「デッキに自信を」――3代目女王の将輝星が語る勝利のメソッド

キズグチアロエ

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■前編記事

クイーンズカップ優勝の将輝星は女王の名を掲げプロ入りを狙う

指さし確認でミスを減らせ緊張もやわらぐ

――Shadowverse(以下、シャドバ)の魅力を教えていただけますか。

将輝星:
わずかなカード調整で、ゲーム内環境が大きく変化する点ですね。

Shadowverse Queen’s Cup 2019 Winter(以下、クイーンズカップ)が開催された2019年11月のゲーム内環境で例えますと、2019年10月末に実施されたカード調整で、「黄金都市」というカードが下方修正されました。

これにより、自然ビショップデッキと「豪風のリノセウス」を主体にしたエルフデッキが2トップで猛威を振るっていた環境に変化があったんです。自然ビショップデッキは形を変えて2トップに残ったんですが、もう1つのデッキとしてドラゴンやネクロマンサーが候補として挙がるようになり、ビショップとエルフが最強という環境ではなくなってしまいました。このように、たった1枚のカード修正で大きく環境が変化するシャドバに面白さを感じていますね。

――プレイング面ではどうですか?

将輝星:
同じクラスやデッキ同士の対戦はミラーと呼ばれますが、この際は先行側が有利と言われているんです。でも、後攻なら後攻なりのマリガンをすれば勝つことはできるので、これは一概に言えないのではないかと考えています。

どんなカードを使用してくるか、どんなプレイをされたくないかなどの読みで対戦は五分五分の状況になるので、先手後手に試合結果が大きく左右されない、実力差の出るいいゲームだなと感じていますね。

――将輝星選手は、デジタルではないカードゲームもプレイされているとお聞きしました。シャドバとの違いはどんなことが挙げられますか?

将輝星:
シャドバはアナログのカードゲームと比べて、プレイヤーの動きが少ないと思います。

例えば、プレイする前の指さし確認とか、使用したカードの把握などですね。私はかなり意識してやっているほうなのですが、これはかなり大事なことだと思っています。盤面を見ても何も思考はまとまらないので、対戦相手がどんなカードを使用したかなどの情報を目に焼き付けて、状況を把握するようにしていますね。

――指さし確認も重要なんですね。

将輝星:
そうですね、かなり重要視しています。

電車の車掌さんがよく指さし確認をしていると思いますが、シャドバだとミスを防げる上に落ち着いてプレイできるようになるんですよね。ですので、緊張して落ち着いてプレイできないという人にはかなりおすすめです! 私もiPadでプレイしているときは、画面をポチポチ指さし確認してますよ。

――カードゲーム「デュエルマスターズ」のジャッジとしても活動されているとお聞きしました。ジャッジのどんな部分が魅力だと考えていますか?

将輝星:
ジャッジ活動の面白さは、プレイヤーの真剣な表情を見ることができたり、さまざまなデッキタイプを拝見できたりすることですね。また、活動を通じてジャッジ仲間とのコミュニティーを広げることができるので、3年以上続けてきた私には多くの友人ができました!

そして、競技視点だけでなく、第三者の視点で試合を見ることによって、プレイヤーの個々の考えや思いを観察できるのも面白いですね。

――シャドバやカードゲームの大きな大会だと、関東での開催が多いと思います。将輝星選手は大阪在住とのことですが、移動が大変じゃないですか?

将輝星:
移動も大変ですし、何よりも交通費がかさみます(笑)。

都内でイベントがあっても断念するしかないときもあるので、できれば昔のように関西でもRAGEを開催してもらいたいですね。現在は月1で東京に通ってます……。

――RAGEなどのイベントでは、さまざまな出会いがあると思います。そこで出会って交際というパターンもあるんでしょうか?

将輝星:
私はシャドバではないですが、カードゲームつながりで交際してる方がいます。

同じカードゲーマーですので、使いたいカードを借りれるのは普通にありがたいですし、カードの価値をわかってもらえるので、所持しているカードを無下に扱われることもないです。そして、何よりもカードゲームに対する思いの大きさを理解してもらえているのがうれしいですね!

――シャドバはeスポーツタイトルとしても有名です。将輝星選手がeスポーツに抱いているイメージを教えてもらえますか。

将輝星:
2018年の流行語トップ10にも選ばれたeスポーツですね。当時私は社会人1年目だったんですが、仕事をしながらシャドバに打ち込むのは結構大変だったので、シャドバをしながらご飯を食べていけるのはすごくいいなと感じました。

2018年の世界大会で100万ドルを獲得したふぇぐ選手の言葉を借りる形にはなりますが、「(シャドバを含めた)eスポーツには夢がある」と思いますね!

デッキ調整は環境の把握から

――大会前のデッキ構築を見直すことを「調整」というらしいですが、具体的には何をするんでしょうか?

将輝星:
デッキの調整についてですが、まずは環境に存在するアーキタイプ(※)を把握することから始まります。そして、アーキタイプごとに相性表をチェックして、母数が多そうなデッキタイプに着目します。

※デッキ分類のこと。アグロ、ミッドレンジ、ランプなどが挙げられる

――2019年11月時点で母数が多いのは、自然ビショップでしょうか。

将輝星:
そのとおりです。今期だと、自然ビショップの使用率と勝率が最も高いんです。

自然ビショップというデッキに対して有利なデッキを作るのが難しいので、BO3で負けにくいデッキを持ち込もうと考えた結果、今回のクイーンズカップでは自然ビショップと、相手の自然ビショップの相方デッキを倒せるドラゴンを選択しました。

このように使用するデッキを調整していますね。

――デッキが完成したら、どのようにして練習するのがおすすめですか?

将輝星:
オンラインではなく、地方大会などで対戦相手と対峙することがおすすめです。シャドバはオンラインゲームですので、普段だと対戦相手の表情はわからないじゃないですか。でも、オフラインだとカードを出したときの反応を見れるので、表情から対戦相手がどんな状況かを読み取ったり、次はどの手でくるのかを読んだりすることもできますね。

あとは、オンラインとオフラインで緊張感がまるで違うので、オフライン大会で勝ち進みたい人は緊張に慣れておくのがいいと思います。

――プレイミスを減らすのが勝利の近道だと思うのですが、ミスをしないように意識していることはありますか?

将輝星:
なるべく本番までにミスをすることですね。そして同じミスをしないようにプレイを振り返るようにしています。

ですが、本番では当然緊張すると思います。その緊張している状態でもミスをしないために、対戦相手がプレイしたカードや、スペルを打った回数などのゲーム内で確認できる情報は常に頭に入れておくべきですね。

あとは、プレイする前にひと呼吸置いて、その動きで合っているかを再確認することが重要だと思います。

――普段はスマホでプレイしていても、大会ではパソコンでプレイすることがあると思います。何か影響はありますか?

将輝星:
私の場合はプレイ面には特に影響はありませんでした。

ただ、普段プレイしているときはエフェクトを控えめな演出にしているんですが、貸し出し端末ですとエフェクトはすべてオンですので、このカードのエフェクトが実は長いことや、長いと思っていたエフェクトがそうでもなかったなどの発見がありますね(笑)。

でも、パソコンでプレイする環境で戦うことを想定して、事前にパソコンで操作に慣れておくのは大事だと思いますよ。

デッキに自信を持つのが最重要

――大会には緊張がつきものだと思います。クイーンズカップの試合の様子を見ると、将輝星選手はかなり落ち着いてプレイしているように感じました。メンタルは強いほうなんでしょうか?

将輝星:
全然強くないです(笑)。

でも、デッキ調整で行ったBO3では13連勝していたんですよ。ですので、正直負ける気がしませんでした。あとは、BO3の練習を多くしていて、場慣れしている分、緊張はやわらいでいたと思います。

――その部分が今回のクイーンズカップにおける、将輝星選手の強みなんですね。

将輝星:
ですね。あと「RAGE Shadowverse Pro League」で戦うプロ選手の様子をしっかり観察して、どうやって座っているのか、選手ごとのリラックス法、仕草などを見てどうすれば落ち着いてプレイできるのかを自分なりに研究していました。

その結果、指さし確認やプレイする前に一呼吸置くなどの方法を活用できましたね。

――シャドバ大会で勝つには、何が最も大事だと考えていますか?

将輝星:
どのゲームにも言えることだとは思いますが、持ち込むデッキに自信を持つことです。デッキに不安を抱えたまま挑戦しても、きっと勝てないと思います。

持ちこんだデッキは変更することができないので、持ち込んだデッキを間違えたなと思うよりも、このデッキなら勝てる、絶対勝つという心意気で戦えば勝率も上がると思いますよ。

そして、カードゲームは性別に関係なく勝敗が対等に存在するので、性別や年齢は気にせずプレイしてほしいですね。

――最後に今回の優勝の喜びをお願いします。

将輝星:
デッキ調整に付き合ってくれた方には感謝しかないですね。結果に伸び悩んだこともあったので、今回優勝できたことが本当にうれしいです!

このクイーンズカップ優勝は自分だけで掴み取ったものではないので、調整に付き合ってくれた方、プレイのダメだしをしてくれた方、そして一番近くで応援してくれた母に感謝しています。産んでくれてありがとう、そして応援してくれてありがとう!


プロを目指している将輝星選手は、実際にプロリーグで戦う選手を研究し、自身の勝利の確率をあげていた。将輝星選手がプロとして活躍する日は、そう遠くないのではないだろうか。

今後の活躍に注目していきたい。

写真・BUN

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記者プロフィール
キズグチアロエ
「#コンパス」にどっぷりハマり、「#コンパス」に人生を捧げると決めた、傷口だらけのアロエ。
「#コンパス」に携わるクリエイターたちと、仲良くなりたいフリーライター。
どんなヒーローでもそこそこ扱え、特定のヒーローというよりもヒーロー全員が好き。

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