Fudoh|藤村のポーカーフェイスの裏は何を思っているのか?【前編】

EVO2018(以下、EVO)直前のCapcom Pro Tour(以下、CPT)で壇上に上り続けたFUDOH 藤村選手(以下、藤村選手)。
2018年CPTが開始してから、怒涛のような勝利を重ねている彼がどのような思いをもってEVO2018に挑んだのか。
また、今回の結果を受けて何を感じたのか。
普段、ポーカーフェイスな藤村選手の考えをラスベガスという土地で聞き、彼を追いかけた。
戦績
EVO Japan 2018 9位(いぶき)
ストリートファイターV アーケードエディション 闘会議GP大会 17位(いぶき)
Final Round 2018 7位(いぶき)
Norcal Regionals 2018 13位(いぶき)
Fighter’s Spirit 2018 優勝(いぶき)
Saigon Cup 2018 13位(いぶき)
Red Bull Kumite日本予選 関東予選 優勝(いぶき)
Red Bull Kumite日本予選 ジャパンファイナル 優勝(いぶき)
Stunfest 2018 優勝(いぶき)
Combo Breaker 2018 33位(いぶき)
CEO 2018 優勝(いぶき)
ELEAGUE Street Fighter V Invitational 2018 7位(いぶき)
VS Fighting 2018 準優勝(いぶき)
RAGE STREET FIGHTER V All-Star League powered by CAPCOM 準優勝 【藤村エメラルド】 藤村(いぶき)/ももち(コーリン、コーディー、豪鬼)/MOV(春麗)
勝負の時はEVO2日目から
初日は4連勝で抜けた藤村選手。2日目のスケジュールは14時からであった。少し早めに会場に入った彼は多くの選手と話していた。その顔はかなりリフレッシュしているように見えた。

だいこく選手と調子を話し合う藤村選手
そして初戦からREDBULLのスポンサードを受けている強豪、Snake Eyez選手が操る豪鬼と対戦。
対空の速さや、波動に対して苦無を投げてフィニッシュしたところなど、すさまじい判断の速さをしていた。2-0というスコアで勝利した。
次の試合はイギリス出身のProblemX選手。シーズン1からベガを使い続け、シーズン3頭からアビゲイルを追加、相手によって使うキャラを変える選手だ。
昔から名前が知られている選手だが「ストリートファイターⅤ」での伸びはかなり高かった。
藤村選手が操るくのいち、いぶきに対してProblemX選手はアビゲイルを選択。アビゲイルというキャラ、強パンチ系統の攻撃があたると何かが起こってしまうキャラクター。
相対するプレイヤーは地雷原を進むような慎重さが求められる。
アビゲイルというキャラクターの良いところを全面的に押し付けられ、0-2という結果でルーザーズへ落とされてしまった。
この試合を藤村選手はこう振り返った。
「そこまできついとは思っていませんでした。結果的にきつい内容になってしまいましたね。あと配信台の音がズレていて判断に迷いがうまれました。後半は音を聞くのをやめて、ヘッドホンを外して試合をしましたが、甘くはありませんでしたね。」
1回触って一気に持っていくという力強いアビゲイルのプレイを通されてしまった。
まだルーザーズが残っている。ルーザーズも、優勝を狙えるような選手ばかりが残っている。その中で藤村選手はどのようにこのプールを泳ぎ切るのだろうか。
ルーザーズに落ちてからの初戦、相手は中国の雄、Xiaohai選手。藤村選手が見ていて楽しいと思う選手の1人だ。Xiaohai選手の対策は彼の反応速度があってのものが多い。彼しかできない対策が人々を、そしてプロを驚かせている。
試合が始まってみると、Xiaohai選手のターンにならない。それほどまでに藤村選手がキャミィの対策を講じていたのだ。
「キャミィ戦は対策をしていました。キャミィに一度ターンを取られると防ぐのが厳しい。しかしXiaohai選手にターンを取らせることがなかったのが勝った要因ですね。」
キャミィは自分のターンにした時に、展開の早い攻めが大きな強みである。強いところを出させないように倒し切った。ProblemX戦では強いところを押し付けられた形だが、Xiaohai選手には対応しきった。
あと2戦勝ち抜けば晴れて最終日に残ることが出来る。次のマゴ選手を前に藤村選手はTwitter上でこう語っていた。
グラドルゲーマー倉持由香がおしえるクセになるEVOの魅力

尻職人、グラドル自画撮り部部長として知られる倉持由香さんは、ガチの格ゲーマー。プロ選手とも親交の深い彼女は、3年ぶりにEVO2018に参加した。会期中の現場で倉持由香さんをインタビューし、EVOのクセになる魅力を語ってもらった。
そしてマゴ選手との試合。奇しくもXiaohai選手に続いてキャミィ戦となった。
Xiaohai選手のように人間性能を前面に押し出したプレイとは別で、マゴ選手は理詰めのプレイをする。タイプが違うキャミィではあったが、2-0というスコアで見事勝利した。
自分が常に優位に立つことができたから勝てたという藤村選手。
そしてEVO2日目、藤村選手の最終試合が始まる。FAV gaming所属のりゅうせい選手が相手だった。このりゅうせい選手について、藤村選手はこう語ってくれた。
「正直に言うと、ベスト8手前まで残ってることに驚きました。彼と日本のプロ達はよく対戦しているんですが、彼はいつもボコボコにされているんですよ。その原因が、りゅうせいくん自身の守り方の極端さや、彼の性格を理解して、人読みまで対策されてしまっているからなんです。日本勢には完全に対策されているから、まだまだ上位に残るのは厳しいだろうなと考えていました。しかし今回、大活躍し、僕と戦うときは勢いがあるのかなと思っていました。」
いつも対戦しているからこそ、若手の成長も感じることができていた。
ポーカーフェイスだと思われがちな藤村選手であるが、日本の若手たちにも気を配っている、とても優しい先輩なのだ。
しかし、試合になれば別だ。試合は藤村選手優勢で進み続けた。去年「BLAZBLUE CENTRALFICTION」でEVO2017 を制したりゅうせい選手も、ストリートファイターシリーズの猛者たちの壁は高そうに見えた。
Xiaohai選手、マゴ選手、りゅうせい選手に勝利し、見事最終日に進んだ。
自分がなんで勝ててるかは不思議
最終日前に、藤村選手になぜ最近の大会で安定して上位に入れているのかを聞いた。
「実言うとよくわかってないんですよね。これは当初から疑問に思っていました。
シーズン1はInfiltration選手やときど選手がずっと上位に入っていました。シーズン2でいうとPunk選手もその1人ですね。何が他の選手と違うんだろうと疑問でした。
自分も上位に入れるようになってきたのですが、それでもわからないままです(笑)。
普段のやりこみのおかげかなとも思います。ただそれにしても出来すぎているので…。
運がいいのかなと感じています。もちろんいつ負け始めてもおかしくないという危機感はもちながら大会に臨んでいます。」
海外ではマシーンと呼ばれるほど、凄まじい確認精度や安定感を誇っているが、勝てている理由は本人もわかっていなかった。勝ち続ける不思議、強さの不思議は決して運だけではないはず。
そして、ここまで勝ち上がってきたEVOという大会について、どう感じたのかを聞いた。
「1番勝つのが難しくて1番価値のある大会。EleagueやCapcom Cupは賞金額こそ高いものの、基本は招待選手など総勢32名くらいの規模になります。比べてEVOは2,000人を超える参加者がいて、さあやるぞって始まるんです。もう何が起きるかわからないですよね。
最難関のトーナメントで勝つことが最も価値があることだと思っています。だからこそ、優勝を目指しています。」
EVOと他の大会は似て非なるものである。他にも難しいトーナメントがあることは間違いないが、やはりEVOは別格なのだ。TOP8まで、多くの有名プレイヤー達が倒れていった。藤村選手が倒してきたXiaohai選手などは大会で優勝してもおかしくない強さなのだ。
最終日に残るということ自体が困難な中で、藤村選手はどのようにマンダレイベイで戦いを行っていくのだろうか。
後編では、藤村選手がマンダレイベイで戦った様子、そしてEVO2018の感想について伺った。
トッププレイヤー達が大会後に思うことはどういったことなのだろうか。その思考に迫った。
Fudoh|藤村はEVO壇上で緊張もするし、悔しがる 【後編】

EVO2018、ストⅤ AE部門。2,500人の参加者中5位という成績を飾ったFudoh|藤村。しかし、その結果に満足することない。まだまだ続くCPTへ向け、今大会の反省を語ってもらった。