コンパス人生解析システム:解説で真の面白さを伝えるhash

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2019年12月で3周年を迎えた「#コンパス 戦闘摂理解析システム」(以下、コンパス)は、これまで「プチ炎上 #コンパス甲子園」や「プチ炎上 #コンパス × WELLPLAYED LEAGUE」(以下、ウェルプレイドリーグ)などの公式大会を開催している。
このうち、「プチ炎上 #コンパス甲子園」が実施された「#コンパスフェス 街キャラバン 2019」では、大会などで実績を残しているコンパスプレイヤーがバトル解説を担当した。
本稿では、コンパス甲子園だけでなく、2019年最強のコンパスチームを決める「大炎上 #コンパスグランドスラム 2019年最強決定大会」でもバトル解説をした、「hash」のコンパス人生をお届けする。
「僕がアダムです」で一躍有名に
ゲーム交流用に作成したTwitterアカウントのタイムラインで、コンパスが面白いとの情報を入手し、すぐさまコンパスをプレイしたhash。彼はハマることができた対人ゲームは、コンパスが初だという。
「僕はカードゲームやモンスターを倒すゲームを好んでプレイしていましたが、対人要素のあるシューティングゲームなどをプレイしてもハマることができませんでした。
ですが、コンパスだけは違いました。コンパスの操作方法がすごくしっくりきて、ヒーローを動かしているだけでも楽しむことができたんです。このゲーム体験は、僕のゲーム人生においては革命的なものでしたね」
コンパスをやり込み、全ユーザーの中からアダム=ユーリエフ(以下、アダム)というヒーローの代表プレイヤーにも選出されたhashだが、アダムが登場してすぐに使ったわけではないと語る。
「僕はどんなゲームにおいても強いキャラクターを使いたいので、いわゆる性能厨、勝率厨と呼ばれるタイプの人間です。コンパスでも7秒間ヒーロースキルが使えたルチアーノや、毒効果を付与するカードを採用したジャンヌダルクなど、その環境で強いとされるヒーローを使用してきました。
ですので、実はアダムと同時に実装されたアタッカーのマリア=S=レオンブルクを先に使用していましたね。それから間もなくしてバランス調整が入り、アダムに可能性を感じたので使うようになりました。
そこからしばらくアダムが強い時期が続いたので、僕もアダムを使い続け、現在は使用回数が12,000回を超えました」
そして、hashがアダム使いとして有名になるきっかけとなった「大炎上 #コンパス グランドスラム ヒーロー”暫定”全一大会」に出演が決定する。
「出演のオファーをいただいたときは大会での優勝経験はないですし、YouTubeなどで活動していたわけでもないので、本当に驚きました。
おそらくですが、『JCG × #コンパスサタデーバトルリーグ』で準優勝したときにアダムを使用していたので、代表プレイヤーとして選ばれたのではないかと考えてます」
ここで、知る人ぞ知るhashの名台詞が炸裂。
「アダム代表として選ばれたときは本当に無名でしたので、壇上で行う挨拶で他の出演者と同じことを言ってもあまり意味がないと考えたんです。
そこで、見ている方の記憶に残るインパクトのある挨拶をしようと思い、『僕がアダムです』と発言しました。それがめちゃくちゃ好評でして、現在でもネタにされるぐらい有名なセリフになってしまいました(笑)。
少し恥ずかしい話ではありますが、大会当日の服装も少しアダムを意識していましたよ」
補欠から始まったコンパス大会
現在では公式大会によく出場しているhash。しかし、初めての大会は補欠での出場だった。
「僕が初めて出場した大会は2018年1月に実施された『ファミ通コンパス杯2nd 1月シーズン大会』なんですが、僕以外のメンバーが上手かったこともあり、補欠として出場しました。
この大会には記念受験のような軽い気持ちで出場したんですが、当日になってチームの本メンバーの1人に『ちょっと、hashさん出てみてよ』と言われて、補欠である僕が1回戦に出場しました。
無事に1回戦で勝つことができてうれしかったんですが、1回ずつ交代で出場しようという話になっていたため、交代していたメンバーに連絡をしたんです。でも、なぜか返信がなく……。おそらくですが、大会に出場するのが面倒になったのだと思います(笑)。
そのまま僕が出場し続け、有名プレイヤーがいるチームにも勝ててブロック優勝。そして、これ以降の対戦は闘会議2018の壇上で戦うことになっていたため、ステージに上がることになりました。
結果は惜しくもベスト4でしたが、壇上でプレイするという貴重な体験もできて、コンパス大会の面白さを知ることができました」
2018年の公式大会に数多く出場したhashは、大会シーンに変化が起きていると考える。
「2018年1月時点ではヒーローは26体しかいませんでしたが、2020年1月時点だと45体もいます。カードも追加されていますし、コンパスでのバトルはより戦略的になったと思いますね。
これが顕著に表れているのが、チーム『tea break』の戦績です。tea breakは使用ヒーローがほぼ固定で、腕っぷしだけで勝ち上がってきたと言っても過言ではないので、コンパスのバトルが戦略的になればなるほど勝つのが厳しくなってくると思います。
実際に、tea breakは2018年までグランドスラムで優勝しコンパス神の座を守ってきましたが、2019年ではグランドスラムに出場することができていません。
このように、ヒーローやカードが追加されるごとにさまざまな戦術が生まれていると思います」
そして、コンパスの戦術が重要視され始めたのは「食パントースター」がきっかけの1つだと語る。
「獲得したポータルキーの本数で競うウェルプレイドリーグでは、さまざまな作戦を考案して戦った食パントースターが完全制覇しました。
これまでの大会にはなかった、序盤から5-0勝利を決めるプランを見ることができましたし、バトルを見た多くのプレイヤーはコンパスの戦術が重要だということに気づいたのではないでしょうか。ですので、食パントースターとウェルプレイドリーグには感謝しています」
hashが知る2019年グランドスラム決勝戦の裏側
コンパスの大会に並々ならぬ情熱を捧げるhashだが、年間最強チームを決めるグランドスラムへの進出は果たしていない。これには、愛用するアダムが大会で通用しなくなりつつある背景が存在した。
「アダムはヒーロースキルがかなり強いので、これだけで採用する価値があります。ですが、環境トップレベルに強いヒーローではないと考えています。しばらくアタッカー枠はアダムで問題ないという状態が続きましたが、そうではなくなってしまいましたね」
勝率厨だと自負するhashは、当然のように他のヒーローの練習を始める。しかし、アダムとは戦い方がまったく異なるヒーローの練習では、思うように動けず苦しい経験をする。
「仮に全ヒーローを使いこなせるとしたら、2020年1月時点では『デビルミント鬼龍デルミン』が最強だと考えています。ですが、いざ練習をしてみるとアダムと違って逆転する力がなく、最初から最後までミスなく有利を保ち続ける必要があるヒーローだと気づきました。
デビルミント鬼龍デルミンは通常攻撃と機動力を駆使し、小さなアドバンテージを積み重ねていくヒーローなので、1つのミスが敗北につながります。ですので、かなり玄人向けのヒーローだと思いますね。
実際、僕が練習の様子を生配信していたんですが、アダムを使用しているときと比べて弱気すぎるとの指摘を受けまして、相当扱うのが難しいヒーローなんだなと再確認できましたね(笑)」
さらにhashは、上級プレイヤーであればあるほど、自分が信用できるヒーローをコンパス大会で使用してしまう心理が作用すると話す。
「僕もそうなんですが、コンパス大会の決勝戦に近づくほど環境的に強いヒーローではなく、自身が愛用していて、最も自信のあるヒーローを使いがちなんです。これは、環境的に強いヒーローを使って負けてしまった場合に、愛用ヒーローを使っていれば勝てたかもしれないという後悔の念が押し寄せることを、避けるためではないかと考えてます。
僕もアダムを使わずに負けてしまうと後悔してしまいそうですし、アダムを使わないという選択を迫られたときは、自分の考えと気持ちが葛藤していまいます」
そして、2019年のグランドスラムの決勝戦では、この心理によって劇的なドラマが生まれたという。
「この心理は、どんなプレイヤーにも作用すると思います。実際に、2019年グランドスラム決勝戦の『食パントースター2.0』と『ルミナス』のバトルでも起こりました。
大会を終えた今だから話せることなんですが、実は僕は食パントースター2.0の練習相手をしていました。そこでは、指示されたとおりのヒーロー構成で戦ったのですが、強いヒーロー構成をそこそこに、なぜか『Voidoll・桜華忠臣・ルチアーノ』という強いとは言い難いヒーロー構成で何度も戦うことを要求されました。
さすがに疑問に思い意図を聞いてみたところ、グランドスラムで対戦することになるかもしれないルミナスを対策している。さらに、ルミナスは決勝戦でそれぞれのプレイヤーが自信を持っているヒーローである、Voidoll、桜華忠臣、ルチアーノを使用してくると予想したと教えてくれました。
そしてなんと、ルミナスはグランドスラムの決勝戦で本当にそのヒーロー構成で戦ったんです。僕は食パントースター2.0がルミナスの対策をしていることを知っていたので、ヒーロー構成を見た瞬間にルミナスの敗北を確信しました。
しかし、ルミナスがあまりにも強かった。ヒーロー構成を完全に読まれているにも関わらず、コンパスの上手さだけで食パントースター2.0を打ち破ったんです。これにはさすがに驚きを隠せませんでした。
それと同時に、ウェルプレイドリーグを筆頭に戦術で勝利してきた食パントースターが、”ただの”実力でルミナスに負けてしまった絶望感は、計り知れないと感じました。これまですべて正解してきた選択肢を、最後の最後で否定されたんですよ。
さすがにあれは、かなり堪えたと思います」
解説でコンパスの真の面白さを伝えたい
複数のコンパス大会でバトル解説を担当し、アダム使い以外としての顔も持つhash。実際に解説することで、初めて気づけたことが多くあったと語る。
「バトル解説のオファーをいただいたときは素直にうれしかったですね。ただ、わかってはいましたがリアルタイムで解説をするのはかなり難しいです。バトル後の解説やチームの背景はサラサラと話せるんですが、リアルタイムだと訳が違いました。
もちろん、リアルタイムで解説する以外にも難しいポイントはたくさんあります。1つだけ例を挙げると『輝龍院きらら』のアビリティであるダッシュ中に透明化する効果が難しいポイントです。
プレイヤーは視点を回転させることで透明化した輝龍院きららの位置を特定できるんですが、解説担当は観戦端末の画面に映っていないと『きららがどこかに隠れていますね』としか言えないんですよ(笑)。
これはもはや解説でも何でもないと思うので、より解説しやすい環境になることを望んでいます」
hashはプレイヤーとしての活動をやめるわけではないが、バトル解説の面白さにどっぷりハマることに。
「初めて解説した『プチ炎上 #コンパス甲子園九州・沖縄大会』は、解説するのに精いっぱいで無我夢中で話していました。
具体的には、コンパスをやり込んでいるからこそわかるプレイの意図だったり、僕にとっては当たり前のことを初心者の方でもわかるように説明したりしたんですが、かなり好評で、内容がすごくよかったといろんな方に褒めてもらえたんです。
その中でも特に意識していた、カードやヒーローを正式名称で必ず紹介するという点を、ボカロPであるEasyPopさんに褒めていただいたのがうれしかったです!
僕がコンパスの楽しさや面白さを決めるのは間違っていると思いますが、僕の解説でコンパスというゲームの奥深さや戦術の重要さを知ってもらえたらうれしいです」
そしてhashは最後に、ファンに向けて熱いメッセージを送る。
「僕はコンパスでは常に勝利を追い求め、大会にも出場したいという気持ちは健在なので、今後もプレイヤーとして活動していきます。ですが、解説も機会があればしますし、勝つためにならアダムを使わないという判断をするかもしれません。
これにより、解説に徹していればいいのにとか、アダムだけを使ってほしいと思われるかもしれませんが、完全には期待に応えることができません。
もし、それでも僕のことを応援してくださる方は、僕が勝利を追い求めてがんばっている姿勢を見守っていただけるとうれしいです。
2020年ではYouTubeに動画を出すかもしれませんので、その際はぜひよろしくお願いします」
チームの補欠から始まり、現在では年間最強チーム決める大会のバトル解説を担当するようにもなったhash。コンパスの知識だけでなく、チームの背景も知る解説者の誕生はコンパスにとって喜ばしいことではないだろうか。
今後も多岐に渡る活躍に期待したい。
(C)NHN PlayArt Corp.
(C)DWANGO Co., Ltd.
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