さわちゃんはRAGEファイナリストのデッキを見て勝利を確信
【この記事は約7分で読めます】
2019年11月23日に幕張メッセで開催された「RAGE Shadowverse 2019 Winter」のGRAND FINALSでは、さわちゃん選手が優勝しRAGE王者となった。
本稿では、さわちゃん選手のデッキのこだわりから、2019年12月25日(水)に実施を控えた世界大会「Shadowverse World Grand Prix 2019」(以下、WGP2019)にかける思いまでを紹介する。
本番に強いが負けると不調に
――最初にRAGE王者となった気持ちを聞かせてください。
さわちゃん:
とにかくうれしいです!
GRAND FINALSの決勝戦も熱い試合でしたが、勝てば世界大会であるWGP2019への出場権を獲得できる、準決勝戦の方が記憶に残っていますね。準決勝戦はほしいカードをドローできてなんとか勝てるという、ギリギリでの勝利だったんです。
試合内容を振り返ろうと後で配信を見直してみたんですが、勝負の決め手となるカードをドローしたときに、自分でもびっくりするぐらいガッツポーズをしていました(笑)。
――決勝戦はストレート勝ちでしたね。
さわちゃん:
1回戦と2回戦が3-1で勝利して、決勝戦が3-0のストレート勝ちです。もしかしたら僕は、大会終盤になればなるほど強くなるタイプなのかもしれません。
GRAND FINALSに向けてどんなデッキにも対応できるように練習をしていて、理想ムーブも見つけていました。しかも、大会本番でその理想ムーブで戦うための手札が用意されていたので、全体的にかなり戦いやすかったです。
運がよかったと言えばそれまでですが、その運を最大限に活かせるように練習をしていたのが功を奏しましたね。
――プレイに余裕を持てていたんですね。緊張はしませんでしたか?
さわちゃん:
あまりしませんでした。
実は大会のような大舞台で感じるプレッシャーが好きでして、本番にも強いタイプだとわかっていたので、今回も緊張はしないんだろうなと。大会だと緊張よりも、勝てた喜びのほうが勝るんですよね!
でも、逆にインタビューや撮影のプレッシャーにはかなり弱いので、GRAND FINALSの決勝戦よりも今のほうが緊張しています(笑)。
――RAGE予選はいかがでしたか?
さわちゃん:
今回のRAGEはがんばろうと決めていたので、かなり気合いが入っていました。ですが、デッキはかなり早い段階で決められていたものの、肝心の練習する時間を10日間ほどしか確保できなかったので、練習不足の状態で予選大会を迎えることになりました。
でも、予選大会のDay1で知らなかった戦術やカードの回し方などを学ぶことがあって、試合を通じて練習不足を解消することができたので、Day2でも順調に勝つことができたんだと思います。
もし、シード権を持っていてDay2からの出場だったらすぐに負けていたかもしれませんね(笑)。
――RAGEへの出場は今回で何回目だったんでしょうか?
さわちゃん:
今回で6回目ですね。これまでは4回Day2に勝ち残れていて、このうち1回があと1勝でマネーフィニッシュでした。Day1で負けてしまった2回も、あと1勝すればDay2に進出という結果でした。
ですので、今回は大躍進かなと思います!
――今大会の最大のピンチはどこでしたか?
さわちゃん:
勝てばプレイオフの試合ですね。僕は1回負けると調子を落とすタイプでもあるので、これまで1敗してからの連敗に苦しめられていました。Day2でもいつも2回戦で負けていて、そこからずぶずぶと沼にはまっていました。
でも今回は5連勝することができて、次勝てばプレイオフという状態まで勝つことができたんです。ただ、その次の試合で負けてしまい、また次で負けてしまうと念願だったプレイオフへの進出が叶わないというピンチに陥りました。
この状況下で迎えた試合ですが、僕も対戦相手も手札がかなり悪くて、お互いにやれるだけのことをやるという苦しい展開となりました。なんとか試合に勝つことができましたが、あまり生きた心地はしませんでしたね(笑)。
これで目標であるプレイオフを達成できたので、この後の試合はとにかく楽しもうという気持ちで予選を終えました。
対戦選手のデッキを見た瞬間に優勝を確信
――さわちゃん選手は、デッキ構築にかなり自信があるとお聞きしました。
さわちゃん:
持ち込んだデッキはもちろんのこと、他の選手が使うデッキの予想にも自信がありました。
会場の控え室で他のファイナリストのデッキリストを確認したんですが、どのデッキにも勝てると感じたので、その時点で優勝できると確信しましたね。
デッキを確認した瞬間はこっそりガッツポーズをしてしまいました(笑)。
――具体的にはどんな予想を?
さわちゃん:
「豪風のリノセウス」を中心としたエルフが多くて、ネクロマンサーと自然カードを中心としたエルフが少ないという予想でした。実際に使っている選手がいないわけではないですが、僕の対戦相手となる選手は使用していなかったので、見事に予想が的中したというわけです。
あと、自然カードを使ってデッキを回す自然ビショップは当時強すぎたので、全員が使用してくると予想してました(笑)。
――自然ビショップはすべての選手が採用していましたね。その中でも、さわちゃん選手のデッキは少し珍しいとの声もありました。
さわちゃん:
「黄金の鐘」を1枚しか採用せず、その分他の強いカードを入れられるようにして、安定感のあるデッキにしていましたね。
――自然エルフのデッキには、1枚だけ採用しているカードも多いですね。これにはどんな理由が?
さわちゃん:
「エルフナイト・シンシア」や「シヴァ」がそうですね。
カードゲームは1枚だけ入れているだけでは安定してドローするのは難しいんですけど、自然エルフのデッキは基盤が強ければ、決め手となるパワーのあるカードは何を入れても強いと考えています。逆に2枚同じカードがきても意味がないことが多いので、1枚だけ採用する形になりました。
――さわちゃん選手は何を中心にデッキを構築していますか?
さわちゃん:
僕は流行っているデッキに対して、有利に戦えるメタデッキを意識してデッキを構築しています。これまでに出場してきたRAGEでもデッキの持ち込み負けをしたとは思っていないので、僕はかなり環境を読むのが上手いほうなんだと思います。
RAGEでなかなか勝てないよっていう人は、プレイを磨く前に持ち込むデッキを見直してみるといいかもしれないです。僕もプレイングが上手いわけではないので、上手い人たちにも勝てるデッキを持ち込もうと考えて、入れるカードを選んでいます。
特定のデッキに勝てるデッキを作成して、かつそのデッキを使いやすいと感じることができればデッキの完成だと思うので、できるだけデッキ構築には力を入れてもらいたいですね。
――RAGEの配信コメントではプレイが上手いと評判でしたよ。
さわちゃん:
本当ですか! でも、強いパターンを覚えて、そのとおりにプレイしていただけなのでまだまだです。
――デッキをアレンジするコツはありますか?
さわちゃん:
僕は0からデッキを作ることはできないので、いろんな人のデッキを見て、10枚ほど入れ替えてデッキを完成させることが多いですね。どのデッキにも核となるカードは3枚入っていると思うので、そのカード以外を入れ替えていきます。
イメージとしては、デッキの基礎だけをもらって、そこから自分に扱いやすいようにカードを入れたり、勝ちたいデッキに有利なカードを入れる感じですね。
基礎がない状態からデッキを作れるのは才能がある人だけだと思っているので、「RAGE Shadowverse Pro League」や大会などで上位にいるプレイヤーのデッキを参考にしていいと思います!
ふぇぐは先輩であり憧れの人
――これからWGP2019で戦うわけですが、準備はバッチリですか?
さわちゃん:
いやもう、全然です。Day1には2Pickというフォーマットがあるんですけど、これまでほとんどプレイできていないことに加えて、練習する時間もあまりないので困ってます。
現在は2Pickが上手な方にプレイを見てもらっているんですが、デッキ作成時もプレイ時もめちゃくちゃ怒られてます(笑)。
――昨年のWGP2018は観戦していましたか?
さわちゃん:
リアルタイムでは決勝戦からしか見れなかったんですが、ふぇぐ選手が最後に「ポセイドン」を引いて勝利したシーンを見てその場で叫んでしまいました。
僕も同じ舞台でこれから戦うことになるので、ふぇぐ選手は先輩であり憧れの人だと思ってます。ふぇぐ選手みたいに会場を沸かせられるようなプレイを披露して、優勝したいですね。
――WGP2019では、さわちゃん選手のどこに注目すればいいですか?
さわちゃん:
プレイもそうなんですが、僕の持ち込むデッキと、試合でのデッキ選択に注目してほしいですね。誰にも負けないデッキを作って持ち込むので、楽しみにしてください!
デッキ持ち込みで負けたことがないというさわちゃん選手は、WGP2019でもデッキに注目してほしいと語った。RAGEと同じく、勝ちを確信したときにはガッツポーズを見せてくれるはずなので、ワイプパフォーマンスにも注目したい。
後編では、さわちゃんの考えるシャドバの魅力や、大会の面白さを紹介する。
写真・BUN
【あわせて読みたい関連記事】
「ゲームの楽しみ方が増える」――さわちゃんが語るeスポーツの魅力
「RAGE Shadowverse 2019 Winter」で優勝したさわちゃん選手は、あまり詳しくないゲームの観戦でも、実況解説者のおかげでeスポーツの魅力を感じることができると語る。しかし、ゲームのルールを知らない層にはもっと基本的な情報から伝える必要があると考えている。