RNGとiGの強さが際立った2018年激動のLoLシーンを振り返る

とつ(WPJ編集部)

LoLの世界において、2017年までは韓国一強時代が続いており、シーンの先頭を走る存在だった。しかし2018年、この状況に待ったをかけたのが中国だ。加えて、EUや北アメリカも力を付け、これまでの力関係が崩れ始めた年でもあった。

このような激動の1年であったLoLのシーンをここでまとめて振り返りたい。

MSIで韓国最強時代に終止符が打たれる

Mid Season Invitational 2018(以下、MSI)は、1月もしくは2月から各地域で行われたSpring Splitを制したチームで行われる世界大会。毎年5月に行われる本大会は、その年のLoLシーンを予想する上で、重要な指標となる。

2017年は韓国の年であったが、2018年はいったいどこの地域がシーンを牽引するのか? LoLプレイヤーたちは注目した。

プロテクトADCさえ極めれば戦術に幅はいらない

特に注目を集めたのは、中国のRoyal Never Giveup(以下、RNG)であろう。グループステージ序盤こそ低迷していたが、最終的にはグループステージを首位で突破し、決勝戦まで順調に駒を進めた。

プロテクトADCという戦術のみで勝ち上がってきたRNGに世界は驚愕した。今までは、「強いチーム=戦術の幅が広いチーム」であった。しかしRNGは、世界最強ADCであるUziをチームの中心に置き、彼を守ることだけを特化し続けたのだった。

今まで批判され続けてきたスタイルであったが、Uziが先頭に立ちチームを引っ張る存在へと進化した。守られるだけの存在ではなく、相手の行動を読み切って、自ら仕掛けることができるようになったのだ。

また、チームとしても2014年から続けてきたこの戦術を遂行しきる力がついていた。なんとしてでもUziを守り切る、彼なら敵をせん滅してくれるという信頼が動きから感じられるほどであった。

その結果、Uziの総合キル数は64、平均KDAも11.8と、両スコアともに全選手中トップの値をたたき出した。

そして、迎えた決勝戦。RNGの相手は、韓国のKING-ZONE DragonX。奇しくも戦術幅の広いチームとの対戦となった。プロテクトADCのみを鍛えぬいたRNGが、ついに韓国の時代を打ち破るのかに大きな期待が集まった。

結果は、RNGが3-1でKING-ZONE DragonXを下して、韓国の時代に終止符を打ったのだ。このRNGの優勝は、今までの戦術という概念に大きな衝撃を与えるものになった。卓越した技術をもつプレイヤーを守り切ることで、勝利を掴むことができるのだと。2018年最初の衝撃はここから始まったといっても過言ではない。

RiftRivalsで中国リーグ=最強という方程式が完成

RiftRivalsは、ライバル地域同士が戦う小規模世界大会である。今大会で注目を集めたのは、MSIを制した中国リーグ(以下、LPL)と、王冠を取り戻したい韓国リーグ(以下、LCK)、そして両リーグに追いつきたい台湾リーグ(以下、LMS)の三つ巴のトーナメントだろう。RNGがMSIを制したのは偶然であったのか、やはりLCKが最強であると証明するのか、プレイヤーたちはその動向を注視した。

蓋を開けてみると、LPLがグループステージを6勝2敗と首位で突破し、決勝へと駒を進めた。LPLはRNGだけの地域ではなかったことの証明がされ始めた。

RNGの他に出場していたInvictus Gaming(以下、iG)や、Rogue Worriers、EDward GamingもLCKから白星を上げた。今まで強さが不安定だと言われていたLPLは姿を消し、世界最高のリーグとしての実績を上げ続けた。

決勝で行われた、LCKとのリーグ対抗BO5も3-2でLCKを下し、名実ともに韓国より優れていることを証明した。2018年はLPLの年だとプレイヤーたちが思い始めたタイミングだっただろう。

そして、今大会もRNGのUziが暴れ回った。総合キル数は15、KDAは9.7と参加者の中でもトップレベルの成績を記録。いまだRNGのプロテクトADCを破る手立ては見つかっていないように見えた。今後、RNGの戦術を破るチームが現れるのかという点にプレイヤーたちは期待するようになっていった。

Worlds2018のInvictus Gamingに死角なし

League of Legends World Championship 2018(以下、Worlds2018)は、1年を締めくくる世界大会。世界最強を決める大会であったが、波乱の連続であった。前回大会優勝チームである、Gen.G Esportsは予選すら抜けることができずに敗退、優勝候補筆頭であったRNGも準々決勝で姿を消した。2018年、タイトルを総なめしていたRNGが遂に負けてしまったのだ。

RNGを破ったのは、EUのG2 Esports(以下、G2)だ。彼らが行った戦術は、とにかくバックラインに飛び込むという戦術であった。後衛を荒らすことに長けたチャンピオンが強いパッチであったこともあり、Uziをフリーにさせることができない状況が続いたのだ。その結果、後衛と前衛の間に大きな溝ができてしまい、プロテクトADCという戦術を取ることができなかった。

iG Rookieという名の強すぎるベテラン

優勝候補と言われていたすべてのチームが準決勝までに敗退し、残ったのはダークホースのみとなった。この展開を誰も読みきることができず、約380万人も参加したPick’emというトトカルチョでは、トップ4が出そろった時点で全問正解者が0になってしまうほどであった。

準決勝に残っていたのは、中国のiG、EUのFnatic、G2、北アメリカのCloud9の4チーム。この中で、注目されていたのはInvictus Gamingだろう。iGには、レーン戦でほぼ負けていないRookieというプレイヤーがいる。そのハンドスキルで、プロになった時から話題に上がり続けている1人だ。準決勝のG2戦でも、Rookieは度重なるJungleのプレッシャーをいなし続け、チームを決勝へと導いた。

そして、迎えた決勝戦。相手はEUのFnatic。初の世界大会であるWorld Championship 2011を制したこともある歴史の長いチームだ。

Fnaticは王座奪還に向け、iGは初の優勝というタイトルに向けて戦いに挑んだ。iGに分があるだろうと多くのプレイヤーは予想したと思うが、その展開は一方的であった。序盤からiGのJungleであるNingが全てのレーンに有利を作っていく。その有利を譲ることなく、有利を広げ続けた。結果は3-0、iGが悲願の初優勝を果たした。

iGが優勝したことで、MSIに続きWorldsも中国が制することになった。そして悲願の初優勝を果たしたRookieはあまりのうれしさに涙を流した。

彼がiGに入り5年。韓国から中国に来て、時期の浅いうちは「Baby Faker」や「ScrimではFaker並みにうまい」などと言われ、自分が強くなっても周りとの歯車が合わず、ここまでタイトルを取ることができていなかった。

LPLでも優勝しておらず、初タイトルがWorlds。そしてLPL初のWorlds制覇という偉業も達成した。タイトルまで長かった上に、最高のタイトルを手に入れたのは本当にうれしかったのだろうと、彼の涙を見て思う。

2019年のLoLシーンでの注目は韓国SKT

2019年1月から日本を含む全14地域でリーグ、Spring Splitが開幕する。MSIに向け、各チームが調整に入るタイミングだ。この時期はトレードが盛んに行われ、その内容を見るとおおよそのチーム力が見えてくる。

2019年以降、注目したいのは韓国のSK Telecom T1(以下、SKT)だ。SKTには、LoLで最も有名なプレイヤーであるFakerが所属している。そのチームに世界最高の1人であるKhanや、SupportのMataなどを獲得した。この獲得選手たちが噛み合えば、2019年は世界大会優勝も狙えるチームになるだろう。

SKTに加入したTOPのKhan(左)とSupportのMata(右)

2018年は中国がLoLシーンを制したが、2019年は韓国が復権するのだろうか。動向に注目したい。

(C)Riot Games

写真・LoL Esports

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記者プロフィール
とつ(WPJ編集部)
高校生の頃、FPSに魅了され、esportsシーンに興味を示し、現在はゲームを最大限に楽しむ集団「ゴジライン」でesports応援団長という雑な役職についている雑食ゲーマー。重度の動画勢で「より観戦を楽しむためにゲームを触る」を軸に、多くの読者にesportsの魅力をお届けするため日々奮闘中。得意ジャンルはFPSとMOBA。現在の悩みは社会人になってから16kg増えた体重と肌荒れ。

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