです。誰でも同じ状態で戦うことができるから、シャドバは大会も盛り上がっているんだと僕は考えています。
――それは確かに魅力ですね。サッカーとカードゲーム以外には趣味はありますか?
ソルト:
これは今も続いている趣味なんですけど、1人旅がすごく好きなんです。国内旅行が好きで、屋久島に行ったり、海辺に行ってボーッと海を眺めたりしてます(笑)。
日常の延長線上の趣味だとうまくリフレッシュできないので、旅行に行ってのびのびとリフレッシュしてますね。ただ、さすがに旅行に行きすぎてしまっていて、先月は登山グッズ代とか旅行先のホテル代とかを合計してみたら、すごい金額になっていました。ちょっと反省です(笑)。
――かなりアウトドア派なんですね! これまでカードゲームの大会経験はなかったとのことですが、シャドバで大会出場に踏み切ったのには何か理由があるんでしょうか?
ソルト:
ゲーム内に「RAGE」でEnju選手が優勝したというお知らせがでてきたんです。それを見てシャドバに大会があることを知ったので、暇があったら次は出てみようと思ったんです。本気で優勝を目指してがんばろうって感じではなくて、楽しめれば良いなと思って参加しました。
僕の座右の銘が「やらない後悔よりもやる後悔」なので、とにかく興味を持ったら迷わず挑戦するようにしてます。
――会場に足を運んでみて、どんな印象を受けましたか?
ソルト:
人の多さに驚きましたね。たぶん、そのときは2,000人以上いたと思うんですけど、周りにシャドバをプレイしている人がいなかったので、こんなにプレイヤーがいるとは思いませんでした。
大会にはぼっち参戦だったんですけど、大会で勝つにつれて何人かと仲良くなれたんですよ。こういった同じ趣味の友人を作ることもできるので、大会っていいなと感じました。
今でも6,000人の応募枠で抽選から外れる人も多いので、競技人口は1万人をゆうに超えていると思います。
――その中で勝ち抜いてきたと考えるとすごいですね。ソルト選手は頭を使って対戦するゲームが得意なのでしょうか?
ソルト:
思考型対戦ゲームが好きで、実はポケモンも結構やってました。手持ちに入れる6体のポケモン、ポケモンが覚える4つの技、そしてステータスを尖らせることができる努力値の配分を考えるのが大好きで。努力値が活きて対戦に勝てたときなんて、もう最高ですね。
シャドバに関しても同じでデッキやプレイを考えるのが大好きです!
ふぇぐの勝負強さと抜群の安心感をソルトも称賛
――ソルト選手が「よしもとLibalent」に所属した流れを教えてください。
ソルト:
シャドバのプロリーグである「RAGE Shadowverse Pro League」に、WGP 2018の優勝者であるふぇぐ選手と、3位のRiowh選手がいると知ったのがきっかけです。
ここに4位の僕が入ればもっとプロリーグが盛り上がるかなと思い、メンバーを公募されていたよしもとLibalentに所属することになりました。
ここまで僕を楽しませてくれたシャドバに恩返しをするために、見ている人を楽しませられるようなプレイを心がけているので、プロリーグの盛り上がりに貢献できていたらうれしいです。
――WGP 2018で戦ったRiowh選手に対して、何か意識していることはありますか?
ソルト:
仲は良いんですが、僕はライバルだと思ってます。でも、Riowh選手にとってはふぇぐ選手がライバルなんじゃないかな。僕はRiowh選手に2回ぐらい負けていますが、Riowh選手はふぇぐ選手に3回ぐらい負けているんで(笑)。
プロリーグでもRiowh選手と対戦することはありますが、やっぱり特別気合いが入って、普段よりも集中できるんですよ。
――それを聞くと、ふぇぐ選手がいかに強いかってことが伝わってきます。
ソルト:
彼はプレイに自信があって、どんなに緊張していても正しい選択をとれるんですよ。勝負強さもあって、緊張するはずの大将戦でもほぼ勝ってくれるんです。安心感が半端ないですよ(笑)。
――頼れる大将なんですね。ソルト選手はどうやってデッキを構築していますか?
ソルト:
Twitterや配信をしている人のデッキを、どんなに変なデッキレシピでもぜんぶ確認するようにしています。それが面白いカードや組み合わせの発見にもなりますし、たまに革命的な強さのデッキが見つかります。でも、もちろん1から構築することもありますよ。
プロリーグで戦っている選手のデッキも参考になると思うので、強いデッキを検索するのもいいですが最前線で戦っている選手のデッキを真似ることもおすすめです。同時に、ここでどんな選択をとるのかを配信で学べると思うので、プレイングも上達しますよ!
――メンタルトレーニングはされていますか?
ソルト:
僕はもう世界大会という大きな舞台に立ったので、特に何もしてないですね。ただ、まだプロリーグで戦うようになって日が浅いので、まだまだ緊張してしまいます。
プロリーグでは一時の勝負強さよりも、長い目で見た高い勝率が求められるので、まったく別のゲームをやっている感覚です(笑)。
――配信を見ていると、プロリーグの配信には批判的なコメントが少ないように感じました。これも含めて、そこまでメンタルに気を遣わなくて良い状態ができ上がっているんでしょうか。
ソルト:
僕が出てる部分のコメントはチェックしていますが、コメントで怒られることは普通にありますよ。でも、それは僕のことをよく見ていてくれていて、注意してくれているということなので真摯に受け止めています。
対戦中にあくびをして、本当にすみませんでした!
取材直前の対戦でミスをしてしまったことを、ソルト選手は本当に申し訳なさそうに話してくれた。SNSでも不甲斐なさを戒めるような発信をしており、プロリーグとファンに対する真剣な気持ちがあるからこそ、ファンも彼を応援したくなるのではないだろうか。
後編では、ソルト選手の考えるシャドバの魅力から、2019年の大会シーンについて話を聞いた。
写真・BUN
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