最強を目指すGO1、EVOで最強になれたのか【前編】

EVO2018で最多参加者数を誇った「DRAGON BALL FighterZ」(以下、DBFZ)。
2,500人をも超える参加者が集った同タイトルで、発売当初から圧倒的強さを誇る選手がいた。それが、CYCROPS OSAKAに所属するGO1選手である。
その彼が、EVO2018でどのように立ち回り、どのような思いを持って戦っていたのか?
現地で生の声を聞き、そして彼の試合を追った。GO1選手というプレイヤーのEVO2018での軌跡である。
EVO2015では、上記2タイトルに加え、「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」と「AQUAPAZZA」でも優勝を果たし、サイドトーナメント4冠という偉業を成し遂げた。

Twitter:GO13151
Twitch:cyclops_go1
2018 Final Round 2018 優勝
2018 Norcal Regionals 2018 優勝
2018 Brussels Challenge Major Edition 優勝
2018 KVO x TSB 2018(KSB2018)優勝
2018 Canada Cup Master Series 2018 優勝
2018 Stunfest 2018 優勝
2018 Combo Breaker 2018 準優勝
2018 $10000 Millennial eSports DBFZ Tournament 優勝
2018 Summit of Power 2018 DBFZ 4位
2018 CEO 2018 DBFZ 準優勝
2018 Sonic Boom 2018 DBFZ 優勝
2018 VS Fighting 2018 DBFZ 3位
サイドトーナメント最強といわれた彼がメイントーナメントに参加し、一躍有名になったタイトルがある。「ストリートファイターV」だ。
数多くのゲームタイトルを制してきた彼が参戦を表明したとき、真の格闘ゲーム最強が決められるのだと、胸がおどった。
もちろん、GO1選手は「ストリートファイターV」でも強者であった。ただ”最強”ではなかったのだ。
筆者が見たかったGO1選手は最強の男であった。どのタイトルでも、謙虚でありつつも優勝をさらっていく姿を見たかったのだ。
しかし、古参プレイヤーの壁は高く、常に上位にはいるのだが大きなタイトルを手にすることは多くはなかった。
最強のGO1が帰ってきた
2018年3月、筆者が求めていたGO1選手が帰ってきた。それは「ストリートファイターV」ではなく、DBFZというタイトル。
明らかにガードが難しい連係を、持ち前のガードテクニックで捌ききり、そして圧倒的な確認精度とコンボ精度で倒す。
EVO2015で憧れた、最強のGO1選手の姿がそこにあったのだ。日本ではほとんど負けることはなく、すべてのタイトルを総なめする姿に心が躍った。
だが、そんな彼にもライバルがいた。
「インジャスティス」というゲームで最強をほしいままにしていた男、SonicFox選手。彼もまた北米であらゆる相手をなぎ倒し、北米最強であった。
このSonicFox選手とは、今回も相まみえることになる。
EVOが始まる時点での勝率は、ほぼ5分。お互いが最強の名をかけて戦う姿は、多くの格闘ゲームプレイヤーに熱狂を与えるものであった。今回はどのようなドラマがあるのか、それが楽しみで仕方ない。
EVO2018開幕
EVO前日の8月2日。チェックインをするために長蛇の列が形成されていた。EVO参加者の多さに目が眩み、改めてEVOという大会の大きさ、特別さを理解するものになった。
世界最大の格闘ゲームイベントであるEVOは、GO1選手にとってどのような大会であるのだろうか。
「世界各国からプレイヤーが集結し、世界一を決める大会だと思います。各国のメディアが最も注目する大会の1つでもありますね。だからこそ、EVOで活躍することが、人生が変えるきっかけになる大会ともいえるのではないでしょうか。」
人生が変わる可能性を秘めた大会。だからこそ、多くのプレイヤーが己の強さをかけて、しのぎを削る。そこはGO1選手も変わらない。GO1選手もEVO2015で活躍したことで、人生を変えた1人だ。
「EVOに初めて参加したのは2015年で、サイドトーナメントに呼ばれました。そのとき、4冠することができたんです。2015年は自分のMAXでした。しかし、メイントーナメントを見ると、あちら側に自分が立ちたいという気持ちが強くなりました。その気持ちがあったからプロになりたいと思いましたね。EVO2015で感じた気持ちが、自分の人生を変えた瞬間でした。」
“憧れ”という気持ちだけではなく、強い意志と精神力でプロゲーマーという地位を勝ち取ったのは、彼の実直さと努力によるもの。
そんな彼の次なる目標と仕上がりを答えてもらった。
「まずは世界1位を取ることですね。EVOに限らず世界大会を優勝することが目標です。また今回はEVOで優勝できるんじゃないかと思うくらいには仕上がっています。7/29にあった大会でも、一度も負けなかったんですよね。EVO前にかなり大きな自信につながりました。」
EVO直前にあった「ドラゴンボール ゲーム祭 2018-夏ー」 で、GO1選手率いる大阪選抜チームは無敗で見事優勝した。
言葉だけでなく実績でもその自信は証明されるものになっていた。
そして始まったEVO2018初日
8月3日午前8時、EVO2018初日の火ぶたが切って落とされた。参加する格ゲープレイヤーが少しでも上位へ行くために、己の魂を燃やして戦う。その会場の中に、闘志を燃やしているGO1選手の姿があった。
そして、その隣にはライバルであるSonicFox選手が。GO1選手とSonicFox選手は試合が始まる前に、調整のため野試合をしていた。

ライバルとして盟友として調整をしあう。
この野試合について、GO1選手はこう語った。
「結果は1-2で負けてしまいました。SonicFox選手は人読みがとても鋭く、対戦して手癖がバレないように普段では絶対にやらないようなことをしていました。今回は絶対に勝ちたいという気持ちで、ブラフを入れていましたね。」
すでに読み合いは始まっている。もうSonicFox選手と当たることを予想していたのだった。そこには彼の実力に対する信頼と、自分の実力に対する自信、両方がうかがえた。
この野試合のあと、GO1選手の試合が始まった。
初日4試合の全てが2-0の完勝。流石の強さを見せてくれた。
なぜ、これほどまでに大会で安定して勝つことができるのだろうか。GO1選手に疑問を投げかけたところ、気を付けていることを教えてくれた。
「いつもの自分の実力が出せれば絶対に勝てると思っているので、いかに普段の動きを出せるかを意識していますね。仮に防御に回ったとしても、自分のガード能力を信じてプレイしています。でないと、展開が早いゲームなので気持ちの隙間を突かれてしまう。気持ちで負けないようにしています。」
もはやゲームは技術だけで勝ちきれるものではなく、強いメンタルも必要になってきている。それほどまでにシビアな世界で戦っているGO1選手。それでも初日は1本も取られることなく終えていた。試合を観戦していたが見ていてもその強さは圧巻であった。
初日は何事もなく勝利をしたGO1選手。2日目からは猛者たちが集う戦いに身を投じることになる。
「明日はすぐに「モータルコンバット」優勝をしているPerfectLegend選手と当たります。そのあと、よしもとゲーミング所属のkuboさんと当たりますね。1回勝ったら、そこからボスラッシュになりますね(笑)。まずは明日TOP8をウィナーズで抜けて3日目につなげるつもりです。」
2日目からは熱戦ばかりであった。GO1選手がどのようにして、2日目以降を勝ち抜いていったのだろうか。彼はどのような想いをもっていたのだろうか。後編では彼の試合を振り返りながら深掘りしていく。
GO1が目指す最強への道のりは 【後編】
