シャドバプロAXIZのRumoiは勝率1%の変動と感覚を重視する

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■前編記事
上手くなりたいなら納得がいくプレイを心がけるべき
――Rumoi選手のShadowverse(以下、シャドバ)との出会いを教えていただけますか。
Rumoi:
僕は昔、「Hearthstone」というカードゲームをプレイしていたんですが、日本代表として大会に出場するためには海外で開催される大会にも出ないといけなくて、大会周りのことがとにかく大変だったんです。
そこで友人が話題に出していたシャドバを、とりあえずインストールしてなんとなくプレイしてみました。それから間もなく大会が開催され始めて、シャドバ大会の敷居の低さや賞金の多さに驚いたと同時に、本格的にプレイするようになりました。
――当時のプレイ時間はどれくらいでしたか?
Rumoi:
1日に1時間ぐらいですね。ゲーム内の対戦相手にはYouTubeなどで紹介されているような楽しいデッキを使用するプレイヤーもいて、そのようなデッキと対戦するのが個人的にはあまり楽しくなかったので、1時間以上プレイする気が起きませんでした。
そんなときに「Ratings for シャドウバース」という、BO3のマッチングアプリが登場したことで、ガチの対戦が楽しめるようになったんです。メインのランクも上げつつ、こちらのBO3を楽しむようなシャドバ生活が始まりましたね。
――かなりプレイ時間が増えたのではないでしょうか?
Rumoi:
1日に10時間ぐらいプレイしていたと思うので、10倍ぐらいになりましたね! それからはその勢いでプレイし続けていて、プロになった現在も練習量をキープできています。
もちろんプレイ時間にぶれ幅はありますが、空き時間はほとんど練習に使ってますよ。
――「RAGE Shadowverse Pro League」(以下、プロリーグ)で圧倒的な勝率を誇る、Rumoi選手のようにシャドバを上手くなりたいとの声も耳にします。どうやったらRumoi選手に近づけますか?
Rumoi:
僕はプレイに納得がいくまで考え抜いてシャドバをしています。
ほとんどの人がなんとなくで選択してしまう2択でも1分間は考えるようにしていて、どちらがより効果的なのかを検討します。あらゆることを想定して、自分の中でプレイに納得することが上達への近道ですね。
SNS上にたくさん情報が存在していますし、上手い人もよく配信をしているので、判断に迷ったら自分の考えを他の人と比べてみたり、配信者に直接聞いたりすればいいと思います。現在はたくさんの友人と練習できる環境にいる僕も、昔はこれを実践していましたよ。
先ほど僕は1日10時間ぐらいシャドバを練習すると言いましたが、実際にプレイするのは5時間ぐらいでもう5時間は考えることに使ってます。プレイだけで上手くなれる人は、天才だけですね(笑)。
――現在はプレイ数の多いデッキも存在しています。考える時間が足りないという声をプロ選手からもお聞きしているのですが、この問題はどう解決していますか?
Rumoi:
先ほど説明した「1分間考えること」に続ける形にはなるのですが、考えて納得してプレイすることで、次に同じパターンが起こった際に迷わなくなります。本当はここでもパターンを応用できないかを考えるべきなんですが、1ターンのカードプレイ数の多いデッキがあることも事実ですので、そういう場合は最低限でいいと思います。
そしてこのようなデッキは考えることも大事ですが、このターンにこれらのカードを使ったらどんな結果になるかを感覚で覚えておくことが重要になります。そのためにプレイを重ねて、自然とプレイできるようになるのが理想ですね。
――Rumoi選手は、カードゲームにおいて強いプレイヤーとはどんな人だと考えていますか?
Rumoi:
カードゲームで強いを表すのはかなり難しいんですが、やはりコンスタントに勝ち続けられる人が強いのではないでしょうか。大会に連続で優勝しろなんてのは無理難題なので、優勝に近いような成績を何度も残していて、たまに優勝するプレイヤーが強いと考えています。
ですので、シャドバにおいて最強のプレイヤーは存在しないんですよね。世界大会で優勝したふぇぐ選手も最強ではないと思っていますし、もちろん僕も最強ではないです。
試合で盛り上がるべきシーンはドローではない
――Rumoi選手がプロを目指したきっかけを教えてください。
Rumoi:
本格的にシャドバをプレイし始めたころは、プロにはあまり興味ありませんでした。ですが、プロリーグで活躍する選手と対戦する機会が増えてきて、ある程度勝てていたことから自分に自信が生まれて、プロリーグでどれだけ通用するのかを試したくなったからプロを目指し始めました。
――AXIZに加入できた決め手は何だと考えていますか?
Rumoi:
担当者さんが、RAGEなどの公式大会だけでなく非公式大会の結果も見ていてくれたからだと思います。実際のところはわからないですけどね(笑)。
――公式大会で優勝する以外にもプロの道はあるんですね。
Rumoi:
そうですね。公式大会だとRAGEの名前がまず挙がると思うんですが、RAGEではDay1とDay2を突破するのに15勝2敗ぐらいの結果を残さないといけないので、正直なところ運もかなり必要になってくるんですよ。そこで勝てる人だけがプロになれるのもなんだかなと思っているぐらいです。
――Rumoi選手のプロリーグ試合解説はわかりやすいと視聴者から好評でした。解説の練習はされたんでしょうか?
Rumoi:
過去の解説を参考にはしていましたが、練習はしてないですね(笑)。
これまでの解説では、直前のプレイに対する解説は行われていたんですが、このデッキ同士の対決はどんな勝ち方が予想されるかや、どんなプレイで決着がつくかなどの解説がされていなかったので、ミクロではなくマクロ面の解説を心がけました。試合の大筋を解説するだけで、視聴者の試合の見え方が大きく変わると考えてます。
――確かに、展開がわかるとシャドバにあまり詳しくなくても楽しむことができそうですね。
Rumoi:
そうなんですよ。あと個人的に少しもったいないなと考えているのが、現在のシャドバの試合で一番盛り上がるシーンがドローの瞬間だということです。盛り上がるのはわかりますし、正しいんですが、それよりも細かいプレイで戦況を変えたシーンのほうがすごくて、選手としてもわかってほしい部分だと思うんですよ。
これに気づけるようになればシャドバをもっと楽しむことができるので、なんとかして伝えていきたいですね。
――これまでの話だと、Rumoi選手はシャドバの面白さを伝える伝道師のような存在も目指しているように感じるのですが、意識はされていますか?
Rumoi:
そんな大層な存在は目指してはないですよ(笑)。
でもよくシャドバは運ゲーと言われてしまうので、そうではないんだぞという解説を今後もしていけたらなとは思ってます。
――ちょうど私がシャドバに復帰したタイミングなんですが、Rumoi選手はこのようなプレイヤーに現在のシャドバの面白さをどう伝えますか?
Rumoi:
新弾のカードが出るたびに復帰する人もいますもんね(笑)。
現在のシャドバは考える時間が足りない傾向にあるので、ある程度どんな動きをしたらどう動くかを覚えておく必要があるんですよ。そしてこれだけ聞くと敷居が高いゲームなんだと感じてしまうかもしれませんが、1ターンの間にやれることを完璧にこなしたときは、プレイしていて気持ちいいなと感じることができるんです。
強いカードを引いて勝てる快感は存在しますが、そのレベルは誰でも経験できることなので、その先を楽しんでもらえたらなと思います。
――ありがとうございます。プレイだけでなく、解説面でも支持されそうですね!
Rumoi:
僕は即興でトークするのが下手なので、どうだか……(笑)。
即興でなければいろんなことを話せそうですが、試合を振り返る感想戦を配信などで実施しても、シャドバのユーザーにはあまり喜んでもらえないんですよね。細かいプレイを気にするレベルまで、シャドバユーザーのレベルを上げる必要があると思います。
――そうなんですか? プロ選手の解説というだけで価値がありそうですが。
Rumoi:
リアルタイムでの解説は喜んでもらえるんですけどね……。
AXIZのチーム配信で試合の振り返りをしたことがあるんですが、1ターンに5分ぐらいかけて説明しているときに「早く次のターンの解説を」と急かされてしまうので、僕が一番楽しいと感じている「悩んだ時間」を掘り下げて説明する解説は喜んでもらえないんです。
1つの選択で勝率が1%も変わるんですけど、この重要さをまだ理解してもらえていないのかもしれません。
――文章だとその問題を解決できそうですね。
Rumoi:
それが即興トークが苦手なだけでなく、文章を書くのも苦手なんですよ(笑)。
プロ入りする前は、ゲーム内環境が変わるタイミングで環境考察などを書いていたんですが、現在はいろんな人の目に触れてしまうのと、やはり文章がめちゃくちゃなので見られるのが恥ずかしくてやめてしまいましたね。
――読んだ人の反応はどうでしたか?
Rumoi:
かなり好評でしたよ。最近もメモがてらに書いたテキストを公開したんですが、反応はかなりよかったです!
――最後に、ファンにひと言お願いします。
Rumoi:
プロリーグでは今後も勝率を高く維持していきたいですし、次シーズンこそAXIZは優勝を狙っていきます!
そして個人的には配信もがんばろうと思っているので、面白いことはあまり話せないですが、見て学べるようなプレイを魅せていきたいと思います。上手くなりたい人は、僕の配信も参考にしてもらえると嬉しいです!
これからも応援をよろしくお願いします。
既存の解説に、シャドバの第一線であるプロリーグで戦う選手ならではの視点の考察を交えるRumoi選手は、シャドバの伝道師だと言っても過言ではないだろう。
これからは配信にも力を入れていくそうなので、彼の配信を視聴しシャドバの真の面白さを確かめてみてはどうだろうか。
写真・BUN
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Rumoi選手は、AXIZの強みはメンバーそれぞれが勝利に対する信念を持っていることだと語ります。その結果、1つのプレイに対する議論が白熱して対戦が始まってしまうんだとか。