今年の注目選手は僕ですと言い切るガチくんの意気込み(後編):倉持由香のゲーマー交遊録【第6回】

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■前編記事
レッドブルの圧倒的知名度に気が引き締まる
倉持:2018年を振り返ってみての感想は?
ガチくん:
現状、上手い格ゲープレイヤーの入れ替わりがあまりないという印象です。例えば、ウメさん、ときどさん、ボンさん、ふ~どさん、ハイタニさんなど。この方々がずっと強くて、その状態が続いているんだと思うんです。
それが悪いことだとは思わないんですが、僕ら世代やその下の世代のプレイヤーが彼らを脅かす存在にならないといけないとは思います。そういう意味で、Capcom Cup 2018で優勝できたのは大きい意味があるなと。
倉持:もちろん優勝賞金もうれしいとは思うけど、「Capcom Cup優勝者」という称号は何物にも代えがたいよね。
ガチくん:
そうですね。今後の活動のことを考えても、確実に幅は広がると思ってます。
倉持:板ザンさんにリセットされてからのレッドブルコスチュームへのチェンジは震えたよ! 流石にかっこ良すぎた!
ガチくん:
もともと、決勝へ行ったらレッドブルコスチュームは使おうと思ってたんですよ。その話をネモさんにしたんですが、「でも、それで負けたら縁起悪いじゃん」って(笑)。
倉持:ネモさんっぽいね(笑)。
ガチくん:
確かにね。ただ、1年を締めくくる一戦でもあったので、決意表明の意味でもレッドブルコスチュームにしました。結果、翼をさずかることができたのか、いい試合運びができて優勝を勝ち取りました!
倉持:まさにレッドブルパワー!
ガチくん:
ある意味、できすぎですよね。レッドブルアスリートになったその週には、Red Bull Kumite 2018があったんですよ。前日予選から参加したんですが、あれは緊張しました。
倉持:レッドブルアスリートになってすぐだと、「さぁ、お手並み拝見」というムードになりますよね。ガチくんは緊張には強いほうなんですか?
ガチくん:
試合前はすごく緊張するんですが、試合が始まったら勝負に集中できますね。そういう意味では、いい感じに緊張をコントロールできているなと思います。
倉持:レッドブルアスリートになって変わったことや周囲の反応はいかがですか?
ガチくん:
「レッドブル」の知名度は圧倒的で、レッドブルアスリートになりましたと報告したら、「あのレッドブル? マジか!」という反応がほとんどです。両親もレッドブルのことは知ってましたし。
有名企業と契約を結んだことで見られ方も変わりましたし、自分自身も気を引き締めないとという変化もありますね。
倉持:プロゲーマーは見た目が大事と言われてますが、その点にも気を配ってますか?
ガチくん:
それはそう! 今日も「ちゃんと髪をセットして行ってよ」と、家を出る前に嫁さんに言われました(笑)。その日のファッションの最終チェックとして、嫁さんに確認したりしますね。
倉持:ナイス奥さん! メディア露出の面において見た目はほんと大事だもんね。ガチくんは、格ゲーマーの中では中堅ぐらいの年齢?
ガチくん:
そうですね。とはいえ、トッププレイヤーの方々の年齢層が比較的上のほうなので、若手に見られがちではあります。
中堅は下から追われるし、上に追いつかなきゃというポジションですが、それが今の自分のモチベーションになってます。
倉持:“格ゲーアナコンダ”というキャッチフレーズはいかがですか?
ガチくん:
普通にうれしいです! キャラが付きましたし。格ゲーアナコンダと言われてたときになんかやらないと思って、一応「シャー!」ってやっときましたけど、あれでよかったのかな(笑)。
倉持:「シャー!」いいよ! 定番になるようにたくさんやってほしい(笑)。
変な人ランキング3位:ふ~ど、2位:アール、1位:ときど
倉持:Capcom Cup 2018優勝後、メディアに出る機会が増えたと思いますが。
ガチくん:
増えましたね。それに合わせて、いろんな方のインタビュー記事や動画を見て、自分なりに勉強もしてます。聞かれたことに対して話がずれないように、コンパクトに話すことは重要だとわかりました。
倉持:研究熱心だね! 他の格ゲーマーたちからの話では、ガチくんは「格ゲーマーまともな人ランキング1位」という説があります。
ガチくん:
マジですか! オレ、まともじゃないですよ(笑)。これは僕の独断と偏見ですけど、格ゲーマーにまともな人はあまりいないんじゃないかと。
自分的には普通にはしてるつもりなんですけど、まともじゃないんだよな。人の目を気にするほうなので、配信なんかでは当たり障りのない発言が多くなりがちなんですけど、それだと面白くないんですよね。
多少クセがあるとか、顔芸が面白いとか、毒を吐いたりとかしないと印象に残らないだろうなとは思います。
倉持:そういう意味では、キャラの濃いときどさんとマゴしぃに囲まれて毎週配信されてますね。
ガチくん:
あれのおかげでメンタルが強くなってる面はありますよ(笑)。キャラは濃すぎですけど、勉強にはなりますね。
倉持:ガチくんが思う「格ゲーマー変な人ランキング」ベスト3を教えてくれますか?
ガチくん:
3位はふ~どさんですね。変な人というか、面白いんです。例えば、Fav gamingのゲーム部屋は土足禁止ではないんですが、いつ行っても靴脱いでるんですよ。扉を開けると、必ずふ~どさんの靴があるみたいな(笑)。
倉持:土禁じゃないのに何で1人だけ!?(笑) 第2位は?
ガチくん:
アールさんですかね。自分のやりたいことを貫き通しているのは、すごいと思いますね。周りの目を気にせず、やりたいことをやりきっていうのは羨ましくもあります。
倉持:アールさんの生き方は見てても楽しそうだよね。貫いてる。では、第1位を!
ガチくん:
ときどさんかな。まず、雰囲気が変だなと思うですよ。あと、最近すごく体を鍛えてるんですよね。
どこを目指してるんだろうと思って、この間聞いてみたんですよ。そしたら、「オードリー春日以上、ケインコスギ未満」って言われました(笑)。プロテインやアミノ酸もよく飲んでますよね。
倉持:確かにときどさん、見る度に身体が大きくなっていってる……。好きなプレイヤーを3名挙げるとしたら、どなたですか?
ガチくん:
まず、マゴさんです。サガットを使っている頃のプレイスタイルからずっと好きですね。それと、攻略の進め方が的確でいろんな視点をもっているというところも好きです。
例えば、自分があるキャラの対策を持っていったとしたら、マゴさんは対策の対策の対策みたいなものを持っているといった感じです。実際、広島にいる頃からマゴさんにはゲームを教えていただきましたし。
倉持:マゴしぃはすごく面倒見がいいよね。
ガチくん:
ストリートファイターリーグでマゴさんのチームにいる、バイソン使いのさかがみもいろいろ指導してもらっていると言ってました。
マゴさんはゲームになると真面目だし、ついて行って間違いがない人ですね。
倉持:後輩たちから慕われてるよねぇ。あと2人は?
ガチくん:
レッドブルアスリートの先輩でもあるボンさんですね。一番見習いたいのは、妥協しないって部分ですね。難題にぶつかっても、しっかり練習を重ねて克服してから挑むスタイルです。
負けず嫌いなところも、選手としていいなと思いますね。レッドブルアスリートの先輩としてのアドバイスも助かってます。
倉持:ボンちゃんはストイックだよね。まさにアスリート!最後の1人は?
ガチくん:
藤村さんですかね。理由はボンさんと似てしまうんですが、ストイックなところです。そこまでやってるのかと思うシーンもよくあります。トレモもすごく時間を使ってやってますよね。
動きも毎回違うんですよ。そういう意味で、自分もしっかり練習していかないとと思わせてくれる存在です。
倉持:藤村さんについてみんな「尋常じゃない練習量」って話してるよね。対戦部屋で手強いなと思う相手はいますか?
ガチくん:
藤村さんとウメハラさんですかね。Capcom Cup 2018の前にも練習部屋に行ったんですよ。シーズン中も普通に練習はしてるですが、Capcom Cup前は特に密度の濃い練習をするんですね。
自分なりにある程度の自信を持って練習部屋へ行ったのに、彼らはめっちゃ強いんですよ。心が折れかけたぐらい。ただ、そのときに「日本人のだれかが優勝するな」という印象は持ちました。
倉持:CPT中に辛かったことはありますか?
ガチくん:
スケジュールですかね。6週連続海外というのがありました。飛行機の移動は慣れたんですが、時差ボケはだめですね。
あと、嫁さんはそうでもないと言ってるんですが、僕は自宅に帰れないのはさみしいですね。
倉持:うーん。奥さんは強がってるだけだと思うな。絶対さみしいでしょ!
ガチくん:
そうかな、カワイイ奴め(笑)。
倉持:だから帰国してるときはちゃんとデートしたりフォローするんだよ!(笑)。奥さんと一緒にゲームはしますか?
ガチくん:
嫁さんは1人でSwitchで遊ぶことはあっても、一緒にスト5をすることはないですね。一度、スト5は教えたことあるんですけど、あまりにも下手過ぎてもうええわってなりました(笑)。
今年注目すべきプレイヤーは僕です!
倉持:同世代のゲーマーとは仲良しですか? ライバルですか?
ガチくん:
仲良しでかつライバルですね。同世代で第一線でやってる人は、ストーム久保君ぐらいなんです。他にも、イニシャル教祖、りんた君、ふりくり君とは同世代ですが、CPTを一緒に回るのはストーム久保君です。
東京に出てきて同世代の友だちがいなかったのもあるし、もともと僕は地方の動画勢だったので、画面越しに見ていたウメさんやときどさんと一緒の場にいたら気を使って喋れないみたいなこともよくありました。
そういう意味で同世代のゲーマーはライバルではあるものの、いろんな話もしやすいですね。
倉持:広島にはいつまでいたんですか?
ガチくん:
現在27歳なんですが、25歳まで広島にいました。いっとき、福岡にいたこともありました。
倉持:東京はいがかですか? 帰りたいなと思うことはないですか。
ガチくん:
今はゲームが仕事なんで、帰りたいと思うことはないですね。東京での練習がどれだけいいものかということがわかってるだけに。
倉持:東京での練習はやっぱり質が高いですか?
ガチくん:
そうですね、レベルが高いですね。対戦部屋などで人と会って、情報交換しながら対戦ができたりもしますし。こういうことは東京でしかできないと思います。
広島にいる頃は仕事をしていたので、平日の日中はゲームができず、やるとしても帰宅後にオンラインでのみという状況でしたからね。
倉持:2018年を通してみたときに、一番苦戦したのは誰との対戦ですか?
ガチくん:
藤村さんですね。後半にはだいぶ勝てるようにはなったんですが、去年前半は藤村さんにはかなり負け越してました。どうやったら勝てるんだ!? 状態でした。
今まであまり動画や試合を見直すことはしなかったんですが、それでは勝てないのでしっかり対策するようになりましたね。
倉持:注目しているプレイヤーは?
ガチくん:
Problem Xです。実は同年代なんですよ。
倉持:Problem Xさんって、若かったんだ!
ガチくん:
そうなんですよ、オレも知ったのは最近ですけど。
ベガというキャラクターで、あそこまでのクオリティを出せること自体がすごいですね。
倉持:日本のプレイヤーだと、今年は誰に注目してますか?
ガチくん:
日本だったら……、僕ですかね(笑)。
倉持:いいよ、いいよー!(笑)
ガチくん:
真面目な話、Capcom Cup 2018で優勝したので、必ず注目の対象になると思うんですよ。だったらいっそ、自分から僕に注目してもらいたいということを言います。ハードルは上がってしまいますが(笑)。
倉持:自らハードルを上げるとは、さすがCapcom Cup覇者だねぇ。現環境でのラシードはどうですか?
ガチくん:
変更点が少なかったことと、相対的にラシードがキツかったキャラが下方修正されているので、今のところはいい感じですね。このままいくのであれば、今年もある程度の結果は残せると思ってます。
倉持:ガチくんから見たラシードの魅力は?
ガチくん:
画面端での攻めですね。端に行くまではどっしりした立ち回りになりますけど、端に行ったときの爽快感や一気に畳み掛けることができる点などが最大の魅力です。
倉持:ほかのキャラを使う予定は?
ガチくん:
今のところないですし、サブキャラもないですね。ラシード1本でやってます。
倉持:キャラ選びの基準は何ですか?
ガチくん:
(スト4シリーズでは)サガットについては、「使ってみたら強かった」ですね。そこからずっと使ってたんですけど、キャラ変更が面倒という理由でも使い続けてました。
スト5になったら新キャラを使おうと決めてたんです。というのも、サガット使いとしてはボンさんや三太郎さんがいて、その方たちを見て僕も吸収してたんです。でも、それだと彼らを超えることはできないと。
それでラシードを使ってみたんですが、最初はめっちゃ負けました。自分で開発していくことは難しいと実感もしました。
倉持:ラシード使いの方々と情報交換はしますか?
ガチくん:
しますね。竹内ジョン君とか、もけとします。特に、もけとはかなり情報交換をしますね。
倉持:CPT 2019の意気込みは?
ガチくん:
昨年優勝したので出場権はあるんですが、しっかりポイントを獲得してランキング内に入りたいと考えてます。出場権があるから油断してるんじゃないかと思われたくないし、参加できる大会は出場するつもりです。各大会でちゃんと結果を出すことも重要ですからね。
倉持:Capcom Cupを2連覇したらカッコイイよね!
ガチくん:
2連覇は目標にしてます。EVOでもトップ8に行きたいですね。
倉持:勝利の女神を連れて行かないとだね! 今後のesports業界に望むことはありますか?
ガチくん:
一時的なブームで終わることにはしたくないですね。そのためには、僕たち選手が動いていく必要がありますし、情報発信も必要だと思います。
倉持:では、ファンの方へひと言お願いします。
ガチくん:
今年1年は注目されると思うので、配信や大会などの活動を見ていただきたいです。もちろん、大会ではいい結果を残せるようにするので、応援をよろしくお願いします!
倉持:最後に愛する奥さんへもひと言どうぞ。
ガチくん:
いつも支えてくれて、ありがとうございます! 新婚旅行も行くけど、またデートもしましょう。愛してます!
倉持:ごちそうさまでした(笑)。
写真・大塚まり
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