鉄拳プロゲーマー ダブル EVOでその成長を魅せる

WPJ編集部

EVO2018で鉄拳に参加したプレイヤーは総勢1,543名。EVO2018に参加した日本人が331人。鉄拳には、実に日本人の1/5が参加する形となった。
この63人の選手の中で、スポットスポンサード※という形でEVO2018に参加した、ダブル選手とちりちり選手に注目をした。

今回では、ダブル選手がどのように戦っていったのかを伝えていく。

両選手は、EVO2018の舞台でどのような感情を持っていたのだろうか。普段知ることのできない彼らの心の内に迫った。
※スポットスポンサード:1大会や1イベントのみ、海外遠征費等を援助してもらうスポンサード契約。

ダブル
北陸出身のスピードスター。彼の操るロウの速さは世界でも随一。北陸の天才小学生と呼ばれた男はプロゲーマーとなり、世界を狙う。


THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2015…4位
EVO2015 …9位
鉄拳プロチャンピオンシップ 5位 

ちりちり
九州のボンバーヘッド。韓国最強のシャヒーン使い、Lowhigh選手をも唸らせるプレイングスキルを持つ。世界に通用するシャヒーン使い。


MASTER CUP.9 3位
MASTER CUP TRY 3位

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EVO前夜Wellplayed Cup開催

  
8/2の夜、まさかり仁を訪ねて日本を代表する鉄拳プレイヤーが対戦環境を求めて、調整のためにやってきた。

ダブル選手とちりちり選手の対戦

その中にはダブル選手とちりちり選手の姿があった。どうせならトーナメントをやろうという話になり、日本のトッププレイヤーによるEVO前夜Wellplayed Cupが開催された。

このトーナメントに、AO選手、加齢選手、刈選手、破壊王選手、S.H.O.W選手、ちりちり選手、ダブル選手と弊社社員の4名が参加した。

配信しないことがこれほどまでもったいないと思えるほど、白熱した試合が繰り広げられた。
特に、ダブル選手と加齢選手の試合。どちらも譲らない展開で1-1の状態からフルセットまでもつれ込んだ。
下段捌きが光る加齢選手を、ダブル選手が得意の早い展開で攻め立てる。フルラウンドまでもつれ込んだが、見事勝利を掴んだのはダブル選手であった。

全員が負けても仕方がないという感情など持たず、絶対に倒すという熱い思いで試合をしていた。
このトーナメントの最中、ちりちり選手が壇上への自信を答えてくれた。

「えっ?壇上へは100%行けますよ。ここにいる全員そうだと思いますが、そう思っていないと優勝は狙えない。少なくとも僕は絶対に行きます。」

優勝を狙う強い意志と固い決意が、俺が勝つんだという貪欲さが見えた。

このトーナメントを制したのは、ダブル選手。スピードスターと呼ばれるだけあり、圧倒的な速さをみせつけての優勝だった。これで勢いをつけることはできたのだろうか。

前夜祭参加者の集合写真。多くの鉄拳プロが部屋に集まり対戦をした。

「良い感じに攻め切れましたね。これからの自信に繋がりました。いい結果を残すためにやってきたことは間違いではなさそうで嬉しいです。」

勝利にホッとしていたダブル選手。日本のプロ7人と戦い勝てたという事実は、本人にとっても自信がついただろう。

ダブル選手は3年ぶりのEVO参加となった。
3年という月日が彼をどう変えたのだろうか。

「まず大きな変化として、プロという立場になりました。それにより、結果を残さなければならないという責任が生まれました。昔から応援し続けてくれる人や、応援し始めてくれた人、そういった人たちの期待に応えたい。とにかく目立ちたいです。」

北陸の天才小学生と言われていたのはもう過去のこと。ダブル選手も大人になった。今となっては”プロゲーマーダブル”なのだ。

続けて、ダブル選手はEVOについて語ってくれた。

「EVOは真の世界大会です。地球上全ての鉄拳好きが最強を決めるために集まる、真の世界最強を決める戦いだと思っています。これで優勝できたら世界一ですよ。しかも、その称号は今後ずっと続いていく。イカちくないですか?※」

ダブル語録の1つ「イカちい」という言葉とともに、EVOは成り上がるための場所という気持ちを見せてくれた。
※イカちくないですか?:ダブル語録の1つ「いかつくないですか?」と同義。「いかつい」を「イカちい」というのがダブル流。

そして、もう1人の注目選手である、ちりちり選手はEVOについて、ダブル選手とは違った答えをくれた。

「僕が思うEVOは、日本を代表して世界と戦う場であり、交流する大会。そこには何も隔たりはなく、フラットにゲーム通じて強さを証明する場だと考えています。」

彼らの考えの根本には、やはり”強さを証明する”という言葉があった。最強が決まる大会という共通認識があること、それがEVOという大会の凄さなのだ。

夜な夜なこの対戦会は続き、EVO前日の夜は明けた。

ダブルのEVOが始まる

8月3日から始まるEVO初日であったが、鉄拳の有名プレイヤーのスケジュールは8月4日からのプレイヤーが多かった。

その例にもれず、ダブル選手とちりちり選手は8月4日からの試合というスケジュールであった。

8月3日は両選手ともに、ゆっくりしていたという。特にダブル選手は1日しっかりと休養をとり、体力を蓄えていた。

「ぐっすり寝て、調子は万全。浮かれることなく、自分のできることはやれています。」

とすっきりした顔で話してくれた。明日から始まる自分たちのEVOへ向けて全力で整えていた。

そして迎えた8月4日。ダブル選手とちりちり選手のEVO2018が開幕した。
両選手ともに、順調に勝ち上がっていった。そしてダブル選手の2戦目が対戦台で戦うことになった。試合前のダブル選手に心境聞いた。

「勝つ気しかないです。ここで止まっている暇はないので、駆け上がりたいと思います。」

楽しそうにプレイするダブル選手

その自信どおり、圧勝してカメラパフォーマンスまで決めた。事前に言っていた”目立ちたい”という欲求を自身の勝利パフォーマンスでも消化していく姿は、とても楽しそうに見えた。
その後も順調に勝ち進んでいったが、思わぬところでつまづいてしまう。

shadow 20z選手というクラウディオ・三島一八の2キャラ使いに負けてルーザーズに落とされてしまった。
現在の鉄拳は、被せあい全盛期だ。相手のキャラに有利なキャラクターを選び戦うという戦法を獲る選手が多い。

ダブル選手も、ちりちり選手も、この被せあい全盛期で1キャラのみを使い続けるプレイヤーなのだ。

そういったこともあって、負けてしまうこともあるのだろうと声をかけたところ、ダブル選手はこう返した。

「負けたのは自分の実力が足りないだけ。その分キャラ対策をすればいいだけだと思うんですよ。とりあえず気持ちを切り替えていこうと思います。」

その後に当たったYAMASA所属のタケ。選手。皮肉にも日本人同士の対決になった。

タケ。選手 VS ダブル選手の様子。多くの有名プレイヤー達がその行く末を見守る。

タケ。選手との試合、最終セットまでもつれ込むが、惜しくも敗れてしまう。ここでダブル選手のEVOは終了した。
結果は33位タイ。他にも多くの日本人選手がこの33位という順位で敗退していった。

「今回は悔しい気持ちと申し訳ない気持ちしかないです。不甲斐ない。これからもっと強くなって、またリベンジしに来たいと思います。」

悔しさを押し殺し今後を見据えていた。


惜しくも最終日に残ることのできなかったダブル選手。3年前に参加した時よりも順位が落ちたことやベスト8以上に行けなかったことなど、様々な要因から来る悔しさを隠しきれていなかった。

まだ彼のプロゲーマー人生は始まったばかりだ。これから思ったような結果がでないことも増えていくだろう。

しかし、周りの感謝を忘れず、そして勝ちたい気持ちをなくさないダブル選手であれば今後は勝てていけるのではないだろうか。

北陸の天才小学生からプロゲーマーへ、そしてこれから世界トップを獲りに行く、ダブル選手の成長物語から目が離せない。

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